プレイレポート
[プレイレポ]数字を駆使して賞金首を追い詰めろ! ローグライクな強化システムと“数式バトル”の組み合わせがユニークなSFストラテジー「ローンスター」
本作は,宇宙空間で賞金稼ぎと賞金首が数式をテーマに宇宙船の決闘するという,非常にユニークな作品だ。アーリーアクセス開始直後ながら,原稿執筆時点でのSteamのレビューではすでに「非常に好評」の評価を得ているなど,順調な滑り出しとなっている。
一見すると古典的な横スクロールSTGにも見えるゲームだが,実際にプレイしてみるとアクション要素は皆無であり,むしろ“頭をひねって船をビルドし,敵を倒す”ことが求められるというギャップも面白い本作。さっそくプレイしたので,そのレポートをお届けしよう。
バウンティハンターになって賞金首と宇宙で対決!
シューティングやアクションではなく,“算数”で
本作は,プレイヤーがバウンティハンター(賞金稼ぎ)となり,宇宙を股にかけて賞金首とバトルを繰り返していく一風変わったローグライクゲームだ。ゲームを開始するとプレイヤーは自分の搭乗機となる宇宙船を選び,続いて複数ハンターの中から好きなものを選択して,戦いに挑む。
プレイ時点では宇宙船は2種類,ハンターは数十人が用意されているが,基本的にプレイを進めて徐々にアンロックしていく仕組みのため,最初は選択肢がない。なのでとりあえずは表示されたものを選んでしまえばいい。
さて,宇宙船に乗り込んだプレイヤーの目的はシンプルで,同じように戦闘用の宇宙船に乗り込んだ相手を倒していくことだけだ。ただし対戦方法は独特であり,正面から正々堂々とビームキャノンを撃ち合うターン制のタイマンバトル。勝敗の条件もこれ以上ないほど単純明快であり,相手の体力を先にゼロにしたほうが勝者となる。要するに「自分がやられる前に,ビームで相手の体力を削りきれ!」というわけだ。
ただし前述のとおり,本作にはシューティングやアクションの要素は一切ないので,目で見てビームを撃ったり避けたりするような仕組みはない。では何で勝負が決まるのかといえば,一言で現せば“算数”だ。
プレイヤーにはまず,色分けされて1から9の数字が書かれたエネルギーを表すカードが配られる。また,貸し出された宇宙船には3マス×3マスで計9マスの空きスロットが用意されており,「アタックユニット」か「サポートユニット」のどちらかを組み込むことができる。配られたカードは,一定のルールでいずれかのユニットにはめ込むことが可能で,例えばアタックユニットに5のカードをはめ込めば,ターン終了時にそのまま威力5のビームが前方に発射される。
敵側はかなり変わった固有のユニットが組み込まれていることが多いが,基本的には「表示された威力のビームをターン終了時に発射する」というルールは変わらない。自艦と敵艦のビームは同時に発射され,互いに打ち消し合い,威力が高いほうのビームが残る。
平たく言えば「自艦のビームの威力−敵艦のビームの威力=与えられるダメージ」という仕組みで,これが上で“算数”と表現した理由だ。敵の威力のほうが高い場合は,そのままこちらがダメージを食らう。これを,どちらかの体力がなくなるまで繰り返すのだ。
敵は必ず先攻し,受けるダメージ(敵が発射するビームの威力)は事前に知ることができるので,「どれだけ敵のダメージを打ち消しつつ,こちらの攻撃を当てていくか」が勝負の決め手になる……と言えるだろう。
敵の体力をゼロにして勝利した暁には,ショップで使えるコインや追加の装備ユニットが入手でき,場合によっては体力の回復も可能。またステージごとに“休暇”(Vacation)という名のイベントが利用可能で,こちらでもユニットを入手したり,アップグレードを行ったり,手札(数字カード)の強化が行えたりする。
休暇については大まかな強化ジャンルが表示されているが,不明(Unknown)であることも多く,ランダム性が非常に高い印象だ。
とにかくこれを繰り返し,各ステージの最後に待つボスを倒すのが,プレイヤーの目的だ。ステージには計4体の賞金首が待ち構えており,基本的にはどんどん強くなっていくので,宇宙船の強化が間に合わなければあっさりやられてしまうはずだ。
ローグライクなので,負けてしまえば当然ゲームオーバーとなり,入手したものはほぼすべて失われてしまう。ただし戦った経験値は残り(プレイヤーの)レベルが上がると,新たなパイロット(賞金稼ぎ)やレンタルできる宇宙船,そしてパイロットにランダムで付与されるスキルがアンロックされていく。
基本としてはプレイをある程度重ねるほど,進めるのも楽になっていくはずだ。
ユニットを組み合わせ,強力なシナジー効果を目指そう
うまくハマれば,強烈な一撃で敵を葬り去れる
本作は,ごく初期こそアタックユニットにただ数字をはめ込むだけでも勝てるが,それだけだと早々に行き詰まるはずだ。これは敵の攻撃力が早い段階で増加していくためであり,例えば「手札に2〜4ぐらいのカードが数枚程度しかないのに,相手のビームの威力は数十を超えている」なんてこともよくある。そこで重要になるのが,前述のサポートユニットだ。
サポートユニットは(例外もあるが)それ単体では数字をはめ込んでも,直接の攻撃には役に立たない。だが多くは数値を(場合によっては格段に)変化させるための機能が備わっており,例えば初期の船に搭載されているGentle Tap Deviceというユニットなら,「入れた数字カードの値が1つ大きくなる」という機能を有している。
これだけだと「たった1ポイント?」と思うかもしれないが,本作には多種多様なユニットが用意されており,例として挙げれば数値を2倍にする,カードの値を変えて数を分裂させる,3ターンごとに9のカードが得られる……といった具合に,何を入手できるかによって大きく難度が変わる。多くはアップグレードも可能で,強化すれば一層使い勝手も上がっていく。これはサポートユニットだけでなく,アタックユニットも同じだ。
こういった特徴により,一見役に立ちにくそうなユニットでも,展開によっては強力なシナジーを生み出す。筆者の場合は「値に関係なく,たくさんのカードを入れると攻撃力が爆発的に増える」ユニットと「枚数に関係なく8以上の値を満たせば,5枚のカードが(別のユニットに)組み込まれる」というユニットを組み合わせることができた結果,強力なビームを連発できるようになり,想像以上に楽に先に進めるプレイもあったりした。
何が入手できるかはランダムだからこそ,こういったドンピシャなビルドが組めたときは非常にうれしい。
また,ユニットとは別に宝物(Treasures)というアイテムも用意されており,こちらは船に搭載しなくても効果を発揮する,パッシブスキルを強化するためのもの。機能的にはレアリティにもよるが,数値の底上げなどを担う縁の下の力持ち的な存在なのだが,複数積み重なってくると無視できないものになっていく。
道中では「ユニットを取るか,宝物を取るか」という選択肢が随所にあり,なかなかに迷う。理由は,重量やマス目の制限がある船に搭載しなければ使えないユニットと違い,入手できた分だけそのまま有利になるからだ。
なお戦闘中にプレイヤーが行えるのは,数字のカードをはめ込むだけではない。プレイヤーは船に搭載された燃料を消費することで,船の“軸”をずらすことができる。例えば船を下に移動させれば,3列の内の上段の攻撃を避けることができるが,逆に自分の下段の攻撃は当たらなくなる。これを見越して,片側だけ異常に高出力の攻撃をしてくる敵もいたりするのだ。
とはいえ燃料には限りがあるし,毎回微細なダメージを避けるために船を動かしていると,あっと言う間にガス欠になるだろう。燃料自体はなくても戦えるが,いざという時に“避け”が使用できないのは痛い。どれぐらいのダメージを許容して,何を避けるのか。リソース管理も本作のプレイには必要になってくるはずだ。
計算そのものはシンプルだが,ルールは少し複雑
しかしビルドがハマったときの爽快感はかなりのもの
本作は対戦時の数字の計算こそ簡単だが,実はゲームシステムそのものは少々複雑だ。例えば前述のように数字カード(とユニットのスロット)はオレンジ,青,白に色分けされているが,これはカードのグレードを現している。それぞれ以下のような仕組みだ。
・白色のカード: 一番下のグレード。白のユニットスロットにしかはめ込めず,それ以外のスロットには互換性がない。
・青色のカード: 真ん中のグレード。白と青のユニットスロットにはめ込めるが,オレンジ色のスロットには入れられない。
・オレンジ色のカード: 一番上のグレード。すべての色(白,青,オレンジ)のスロットにはめ込むことができる。
その一方で,ユニット側のスロットの色は逆の意味合いになり,何でもはめ込むことができる白スロットは使い勝手が良く,オレンジのスロットは同色のカードしか入れられないので,扱いにくい。このあたりは最初のチュートリアルで説明されるのだが,あまり直感的ではないので,読み飛ばすと少し迷ってしまうだろう。
さらにアタックやサポートのユニットは,挙動が独特でそれなりに複雑なものも多い。3枚のカードを入れるとトリガーが発動して機能が発揮されるTripower,指定された閾値以上のカードを入れることがトリガーになるOverclockなど,種類が豊富な分だけしっかりとヘルプを読んで理解しないとビルドはままならないはず。アイコンもそれぞれ固有のものが設定されているが,残念ながら見ただけで機能が分かるものはほとんどない印象だ。
ここでネックになってしまうのは,本作はまだ日本語化がされていないこと。ベースは英語だし決して難しい文章が並んでいるわけではないが,どうしてもパッと見たときに理解できる情報量に差が出てしまう。ストーリー性は希薄なので読まなければならない絶対量は少ないのだが,英語が得意でなければ正直取っつきにくさを感じることだろう。
とはいえ,本作はRPGやアクション系のローグライク作品とは違った面白さがあり,なりよりビルドがカッチリとハマったときの爽快感はかなりのもの。ターン制かつバトルは負けを確定させない限り,何度でも繰り返し最初からトライできるので,じっくりと時間をかけて挑めるのもうれしいところだ。ただ,一手戻せるアンドゥ機能もほしいところだった。
また,一見するとグラディウスシリーズのようなバリバリのSTGにも見えるのに,実際はじっくりと宇宙船を強化していく運と思考が重要なゲームであるというギャップも,なかなかに面白い。
アーリーアクセスが始まったばかりだが完成度はすでにかなり高く,今後のアップデート次第ではさらに人気を集めそうな予感もある。日本のゲーマーから見ると,前述のようにローカライズされていないのが非常に残念だが,反響によっては早期に対応されたりするかもしれない。もちろんこれは,元から英語が気にならないならマイナスにはならないポイントだ。興味があれば手にとって,ビームが飛び交う宇宙バトルに参加してみてほしい。
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