プレイレポート
[プレイレポ]「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」は映画ファンも初めての人も,インディ博士になりきって楽しめる痛快アドベンチャーだ
本作の物語は,マーシャル大学の博物館から盗まれた「猫のミイラ」を追って,インディがバチカン(イタリア・ローマにあるカトリック教会の中心地)に飛ぶところから始まる。聖職者以外は立ち入ることすら許されないバチカンの深奥や,カタコンベ(地下墳墓)に隠された謎や秘密を追ううちに,ファシスト党やムソリーニ,さらにはナチスのオカルト部隊の影が見え隠れして……。第二次世界大戦前夜を舞台にしたど真ん中の冒険活劇が待っている。
というか,この構図を日本でもメジャーなものにしたのが映画「インディ・ジョーンズ」シリーズなので,当たり前と言えば当たり前なのだが。
世界各地の遺跡から発掘された「謎の石片」を巡るインディとナチス,そして謎の組織も交えた争奪戦の行方やいかに? ……ストーリー紹介の締めくくりまで定番っぽいノリになってしまったことをご容赦いただきたい。
「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」公式サイト
プレイヤーがインディ役を演じるような体験!
さて,本作は一人称視点でゲームを進めていくことになる。有名なキャラクターが登場するシリーズを題材としたアクションアドベンチャーとして,一人称視点は少々珍しいのではないだろうか。
だが終始,一人称視点というわけではなく,プレイの合間に挿入されるカットシーンではインディが映画の初期三部作を思わせる姿で登場する。キャラクターたちの真面目だがどこかユーモアが漂うかけ合い,コメディ感のあるアクション,ヒロインとのロマンスなどが描かれ,あれよあれよと物語の世界に引き込まれていく。
余談だが本作のヒロイン,ジーナは「しっかり自分の芯を持ったチャーミングな女性」で,いかにもシリーズに登場しそうなタイプだ。筆者はこういった女性に惹かれがちなのだが,「インディ・ジョーンズ」をはじめ,子どもの頃に観ていたハリウッドの娯楽映画の影響なのかも……とプレイしていて気づいてしまった次第。
話が逸れてしまったが,いかにもインディ映画らしいカットシーンから「はい,どうぞ!」とバトンを渡されるように,一人称視点のゲームパートに移っていく。まさにプレイヤーががインディ役を演じているかのような,本来の意味でのロールプレイ(役割を演じる)感覚を味わえるので,とくに幼少期からインディ・ジョーンズに親しんできた人にはたまらないはずだ。
また,場面のつながりもロード時間の存在を感じさせないシームレスなもので,没入感を途切れさせない。
細かいところでは,「仕掛けの鎖を掴む」→「それを上下に動かす」だったり,「鍵を差し込む」→「回す」→「ドアを開く」だったりと,インディの行動をその都度操作する演出手法が使われているのもポイントだ。これにより,プレイヤー自身が冒険している感覚がグッと増している。
こうした手法は人によって好みが分かれるだろうが,本作には合っていると思う。
もちろんゲームだからといって,インディがナチスの兵士相手に無双するようなことはない。相手が1人や2人であれば攻撃を回避したり,受け流したりしてから殴り倒せるが,数人に囲まれてしまったら絶体絶命のピンチだ。インディはあくまで等身大のヒーローなのである(ただし,後述するスキルを十分に成長させれば別の話)。
パンチや回避といったアクションはスタミナゲージを消費するため,ずっと戦いっぱなしというわけにはいかない。敵との間合いを離して,スタミナを回復する時間が必要になる。
また,時間経過ではある程度の体力しか回復せず,大幅に回復したいときにはアイテムが必要だ
というわけで,敵が警戒する場所に正面から突入するのはあまり現実的ではない。抜き足差し足忍び足,身を隠しながら行動するのがセオリーだ。身をかがめて,物陰や光の届かない暗い場所を経由するように動けばなかなか見つからないし,相手は「インディ・ジョーンズに出てくるナチスドイツ」なので,ほどほどにチョロい。
ちょっとぐらいなら見つかりそうになっても,物陰で音を立てずじっとしていれば「気のせいかな」などと言って持ち場に戻っていく。
なお,敵に察知されそうになるとその場面のBGMに合ったさりげないジングルが流れる。いかにも映画的な演出により,「物陰に隠れたほうがいいよ」とプレイヤーに教えてくれるわけだ。
敵に発見される前の状態であれば,鉄パイプやワインの瓶などの拾える武器を使って簡単に気絶させられる。相手をやり過ごしにくい狭い場所では,この手に限る。
また,牧師や現地の人などに変装して敵の目をごまかす手もある。ただ,それでも隊長クラスの敵には通用しないし,とくに警戒の厳しい立ち入り禁止区域では誰だろうと警戒されるため,変装が万能というわけでもない。ケースバイケースで有効な策を講じる必要があるわけだ。
謎解きも雰囲気たっぷり。そこそこ難しいのが実にいい
敵が警戒する区域を通過し,古代の神秘が眠る遺跡に到着すれば,そこからは謎解きパートの始まり。石碑の文字や壁画に描かれた神々,周辺に落ちているアーティファクトを頼りに,隠された道を探すことになる。
この謎解きパートの難度も実に絶妙で,ほどよく悩んだり試行錯誤したりするが,詰まってしまうことはなく先に進んでいける。
ちなみに本作はバトルだけでなく,謎解きの難度もオプションで変更できる。謎解きが難しく感じた場合,次に行くべき場所をマーカーで表示したり,謎解きのヒントを見たりすることも可能だ。個人差のある部分なので,お好みで選ぶといいだろう。
また,時間をかけて地形や遺跡内部を観察するため,本作のグラフィックスの美しさをじっくりと堪能できるのも謎解きパートの魅力だ。フォトリアルと映画らしいケレン味の効いた映像表現のいいとこ取りをしているので,ちょっとした観光旅行のような感覚も味わえる。
筆者がプレイしたのはPC版だが,近年でも1,2を争うレベルのグラフィックスだと感じた。PC版を遊ぶ人はGeForce RTX 4000番台など,新しい世代のグラフィックスカードを用意したいところだ。
そしてインディ・ジョーンズと言えばクリフハンガー。つまり,一歩間違えば命は無い,絶体絶命の状況におけるアクションだ。
ムチを高所に絡めてロープのようにして登ったり,スイングして遠くに飛んだり,助走をつけてジャンプしたり。危険なアクションを組み合わせて窮地を切り抜けていくと,まさにインディと一体化したような気分になれる。
こうした場面はすべて一人称視点で描かれるわけではなく,随所で三人称視点にも変わるので,どちらに進めばいいか迷ったり,何をしていいか分からなくなったりすることはほとんどないはずだ。
前述のとおり,オプションの設定次第でガイド機能の加減を調節できるので,普段は雰囲気を重視しつつ,困ったときだけピンポイントでヒントに頼るのもいいだろう。
ストーリーの激流に身を任せるだけではない
ここまでの紹介を読むと,本作はリニアな展開で進行していく「プレイする映画」のような印象を持ったかもしれない。実際,そうした遊び方もできるし,オススメでもある。
だが,バチカンやギザの大ピラミッドなどの周辺をじっくりと探索し,ちょっとしたクエストや小規模な遺跡の探索を楽しみつつ,インディのスキルを鍛えるといった遊び方もできる。スキルを習得すると攻撃力が上がる,体力やスタミナが増えるなど,主にバトル面で有利になる。
すでにクリアした場面はメニュー画面からいつでも「再訪」できるので,敵に勝てなくなったら以前のステージを再び訪れてインディを鍛えるといった使い方をしてもいい。
いつでも再訪できるので,アイテムやスキルを集めるために同じ場所に留まり続ける必要もない。まずはストーリーをクリアしてから,すべての舞台をじっくりと探索することだってできる。
前述したが,本作のビジュアルは一気に駆け抜けてしまうのがもったいないほどのクオリティだ。筆者も原稿が落ち着いたら,各ステージを再訪してみたいと思っている。
通常時はインディの姿が見えない一人称視点ということで,個人的にはどんなプレイ感になるのかが少し気になっていた。だが,まるでインディを演じているかのように「のめり込んで」楽しめた。操作感にはフライトシミュレーターならぬ「インディ・シミュレーター」的な説得力もあり,インディのわりに強すぎたり,逆に弱すぎてガッカリしたりすることはない。
冒頭のシーンは映画第1作の「冒頭のつかみ」の忠実な再現であり,そのほかも「らしい」場面のオンパレードだ。映像的な面白さや娯楽性も本家に匹敵するクオリティと言える。
本作を遊ぶために映画を予習する必要はないと言い切れるし,ゲームを楽しめた人は映画にも興味を持つことだろう。
「いやあ,インディ・ジョーンズって本当にいいものですね!」と往年の映画解説者の名文句をアレンジさせていただき,本稿を締めくくりたい。
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(C)& 2024 Lucasfilm Ltd. Developed by MachineGames Sweden AB and published by ZeniMax Media Inc. Game codes (C)2024 ZeniMax Media Inc. ZeniMax, MachineGames and their respective logos are trademarks of ZeniMax Media Inc. All rights reserved.
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