プレイレポート
[プレイレポ]ペラペラなマリオがペラペラな世界で大冒険。「ペーパーマリオRPG」の独特の世界と丁寧なつくりのコマンドバトルをSwitchで体験
2020年7月に完全新作としてリリースされた「ペーパーマリオ オリガミキング」以来の新作は,2004年に登場した同名のニンテンドーキューブ向けタイトルのSwitch版だ。発売前にプレイできたので,ゲームの内容や特徴を紹介しよう。
「ペーパーマリオRPG」公式サイト
雰囲気はそのままに,今のゲームとして遊びやすく――およそ20年を経てペーパーマリオRPGが帰ってきた
物語の発端は,およそ1000年前のとある海岸にあった街にある。大きな城があるその街は,とても栄えていたが,突然の災いにみまわれ一夜にして地底に沈んでしまったという。
と言ってもそれははるか昔の話。今は街の跡地に人々が集い,ゴロツキタウンという新たな街が生まれていた。その名のとおり,荒くれ者や無法者たちが集うこの街では,地下にある旧市街に眠る財宝の伝説が語り継がれている。
そんなゴロツキタウンにやってきたのがピーチ姫ご一行。旅の途中でこの街を訪れたピーチ姫は,怪しげな露天商に声をかけられ,そこで財宝の在りかを示す魔法の地図を手に入れる。
宝を探すため,マリオとルイージを誘うピーチ姫だったが,同じく宝を狙っていた謎の組織にさらわれてしまう。はたしてマリオたちは,ピーチ姫を救い出し,そして財宝を見つけられるのだろうか……。
シリーズ最新作「オリガミキング」のように,近年は謎解きや探索要素が強めなアドベンチャーゲームとして展開していたペーパーマリオシリーズだが,タイトル名のとおり本作は“RPG”。アクションゲームのマリオのようにステージを進めながら,次々と発生するイベントをクリアしていく。
その感触は,今となってはどこか懐かしい,安心して遊べるオーソドックスな仕組みだ。
各ステージは劇の「第一幕」「第二幕」のような意味合いにもなっていて,「ファンタジー世界でのドラゴン退治」「闘技場で繰り広げられる闘いと陰謀」という具合に,それぞれのステージごとにテーマの異なるお話が描かれるのも特徴となっている。
ストーリーには,どことなく往年の名作映画などを思い出させるものが多く,このあたりの“小ネタ”も楽しい。
ゴロツキタウンは少々複雑な構造になっており,各ステージでの冒険を終えるたびに“次のステージへの道”を探すことになる。
一度ステージに入ってしまえば,以降はよどみなく進められるが,その前に街をしっかりと探索する必要があるので,なかなかのやり応えがある。
「次のステージのアタマだけ見て中断しよう」などと思うと,気がつけばがっつり探索して時間がすぎていた……なんてことにもなりがちだ。
また,謎を解いて先に進むための手段もさまざまある。
「紙飛行機に変身する」「体の向きを変えて細い隙間を通る」「仲間にキャラや背景を吹き飛ばしてもらう」といったように,ペーパークラフト風な世界を生かしたアイデア満載だ。
これらは冒険を続けていくうちに少しずつ増えていくので,すでに探索済みの場所も,もう一度訪れていろいろ試してみよう。
そして,キャラクターたちのかわいらしさも本作の大きな魅力のひとつ。セリフだけでなく,表情や身振りもこまやかに生き生きと描かれている。セリフにふりがなもあるので,小さな子どもでも飽きずに物語を楽しめるはず。
さて,個性的で多種多様なキャラクターが登場する本作だが,オリジナル版を知る人はカゲ3人組の描写が気になるところだろう。
実際どうなっているかは自身のその目で確かめてほしいが,オリジナル版の設定は変えず,絶妙な気配りの言葉選びで3人の関係性を描いているという印象だ。
続いてはバトルについて。マップ上を歩いている敵や待ち伏せしている敵に触れるとバトルスタートだ。攻撃方法は大まかに2系統に分かれており,敵の種類に合わせて「ジャンプで踏む」「ハンマーで叩く」を使い分ける必要がある。基本的に飛んでいる相手はジャンプ,トゲの生えている相手にはハンマーが有効だ。
これらの攻撃は,タイミングよくボタンを押すことでさらに効果がアップする。コマンドを選んだあとも,戦う姿を眺めるのではなく,しっかりマリオの動きを見てボタンを押そう。
敵が攻撃してきたときは,ダメージを軽減する「ガード」と,攻撃を無効化したうえでカウンターをくりだす「スーパーガード」をうまく使い分けることが重要だ。それらもタイミングよくボタンを押して実行する。
スーパーガードはタイミングはシビアなものの,防御力の高い相手にダメージを与える手段にもなるのでとても便利だ。使いこなせるようになると,強敵相手でもスムーズにバトルを進められるはず。
ただ,失敗すればノーガードで攻撃を受けることになり危険も大きい。敵の動きを覚えるまではガードで防ぎ,その後はスーパーガードでも対応するというように,両方を活用するのがベターだろう。堅実にガードだけに徹するのもひとつの「正解」だ。
戦いは,バトル画面に入る前から始まっている。フィールドにいる敵をジャンプで踏む,またはハンマーで叩けば先制攻撃になるからだ。この先制攻撃と,タイミングよくボタンを押して行う攻撃&防御を駆使することで,ダメージを受けず一方的に敵を倒すことも不可能ではない。
このほかFP(フラワーポイント。いわゆるMPのようなもの)を消費して行う「ツギツギジャンプ」「レンゾクジャンプ」といった技の使い方や,「クリスチーヌ」「ノコタロウ」などのバトルのメンバーの使い方も勝敗を左右する。
あちこちで手に入る「バッジ」を装備すれば,バトル中に使える技が増えたり,仲間たちの能力が強化されたりする効果によってバトルを有利に進められる。バッジ探しにも力を入れたいところだ。
敵のデータを調べて戦い方のヒントをくれるクリスチーヌ |
ノコタロウは地上の敵を一気に攻撃できる |
そして,各ステージのラストに待つボスたちとの戦いもみどころのひとつだ。舞台からはみだすぐらい大きなドラゴンのゴンババの顔。いったいこのあと,なにを仕掛けてくるのだろうか……?
敵の幹部・ペケダーの乗るロボットの両腕が切り離され,攻撃の機会をうかがっている。こんなとき,マリオならどんな方法で対処する?
……このように,個性的でインパクトのある顔ぶれが待っている。さまざまなアクションやテクニックを駆使しながら挑んでほしい。
タイミングよくボタンを押してバトルを有利に進める。その完成度をさらに高め,演出などで視覚的にも分かりやすく,楽しみやすく仕上げられたのが,このペーパーマリオRPGだ。
今のゲームとしての遊びやすさや表現の調整が行われている部分があるが,基本的な物語の内容や作品の雰囲気はオリジナルのゲームキューブ版と変わらない。当時プレイした人には,懐かしい気持ちでゲームを進められるだろう。
初めてプレイする人には,少し(だいぶ?)変わった雰囲気の世界や物語を,これまた独特のゲームの仕組みとともに楽しめるはず。とにかくよく動くキャラクターたちもかわいいので,ひとつも見逃さないという心構えでプレイしてほしい。
アクションのスーパーマリオシリーズとはひと味もふた味も違う,ペーパーマリオの世界に飛び込んでみよう。
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