［GDC 2025］コンビニの中から見えてくる世界。日本で開発が進められている「inKonbini: One Store, Many Stories」のプレイアブルデモが海外出展

　GDC 2025の前座イベントとして開催されたDay of the Devs 2025: San Francisco Editionにおいて，永井興業が開発を行うコンビニ運営アドベンチャー「inKonbini: One Store, Many Stories」（PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / Mac）のプレイアブルデモが公開されていた。



　すでに日本のゲームイベントでは昨年あたりから公開されていた「inKonbini: One Store, Many Stories」（以下，「inKonbini」）は，叔母が経営する町外れのコンビニで働く真琴（まこと）を主人公に，商品の補充を行いながら，店を訪れる顧客たちと会話するうちにストーリーが展開していくという，ほのぼの系のナラティブアドベンチャーだ。


　開発チームを代表するディマ・シェン（Dima Shen）氏によると，「シェンムー」のようなインタラクティブ要素の高い作品にインスパイアされつつ，海外でも人気のドラマ「深夜食堂」のような，どこか心温まるストーリーテリングを目指しているとのことだった。

「inKonbini」を開発する永井興業のディマ・シェン氏。同社は東京をベースにしつつ，リモートで総勢7人ほどのメンバーが本作の開発に従事しているという

　今回の「inKonbini」のデモは，まだゲームの導入部分と思われる序盤のシーンから開始し，叔母の用事により初めて一人で店を任されたところから始まる。時代は1993年を設定しており，「まだ携帯電話が普及しておらず，人々が会話によって情報を得ていた頃」への郷愁を含んだ時代とシェン氏は説明する。

　大きな川を跨ぐ鉄橋の袂というへんぴな場所にコンビニ店が構えられているが，この町の住人にとっては重要な買い物の拠点になっているらしい。商品やポスターには片仮名を反転したかのような架空文字が書かれており，日本人が一目すればインスタントラーメンやパン，菓子類などであることが分かる親しみやすいデザインだ。
　シェン氏によると，こうした架空文字の利用は，明らかに日本を舞台にしているものの，日本以外にもアピールすることを狙っているのだという。


　陳列棚に欠けている商品を並べ，店のドアに掲げられているサインを「オープン」にすると，まずやってきたのが“親分”という初老の男性キャラクターだ。いつもとは違う場所に並べられている商品を指摘したり，何か独り言を呟いていたりしている様子をカウンター越しに目で追っていくと，ペットフードのセクションで立ち止まっている。
　どうやら老眼が酷くて，飼い猫のための新しいペットフードの表記が読めず，真琴が一つ一つ手にとって，必要な具材が入っているかどうかを確認してあげる，という手順のようだ。


　そうしてカウンターにやってきた親分の買い物を，バーコードリーダーでスキャンして支払いを済ませてあげると，親分は叔母さんについての世間話をし始める。
　その内容はプレイしてからのお楽しみにしたほうが良いので伏せておくが，真琴は「叔母さんはこうして顧客一人一人に合わせた親切な対応をすることで，この店が町の人たちにとって欠かせない存在になっているんだ」ということに気付くのだ。

　陳列棚に商品を並べたり，バーコードをスキャンしたりするだけならゲームプレイ面では飽きてしまいそうな気にもなるが，「inKonbini」では様々なミニゲームを用意することで，そうした懸念を払しょくしているようだ。
　親分の例からもわかるように，店を訪ねてくる顧客にそれぞれのストーリーがあり，彼らの悩みや喜びをカウンター越しに親身に聞いてあげたり，ちょっとしたアドバイスをしてあげたりすることで，彼らが喜んだり，心配事から解放されたり，人生の決断を行ったりすることをサポートしていくことになるのだろう。


　「inKonbini: One Store, Many Stories」は，各プラットフォーム向けに2025年内の発売が予定されており，海外向けにも日本語の音声対応版がリリースされる予定になっている。
　今後も様々なイベントで露出は増えていくはずで，その動向に注目しつつ，気になる人はSteamストアページのウィッシュリストに追加していくと良いだろう。

「inKonbini: One Store, Many Stories」公式サイト

Steamストアページ

4Gamer「GDC 2025」記事一覧