インタビュー
「龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝」堀井亮佑氏に訊く。リメイクは思い出との戦い,最新エンジンで蘇る沖縄,峯 義孝の新たな物語
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今回のリメイクでは,最新のドラゴンエンジンによるグラフィックスの刷新だけでなく,オリジナル版とは異なるアプローチによるドラマの補完や,現代の視点から再構築された新システム,コンテンツが導入されている。
本稿では昨年12月下旬に実施した,龍が如くスタジオのプロデューサー兼ディレクター 堀井亮佑氏の合同取材で語られた内容をお伝えする。
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思い出と戦う勇気。17年越しのフルリメイク
──「龍が如く3」のリリースは約17年前でした。今の技術と知見であらためて「3」に向き合うにあたり,どのようなコンセプトを立てたのでしょうか。
堀井亮佑氏(以下,堀井氏):
「龍が如く 極2」からはかなり時間が経っていますし,何よりオリジナル版の「龍が如く3」は今もプレイ可能な環境にあります。だからこそ,単に似たものを作っても意味がないという危機感がありました。
「今,僕たちが『3』を作るならこうする」という観点で,もはやリメイクという言葉ではもったいないくらい,フレッシュな新作を作る気持ちで開発しました。結果的に非常に満足のいく仕上がりになっています。
──先日試遊しましたが,「龍が如く 極3」はカットシーンなどの演技にも変化を感じました。とくに柏木が撃たれるシーンでは,その後の感覚が大きく変わったように思います。
堀井氏:
そこに関しては,桐生一馬役の黒田(崇矢)さんと相談して決めた部分が多いです。シリーズが20年以上続いてきたことで,キャラクターの位置付けも当時とは変わっていますから。
ただ,撮り直した場面はそこまで多くなくて,むしろ新規シーンの追加が圧倒的に多いです。原作は展開がスピーディで,リゾート問題などもパパッと終わってしまう印象がありました。
今回は,より説明が必要な部分を丁寧に描くことを意識しています。とくに,力也がなぜ桐生という男に憧れるようになったのか――その過程をしっかり描くため,多くのシーンを追加し,全体を再構築しています。
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──力也が男に惚れ,桐生がそれに応えていく部分ですね。キャスティングの変更についてはいかがでしょうか。力也役に笠松 将さん,浜崎役に香川照之さんを起用されています。
堀井氏:
オリジナル版を消したいわけではなく,また別の新しい価値を提示したかったんです。何十回と見たシーンでも役者が変われば,まったく違うワクワク感を持って迫ってきます。
もちろん批判が出る懸念はありましたが,それを恐れて安全な道を選んだら,1年をかけて作る意味がない。新しい価値を作る勇気が必要だったんです。
香川さんが演じる浜崎は,以前とはまた違った「嫌らしくて悪い」演技が最高ですし,力也も「こういう若者いるよね」というリアリティが増して,桐生との関係がより生っぽくなりました。
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2009年の空気感と「裁縫アウトラン」の閃き
──物語の舞台は2009年のままですが,現在とのズレを埋めるための工夫はありましたか。
堀井氏:
なにしろ2009年ですからね。あの時代を描くために,当時の雑誌などをいっぱい買いました(笑)。「2009年頃なら,あの芸能人が人気だったかな?」なんて思っていると,実は違っていたりしがちなので。
今の世代には馴染みのないガラケーや赤外線通信などをあえてフィーチャーし,待ち受け画面を和田アキ子さんにすると,気が大きくなって能力も上がるという具合に当時の文化をゲームにも取り入れています。
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──一方,ゲームデザインは非常に現代的です。
堀井氏:
そこは古くしてもしょうがないですよね。最新のドラゴンエンジンを使い,今のトレンドに合わせた爽快なアクションが楽しめるようにしています。オリジナル版はシリーズで最も難しいと言われていて,あらためてプレイしたら僕もクリアできないくらいでした(笑)。
そこは変に引っ張らず,最新の「龍が如く8外伝」と同じくらい洗練されたシステムになっています。とくに桐生はまだ若い頃なので,荒っぽいドロップキックなどのアクションを多めに復活させて,洗練ぶりと若々しさを両立させました。
一方で,「龍が如く3外伝 Dark Ties」(以下,「Dark Ties」)における峯のアクションは「クールでスタイリッシュ」を重視しました。単にカッコいいだけでなく,彼の内面の複雑さやキレたときの怖さを,少し中二病的な「闇覚醒」という要素で表現しています。
独自の特殊アクションとして,敵を踏み台にするモーションも導入しています。冷徹さ,クレバーさ,そして爆発力が共存する,峯ならではのスピード感ある立ち回りを楽しんでほしいですね。
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──新システム「アサガオライフ」はどのように生まれましたか。
堀井氏:
桐生の「父親としての顔」を深く描きたかったんです。その後の桐生を描いた「龍が如く7外伝」のエンディングで大泣きしているように,やはり桐生にとってこの時代は大きな出来事だし,そこでしか描けないドラマがあるなと。
僕にも子どもがいますが,子育ては劇的なイベントだけじゃなくて,毎日の料理や掃除といった積み重ねで絆が深まるものだと思うんです。 苦手な料理などにもあえてチャレンジして,頑張ることでパパとしてのランクが上がる。そこからようやく,子どもたちが「実は学校で悩んでいて……」と本音を漏らしてくれる。人間として正しい関係性の構築をゲームに落とし込みました。
──「裁縫」のインパクトがすごいです。
堀井氏:
あれは「天才的だったな」と自負しています(笑)。最初はあやとりとか,地味な案しか出てこなくて困っていたんですが,ミシンに対して布が流れていく様子を見ていたら,「これ,『アウトラン』と同じ構造じゃん!」と閃きまして。
※アウトラン……1986年にセガがリリースしたドライブゲーム
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若手スタッフに「桐生の真剣な顔を地平線の奥に配置するんだ!」と熱弁しました。手前に両手があるのに,奥に顔が見えているシュールな構図なので説得が大変でしたが,「顔がないと成立しない!」と駄々をこねて残しています(笑)。
最後には「龍を刺繍する」という超難関も待っていますよ。
コンプレックスの塊――峯を描く「Dark Ties」
──「Dark Ties」では峯 義孝の新たな一面が見られますが,桐生や春日とはまた違うタイプの主人公ですね。
堀井氏:
峯はコンプレックスの塊のような人間です。お金も能力もあるが,本人はそれが薄っぺらいものだと理解している。孤独でひねくれていて,素直になれない。だからこそ「自分のようなヤクザが人を助けていいのか」と葛藤したり,逆に説教くさくなってしまったりする。
「Dark Ties」には峯の独白が非常に多く,今までのシリーズにはなかった内向的な表現が新鮮に映るはずです。
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──神田とのやりとりが,これまでにない魅力を生んでいます。
堀井氏:
神田はヒロインと言っても過言ではないくらい,出番が多いです(笑)。どれだけ掘り下げてもクズのままですが,その奔放ぶりに峯が振り回され,内心で「何なんだこいつは……」とツッコミを入れる。
峯も峯で神田を利用し,極道の世界をのし上がっていきますが,その中で堂島大吾に対する失望や憧れ,感情の揺れが1つの軸になります。素直になれない切なさが,彼の最大の魅力ですね。
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──そんな峯に,一言声をかけるなら?
堀井氏:
「素直になれよ」……かな。彼がもっと楽に生きていれば,違う道があったかもしれない。最後の最後に,金とか関係なく自分を慕ってくれる存在に一瞬の希望を見た,あの切なさを感じてほしいです。
バグ取りは外科手術のようなもの
──フレッシュなゲームにするために,若いスタッフの感性を大事にしている印象があります。
堀井氏:
そうですね,歴代でもトップクラスに若いスタッフが揃っています。「龍が如く3」というしっかりした土台があるので,比較的経験が浅くても作っていける。だからこそ,昔のことに縛られず「僕たちが作りたい,今の『龍が如く』」を全力でぶつけました。その中で若手メンバーの成長も見られました。
ただ,開発のラストには山のようなバグを一つ一つ,外科手術のように最適解で直していく仕事が待っていましたが(笑)。
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──外科手術ですか。
堀井氏:
ええ。現場からは「ここが問題だから切りましょう」といったインスタントな提案も来ますが,それだと遊びの要素が丸々損なわれたりします。全体を壊さない最適な直し方を見つけるのが,僕の特技です。1年という短期間で2本のゲームを作る,過酷なスケジュールでしたが万全の仕上がりになりました。
──最後に読者へメッセージをお願いします。
堀井氏:
「龍が如く 極3」と「Dark Ties」,本来であれば個別に売るべきボリュームの2本を詰め込み,まさに20周年の感謝を込めた大盤振る舞いになっています。アーケードゲームやゲームギアのタイトルといった,寄り道や遊びの要素も満載です。リメイクの常識を超えるフレッシュな驚きをぜひ体験してください。
──本日はありがとうございました。
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- Nintendo Switch 2:龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties
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- PS5:龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties
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- Xbox Series X|S:龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties
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- ライター:高橋祐介
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