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「PAYDAY」の生みの親が手がける新作強盗ゲーム「DEN OF WOLVES」発表。近未来を舞台に,バイオハッカー達が新基軸の“強盗”に挑む
そんな10 Chambersが新たな強盗ゲームを開発中というのは,すでにお伝えしている通りだ。「PAYDAY」シリーズの生みの親,アンダーソン氏が手がける強盗ゲームはどんなものになるのか。非常に気になるところである。
と思っていた矢先の11月某日,都内にてその新作強盗ゲームのメディアイベントが行われた。
新作のタイトルは「DEN OF WOLVES」。舞台となるのは,いまから数十年後の近未来で,ディープラーニングAIが猛烈な進化を遂げ,止めることのできないハッキングツールと化し,経済全体が崩壊した世界だ。最先端技術がテロリストや無政府主義者の新しい武器となり,資産や情報の安全なやり取りが難しくなってしまった。そしてサイバーセキュリティの革命が必要になった。
企業はサイバーセキュリティを発展させるために,規制のないイノベーションゾーンを求め,経済が崩壊したことでドルが暴落したアメリカは,ミッドウェイ諸島をイノベーションゾーンにするプロジェクトを発動する。
そこで開発されたミッドウェイ・シティは法律も人権も存在しない場所となり,その結果,人間の脳に基づいた新しいデータ転送と保存のシステムが開発された。生物学的に暗号化されたデータは人間にしか扱うことができず,ミッドウェイ・シティは地球上で唯一,安全なインフラが整備された場所となった。
そして,新しいインフラを使用した証券取引所が設置され,新たなサイバーセキュリティとともに,市場に信頼を取り戻すことになる。一方で,規制のないミッドウェイ・シティは国際貿易の中枢へと発展したが,同時に企業スパイ,破壊工作,暗殺といった需要も高まっていった。
人間の脳に基づいたインフラは,ディープラーニングAIの脅威を取り除いたが,裏を返せば「人間」であれば扱うことができる。そこで神経システムにダイブする訓練が施された,バイオハッカーたちが誕生した――というのが本作のバックグラウンドとなる。
いかにもSF的な世界設定だが,「攻殻機動隊」や「ブレードランナー」「ブラック・ミラー」「インセプション」などにインスパイアされているという。テレポーテーションや空飛ぶ車といったいかにもSF然としたものを描くのではなく,現実からちょっと先の“存在するかもしれない未来”を描くことで,より興味深い世界を構築しているとのことだ。
また,ミッドウェイ・シティでは国同士の争いではなく,企業間での競争が描かれる。この世界の中で企業の存在が重要になるわけだが,400以上の架空の企業ライブラリーを作り上げているそうだ。
ゲームプレイの面では,具体的なことはあまり分かっていない。現時点で分かっているのは「4人協力プレイの一人称視点のシューティング強盗ゲーム」「オープンワールドではない」ということだ。オープンワールドを採用しなかったのは,ミッションに直接向かわせることができるうえ,ロビー画面を介するほうがプレイヤー同士のマッチングは容易であり,10 Chambersが考えるゲーム体験を合理的に実現できるためだという。
また企業間での競争を描いているため,ストーリーは単なる銀行強盗ではない。プレイヤーは雇われのバイオハッカーとなり,ある企業に依頼されて別の企業の情報を盗んだり,秘密を暴いたりしていくことになる。だが,決して義賊のような存在ではなく,プレイヤーもまた悪の一部である。
強盗ストーリーにはランダム性を持たせており,プレイするたびに状況が少し変化するという。下調べをし,忍び込んだり,あるいは強行突破したりといった手段を用いることになる。
PAYDAYシリーズでは,一度ステルスからアクションモードに移行すると,再びステルスに戻ることはなかったが,DEN OF WOLVESでは再びステルスに戻ることができるという。一つのストーリーの中で,よりダイナミックに強盗が進行していくとのことだ。
またマルチプレイの協力ゲームは,知らない人とマッチングしてチームを組むことに抵抗がある人は少なくない。そこにはゲームの理解度の差だったリ,効率のいいプランを知らなかったりといった要因があるが,DEN OF WOLVESではそのあたりを合理的に解決するオプションを搭載し,不特定多数の人ともプレイしやすくするという。
筆者は足を引っ張ることが嫌で,この手のゲームをフレンド以外とプレイすることは少なかったので,マッチメイキングでプレイしやすい環境が整うのであれば素直に嬉しい。
DEN OF WOLVESの発売日は未定だが,まずはPC版がリリースされる予定とのこと。さらにコンシューマ機でも発売予定だ。また,DLCで世界を拡張していく計画だという。そして,マイクロトランザクションも検討しているそうだが,ゲームを有利にするようなものではなく,コスメティックアイテムに限定すると強調していたことを付け加えておく。
近未来を舞台にした強盗ゲームがどのようなものになるか。その全貌は明らかになっていないが,ハードコアでニッチなGTFOについて「作りたいから作った(意訳)」と言い放つ10 Chambersなら,きっとユニークで面白いゲームを作ってくれるはずだ。
続いて,本作のナラティブ・ディレクターを務めるサイモン・ヴィクルンド氏へのインタビューをお届けしよう。ヴィクルンド氏は10 Chambersの共同設立者の一人で,Overkill Softwareでは「PAYDAY」シリーズの開発に関わり,サウンドデザイナーとして活躍していた人物だ。
4Gamer:
よろしくお願いします。
DEN OF WOLVESは近未来的な世界で,人間の脳を元にした情報インフラが実用化されています。攻殻機動隊の電脳のようなものと認識しているのですが,これはゲームプレイにどう影響してくるのでしょうか。
ヴィクルンド氏:
もちろん,バイオロジカルコンピューターはゲームプレイに密接に関わっていますが,まだその内容について詳しくお話しすることはできません。例えばその人間の脳を使ったニューロネットワークを通じて,エキサイティングなシナリオやエキゾチックな場所へアクセスできるようになる可能性はあります。
ミッドウェイ・シティですべてが起こるというわけではなく,ニューロネットワークも舞台になるということです。
4Gamer:
ニューロ“ネットワーク”ということは,バイオロジカルコンピューター同士で情報のやり取りが可能ということですね。では,ハッキングのようなこともできるのでしょうか。
ヴィクルンド氏:
普通の方法ではできません。ですが,プレイヤーキャラクターたちは特別な方法で,バイオロジカルコンピューターに入り込み,情報を引き出すことはできるんです。しかし,そのハッキングは身体に負荷を与えるため,簡単なことではありません。プレイヤーキャラクターは報酬がもらえるからやっているんです。
とはいえ,それは設定の話であり,実際にゲームプレイの要素としてあるわけではありません。ハッキングするのに十分な体力があるか,といったことは考えなくてもいいんです。
ゲームプレイについて言えば,ある会社の研究者の頭の中に入り込んで,その人が持っている試作品やアイデアを選んで盗む,といったことができるようになると思います。近未来の産業スパイですね。
4Gamer:
本作には物理的な「敵」として,人間に加え,アンドロイドやロボットなども登場するのですか。
ヴィクルンド氏:
人間もロボットも両方,敵として登場します。人間の敵であれば,呼称は定まってませんが特殊部隊といったものが登場するでしょう。大きなロボットが出てくるかもしれないし,クモ型のロボットや飛び回るドローンといったものが登場するかもしれません。それが楽しいものであれば我々は登場させると思いますし,SFというコンセプトがそれを可能にしました。
4Gamer:
コンセプトをSFにした理由は,そうした自由度の高さでしょうか。
ヴィクルンド氏:
ええ。SFをコンセプトにしたのは,我々が攻殻機動隊やブレードランナーといった作品が大好きというのもありますが,一番の理由は「PAYDAY」を作ったときにアイデアが尽きたと感じたことです。
あのコンセプトでは銀行やカジノに乗り込んで,お金やダイヤを盗むといったことしかできず,バリエーションを考えるのが難しかったのです。
DEN OF WOLVESのバックストーリーとSF的なコンセプトは,私たちが創造的な自由を得るための土台を作ることができました。このゲームがライブサービスを続けて,長期にわたって維持できるようになっても,アイデアが尽きることはないと思っています。
4Gamer:
GTFOはハードコアな難度でしたが,本作はどのくらいの難しさになるのでしょうか。
ヴィクルンド氏:
どちらかというとカジュアルなゲームです。難度という面では,GTFOよりもPAYDAYやPAYDAY 2と比較した方がいいですね。GTFOはハードコアなゲームでしたが,我々はもっとカジュアルなゲームの作り方も知っています。難しすぎず,簡単すぎず,みんなが楽しめるゲームを目指しています。
4Gamer:
最後に日本のコミュニティに向けてメッセージをお願いします。
ヴィクルンド氏:
GTFOが日本語化されていなかったときも,日本のプレイヤーはたくさん遊んでくれていました。それが切っ掛けでGTFOを日本語化することになったんです。今回,スウェーデンから日本に来た理由も,日本市場をすごく重要と捉えているためです。
協力プレイが好きなら,DEN OF WOLVESも必ず楽しめるものになると思います。期待して待っていてくれたら嬉しいです。
日本の会社もミッドウェイ・シティには登場します。そうした会社に雇われるようなストーリーがあったらいいなと考えています。日本文化を取り入れたものができるといいですね。音楽でも日本のコンポーザーとコラボレーションして,本物の日本的な要素を取り入れたいですね。
4Gamer:
楽しみにしています。ありがとうございました。
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