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[プレイレポ]「FREEDOM WARS」がリマスター版として復活。100万年の懲役を課せられるディストピアな世界と,「荊」を駆使したアクションは今もなお新鮮だった
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印刷2024/09/18 09:00

プレイレポート

[プレイレポ]「FREEDOM WARS」がリマスター版として復活。100万年の懲役を課せられるディストピアな世界と,「荊」を駆使したアクションは今もなお新鮮だった

 バンダイナムコエンターテインメントは本日(2024年9月18日),「FREEDOM WARS Remastered」PS5/PS4/Switch/PC)を2025年1月9日(PC版は1月10日)に発売すると発表した。

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 2014年に発売されたオリジナル版から10年を経て現行機向けに復活する本作は,ディストピア的な世界設定やスピーディなバトル,アンドロイド「アクセサリ」への感情移入といった特徴をそのままに,現行機向けにより遊びやすいものとなっていた。本稿では,発表に先駆けて行われたメディア体験会での試遊レポートと開発者インタビューをお届けしよう。

本稿での操作系統の表記はすべてPS5版に準拠している
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「FREEDOM WARS Remastered」公式Xアカウント

「FREEDOM WARS Remastered」公式サイト


ディストピアな世界で自由を求めて抗う共闘ゲームが10年を経て復活


 オリジナルの「FREEDOM WARS」は2014年に発売されたPS Vita専用タイトルだ。当時はマルチプレイで強敵に立ち向かう“共闘ゲーム”ブームのただ中であったが,本作はディストピアをテーマとした特異な世界スピーディなアクションで注目を集めた。

 舞台は資源が枯渇した未来世界。特別な技能を持たない人間は,存在自体が罪とされる。彼らは「咎人」(とがびと)と呼ばれ,牢国都市「パノプティコン」で囚人のような扱いを受けていた。
 主人公は咎人の一人だが,記憶を失ったことで懲役100万年を科せられてしまった。刑期を減らすには,危険を冒して戦闘任務「ボランティア」に赴くしかない。
 しかし,パノプティコンは度を越した監視体制を敷いており,日常のちょっとした行動さえ法律違反となり,刑期が延長されていく。加えて「アクセサリ」というアンドロイドが四六時中,主人公を見張っているため,自由など夢のまた夢だ。本作では,主人公がこの過酷な世界をどのように生き抜いていくのかが描かれる。

資源が枯渇した世界では,人は生まれたことが罪とされ,「咎人」として懲役を科せられる
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咎人には「アクセサリ」が付き,常に監視する。パノプティコンに貢献していけば,アクセサリをカスタマイズすることも可能だ
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 オリジナルとの主な違いは,グラフィックスの高解像度化とシステム周りの改善の2点だ。

 グラフィックスは現行機向けに高解像度のものとなり,PS5及びPC版は4K解像度に対応。Switch版は30fps,それ以外は60fpsでのプレイが可能だ。また,より遊びやすいように難度が調整され,敵味方のAIにも改修が行われているほか,武器強化システムにランダム性がなくなり,属性効果にも調整が入った。加えて,オリジナル版で展開された各種DLCも収録されており,決定版ともいえる内容になっている。

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 今回の体験会用に用意されたデータを使い,PS5版とSwitch版をプレイできた。PS5版は美しく迫力のあるグラフィックス,Switch版はどこでもプレイできる手軽さと一部操作がタッチパネルに対応しているのがポイントといえるだろう。

 「FREEDOM WARS」は,ディストピアな世界とワイヤーのような特殊装備「荊」(イバラ)を起点とする多彩なアクションといった,オリジナリティが注目された作品であり,こうした点はもちろん「FREEDOM WARS Remastered」にも引き継がれている。

 主人公が暮らすパノプティコンは控えめにいっても地獄のような場所であり,一挙手一投足が監視されている。我々が日常で行う当たり前の行動すら罪となり,10年,20年と刑期が延びていく。
 例えば,独房で5歩以上歩くと罪だし,街で走ろうものならさらに重い罪が課せられる。アクセサリと離れても罪,異性に近づいても罪,果ては部屋のベッドに寝転んだだけでも罪……と,もう何をしてもアウトになる勢いだ。

 街にいるほかの咎人たちも,監視や懲罰で心が壊れかけていたり,模範的にスローガンを叫んでいたり,自らの境遇を嘆いていたりと惨憺たる有様だ。バックにはプロパガンダ放送も鳴り響いており,「今週の規定の爪の長さは3ミリから5ミリです」なんてことを大まじめにアナウンスしている。ディストピアものが好きな人にはたまらない世界だ。

パノプティコンでは常に監視の目が光る
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背後にいる看守に話しかけただけで懲役が延びるなんて理不尽だ
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 罪を犯した際には「あなたはこういう罪を犯しました」という書類に指紋で押印しなければならないのだが,PS Vita同様,Switch版はタッチパネルに対応しているため,自分の指を押し当てて押印が可能だ。
 画面に映し出された書類の押印欄に指を当てると指紋が浮かび上がるのは,あくまで演出に過ぎないが,機種の特性を生かした面白いギミックだ。

到底承服しかねる罪で刑期が20年も延び,同意まで求められる。通常はボタンで同意するが,Switch版では画面右下をタッチしてもいい
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 ボランティアでは小剣や槍といった近接武器と,マシンガンやミサイルランチャーなどの遠距離武器,そして荊を使いこなし,巨大な敵「アブダクター」やほかの都市の咎人と戦っていく。
 操作系は一新されており,[R1][R2]で弱/強攻撃を繰り出し,[L1]で「荊」を射出,[L3](Lスティック押し込み)でダッシュを行うなど,TPS寄りのプレイ感となっている。もちろんキー割り当ても変更できるので,ベテラン咎人ならオリジナル版に近づけるのもアリだ。

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 荊は移動から敵の妨害,さらには味方のサポートまでさまざまなアクションをこなせるので,プレイに深みを与えている。壁や床といった地形に荊を打ち込めば,これを巻き取ってワイヤーアクションのように移動可能だ。建物の高所に陣取る敵を荊で急襲,そこから別の建物の壁に張り付いて地上を狙撃する……といったスピーディかつ立体的な戦術ができて気持ちいい。

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 アブダクターの攻略にも荊は効果的だ。荊を絡めて引きずり倒す「ドラッグダウン」や,関節部分を溶かして破壊する「溶断」,アブダクターに打ち込んだ荊を巻き取って突進する「ダイブアタック」といった技を使いこなすことで,戦いを有利に進められる。

 味方がドラッグダウンを狙っているようなら自分も加勢し,アブダクターの注意が自分から逸れているようなら溶断を狙い,遠距離武器の弾薬が切れたらダイブアタックで接近戦を仕掛けるというように,状況に応じてアグレッシブにもサポート的にも動けるのが面白いところだ。

巨大なアブダクターに協力して挑むのが本作の面白さ
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本作は最大4人でのマルチプレイに対応しており,アブダクターの身体にある「鳥籠」という部位を破壊すると,中に囚われた者を助け出せる。公称ジャンル名が“奪還”マルチプレイアクションである所以だ
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 また,荊にはアブダクターの動きを止めるのが得意な「捕縛性」,味方を回復できる「治療性」,防御力を上げる「防壁性」の3種があり,どれを装備するかでも立ち回りが変わる。
 咎人一人のやれることが近距離武器,遠距離武器,荊のアクションと多岐にわたるため,今どの装備を使ってどう動くべきかと考えるべきことも多く,ひと味違った共闘アクションになっていると感じられた。

「治療性」の荊を使うと,仲間を回復できる。同じ荊を使って,アブダクターを引き倒したり,自分が移動したりすることもできる。荊ひとつで,敵の妨害からサポートまで多彩なアクションをこなせるのだ
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咎人どうしの戦いが起こるのも,他の共闘アクションと差別化されている点。地形に荊を打ち込んでの立体戦術がより効果的になる
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 アクセサリとの連携も本作らしい要素だ。戦闘中にアドバイスをくれたり,こちらの体力が尽きても蘇生してくれたりと頼もしいが,一定条件下でさらわれてしまい,「アクセサリ奪還ボランティア」をこなすまで帰ってこない。代わりとなる「代替アクセサリ」が派遣されはするのだが,自分のミスでさらわれてしまった元のアクセサリへの罪悪感で心が揺さぶられた。

主人公の体力が尽きても,アクセサリが助けに来てくれる。看守なのに献身的な仲間でもあり,感情移入は深まる
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 強烈な世界設定と,荊による多彩なアクションといったオリジナリティは,10年越しにプレイしても新鮮さがあった。発売を迎えた後に,現代でどのような評価を受けるのか今から楽しみに感じられた。

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シリーズ愛を胸に,リマスターで「FREEDOM WARS」の魅力を世界に問いかける


 会場では,開発元であるディンプスの「FREEDOM WARS」オリジナル版ディレクターであり,「FREEDOM WARS Remastered」開発プロデューサーの塚本高史氏と,ディレクターである関 哲之介氏への合同インタビューが行われた。タイトルにかける思いとリマスターの経緯など,気になることを聞けたので,最後まで目を通してほしい。

「FREEDOM WARS」オリジナル版ディレクター/「FREEDOM WARS Remastered」開発プロデューサーの塚本高史氏(左),「FREEDOM WARS Remastered」ディレクターである関 哲之介氏(右)
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――「FREEDOM WARS」をリマスターすることになった経緯について教えてください。

塚本高史氏(以下,塚本氏):
 今年で発売10周年を迎える節目で,改めてディンプスの社内で「『FREEDOM WARS』を再びやりたい」という話が出たことがきっかけです。続編も当時から作りたかったんですが,なかなかその機会に恵まれませんでした。今回,リマスター化をようやく実現できたという感じになりますね。

――オリジナルの「フリーダムウォーズ」は,ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(現ソニー・インタラクティブエンターテインメント)から発売されたソフトでした。リマスター版はなぜ,バンダイナムコエンターテインメントから発売されることになったのでしょうか。

塚本氏:
 弊社の方でパブリッシャを探したところ,バンダイナムコエンターテインメントさんが手を挙げていただいた形になります。現版元のソニー・インタラクティブエンタテインメントさんからは,開発の了承とライセンスを貸していただいています。また,今回オリジナル版で開発に関わっていたシフトさんにも色々と応援していただいています。

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――リマスター化にあたり,苦労した点はありますか。

関 哲之介氏(以下,関氏):
 なんといっても10年前のゲームなので,1つ1つのデータを紐解きながら改修していく作業になり,そこが大変でしたね。

――今回は多機種での展開となりますが,クロスプレイは可能なのでしょうか。

関氏:
 PS4とPS5ではクロスプレイが可能で,ランキングも共有されます。ほかの機種では,同じ機種どうしでのマッチングとなります。

――オリジナル版をプレイした人に向けて,アピールポイントはありますか。

関氏:
 オリジナル版からの大きな変更点は,武器の強化に関するランダム性がなくなったことですね。これは当時のプレイヤーから寄せられていた不満点でもありました。
 「FREEDOM WARS」を復活させるのであれば,絶対に変えた方がいいと思っていた点だったので,今回システムに変更を加えました。アクションRPGとして,武器やキャラクターの成長を楽しみやすくなっていると思います。

――そのほかに変更点はありますか。

関氏:
 人間型の敵に関しては,AIの挙動を変えてあります。当時から「人間型の敵が強い」というお声はいただいていたため,リマスターにあたって再度確認してみたところ,移動しながら高い精度のエイムで攻撃してくる仕様でした。
 私としては「通常エネミーの役割は倒されることにある」と思っているので,リマスターでは気持ち良く倒せるようにしてあります。また,倒すことで回復アイテムやモジュラーもドロップするようにするなど,ゲームデザインをトータルで見直しました。

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――オリジナルから操作系も変えられていますが,どのような意図があるのでしょうか。

関氏:
 オリジナル版は,ボタンの少ないPS Vitaのキー配置に最適化させたものでした。今回は現行機になってボタンが増えたため,一般的なTPSに寄せた方がいいだろうということで操作系の再構築を行っています。もちろん,カスタマイズしていただくことで,オリジナル版に近い操作にすることは可能です。

――オリジナルでは,日本の47都道府県やアジア圏の都市に所属して資源を奪い合う「都市国家対戦」というものがありましたが,リマスターではどうなっているのでしょう。

塚本氏:
 「FREEDOM WARS Remastered」はワールドワイドで展開しますが,都市国家対戦はどこの国からプレイされても日本の47都道府県に所属していただくことになります。

――10年が経って技術も進歩していますが,当時やれなかったことをリマスター版で再挑戦したという取り組みはありますか。また,ストーリーに変更点あるのでしょうか。

塚本氏:
 当時やれなかったことは,アクセサリのボイスを英語対応とすることですね。我々は「FREEDOM WARS」というゲームを海外にも広めたいと強く思っており,英語ボイスの追加はそれを狙ったものになります。
 ストーリーについては,「原作をなるべくいじらない」というコンセプトがあるため,オリジナルと同様です。もし,リマスター版に反響があり,シリーズを続けられるのであれば,その先を描いていきたいですね。

――新武器や新たな敵といった追加要素はありますか。

関氏:
 新武器や新たな敵はありません。ただ,リマスター版では,オリジナルのDLCがまとめて収録されています。また,当時の発売後に展開したプロパガンダアイドルたちの新曲もゲーム内で聴くことができます。

塚本氏:
 アクセサリのボイスについても,アップデートで追加されたものが最初から収録されていますので,そちらも楽しんでいただければと思います。

――アクセサリのボイスは合成音声を使用していますが,その理由について教えてください。

塚本氏:
 合成音声の強みは,「好きな言葉を喋らせることができる」というところにあります。今はあちこちでよく聞く合成音声ですが,2014年当時はゲーム内で採用することはチャレンジでした。

 自分でセリフを変えていくと,監視者であるはずのアクセサリに愛着が湧いてくるんです。最終的に「俺の嫁」といえるくらいに愛着が深まることで,新たな没入感やプレイフィールを生み出せるんじゃないかと思ったんですね。

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――主人公は懲役100万年を科せられているうえ,ちょっとしたことで刑期が増えていくといったディストピアな世界がユニークですが,発想の源はどういったものだったのでしょう。

塚本氏:
 「みんなどこかで監視/管理されているんじゃないのか?」というところが発想の源ですね。そこで,こうした状況の窮屈さを分かりやすく表現するため,自由を勝ち取る過程を描こうということになりました。非常に長い懲役があるけれど,いいことをして少しずつ返していくことを遊びのサイクルにしたんですね。

 歩いても懲役,寝ても懲役,異性と話しても懲役といった極端な状況を描くことでディストピア感を高め,ここから自由を勝ち取っていくことを気持ち良さにつなげていきました。

――10年越しにリリースする「FREEDOM WARS」は,現代でどのような反響があると思いますか。開発チームが本作に感じている可能性や勝機を教えてください。

塚本氏:
 ディストピア的な世界とゲームシステムの2つですね。オリジナルが発売された10年前は日本市場がメインでしたが,世界に向けてリマスター版を出すことで,新鮮に感じていただけるのではないかと思ったんです。

 今はSNSや監視カメラが10年前とは比較にならないほど普及していて,自分が誰かに見られていることを強く意識する世界になりました。我々の傍らには高機能のスマートフォンが置かれていて,「自分の喋っていることをずっと聞いているかもしれない」と疑ったことがある人もいるかもしれません。

 こうした部分が「FREEDOM WARS」におけるアクセサリと主人公の関係性,つまり意志疎通はできるけれど,折に触れて監視者であることを再確認するといったところともつながっています。

 10年の時を経ても皆さんの心に刺さるタイトルになっていると思いますので,未プレイの方や興味のある方は,ぜひ手に取っていただければ嬉しいですね。

――ありがとうございました。

※画面は開発中のものです

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