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アラブ首長国連邦初のPS5対応ゲーム「Shadow Dreams: The Last Thought of Hope」試遊レポート[TGS2024]
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印刷2024/09/29 19:52

プレイレポート

アラブ首長国連邦初のPS5対応ゲーム「Shadow Dreams: The Last Thought of Hope」試遊レポート[TGS2024]

 いまやゲームは,世界中で作られている。世界中からゲームが集まった東京ゲームショウ2024は,それを改めて実感させてくれるイベントだったとも言える。
 中でも「この地域から,このゲームが出てくるか!」と感嘆させられたタイトルが,アラブ首長国連邦のアブダビブースにあったKhosouf Studioのタイトル「Shadow Dreams: The Last Thought of Hope」PC / PS5 / Xbox One)だ。

画像集 No.001のサムネイル画像 / アラブ首長国連邦初のPS5対応ゲーム「Shadow Dreams: The Last Thought of Hope」試遊レポート[TGS2024]


力強いダーク・ファンタジーの世界を楽しめる作品


 「Shadow Dreams」を簡単に表現すれば,「The Elder Scrolls V: SkyrimとダークソウルとFPSの融合」といったところだろうか。一人称視点で描かれる「ダークソウル」という趣の強いゲームで,難度はまさにソウルライク,世界設定もダーク・ファンタジーとなっている。

 本作の見どころは多いが,まずは作り込まれたビジュアルが目を引く。本作において,主人公は破滅を迎えようとする世界の最後の希望で,邪悪を倒していく存在だ。

 そして「我が王の心にあるすべての思想は,石化するか腐敗してしまった」と語られており,かなりグロテスクな表現が描写される。

敵からして結構グロテスク
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世界の描写も緻密
画像集 No.003のサムネイル画像 / アラブ首長国連邦初のPS5対応ゲーム「Shadow Dreams: The Last Thought of Hope」試遊レポート[TGS2024]

 そのうえで個人的に強い印象を受けたのは,テキストと世界設定だ。
 上にも引用したように,本作のテキストはとても力強い。「汝は苦しい時代に生き延びるための本能の具現」「偽りの希望のために,恐怖の奈落の門を開けるわけにはいかん」といったように,短いテキストでありながら,西洋ファンタジーにも和風・アジア風ファンタジーにもない,独特のテイストがある。

 また本作では「王」についての言及がたびたびなされるが,テキストからも圧倒的に強き者としての「王」の存在感がひしひしと感じられる。それと同時に,そこまで強い存在が何らかの形で損なわれてしまった世界に対しての,大きな絶望感も感じ取れる。

 「絶望が覆う世界に対抗する最後の希望がプレイヤー」という設定は,これだけ聞けばありふれた設定だが,本作のテキストとビジュアルを前にすると,非常に新鮮に映る。

とにかくテキストがパワフル
画像集 No.004のサムネイル画像 / アラブ首長国連邦初のPS5対応ゲーム「Shadow Dreams: The Last Thought of Hope」試遊レポート[TGS2024]

死んだら「希望は失われた」と表示される
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 ゲームシステムや操作系も,しっかりと考えて作られている。たとえば,一人称視点のゲームはジャンプの距離感がつかみにくいが,本作の横方向へのジャンプは短距離ワープとなり,明らかにやりやすくなっている。
 また,主人公が使える特殊能力を使ったパズルも随所に用意されており,戦闘に始終するゲームとはなっていない。

黄緑のオーブが2つ見える
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黄緑の球を撃つ攻撃で,オーブをそれぞれ破壊していく
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閉ざされていた扉が開いた
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 もちろん,問題点や課題がまったくないわけではない。個人的には,なによりもまずレベルデザインに課題を感じた(どちらに進むべきかの判断がつきにくくなる瞬間がしばしば発生する)。
 また通路のコリジョンにも多少の問題があるようで,移動していて「ひっかかる」場所がいくつかあるのも気になった。

 とはいえこの規模のゲームを,このクオリティで作り上げられる開発チームは,世界的に見てもそう多くはない。ゲームを磨き上げる部分に投資は必要になるにしても,「ここまでの屋台骨を組み上げられる」段階で,世界と戦える状態にあると評価できる。

ソウルライクらしく,ボスはとても強い
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ゲーム制作にかける,大きな情熱


 本作を評価するうえでもうひとつ重要なのは,本作がPlayStation 5でも発売されるという点だ。
 これだけ聞けば「AAA級のゲームならマルチプラットフォーム展開は当然だし,最近ではインディーゲームでもマルチプラットフォーム対応は普通にやっているじゃないか」と思うかもしれない。だがそれは,あえて言えば,「恵まれた開発環境のある地域」の話である。

 実は本作は,アラブ首長国連邦における,初めてのPS5対応ゲームなのだ。開発チームは3年前からソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)とコンタクトし,DevKitを送ってもらえるよう粘り強い(メールにすると300本程度だったそうだ)交渉を行ったそう。
 執念と呼ぶほかない情熱だが,そもそも本作の制作期間は7年に達しているそうで,SIEとの長い交渉もその情熱の片鱗と言える。

Vishnu Raveendran氏(左),Ahmad Al-Natshen氏(右)。Ahmad氏はKhosouf StudioのCEO
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 ちなみにTGS出展にあたっての日本語ローカライズは,制作チームが1週間程度で成し遂げたという。これもまた凄まじい熱意というほかない。UI周りの翻訳には多少の問題を感じるものの,ストーリーテキストは上記のようなパワーを感じる仕上がりになっており,「よくぞここまで」と感じざるを得ない。

 「Shadow Dreams」はアラブ首長国連邦が持つゲーム開発力のポテンシャルを,目の当たりにさせられるタイトルだ。
 この作品が世界的な成功を収めるかどうかはまだ未知数だが,世界設定やストーリーが持つ力は間違いなく世界に通じる,ないし,ほとんどの作品よりもパワーがある。そして何より,制作者チームがゲームに傾ける情熱は,世界で戦っている一線級のクリエイターに勝るとも劣らない。

 「Shadow Dreams」がどのような形で完成を迎えるのか,またこれからKhosouf Studioがどんなゲームを作り,アラブ首長国連邦からどんな作品が生まれてくるのか。またひとつ,ゲーマーにとって楽しみが増えたと言えよう。

アブダビブースには本作以外にもゲームが出展されていた
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「Shadow Dreams: The Last Thought of Hope」公式サイト

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    Shadow Dreams: The Last Thought of Hope

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