プレイレポート
[プレイレポ]昔ながらの感覚で楽しめるSwitch版「ウィザードリィ外伝 五つの試練」インプレッション。独立した6シナリオ+αが楽しめる
本作は,ダンジョンRPGとして40年以上の歴史を持つ「Wizardry」シリーズのシステムを継承しつつ,日本独自のシナリオやシステムを取り入れた「ウィザードリィ外伝」の最新作として2006年に発売されたタイトルの移植版にあたる。
試遊会では,現在開発中の本作を冒頭から2時間程度プレイできた。ダンジョンRPGの性質上,用意された時間でゲームを先まで進めることは難しいため,本稿ではゲームシステム周りやキャラクター作成,シナリオ選択などを中心とした試遊レポートをお届けしていく。
Switch向けの最適化が施され,より遊びやすくなったという本作の実力をチェックしていこう。
「ウィザードリィ外伝 五つの試練」Steam対応版をレビュー。現時点で113本のシナリオをとことん遊べる,古き良きダンジョンRPGの決定打
Wizardryシリーズ最新作「ウィザードリィ外伝 五つの試練」Steam対応版のアーリーアクセスが,ついに始まった。筋金入りのファンが過去15年間に制作したユーザーシナリオを含む,合計113本ものシナリオを2980円(税込)で遊べてしまう。本作の魅力や各種システムなどを紹介しよう。
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- ライター:川崎政一郎
「ウィザードリィ外伝 五つの試練」公式サイト
6つの独立したシナリオ+αが楽しめる外伝シリーズ最新作
「ウィザードリィ外伝 五つの試練」は,共通するゲームシステムのもと,6本の独立したシナリオが楽しめるタイトルだ。
オリジナル版から存在する五つの試練――「旅人の財産」「満月王の子供達」「ガルヴァンの酢漬け男」「灼熱の車輪」「欠けた大地」に,Steam版の追加要素である「偽りの代償」を加えた6本がそれで,さらには過去作のシナリオにあたる「戦闘の監獄」と「慈悲の不在」も,特典や有料DLCシナリオとして発売日と同日に配信予定となっている。
今回プレイしたのは,チュートリアル的な要素も含まれた「偽りの代償」の序盤だ。特別なオープニングなどはなく,城を背景としたメニュー画面からいきなり始まるのがいかにもWizardryらしい。名称こそ違うものの,どの場所がどういうところなのか,一目で分かるつくりである。
ちなみに筆者はファミコン版でシリーズに触れたクチだが,そんな昔に触った記憶だけでも,とくに説明を受けずともデフォルトのパーティで冒険に出かけられた。
この「偽りの代償」のダンジョンは,最初に足を踏み入れる地下1階部分に「冒険者指南所」があり,ここを訪れることでWizardryに関する初歩的な知識を細かく知れるようになっている。ビギナーも経験者も,ゲームの感覚を掴むためにここを一通り歩いておくといいかもしれない。もちろん,ここもダンジョンの一部なので,モンスターと遭遇することもある。
それと,もう一つ便利なのが「泉」の存在だ。このシナリオ独自のもののようだが,ここではダンジョンの探索で減ったHPや呪文を回復できる。
Wizardryで回復というと,城下にある宿で寝る(あるいはダンジョン内で回復呪文を使い,無料の「馬小屋」で寝て呪文のみを回復する)のが基本だったが,地上に戻らず回復できるのは非常にありがたい。もちろんWizardryならではのシステムであるキャラクターのレベルアップ時は,宿に泊まる必要があるのだが。
ダンジョンは,オーソドックスな一人称視点の3Dグラフィックスでサクサク進められるが,移動時の描画はアニメーションにも対応していて,そのスピードも変えられる。さらに,オリジナルのWizardryを意識したワイヤーフレーム表現にも変更可能となっていた。
戦闘もまた,従来のシステムに準じている。モンスターは迷宮内を移動中に現れるものや,壁に囲まれた部屋の中にいるもの,特定の場所に出現するものなどがいて,遭遇したときは正体が掴めないこともある。前衛と後衛の概念があり,射程の長い武器を持っていない限り,後衛の3人は物理攻撃を行えないのも従来どおりだ。
オートバトルはないものの,方向ボタンの[←]を押すことでコマンド決定後のメッセージを早送り可能。ただしエフェクトや効果音もスキップされ,ダメージを受けていることが感覚的に分からなくなるので,とくにHPが低い初期の段階は注意が必要だ。
面白いのは呪文のシステムで,通常はコマンドで選ぶだけで使えるのだが,オプション設定次第で,呪文の名前をソフトキーボードから打ち込んで唱えるようにもできる。
最初期のWizardryシリーズに準じたこの設定は,呪文の綴りを正しく入力する必要があるので面倒に思えるが,頭文字を入力しただけで候補がサジェストされる機能も用意されているので,原作の雰囲気を味わいたいときは利用してみてもいいかもしれない。
本作は,このようなゲームプレイに関係するオプションが非常に充実している。表示言語やサウンドの音量,ゲーム中の文字のサイズ設定といった基本的なところから,前述のグラフィックスの選択や呪文選択の設定,ダンジョン内の明るさ,パーティ内でのアイテムの受け渡し方法,移動時のパーティの向きなど,かなり細かく設定できるのが嬉しい。
なかでも印象的なのは,画面構成の設定だ。画面いっぱいにダンジョンが表示される「TVモードA」(本稿のスクリーンショットでも使用している)と,ウィンドウベースでコマンドなどの文字が見やすい「TVモードB」のほか,Switchのテーブルモードや携帯モードに特化して,画面レイアウトや表示がガラッと変わる「携帯モード」が用意されている。
どれも見やすいようによく考えられているので,好みの設定で楽しんでほしい。
Wizardryといえばキャラクター作成も重要だが,ここにも本作ならではのポイントが用意されている。
キャラクターの作成は,種族ごとの基本パラメータにボーナスポイントを割り振って,職業ごとに設定された規定値を満たすとその職業が選べるようになるわけだが,オプションで「キャラクタの作成」を「職業優先」に設定しておくと,パラメータの数値に関係なく上級職を含めたすべての職業が選択可能になる。
ボーナスポイントが低くてもロードや忍者が作成できるが,これで作ったキャラクターは通常よりも年齢が4〜5歳上(20歳前後)になってしまう。また高いボーナスポイントが出にくくなるデメリットもあるそうだ。
シナリオは冒頭で触れた6種と有料DLCの2種に加え,PC版やSteam版でコミュニティが制作したシナリオをダウンロードしてプレイすることもできる。こうしたシナリオのダウンロードは無料で行えるうえ,Nintendo Switch Onlineへの加入も必要ないとのこと。
シナリオはすべて独立しており,ほかのシナリオで育てたキャラクターの引き継ぎも一応可能だが,引き継がれるのは名前や種族などの初期設定のみで,レベルや装備,お金などは初期化されてしまう。
残念ながらこのSwitch版でシナリオを作ることはできないが,シナリオ1本当たりのプレイに数時間から数十時間かかることを考えると,遊ぶだけでも相当なボリュームがあると考えていいだろう。
ゲーム全体としてレスポンスも非常によく,方向ボタン[↑]と[RZ]の同時押しでソフトリセットできたり,[Y]でキャンプ画面に入らず行動できる「探索メニュー」が開けたり,呪文によるマップ表示のログを見られたりと,かゆいところに手が届く仕様が多く用意されていることもあって,終始快適に遊ぶことができた。
ゲームのシステム上,キャンプ画面を抜けたときや戦闘終了後など,セーブが行われるところで若干のラグを感じることがあったが,これは仕方のないところのようだ。
とはいえゲーム本編の攻略が簡単すぎないのもWizardryらしく,筆者の場合,「偽りの代償」の序盤をあまり深く考えずに遊んだ結果,前衛3人が死んでしまい,命からがら逃げ帰って治療院(過去作における教会)で蘇生をしたら,戦士が“灰”になってしまう憂き目に遭ってしまった。
“ゲーム序盤はチュートリアル”という,昨今の常識を覆す難度はそのままなので,自分がいかに弱いかをしっかり認識しなおさないと,筆者のようにいきなり仲間を灰に,あるいはロストさせてしまいかねない。迷宮に挑むときは,それなりの覚悟をもって臨みたいところだ。
ちなみに当日立ち会っていただいた開発陣によると,発売済のSteam版も同等の難度ではあるものの,その遊びやすさもあって,Wizardryをあまり知らない若いプレイヤーにも好意的に受け入れられているとのことだった。
発売はもう少し先となるが,コミュニティのシナリオ投稿により無限に広がる「ウィザードリィ外伝」を楽しみに待っていてほしい。
「ウィザードリィ外伝 五つの試練」公式サイト
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ウィザードリィ外伝 五つの試練
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