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KONAMIはWeb3の何に可能性を感じ,どのような目的でNFTマーケットプレイス「リセラ」を運営しているのか
KONAMIのNFTマーケットプレイス「リセラ」をテーマとした本セッションでは,最初にコナミデジタルエンタテインメントWeb3事業部 部長 金友 健氏が登壇し,Web3に感じる可能性とは何か,リセラは何を目的として作られたかを語った。
金友氏によると,NFTの可能性は「つながる」ということだと話す。それには2つあり,1つはリアルとデジタルという,2つの経済圏におけるサービス同士のつながりだという。
例えば,Web3によってNFTが共通の価値として利用できるようになったり,お金としてステーブルコインが共通で使えるようになったりといったところだ。そのゲートの役割となるウォレットも,最近は使いやすいものが多く出てきているのだという。
とはいえ,現状それらはまだまだ分断されているが,いずれは密接につながって,国や地域を越えた大きな経済圏として巨大な1つになっていくのではないかと金友氏は述べた。
もう1つの「つながる」の可能性として,NFTの使い道の広がりかたについて語られた。
ゲームのなかで使えるNFTが,普段の生活で使用するコンビニなどで何かしらの形で活用できる。アイドルもののゲームであれば,アイドルの会員権をNFTにすることでゲーム内とリアルで相互利用できる。そういった形で,NFTは生かせるのではないかという話だ。
IVS2024 KYOTOのようなイベントで言えば,来場者パスで会場近辺の飲食店の支払いが10%割引になるといったものがあるが,金友氏はそういった施策に近いと説明した。
では,これまでにあったそれらの施策と何が違うかと言うと,ユーザーの行動が履歴に残ることだという。履歴が残ることで,その人物がどれだけそのサービスを使用し,産業地域に貢献してくれているのかが可視化されることになる。そうなれば,いくらお金を使ってくれたかだけではなく,「その産業地域で大切にすべき顧客なのか」が見えてくるわけだ。
例えばこれまでは口コミで盛り上げてくれた“誰とも分からない人物”を,サービスを行う側は履歴から知ることができ,精神的な報酬としてウォレットで感謝を伝えられるようになる。それによってエンゲージメントも高まり,ファンの活動も増えていくだろうと金友氏は述べた。
このように,アイデア次第で新しいユーザー体験を生み出せる可能性のあるものとして広がりを見せているWeb3だが,一方でウォレットや暗号資産,ガス代(手数料のようなもの)といった知識が必要で,ハードルが高いと感じる人もいるだろう。
そこで,「Web2ライクな口コミで,Web3の体験だけを提供できないか」という考えのもと作られたのが,デジタルアイテムの発行・管理などをAPIで提供するNFT提供ソリューション「リセラ」だ。
例えば,とあるゲームのアイテムボックスに入っているキャラクターを出品したい場合,そのキャラクターを選択すると表示される出品ボタンを押すだけで,マーケットプレイスに出品できる。
マーケットプレイスには円で出品でき,売れたときのお金はそのまま日本円で出金が可能だ。それらの取引は,リセラによってゲームの裏側で進められる。つまりプレイヤーは,ウォレットや暗号資産,ガス代といった要素に一切触れずに済むということだ。
ゲーム開発側にも,このAPIさえ組み込めば,よく分からないブロックチェーンのことを考えなくてもゲームを制作できるというメリットがある。KONAMIとしてはゲームに限らず,あらゆるサービスで広くリセラの機能を開放したいと考えているそうだ。
金友氏はリセラについて,「自分達のために作ったので,これで儲けようとは思っていない」と話す。サービスのための実費がかかるぶん無償というわけにはいかないが,安価でのサービス提供はできるのではないかと考えているようだ。
なお,KONAMIは6月20日に,企業や団体向けにリセラの機能を開放すると発表している。
続いて,コナミデジタルエンタテインメントWeb3事業部ディレクターの栄花卓郎氏,Ava LabsのJapan Team Solution Architect 井上大悠氏の2人が参加し,開発現場の取り組みや苦労したところなどを説明した。
企業・団体向けのリセラの開放が発表された際,ブロックチェーンにAva Labsが提供する「AVALANCHE」が採用されることが伝えられている。
その採用理由について栄花氏は,いろいろな理由があるとしつつ,なかでも「安定した処理速度」「正確にはファイナリティ」という,チェーン上で確定情報になるまでの安定感のある仕組みが決め手の要素となったと話した。
チェーン間の通信も特徴の1つで,いま使う仕組みというわけではないものの,将来的に役立つのではないかと考えているそうだ。
一番推したいAVALANCHEの特徴を聞かれた井上氏は,「全部」と答えつつ,そのなかでも「熱い思い,ビジョンの共有」だと語った。
Ava Labsの日本のチームは熱い人が多いそうで,例えば短期的な目線のプロジェクトを提案されても,もっとユーザーが根付いて長期的に安定した利益が出せるような,さらにその先のビジネスを一緒に作っていくという心持ちでサポートしているのだという。
続いて,「リセラで何を解決したかったのか」といったテーマが提示された。
そもそも栄花氏はゲームを作りたかったそうだが,いざ作ってみようと思ったときに,いろいろと壁があったという。
その壁を取り払う,解決するためにリセラを作ることになるのだが,解決すべきもの大きく分けて3つあったという。本セッションでは,そのなかの1つ「各サービスが統合されていない」を例に,課題への取り組みと解決について語った。
栄花氏は,Web3と言われて,当初は何から始めていいか分からなかったという。
ウォレットやマネーロンダリング対策など,とにかくいろいろ分かれているため,それぞれのソリューションを探し回っては挑戦して……をしなければならないことが大きな壁になったそうだ。そこで,すべての要件を1つのパッケージで満たす「All in One Package」としてのリセラを制作することに至ったという。
井上氏は,そんなリセラが世界で戦えるレベルであり,世界でサービスを展開していくうえで,「今までの日本のブロックチェーンサービスが到達できていない,最高のパーツのセレクトができている」と評価する。
また,ウォレットの選定にあたって,どのプラットフォームでも使えるというものであることを意識したと話す。スマホはもちろん,コンシューマゲーム機,ゲームセンターの筐体,何ならATMや冷蔵庫からでもアクセスできるウォレットを用意したことが面白いところだと感じているとのこと。
さらにリセラの面白い部分として,会社が独自で持っているアカウントシステムのアカウントでログインできるようになっているところを挙げた。
現在は基本的にKONIMI IDを使う仕様になっているが,機能的にはリセラのユーザーである会社それぞれが使用している(リセラに対応した)IDでもウォレットは使える。井上氏はそれに対応してほしいと要望を述べていた。
金友氏は,「(自身は)『やる』と言っているので,あとは実際にそれをやるのは栄花氏」と冗談を交えつつ,「そのあたりも含めていろいろな可能性を考えている。まずは今できることをサービスしていき,徐々にアップデートしていくことを考えている」と,今後のリセラの運用について考えを述べた。
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