プレイレポート
[プレイレポ]無秩序な世界観がファンを魅了する「Library Of Ruina」は初見でも楽しめるのか。Switch/PS4版発売前に序盤を遊んでみた
本作には,世界観を共有する前作「Lobotomy Corporation」があり,どちらの作品も無秩序で独特な世界観がファンを魅了し,今日まで高い評価を得てきた。しかし,後継作ということは,「Lobotomy Corporation」をプレイしていないと本作を楽しめないのでは? と考える人もいることだろう。
そこで今回はあえて事前情報を一切入れない“ミリしら状態(※)”で本作の序盤を遊んでみて,問題なく楽しめるのか確認してみた。序盤と記述したが,20時間ほどは遊んだうえでまとめている。想定プレイ時間は150時間以上らしいので,20時間程度は序盤という認識だ。
なお,今回はSwitchでプレイしており,コントローラの表記もSwitchに準拠している。
※ミリしら状態:内容を1ミリも知らない状態のこと
4Gamerでは,Steam版のプレイレポートを2021年に掲載している。本記事では,詳細なシステム解説などはまとめていないので,詳しく知りたい人はこちらの記事にも目を通してほしい。
「Library Of Ruina」プレイレポート。「Lobotomy Corporation」から続く物語と練り込まれた世界観が魅力のカードバトルゲーム
韓国のProjectMoonが開発を手がける「Library Of Ruina」のプレイレポートをお届けしよう。多くのファンを獲得した「Lobotomy Corporation」の後継作品である本作は,その世界観が大きな魅力の1つとなっているデッキ型図書館カードバトルゲームだ。
「Library of Ruina」公式サイト
司書が物理で接待する図書館バトルシミュレーション
まずは序盤のあらすじを紹介しよう。本作の主人公は,街で活動する底辺フィクサー(何でも屋)のローラン。謎の図書館で目を覚ましたローランは,図書館の館長であるアンジェラに出会うや否や,尋問を受け,オマケに四肢がバラバラになる大怪我を負ってしまう。
痛みで気絶したローランだったが,再び目を覚ますと怪我は不思議と治っており,先ほどまくし立てるようにローランを尋問したアンジェラとも会話が成立するようになっていた。
アンジェラは,この図書館で「たった1つの完璧な本」を手に入れるのが目的であり,ローランにはその手助けをしてもらいたいという。なお,図書館はアンジェラの許可なしでは出られないらしく,半ば強制的ともいえる流れで協力関係を結ぶことになる。
「たった1つの完璧な本」を作るためには,ゲストを図書館に招待し,「接待」して本を集めていく必要があるのだが,接待というのは簡単にいえば「戦闘」のことであり,ゲストを戦闘で殺すことで本が集まっていく。
図書館に招くゲストには招待状を送りつけるのだが,ほとんどの場合でゲストには,なんらかの理由で図書館に行かざるを得ない理由がある。それはお金や手柄欲しさだったり,仲間の仇討ちだったりといろいろだが,「弱みに付け込んでいる」と捉えてもいいだろう。
さらにこの世界には,“怪異対策”を生業とする業者もおり,謎の図書館に行ったきり帰ってこないという噂が流れることで,図書館にはより人が集まることになる。ちなみにローランは一連のやり方に不満げな様子を見せるが,アンジェラは招待状を受け取ったゲストが自分の意志で図書館に来ていると主張している。
ゲストの接待と幻想体バトルをクリアすることでストーリーが展開されていく
ゲームの流れは,「招待状を送る」→「対象のゲストのストーリーが展開される」→「ゲストを接待する」→「後日談」→「招待状を送る」……といったもので,戦闘の合間にストーリーが展開されるオーソドックスなタイプだ。
また,ある程度ストーリーを進めていくと,ボス的な存在の「アブノーマリティ(幻想体)」と戦うことになるのだが,このアブノーマリティを撃破することで新しい司書が仲間になったり,新機能が開放されていったりする。ストーリーを進行するうえでも必ず倒さなければならないので,準備を整えて撃破を目指そう。
まとめてしまうとシンプルだが,このあたりのゲーム進行の流れは,少し分かりにくく詰まってしまう人もいるように感じられた。とくにアブノーマリティと戦う幻想体バトルは,どこから挑むのか分かりにくく筆者も何度か見逃してしまっていた。もちろん理解してしまえばなんてことはないし,ストーリー進行上で何をすればいいのか分からなくなることもないので安心してほしい。
一癖も二癖もあるUI。初見プレイヤーはテレビやモニタでのプレイを推奨
先ほど幻想体バトルに挑む場所が分かりにくいと書いたが,UIに関してはマウス操作のSteam版からコントローラ操作のSwitch/PS4に移植したこともあり,やや癖が強いように感じられた。
とくに接待に向けて準備をするバトルページは情報量も多く,初見はなにをどうすればいいのかサッパリ分からないかもしれない。しかしこちらも要素を理解してしまえば難しいことはない。本作のUI全般に言えることだが,ゴチャゴチャしてはいるものの,理解すべき要素は多くないので,1つずつ基本操作を学んでいけば大丈夫だ。
また,本作はSteam版を前提に作られているのか,テキストや注意書きがかなり小さく,Switchの携帯モードで遊ぶにはあまり適していなかった。筆者も最初は横に転がりながらまったり遊ぼうと思ったのだが,すぐに姿勢を正し,TVモードで遊ぶことにしたくらいだ。
ゲームのシステムやルールを習熟した人なら携帯モードでも問題なく遊べるかもしれないが,本作を初めて遊ぶという人はテレビやモニタでプレイする前提で構えてもらったほうがいいだろう。
ルール理解と事前準備がキモとなる接待
接待は本作のバトルパートで,戦闘はターン制のカードゲームで行われる。ターンの最初にダイスを振って敵味方の行動順を決め,キャラクターごとに適切なカードと対象を選んでいく。準備が終われば戦闘を解決していくのだが,戦闘自体は自動で行われるので,プレイヤーは見守ることしかできない。
行動順や敵味方のアクションなどは,すべて準備段階で確認できるので,プレイヤーがするのは「戦闘の答え合わせ」と言ってもいいかもしれない。想定通りに戦闘が解決されれば問題ないが,慣れないうちは思い通りに動いてくれないこともある。このズレを少しずつ修正していくのも本作の醍醐味であり,プレイヤーの成長を感じさせてくれる要素の1つとなる。
遊べば遊ぶほど味が出てくる接待だが,ルールを理解し,戦闘に慣れるまで少々時間が掛かるのは否めない。筆者も「よく分からないな……」と最初は適当に遊んでいたのだが(序盤は適当でも問題なくクリアできる),遊んでいくうちに理解できていき,だんだんと接待の奥深さや楽しさを感じられるようになっていった。
接待のルールについてすべてまとめるとキリがないので,ここでは簡単に押さえておきたいポイントを紹介しよう。なお,ゲーム内マニュアルも用意されているので,分からないことがあればそちらで確認すれば問題ない。
(1)キャラクターの行動順は最初のダイスロールで決定する
行動順は後述する「割り込み」でも活用できる重要な要素となる。数字が高い順に行動し,敵と味方で同一の数字の場合,敵が先制する。
(2)攻撃時に防御側にバトルページが設定されているとマッチ成立
敵味方いずれかが攻撃を仕掛けたときに,防御側にもバトルページが設定されているとマッチが成立し,互いのバトルページを参照して,ダイスロールによって行動が解決されていく。バトルページの項目は上から順に処理されていき,相手に項目がない場合は,攻撃が確定する。
(3)割り込みを活用して,マッチの成立,不成立を狙う
バトルページは1ターンに1回しか処理されないため,行動順の早さを利用してマッチを成立させることで,特定の味方を守れる。もちろん,割り込みは相手にも適応されるので,注意が必要だ。
(4)敵の数を減らすことで一方攻撃を狙う
互いにバトルページがある場合はマッチが成立するが,防御側にバトルページがない場合,一方攻撃となり,すべてのアクションがかならず成功する。接待では,敵のバトルページをマッチで凌ぎ,いかにして一方攻撃を通すかが勝負の鍵を握る。
無秩序な世界観から生み出される独特の体験がプレイヤーを待つ
今回,ミリしら状態で「Library Of Ruina」を遊んでみたが,正直に言うと複雑で分かりにくい部分は結構あったし,ふだんからゲームをしていない人は挫折してしまうかも……と思ったのは確かだ。
筆者のゲームプレイはまだ序盤だが,現時点でもなかなかに歯ごたえのある接待をするときもあるし,その世界観や雰囲気からしてさらなる困難が待ち構えているのは想像に難くないだろう。
しかし,「複雑」「高難度」といった要素がゲーム体験を損ねるかというとそんなことはまったくない。接待も慣れないうちは戸惑ってしまっていたが,接待を重ねるうちに動きは洗練されていき,むしろ困難な接待を求めるようになっていった。
昨今はプレイヤーが敗北を重ねて少しずつ上達していく“死にゲー”が人気だが,いわば本作はカードゲーム版の死にゲーであり,困難を乗り越えたときの気持ちよさはかなりのものだ。
また,本作はカードゲームであり,どうしてもクリアできなければ先人の知恵を借りるという手もあるので,完全に詰むことがないのもありがたい。
そして何より気に入ったのは,序盤のあらすじでも紹介した道徳心や倫理観といった言葉からかけ離れた無秩序な世界観だ。「Lobotomy Corporation」から連なる世界観にコアなファンが生まれるのもよく理解できたし,続きが読めないストーリーにだんだんと引き込まれていく感覚を覚えた。
そして本題である前作「Lobotomy Corporation」をプレイしている必要があるかという話だが,個人的には未プレイでもとくに問題ないようには感じられた。ストーリーでは過去の話やいざこざが挟まれることもあるが,(現時点では)プレイヤーが置いてけぼりにされることはないし,疎外感もない。
プレイヤーによっては,遊んでいるうちに「Lobotomy Corporation」を先に遊ぼうと思う人も出てくるとは思うが,それはそれでいいのではないだろうか。かくいう筆者も「Lobotomy Corporation」がいい感じに気になってきており,ゴールデンウィークを使ってちょっと触ってみようと考えている。
ちなみに「Library Of Ruina」の想定プレイ時間が150時間と伝えたが,「Lobotomy Corporation」も同程度らしい。ハマってしまったらゴールデンウィークがすべてなくなってしまう可能性すらありそうだ。
「Library of Ruina」公式サイト
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(C)Project Moon / ARC SYSTEM WORKS
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