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[TGS2023]なんだ,これは! なパズルゲーム「Siheyuan」は,“概念”なアート作品であり,みんなで楽しいパーティーゲーム
そのタイトルの名は「Siheyuan」。イタリア・ローマのインディー系パブリッシャ/デベロッパのFantastico Studioがパブリッシングを担当するパズルゲームだ。
We Are Muesliは,イタリア・ミラノを拠点とする独立系スタジオだ。2011年,Matteo Pozzi氏とClaudia Molinari氏の2人のデザイナーによるクリエイティブデュオとして誕生し,以降,文化的,歴史的,そして芸術的なテーマを持った作品を送り出している。また,“文化遺産としての価値のあるもの”としてのゲームへ貢献すべく,ゲーム制作だけではなく,国内外でアートや教育,講演などの活動も積極的に行っているそうだ。
※「〜いるそうだ」と書いたあと気付いたが,4Gamerでもその活動を取り上げていた。記事は[こちら]
ゲームの中で歴史を扱うには? イタリアの気鋭のデベロッパが,新時代の歴史ゲームを語る
歴史ゲームと言うと,どうしても戦争ゲームを思い浮かべがちだ。FPSしかり,RTSしかり,それは一般的には戦争のゲームである。だが近年,必ずしも戦争を扱わない歴史ゲームも増えてきた。そういった新しい歴史ゲームでは,歴史がどのように扱われ,どうゲームの中に落とし込まれるのだろうか。イタリアのデベロッパ,We are Museliが語った。
といった感じで「どんなゲームですか?」と聞いてみたら,「一緒に遊んでみたら分かるよ」と言って2人プレイでゲームを紹介してくれたのが,同スタジオの創始者の1人であるGame & Narrative DesignerのMatteo Pozzi氏だった。
まず,本作の独特のデザインのステージだが,そのタイトル名になっているSiheyuan――中国の伝統的な家屋建築である北京の四合院(しごういん/ピンイン)をイメージしたものだ。中央には,中庭を四角に囲うように家屋が建てられた四合院イメージのスペースがあり,家屋にあたる箇所が正四角形のグリッドで赤,青,白,黒といった感じで色違いに分けられている。
プレイヤーは,上下左右4か所から中央へと近づいてくるタイルを,グリッドの色に合わせるように動かしていく。これをすべて埋めたらクリアだが,一度に複数のタイル(例えば,上のエリアの青と右のエリアの赤のように)を動かさなければならない場面もあるので,そう簡単にクリアとはいかない。違う色を置いてしまって詰まった場所は,黄色のタイルで1つずつ消していく。
……と,言葉や静止画では伝わりにくいタイプの作品なので,こちらのムービーもご覧いただくとしよう。
このように,基本の仕組みは落ち物パズルだが,上下左右から迫るタイルをさばくというのが特徴だ。タイルをぐるぐる回して違うエリアに送っていく感覚が,まるでジャグリングのようで楽しく,また「ワワーッ! あっちの色は合ってるけど,こっちはこのままだと詰まっちゃうっ」みたいな忙しさも良い感じだ。
なにより楽しいのが,最大4人でプレイできるところ。1人でもくもくと遊ぶのもいいが,このマルチプレイが遊ぶ人たちの関係性や年齢といったものを抜きに相当盛り上がりそうだ。
遊び方は基本的に一緒なのだが,クリアするためにはコミュニケーションを取りながらタイルをパスし合うことが重要だ。このとき「いまそっちにいった赤いパスを真ん中に!」「その赤を上にパスしたら,今度はいま送った黄色を右端にっ」みたいに声をかけながらプレイすることになるのだが,パーティーゲームとしてとても賑やかに楽しめそうなのだ。
今回はMolinari氏との2人プレイだったが,「これ,4人でやったら相当カオスだぞ。クリアを目指し協力しながら楽しむだけではなく,1人ジョーカーみたいなかき乱す人がいると,また違った面白さが生まれそうだな」と,遊びながら感じたのである。
ちなみにMolinari氏は,うまくパネルをパスできたら「ありがとう」,受け取ったパネルをうまく「いいね」と,つねに声をかけてくれるとても優しい人だった。そんな人が作ったゲームで,こういう考えをするのはなんだか申し訳ないが……ともあれアーティスティックながらエンタメ性もある作品で,ゲーム配信で流行しそうな感じもある。
プレイヤーが介入し,そして“概念”を楽しめるインタラクティブアートとしての一面を持ちながら,みんなでワイワイ楽しめて,何だったら“友情破壊”な遊び方もできそうな間口の広いパズルゲームに仕上がっている本作。2023年内にPCでのリリースが予定されており(海外向けにはSwitch版もアナウンスされている),Steamではデモ版も配信中だ。
現状,日本語はサポートされていないが,言葉なしで楽しめるゲームなので,気になる人はまずデモ版をダウンロードして遊んでみてほしい。
「Siheyuan」公式サイト
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