限界な女の子によるワンダーなお仕事リズムゲーム。ブラックだけどポップでキュートな「キメキャワ♥限界ビートちゃん!!」

BitSummit Driftのroom6ブース

　2024年7月19日から21日まで，京都のみやこめっせで開催されたインディーゲームイベント「BitSummit Drift」。同イベントにはインディーゲーム「ヨカゼ」でおなじみ，地元・京都のデベロッパ/パブリッシャであるroom6が多くの個性的なゲームを出展していた。

　そのなかから，「キメキャワ♥限界ビートちゃん!!」のインプレッションをお届けしよう。

激務に追われる現実を，きゃわわにキメて乗り越えろ！

　「キメキャワ♥限界ビートちゃん!!」は，ディレクターであるまっともぉん氏が率いるインディー開発チームTeam Kimekyawaが手掛ける“限界リズムゲーム”だ。


　「……限界？」というあたりはのちほど説明するとして，本作はもともと，Unityを用いて1週間でゲームを作る「Unity1週間ゲームジャム」向けに公開されたゲームである（リンク）。
　2023年12月のお題「おくる」のときに投稿され，独特の世界観で話題となり「絵作り」「サウンド」「雰囲気」の部門で1位を獲得（リンク）。その後もアップデートが続けられ，注目を集めていた。
　2024年5月にSteam（PC）版の配信をアナウンスし，そして「BitSummit Drift」でその試遊版が披露されたわけだ。

開発メンバーのクレジット

　主人公は，目にクマができるほどに限界な女の子・ビートちゃん。今日も工場に出勤し，ベルトコンベアに流れてくる果物を潰してジュースにする仕事をしている。灰色の工場をバックにミニマルな曲が流れ続けることで，ルーチンワークに追われる彼女の限界な感じが伝わってくる。


　と言っても灰色な毎日じゃない。果物に混じって流れてくる「プレゼントボックス」を潰すと，まれに「ワンダーモード」に突入する。
　ワンダーモードに入ると世界は一変。工場がミラーボールの輝くゲーセンやDJブースとなり，ビートちゃんの作業服はおしゃれ着に。流れてくる果物はぬいぐるみのようなモンスターに変わり，アップテンポになった曲に合わせてバンバン叩きつぶしていける。

　もうこのままワンダーな世界で生きていきたくなるが，しばらくするとワンダーモードは終了。地味な作業服でルーチンワークをこなす現実が帰ってくるのだ。


　ブラックな現実と楽しいワンダーモードのコントラスト，死んだ目で仕事をしていたビートちゃんがキマってきゃわわになる面白さ，遊びやすいシステムといった部分はUnity1週間ゲームジャム版と同様で，発売が楽しみに感じられた。
　1ボタンでのプレイが可能かつ，果物（ぬいぐるみ）を逃してもコンボが途切れるだけでゲームは続けられるため，リズムゲーム初心者でも遊びやすいという印象だ。


　ブースで本作のディレクターであるまっともぉん氏に話を聞くと，Steam版ではビートちゃんのストーリーや人間性が深彫りされていくそうだ。
　さらに新しい衣装や楽曲，そして職場も追加され，職場と職場をつなぐ部分の描写もあるとのこと。とくに衣装と楽曲は，ユーザーの反響が大きいことから力を入れているそうだ。
　なお，Bitsummitの試遊版では給料でお買い物をする要素がなかったが，Steam版ではちゃんと取り入れられるとのこと。

試遊台にはビートちゃんのアクリルスタンドも展示されていた。かわいい

　また，まっともぉん氏は別のインディー開発チームPastel Parade Projectと，シンプルな操作で遊べるリズムゲーム「Pastel☆Parade」の制作も進めている。こちらもUnity1週間ゲームジャムの投稿作「Let’s Splash!!」がベースになっており，2024年を目標にSteamで発売される予定だ。
　「Let’s Splash!!」では炭酸を振るアクションを楽しめたが，「Pastel☆Parade」では16種のリズムゲームが収録される予定だそうだ。


　ゲームジャムで好評を博した作品がSteamへ。筆者のように投稿時から知る人にとっては嬉しい話で，こうしたストーリーと愛着がファン層の構築につながっていく。
　そういった意味で「キメキャワ♥限界ビートちゃん!!」と「Pastel☆Parade」は，インディペンデントな成り立ちと，インディーゲームらしい面白さや自由さを体現しているゲームだと言えるだろう。どちらも2024年内のリリースを目指しているということで，その日を楽しみに待ちたい。

「キメキャワ♥限界ビートちゃん!!」Unity版ページ

「Let’s Splash!!」Unity版ページ

BitSummit Drift公式サイト

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