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印刷2023/09/24 13:23

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[TGS2023]元ゲーメスト編集長&元マイコンBASICマガジンのAC担当が語る,東亜プランというメーカーは何だったのか

 2023年9月21〜24日にかけて千葉・幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2023。一般公開日の初日である9月23日にTATSUJINブース(02-S10)で実施されたトークショー「メディアから見た当時の東亜プランの魅力」の模様をお届けしよう。

左から上村建也氏,石井ぜんじ氏,大堀康祐氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS2023]元ゲーメスト編集長&元マイコンBASICマガジンのAC担当が語る,東亜プランというメーカーは何だったのか

 このステージに出演したのは,MCを務めるTATSUJINの上村建也氏,かつてアーケードゲーム情報誌「ゲーメスト」の編集長を務めていた石井ぜんじ氏,コンピュータ情報誌「マイコンBASICマガジン」でアーケードゲームの記事を担当していた"うる星あんず”ことマトリックス代表の大堀康祐氏の3名だ。

 まず根本的な「東亜プランとは」というテーマに関して,大堀氏は現代まで続くシューティングゲームの基本的なスタイルを築き上げたメーカーであるとコメントした。黎明期のシューティングゲームは自機の放つ弾が画面上に数発だけだったり,パワーアップも限定的なものだったりしたが,東亜プランのゲームが「自機も敵もどんどん強くなって,大量の弾を撃ち合う」というスタイルを確立させたのだ。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [TGS2023]元ゲーメスト編集長&元マイコンBASICマガジンのAC担当が語る,東亜プランというメーカーは何だったのか

 東亜プランからはさまざまなゲームが出ているが,それらが共通して持っている「東亜プランらしさ」とは何かというテーマでは,石井氏が「撃って避ける」という根源的なシューティングゲームの面白さにフォーカスしていることだと述べる。シューティングゲームには,自機に追従するオプションの活用やリソース管理などで多彩な面白さを盛り込んだものもあるが,東亜プランのタイトルは多くが「撃って避ける」を追求したストロングスタイルだ(変なお遊びは多かったりもするが)。

 また,大堀氏は東亜プランの前身であるクラックスの頃から,インストラクションカード(筐体に掲示してゲームの概要や操作方法などを解説する紙)のデザインが似ていたり,ゲーム内のフォントが共通したりしているため,開発元が明示されていないタイトルでも東亜プラン製であると分かったと語る。また,終盤でプレイヤーを急き立てるようにテンションの上がるBGMも特徴的だという。そのほか,いわゆる“弾封じ”が可能な仕様に関して「プレイヤーに対する弾の撃ちかたに失礼がなく,武士道を感じる」と述べた。

 そういったゲームについて,開発側だった上村氏は“覚えゲー”として作っていたという。覚えゲーなら,基本的にはプレイを重ねるほど素直に上達していくため,プレイヤーがモチベーションを持ち続けられるというわけだ。それゆえ特殊なシステムやプレイヤースキルが試される要素は控えめとなり,ストロングスタイルになったのだろう。

画像集 No.006のサムネイル画像 / [TGS2023]元ゲーメスト編集長&元マイコンBASICマガジンのAC担当が語る,東亜プランというメーカーは何だったのか

 そして本トークショーの主題である「メディアから見た当時の東亜プラン(の魅力)」に関して,石井氏は当時の花形ジャンルであるシューティングゲームにおいて,安定して記事にできた人気のあるメーカーだったと語った。

 大堀氏は,当時のエピソードとして「安全地帯(敵や弾幕のパターン上,絶対に弾が飛んでこない場所)の紹介を掲載して良い」と許可が出たことに言及した。2000年頃まで,多くのゲーム雑誌において攻略情報は誌面の中核を担うコンテンツのひとつだったが,ことプレイ回数が売上=商品的価値に直結するアーケードゲーム市場では,メーカー側が「攻略記事が出るほどゲームの寿命が縮まる」と敬遠する傾向にあった。まして「絶対に死なない」安全地帯は,開発側からすると想定外のバグじみたものなので掲載許可が出にくく,ゲーメストでは“玉置”(ロックバンド・安全地帯のボーカルだった玉置浩二氏から)と隠語で書いていたこともあったくらいだ。今思うと,その書き換えなら通ったというのもよく分からないが。
 余談が長くなったが,そういった安全地帯の掲載を東亜プランが許可したのは,「やってみろ」というプレイヤーへの挑戦であり,プレイヤーと向き合った物作りをしていた証左だという。

画像集 No.007のサムネイル画像 / [TGS2023]元ゲーメスト編集長&元マイコンBASICマガジンのAC担当が語る,東亜プランというメーカーは何だったのか

 昨今レトロゲームの人気が高まっており,TATSUJINという会社の創設や,東亜プランのIPがさまざまな形態で利用されているのも,その流れに乗っているところがある。これについて,石井氏はゲーム市場で多種多様な面白さが受け入れられるようになったことで,レトロゲームに立ち返るという動きも発生しているのだと述べる。ある意味,ピピル人の時代が来たと言えるのかもしれない。

 移植でない新規開発のPS5用ソフト「TATSUJIN EXTREME」も発表されるなど,再出発を始めた東亜プランIP。かつてアーケードゲーム市場を塗り替えたタイトルは,今の世にどのような影響をもたらすだろうか。今後の展開に期待したい。


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