インタビュー
[インタビュー]「ライドカメンズ」にはどんでん返しが待っている!? 今後の展開のヒントをもらうべく高橋悠也氏,内藤祐介氏を調査
4Gamerでは,本作の世界観構築・メインシナリオを務める高橋悠也氏と,サブシナリオライターの内藤祐介氏にインタビューする機会を得た。これまでのストーリーを振り返っての感想や,今後の「ライドカメンズ」の展開について,少しばかりのヒントをもらったのでお届けしよう。
内藤さんは高橋さんの強火ファン?
師弟関係のようなお二人
4Gamer:
「ライドカメンズ」ハーフアニバーサリー,おめでとうございます。これまでのストーリーや足跡を振り返っての感想をお聞かせください。
高橋悠也氏(以下,高橋氏):
皆さんにとっては半年かもしれませんが,僕ら制作側の人間からすると数年,いや数十年……数百年,というのは冗談ですけど。それくらい満を持してのリリースだったので,半年が経ったのは感慨深いです。
「ライドカメンズ」は,「仮面ライダー」シリーズファンはもちろん,そうではない人たちにも好きになってもらえるように作りました。かっこいいキャラクターたちが仮面ライダーとして登場するわけですが,企画当初は「このキャラクターたちを描き分けることができるだろうか」という不安もありました。
でも,ストーリーを書いていって,いざ声優さんが声を当てたら,ちゃんと唯一無二の個性があるライダーたちができあがったので,満足しています。
内藤祐介氏(以下,内藤氏):
僕は,高橋さんからお誘いいただいて,メインストーリー第1部の完成後から合流したのですが,そんな僕でもたくさんのシナリオを担当させてもらいました。もう本当に,半年とはいえテキストの情報量としては滝のようだなと。
4Gamer:
「ライドカメンズ」公式Xで,新規シナリオが出たと思ったら,次回予告の「Coming soon」の告知がすぐに出る,というイメージはあります。
高橋氏:
えぇ,おかげで作る方は大変ですよ(笑)。
4Gamer:
先日,公式Xアカウントで“ライドカメンズをリコメンドCP”が行われていましたが,そこでのファンの反応を見てどう感じましたか。
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内藤氏:
メインストーリーが面白いのは当たり前じゃないですか(圧)。あ,すみません。僕,高橋さんの強火のファンなので(笑)。
でも意外だなと思ったのは,メインストーリーやイベントストーリー以外にも,キャラエピ(キャラクターエピソード)やカードエピソードなどについての投稿も多かったことですね。キャラクターの好きな食べ物の話とか。
そういう細かいところもきちんと見ていただけているんだな,ちゃんとキャラクターを愛してくれているんだな,と実感できてうれしかったです。
4Gamer:
本作のイベントストーリーは,メインライターである高橋さん監修のもと,サブシナリオライターの内藤さんが多くを担当されているとお聞きしました。普段はどのようなやり取りをしてシナリオの制作を行っているのでしょうか。
高橋氏:
内藤くんが合流した初期のころは,キャラクターの細かい設定などを共有して,短いプロットを渡したりしていました。分からないことがあれば都度,個人的にリモート会議を開いて相談してもらったり。今でも,とくに過去に関わるイベントについては,設定をもとに簡単なプロットを作成しています。
内藤氏:
そうですね。キャラクターの根幹に関わる部分や,このシリーズをとおして描いていきたい芯になるものは,高橋さんと密に連絡を取って相談しています。
高橋氏:
メインストーリーで初出ししようと思っていた情報を,イベントで先に出すわけにはいかないじゃないですか。そういうタイミングなども相談して被らないようにしています。
4Gamer:
内藤さん的には,もうキャラクター像などがご自身の中で固まってきた感じでしょうか。
内藤氏:
そうですね。イベントストーリーは結構担当させてもらったので,かなり詳しくなったかと。
イベントはイベントと,メインストーリーとは切り離したほうが作る側も,プレイしている皆さんも楽だとは思うんですけど,せっかくなら高橋さんのメインストーリーにつなげたいなという思いがあって,イベントのシナリオはメインとシームレスにつながるような作りにしています。
ここは高橋さんと綿密に連携してやっている部分で,今後,第2部以降のイベントもこういう仕掛けがあるので,楽しみに待っていただけたらと思います。
高橋氏:
イベントもね,せっかく読んでもらうなら何か1つでも謎が解明するとか,キャラクターの抱えていた秘密が分かるとか,あったほうがいいじゃないですか。そういう気持ちで作っています。
●クリスマスイベントでは,ルーイと颯の関係について言及が!?
4Gamer:
今までのメインストーリー(第1部/第2部)やイベントを振り返って,印象に残っているイベント,シーンがあれば教えてください。
高橋氏:
僕はメインストーリー第2部の,宗雲と戴天が2人きりで食事をするあのシーンですね。
※メインストーリー第2部2章第9話 刀光剣影の宴
高橋氏:
初期の段階では,キャラクターたちの設定を作って,何とかしゃべってもらおうとこちらが動かしている状態だったんですよ。だんだんとストーリーが進んで,キャラクターの情報量が増えてきて,キャラクターの輪郭というか,形ができあがって「もうこのキャラクターはこうだよね」という認識が,僕やほかのライターさん,そしてファンの皆さんの中でも決まってくる瞬間というのがあると思います。
僕にその瞬間が訪れたのが,あの会食のシーンですね。2人がしゃべっているのを,僕は横で書記としてメモした,みたいな。「キャラクターが勝手に動いてくれる」って,かっこつけた言い方があるじゃないですか。そのかっこいいやつですね,まさしく。
内藤氏:
たくさんあって迷いますが……僕はハロウィンイベントの「Back to Haunt you」かなぁ。皆さんに支えられて,すごくいいものができたなという思いがあります。
僕自身,事件ものが好きで,ウィズダムシンクスはクラステーマが“真実”ということもあり事件ものになりがちなんですが,このイベントでフィーチャーされるのが皇紀と浄というのもあって,親和性が高くばちっと決まったという印象です。
また,先ほども触れたように,メインストーリーとイベントはある程度連動させたいんですよ。それもあって,「Back to Haunt you」はメインストーリー第2部を踏まえたウィズダムシンクスの関係を描く物語になっています。
4Gamer:
ハロウィンイベントは,皇紀の過去が絡んでくるお話でしたね。
内藤氏:
今後もキャラクターの過去を描いていくイベントが続々登場するんですが,実は12月18日から開催予定のイベント「約束のHoly Night」では,ルーイと颯について言及があります!
4Gamer:
ファンの皆さんの間でも,「この2人の過去に何かあったの?」と言われている2人ですね。
内藤氏:
はい。ぜひ楽しみにしていただければ。果たして,「ライドカメンズ」のクリスマスは一体どうなることやら……。
●キャラクターの内面に踏み込むのは,相応の覚悟が必要
4Gamer:
イベント内には,メインストーリー第2部へ向けた伏線などもありましたよね。
高橋氏:
そうですね。第2部ではよりキャラクターの内面に踏み込んでいく描写が多いです。「ライドカメンズ」はご存じのとおり“仮面”をテーマにしていて,これは「仮面ライダー」シリーズでもあまり触れられてこなかったものでした。
人間は誰しも,仮面を持って生きていると思うんですよ。家族に見せる顔,友人に見せる顔,会社や仕事で見せる顔,それぞれちょっとずつ違ったりするでしょう?
ライダーたちの表面を仮面とした場合,ぱりっとめくったらどんな素顔があるのか,というのをちょっとずつ,ちょっとずつ見せて……一緒に苦しんでいきましょうね,という。
4Gamer:
苦しむ……。
高橋氏:
仮面で見えていなかった部分に触れるというのは,多少なりとも痛みや苦しみをともなうものだと思っています。だから僕や内藤くんが担当するストーリーは,なるべくそう感じるものになるようにしていますね。
打合せの流れで以前,各キャラクターについて「それぞれどんな結末を迎える想定か考えはありますか?」という話題になり,それに対して「はい,このキャラクターはいつか●●●という最期を迎えると考えていて」とか,めちゃくちゃしゃべってしまったことががありました。
突然ですけど,人間が終わるとしたら,いつだと思います?
4Gamer:
えっ。
高橋氏:
難しいですよね。僕の場合は,“死”が1つの終わりかなと思っているんですよ。ドラマと違い,アプリゲームのキャラクターにはある意味で終わりがなくて,ずっと続いていくものだとは思うんですが,キャラクターたちへの理解を深めるために,全員じゃないですけど,こういう終わり方をするだろうなという構想は自分の中に持ったうえで執筆しています。きっと表に出ることはないでしょうけど(笑)。
●“野望”を掲げるギャンビッツインの2人
4Gamer:
第2部から登場するギャンビッツインの2人,久城 駆とフラリオについて教えてください。クラスのテーマとしては,“野望”が掲げられていましたよね。
高橋氏:
虹顔市はいくつかの地区に分かれていて,それぞれクラスやカオスイズムの大幹部と関わりのあるものだったんですが,下町地区だけ唯一担当のライダーのいない地区だったんですよ。
成り上がっていく夢を背負う仮面ライダーがいいね,じゃあテーマは野望だね,という風に決まって,ギャンビッツインの2人ができあがっていきました。ギャンビッツインの名前の中にも“ギャンビット”というチェスの戦略だったり,“ギャンブル”という要素だったりがあるように,戦略的に人生を賭けて成り上がっていく,というのが駆とフラリオです。
ギャンビッツインの2人は,既存のキャラクターたちが世界観をがっしり作ったあとに出てきた形ですよね。今までは,各クラスが活動している地区,掲げる信念から逸脱しないように物語を作るよう意識していました。ギャンビッツインもその要素はもちろん大切にすべきなんですが,狂言回しのような,既存の概念をぶち壊していく役割も担ってほしいなと思っています。
4Gamer:
ギャンビッツインの2人を見たときに抱いた,内藤さんの印象はどうでしたか。
内藤氏:
覚えているのは,最初どうやって書くか難しかったということですね。とくにフラリオ。
第2部を読んだ方なら分かると思うんですが,フラリオが敵側の“カオスライダー”から,味方側の“仮面ライダー”に立ち位置が変わる瞬間がありました。そういう意味で高橋さんが描いた“これからのフラリオ”の姿が,第5章ラストとクラスエピソードの中のみと,ほんのちょっとしか描写されていなかったんですよ。
その状態で恒常星4の調査エピソードや「ガジェモン」のイベントストーリーを書かなきゃいけなかったので,結構手探りでした。高橋さんやスタッフの皆さんと相談しながら作っていって,結果,愉快なヤツになりました(笑)。
●今後やってみたいのは,まさかのクラス浮気イベント?
4Gamer:
イベント「エクスパンション!ガジェモンバトル!」のお話が出ましたが,このようなクラス対抗イベントについて,なぜ“対抗”というテーマにしたのか教えてください。
高橋氏:
仮面ライダーって,子どもからしてみたら誰かを守るヒーロー,正義の味方というイメージがあると思います。これは,特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズが築き上げていったブランドです。それに加えて,僕個人では,仮面ライダーは個と個の戦いだと思っている部分があります。
仮面ライダーたちが横一列に肩を組んでカオスイズムに立ち向かうというのは,違うんじゃないかと思ったんですよね。ライダー同士も思想で対立するというか,お互いに譲れないものをかけてしのぎを削るような話があってもいいな,という考えで生まれたイベントです。
4Gamer:
クラス対抗イベントのように,1つのテーマで全部のクラスを1周したいものはありますか。
内藤氏:
またやりたいと思うのは,最初のクラスイベントみたいなやつですね。あれは全5本のイベントをとおして完結する連続ドラマのような仕様だったのですが,イベント単発で区切るのではなく,ああいう1本軸のとおったストーリーはまた書いてみたいです。
高橋氏:
クラスイベント,クラス対抗イベントがあるならば,僕はクラス替えイベントもやってみたいなと思っているんですよ。クラスのメンバーが掲げる信念に沿って活動するというのは描いてきたので,そんなキャラクターたちが別の信念で動く別のクラスで活動するとしたら……もう浮気ですよね。
内藤氏:
浮気(笑)。
高橋氏:
うん。極論,カオスワールド内のIFの話でもいいので,「あるキャラクター2人が同じキーワードのもと,ある種の契約を結んでしまったら……」っていうの,やりたいですね。
あのキャラクターはジャスティスライドにいるけど,もしマッドガイに行ったらちょっとオラオラするのかも,とか。そのクラスでは見られなかった新たな一面が見られるかもしれないじゃないですか。楽しそうですよね。
●今後の「ライドカメンズ」には“どんでん返し”が待っている
4Gamer:
最後に,来るべき1周年に向かっての抱負と,ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
高橋氏:
第2部までご覧になった方は,まさか仮面ライダーたちにこんな運命が待ち受けていたなんてと,心が揺さぶられた方もいるんじゃないかなと思います。でも,まだまだこんなもんじゃない展開が待ち受けていますので,楽しみにしていただければと。
想像してみてほしいんですけど,例えば家族や恋人,親しい友人について,ほぼすべてを分かったつもりになっていても,たった1%の秘密が見えてしまったときに,その人の印象がひっくり返ることってあると思うんですよね。
誰でも知っている有名人と知り合いだったとか,実は裏社会の人間だったとか,そういうの。これはあくまで例えですけど,そういう驚きが今後あると思ってください。
内藤氏:
第2部で,今まで少しずつ片鱗を描いてきた高塔関連の話がひとまず落ち着いて,高橋さんがおっしゃったような驚きの展開も今後待ち受けています。過去だけじゃなく,今後のライダーたちの行く末にも期待していただければと思います。
この仕事をしていると「内藤さんの推しは誰ですか?」と聞かれることもあるんですが,答えられないくらい全員かっこよくて,かわいくて,魅力的だなと思うんですよね。皆さんにも,この魅力的なキャラクターたちを愛していただけるとうれしいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
――2024年12月4日収録
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