プレイレポート
あの“壺男”を,誰もが一度は体験しておくべきだ「Getting Over It+」(今日から始めろApple Arcade #12)
Appleが月額900円(税込)/年額6000円(税込)でiPhone / iPad / Mac / Apple TV向けに提供している,ゲームのサブスクリプションサービス「Apple Arcade」。
広告やゲーム内課金なしでプレイできるタイトルが現在200種類以上配信されているこのサービスの中から,4Gamerがチョイスしたタイトルを紹介していくのが,この連載だ。
第12回では,Bennett Foddy氏が開発したゲーム「Getting Over It+」を紹介しよう。
「Getting Over It+」
オススメポイント
1.シンプルながら,突き抜けた個性を持ったゲーム性
2.“壺(大釜)に入ったおじさん”という,一度見たら忘れられないインパクトのある絵面
3.超が付くほどの高難度
「Getting Over It+」ダウンロードページ
オススメポイントを3つ書いてはみたものの,本作を「面白いからオススメだよ〜!」と100%ポジティブに言いまくるのは,なんだか少し違う気がしている。もちろん,誰にでも一度はプレイしてほしい作品であることに間違いはない。だが本作は,一般的なゲームがプレイヤーに提供するような爽快感を,かなり感じにくい設計になっている。
「正直言ってくせ者」の本作を,あえてオススメしようとしていることは,初めに説明しておく必要があるだろう。ちなみに,App Storeに掲載されている公式の文章には,こう書いてある。
特定の人に向けて、
誕生した、ゲーム。
特定の人を、傷つけるために。
2017年,本作がHumble Monthlyで初めて発表されると世界のゲーマー達から大きな反響があり,日本でもゲーム配信が盛り上がった。今も,「プレイはしたことがないけれど,主人公のキャラクターは知っている」という方も多いことだろう。
その“未プレイでも何となく知られている”理由は,主人公が上半身裸,下半身は大釜に入ったおじさんであるというところが大きいのではないだろうか。しかも,おじさんは柄の長い登山ハンマーだけを使って崖を登っていく。
こんな変な主人公,それまで誰も見たことがなかった。ネットでは「壺おじ」とか「壺男」などと呼ばれているが,ディオゲネスという名前以外,とくに詳細な設定は公開されていないようだ。
なぜ壺(大釜)? なぜハンマー? なぜ裸? なぜ崖のぼり? 例えクリアしても,すべての問いに答えは返ってこないのだが,主人公は大樽に住んでいたとされる古代ギリシアの哲学者ディオゲネスと同名。
樽と大釜という違いはあれど,液体を入れるための大きな入れ物に入っているという類似点も,考察の材料になりそう。……しかし,ゲームを進めていくと,筆者はすぐに「へっ,似ていたからってなんなんだ!」というやさぐれた気持ちになってしまうため,この点についてはまったく深掘りをしていない。
ハンマーを使った操作は,かなり独自性の高いものだ。大きくぐるりと回し,岩などに引っ掛けた勢いで飛び上がる,地面に叩きつけてジャンプするなど,実際にプレイをしてみれば,さまざまな使い方ができることに気付くだろう。
だがそれは,「可能である」ということであって,「誰にでもすぐ簡単に扱える」という意味では決してない。
しかし,次第にその単純かつ難解な操作に慣れていき,「こんなの絶対に乗り越えられない」と思っていた壁を乗り越えるたび,ほんの少しずつではあるが,やりがいを感じられるのだ。いまだにロクに攻略できていない筆者ですら,着実な自分の成長を感じる。これは理不尽なゲームではなく,ひたすらに硬派な,超難度のゲームなのだ。
攻略に詰まっているとき,せっかく登ったガケから落ちて大幅に後退してしまったときなどには,偉人の名言や心に響く言葉,美しい音楽が流れてくる。このときの絶妙な“間”は,いろんな意味でたまらない。
そんなときに筆者は,「いいからまず,そのハンマーで壺を割れッ!」と少なくとも100回は叫んできたが,こんなことでイライラしていては頂点を目指すことはできない。
「Getting Over It+」は高難度のアクションに挑む場というだけでなく,心の修行場でもあるのだ。
Apple Arcade:月額900円(税込) / 年額6000円(税込)
Apple One:月額1200円(税込)
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