プレイレポート
[プレイレポ]「サガ エメラルド ビヨンド」綱紀編,ディーヴァ編,アメイヤ編の序盤を紹介。バトルはTL上の駆け引きと連携を組む楽しさが両立
今作の舞台は,17のワールドとそれをつなぐ「連接領域」。プレイヤーは5つのストーリー,6人の主人公の視点で新しいサガを体験することになる。複数の主人公による群像劇的な描かれ方は同シリーズの特徴だが,さらに異世界を渡り歩く旅行記のようでもあるのだ。シリーズファンであれば,リマスター版が登場した「サガ フロンティア」を連想するのではないだろうか。
ただ,筆者はシリーズの原点である「魔界塔士Sa・Ga」から遊んでいるため,サガシリーズは過去作の魅力を「単純には踏襲しない」ことを知っている。果たして「サガ エメラルド ビヨンド」ではどんな驚きの体験が待っているのか。
本稿では,綱紀編,ディーヴァ編,アメイヤ編の序盤とバトルに焦点を当てたプレイレポートをお届けしよう。
「サガ エメラルド ビヨンド」公式サイト
連接領域がつなぐ多彩な世界
主人公によって,まったく異なる「舞台の見え方」
ゲームを起動すると,主人公の選択画面が表示される。主人公の1人である御堂綱紀(みどう つなのり)が「主人公いうたら自分しかおらへんやろ」と音声でアピールしているので,それならばと彼を選んでみた。
プレイヤーに対して直接的に自己紹介をしてくるスタイルは,「アンリミテッド:サガ」の主人公選択,とくにキャッシュの「僕と一緒に冒険しよう!」というセリフを思い出すが,まさか「剣難峡」クラスの試練が待ち構えているのだろうか。
もちろん,それは杞憂だった。綱紀は「エメラルド ビヨンド」の基本的な設定である「主人公は己を導く翠のライン(エメラルドウェーブ)が見える」ことを体現したキャラクターだ。なにしろ彼の名字(御堂)は翠のもじりだと思われ,綱には「守るべきルール」,紀には「筋道」という意味がある。
名は体を表すというが,綱紀は生まれたときから「進むべき道」が見えており,だからこそ「自分で選んだという認識こそが大切」といった価値観を持っている。翠のラインは単に「見える」だけで強制力はなく,選択の自由は綱紀(そしてプレイヤー)に委ねられている。正規ルートが見えているからこそ,裏道や寄り道もはっきりと認識して選べるわけだ。
綱紀の住むワールドは,現代の京都を思わせる「ミヤコ市」。古の時代よりミヤコを邪な存在から守ってきたクグツ使い,御堂家の生まれである綱紀は本家の叔父・忠道の推挙もあり,天界(ミヤコ市では連接領域をそう呼ぶ)から4つの精霊を持ち帰る任務に臨む。
4体のクグツと共に,初めて訪れた連接世界を「スキャン」してみると,ここでもエメラルドウェーブが現れる。その先には巨大な扉が1つ。扉を開けて進んでみると,その先は魔女たちの世界「プールクーラ」だった。本作の情報を追っている人にはご存じのとおり,主人公の1人であるアメイヤの故郷だ。
だが,早々に綱紀は不審人物として捕まってしまう。彼を捕まえた魔女・リタはそのまま監視役兼案内役として同行することになり,プールクーラの冒険が始まった。
そうかと思いきや,近くにいた「ちょうどいい精霊」と戦ったことで,早くも持ち帰るべき4つの力の1つが手に入り,わずか10分ほどでプールクーラでの任務は完了となった。さらにフィールドを歩き回ってみると,「青春の木」「白獅子宮」といった寄り道できそうな場所がそれなりにありそうだが……。
本作では,1つの行動や選択がその後の展開に大きく影響するようなので,セーブデータはこまめに保存したほうがいいだろう。
そのままリタはパーティに加わり,戦力は大幅にアップする。連接領域に戻って次なる目的地をスキャンすると,示された道は3つ。どうやらおすすめのルートには「!!!」のアイコンが表示されるようだが,さっきは素直に「ちょうどいい精霊」を選んだためにサクッと進んだので,今度はあえておすすめ度の低い別のワールドを選んでみる。
扉を開けた先は,墓場だった。扉を開いたつもりが,墓石をどかして復活したかのような形になってしまう。墓の前にいたドロレスによると,かつて彼女とその主人(墓に葬られた人物)は「闇の王」を復活させようとしていたが,企みが発覚して主人は首をはねられたようだ。
闇の王と言えば,本作の主人公の1人であるシウグナスの肩書だが,プールクーラと同じく,この「ヨミ」も別の主人公と縁の深い世界である。
先ほどの経験を踏まえて,ヨミでは慎重に探索を進めていくと,「色欲」「貪食」「憤怒」「怠惰」の名を持つ4つの塔の主からリトグラム(石版)を集めるクエストが始まる。その道中,ドロレスが驚くべき手段で状況を打開する場面があり,かなりの衝撃を受けた。全体的に演出が控えめな本作では異例というか,規格外すぎる描かれ方だったため,ぜひ自身で確認してほしい。
この世界の冒険を終えたところで,ドロレスもまたパーティに加わった。各ワールドの案内役が新しい仲間に加わる,それが仲間が加入するパターンらしい。
次なるワールドはいかなる世界観なのか,そしてどんな物語が待っているのか。興味は尽きないところだが,ここからは別の主人公の序盤を紹介しよう。
別の主人公・ディーヴァ ナンバー5(以下,D5)は,まるで本物の人間のように活動できるAIを備えたロボットだ。歌姫と呼ばれていたが,番組で「禁止楽曲」を歌ったために歌唱機能を削除されてしまう。
高度なAIから機能を削除することは,人間にとって脳を削ぎ落すことに等しい。歌以外のコミュニケーション機能まで剥奪されたD5は,自ら人間型のボディを捨て,ポッド型のボディに移ると,失われた「心」を探し始める。
そして理由も分からぬまま,コンスタンティン隊長率いるアルビオン王国の異世界探索隊に参加することになるが,D5もまた綱紀と同じようにエメラルドウェーブを見られる。この能力は「エメラルド ビヨンド」の主人公たちが共通して持っており,どんな力なのか,なぜ主人公だけが翠のラインを認識できるのかはまだ分からない。ゲームを進めていくと明らかになることを期待したい。
さて,連接領域に現れた扉の1つを選ぶと,その先は「三角形機関」と呼ばれるエンジンが生むエネルギーで発展する世界「ヴェルミーリオ」に通じていた。
この世界では規則的に並んだ三角形機関を修理して,機関に囲まれた三角形の土地を浄化したり,「アンチトライアングル」と呼ばれるモンスターから機関の汚染を防いだりして,パズルゲームのように全地域の浄化を目指す。
それと並行してイベントを進めていくと,とある姉妹と1人の男性の関係性がクローズアップされる。ヴェルミーリオでは,あらゆる面において「三角形」がカギになるようだ。
ここでは案内役のメカ「BX10-EX」が仲間に加わるのだが,D5はボディタイプの変更が可能になる。D5が選択できるボディにはBX10-EXのような格闘タイプ,戦車のようなタイプ,ドローンのようなタイプなどがあり,ゲームを進めていくと種類が増えていく。こうした仕組みは「サガ フロンティア」のT260G編を思い出させる。
ヴェルミーリオから連接領域に戻り,あらためてスキャンをするとさらに6つの扉が出現。D5編では綱紀編よりも,序盤から選択肢が豊富なようだ。なお,同じワールドでも訪れる主人公によってイベントが細かく変化し,また同じ主人公でも周回プレイでは展開が変わるらしい。
選択肢が多すぎて少し迷ったものの,次に選んだ扉の先には砂に覆われたワールドがあった。この世界では朽ち果てたビルの合間に巨大な戦闘用機械の残骸が横たわり,人々はそのスクラップを住まいとしている。ここでの案内役は,言葉を話す案山子(カカシ)だ。
かつて,この場所ではどんな戦いが繰り広げられていたのか。戦争の痕跡を辿るD5たちは,いつしか世界を見舞った皮肉な運命を知る。
筆者が選んだ扉はどちらもSF風のワールドだったが,「技術文明の存在可能性が5%未満」「海洋域が95%以上」といった扉もあり,D5編はプレイヤーによってだいぶ異なる経緯を辿ることになりそうだ。同じワールドでも序盤に訪れるか,終盤に訪れるかによって,変化があるかもしれない。
さて,最後にプレイしたのはアメイヤ編だ。主人公はミヤコ市にやって来た見習い魔法使い。魔精(マナ)を集め,故郷プールクーラの魔女試験に合格することが目的らしいが,あまりにもスタンダードな魔女っ子ものが始まって面食らう。
ただし,D5編に登場したコンスタンティンに似た「天界の男」が登場したあたりで雲行きが怪しくなる。「よく似ているが別人?」などと思っているうちにバトルが始まり,敗北したアメイヤは魔力を失ってしまう。
いきなりのピンチに現れたのがヴァッハ神。「サガ スカーレット グレイス」に登場した十二星神の1人であり,魔法の力を司る神だ。そんな彼女(?)がアメイヤのピンチを救い,用心棒のつもりなのか,自分のコピーを残していく。さらに魔女の従士である加藤,綱紀編にも登場したクグツのボウまでも仲間に加わり,奇妙なパーティが誕生した。
ともあれ,アメイヤは猫の姿をした「自分の魔力の断片」を集めていくことになるが,連接領域のスキャンして現れた行き先は1つだけ。その世界「グレロン」では,すべての人々が凍りついていた。
この世界で出会った少年・アレクサンドルは「一緒に人々を助けてほしい」とアメイヤに頼んでくるが,それに対して「グレロンの人を救うのは君の仕事」なんて答えることもできる。シリーズファンはこうした変な選択肢が大好物だろう。
アレクサンドルに手を差し伸べる場合は,人々が凍っていた間に見ていた「夢」の話を聞かされる。彼らの夢の中には1000年前に世を治めていた「最終皇帝」が出てきたといい,その時代の様子や出来事が断片的に語られていく。果たして,人々が凍ってしまった理由は? そしてアレクサンドルはなぜ凍らずに済んだのか。
グレロンのイベントを終えると,舞台はまたミヤコ市へ。アメイヤ編は前述の綱紀編やD5編と異なり,あちらこちらに連れ回されるリニアな展開が続いていくようだ。(少なくとも序盤は)行き先を選択できないだけに,想像もつかない出来事が待ち受けているのだろう。
タイムライン上の駆け引きと連携を組む楽しさが両立する新たなバトルシステム
本作のバトルは「サガ スカーレット グレイス」をベースにしており,1本のタイムライン上に表示された敵味方の行動順を参考に,プレイヤーは適切なコマンドを選択することになる。だが,「エメラルド ビヨンド」のタイムラインは12のコマに区切られ,技や術の「連携範囲」(緑の範囲)をつなげると「連携」が成立し,敵に通常以上のダメージを与える。ついに「スカーレット グレイス」の系統にも,連携が取り入れられたわけだ。
連携範囲は技によって異なり,1コマだけのもの,前後に範囲が広いもの,前後3コマが範囲になるものなど,さまざまだ。もちろん範囲が広い技や術ほど,連携に組み入れやすい。
また,連携に参加する人数を増やす,行動順が変化する技であとから連携に加わるなどの条件を満たし,連携率が150%を超えると「追加の連携」が発生することがある。これは200%を超えると確実に発生するので,高い連携率を狙っていきたいところだ。
ただし,敵もまた同じ仕組みで連携してくる。味方の連携ばかり考えていると,敵の技がタイムライン上で固まり,思わぬ大ダメージを受けてしまう。敵の連携を分断するように,味方の行動順を調整することも重要になる。
連携とは逆に,タイムライン上で前後2コマが空いた状態になるとそのキャラクターの「独壇場」が訪れ,単独で連続攻撃を繰り出せる。タイムラインは12コマしかないため,そのうちの5コマを専有できる機会はなかなか希少だが,敵味方の数が少なくなると成立しやすくなる。
敵の行動順を遅らせる「バンプ」技,敵の行動の先手を取れる「インタラプト」技,味方に続く「フォロー」技といった特殊な技や,敵味方が倒されたときに生じるタイムラインの変化によっても,連携や独壇場が発生することがある。
「スカーレット グレイス」で生まれたタイムラインを使ったバトルの駆け引きに,それ以前の作品にあった連携を組み立てる面白さを融合させたのが,本作のバトルシステムだ。まだ長時間プレイしたわけではないが,シリーズの集大成となる楽しさを予感させる。
また,キャラクターの種族も「人間」「モンスター」「メカ」「クグツ」「魔具使い」などがあり,各種族の成長方法や戦い方も楽しめそうだ。
とくに綱紀編などに登場するクグツは,戦闘中に見た技をそのままコピーする「写し身」による技の習得が可能。敵が強力な技を使うほどうれしい(コピーできる可能性があるため)という,不思議な感覚を味わえる。
本稿では綱紀編やD5編,アメイヤ編の序盤,バトルを紹介したが,発売の直前にはさらに踏み込んだプレイレポートを予定している。
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