プレイレポート
[プレイレポ]往年の宇宙シムが日本語対応。「ダークスター ワン Nintendo Switch エディション」が今遊んでも楽しい理由を考えてみた
2006年に発売されたオリジナル版は,「Wing Commander: Privateer」(1993年)や「Freelancer」(2003年)などの流れを汲む宇宙船操縦シミュレーションゲームとして高い支持を集めた作品であり,Steamでの評価も「非常に好評」だ(※リンク)。
とはいえ,オリジナル版の発売から16年もの歳月を経て,今回のNintendo Switch移植には驚いた人も多いことだろう。
宇宙船を駆使した戦闘や宇宙の探索を携帯ゲーム機で遊べる作品は,実はそこまで多くはない。そのため,今回の移植は単に日本語に対応したというだけでなく,往年の名作が手軽にプレイできるようになった点でも,宇宙シムファンにとって嬉しいニュースと言える。
そんな「ダークスター ワン」の特徴を簡単に紹介しよう。
「ダークスター ワン Nintendo Switch エディション」公式サイト
堅実な航行・戦闘システムを備えた宇宙船シミュレータ
最近の宇宙シムには宇宙空間に加えて惑星の探検が可能な作品も多いが,「ダークスター ワン」は本質的に宇宙船シミュレータだ。プレイヤーは不慮の死で父を失った若きパイロットのケイロン・ジャービスとなり,父から託された宇宙船ダークスター ワン号を駆って,銀河系を旅することになる。
こうして訪れる宇宙各地の光景は実に多彩だ。ゲームの展開上,必然的に複数の星系を往復することになるが,旅そのものが楽しいのは本作の大きな魅力だろう。さらに宇宙船を操縦する際には,障害物となる小惑星帯を回避しなければならなかったり,宇宙船を貿易ステーションに入港させるために減速しながらの着艦操作が必要だったりと,単なる慣性航行に留まらない機動が求められる。
だからこそ,広大な宇宙を飽きずに旅することができるのだ。
もちろん,普通に移動すれば膨大な時間がかかる宇宙旅行を快適にするためのゲームシステムもしっかり考えられている。ZRボタンを押して呼び出せるダイヤルメニューの「ターゲット一覧」で現在の星系内の目標を選択すれば,その目標の方向を見失うことはない。
また,同じくダイヤルメニューで「タイムラプス」を選んでゲーム内時間を早送りすれば,何十ユニットも先にある遠方の目標にも迅速に到達できる。星系間の移動も「亜空間ジャンプ」で一瞬だ。このジャンプシーンの演出だが,当時のゲームとしてはなかなか凝っているので,ぜひ注目してほしい。
ダークスター ワン号を駆使して三次元空間を自在に動きながら,敵機とのダイナミックな交戦が楽しめる戦闘も本作の醍醐味だ。
攻撃時には標的の近くに表示された小さな四角形のマーカーを狙えば,いわゆる偏差射撃により確実にダメージを与えられる。このマーカーに一度照準が合うと,相手の進路が大幅に変わらない限りは自動的に追尾し続けるので,高機動が要求されるシューティングゲームがあまり得意でない筆者のようなプレイヤーも安心だ。
このように宇宙船シミュレータとしての本作は,2006年のタイトルであるがゆえにグラフィックス面での限界こそあるものの,宇宙船の移動や戦闘に関する操作システムは堅実であり,初心者から熟練プレイヤーまでさまざまな楽しみ方ができる。
骨太なメインストーリー,自由度の高いロールプレイと宇宙船設計が楽しめる本格派
「ダークスター ワン」には宇宙を舞台にしたシミュレーションゲームとして,プレイヤーの没入感を高めてくれる工夫も存在する。
まず物語の軸となるストーリーミッションでは,さまざまな勢力や種族が乱立する銀河系を舞台に,主人公ケイロンが父親の死や愛機ダークスター ワンに秘められた謎を解き明していく。いかにもスペースオペラという展開が待っているので,日本語字幕入り挿入ムービーと共に思う存分,ストーリーを楽しんでほしい。
その一方,メインストーリーを脇に置いて「任務」や「サイドクエスト」にひたすら打ち込むことも可能だ。こちらも単に依頼をこなすだけでなく,対立する陣営のどちらに付くかを選んだり,任務達成のためにあえて中立や味方の宇宙船を攻撃しなければならなかったりと,ひねりが効いている。
また,海賊討伐や積荷運搬などの任務は10分程度のプレイ時間で完了できるため,ちょっとした空き時間に遊ぶスタイルにも合っているのがありがたい。これもNintendo Switch版ならではの長所だろう。
任務を着実に果たせば,傭兵としての評判が上がっていく。いわば,これが正統派のプレイスタイルかもしれない。
だが本作では,星系間の交易で大儲けする商人だったり,はたまた海賊や密輸業者などのアウトローだったりと,さまざまなロールプレイが可能になっている。
こうした自由度の高さは,宇宙船ダークスター ワンの強化システムも同様だ。
貿易ステーションの「造船所」では,宇宙船に搭載するパーツを購入・交換できるほか,宇宙を旅する途上で「アーティファクト」を入手すれば,船体やウイング,エンジンを大幅にパワーアップ可能だ。何を装備するか,どの部位を強化するかの判断はプレイヤーに委ねられているので,自分好みの宇宙船へとカスタムしていこう。
なお,これらの要素は最近の宇宙シムとも共通するものだ。そのため,本作をプレイしていて戸惑う部分はほとんどないと言っていいい。地味なところではあるが,実は本作の長所ではないかと思う。
ここまで紹介してきたように,「ダークスター ワン」には宇宙船を操縦する楽しさのエッセンスが詰まっている。オリジナル版の発売は16年前のことなので,近年の大作宇宙シムと比較すれば「ライトなゲーム」という位置づけにはなるだろう。
だが,そのライトさは携帯ゲーム機でもあるNintendo Switchの特徴とピッタリ合っている。広大な宇宙やスペースオペラの雰囲気を気軽に,しかも心ゆくまで味わえるので,気になった人はプレイしてみてほしい。
「ダークスター ワン Nintendo Switch エディション」公式サイト
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