インタビュー
[インタビュー]地球防衛軍のお祭りゲーム「デジボク地球防衛軍」シリーズはどのようにして生まれたのか。そこには挽回を誓う不退転の覚悟があった
2020年に「ま〜るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS」(PS4 / Switch / PC)が発売された後,2024年5月23日には最新作「四角い地球に再びシカク現る!? デジボク地球防衛軍2 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS」(PS5 / PS4 / Switch 以下,デジボク地球防衛軍2)が発売された。
デジボク地球防衛軍シリーズは,無数の巨大生物をブッ飛ばす「地球防衛軍」の楽しさはそのままに,ボクセルスタイルのグラフィックスや4人のキャラクターをリアルタイムで切り替えて戦うシステムなど,ナンバリング(※)との差別化が図られている。
※記事中でのナンバリングはサンドロットの手掛ける「地球防衛軍」シリーズを指す
今回は「デジボク地球防衛軍2」発売から1か月後のタイミングで開発陣にインタビューを実施,シリーズの開発がスタートした経緯や最新作について語ってもらった。
岡島信幸氏(ディースリー・パブリッシャー)
地球防衛軍シリーズのプロデューサー。デジボク地球防衛軍シリーズでもプロデューサーを務める。
上野尚澄氏(ユークス)
デジボク地球防衛軍シリーズのクリエイティブディレクター。ゲームコンセプトやシナリオの原案,アートディレクション,ボクセルキャラクターのデザインなどさまざまなセクションに携わっている。
小林 剛氏(ユークス)
デジボク地球防衛軍シリーズのリードプログラマー。敵の制御や操作感の調整などを担当。
播磨正樹氏(ユークス)
デジボク地球防衛軍シリーズのゲームデザインディレクター。武器,ブラザーのデザイン,テキストを担当しており,デジボク地球防衛軍2からはシナリオ中のセリフも執筆。
ナンバリングとの差別化を意識し,不退転の覚悟で挑んだデジボク地球防衛軍
4Gamer:
よろしくお願いします。まずはじめにデジボク地球防衛軍シリーズの開発がスタートした経緯について聞かせてください。
岡島氏:
その経緯を説明するには,まずユークスさんに開発をお願いして2019年に発売した「EARTH DEFENSE FORCE: IRON RAIN」(以下,IRON RAIN)の話をした方がいいですね。
4Gamer:
お願いします。
岡島氏:
2010年くらいから弊社には,地球防衛軍のナンバリングと同じくらいの看板タイトルを作りたいというテーマがあり,いろいろと模索を続けていたんです。IRON RAINも,そういった模索の中で生まれたタイトルで,地球防衛軍シリーズでユークスさんとのお付き合いが始まりました。
4Gamer:
なるほど。
岡島氏:
しかし,残念ながらIRON RAINに関しては「ナンバリングと違う」「これでは地球防衛軍ではない」など,コアなユーザーから厳しいご意見をいただくことになりました。我々が地球防衛軍シリーズを広げようとIRON RAINで変えた部分が,ロイヤルユーザーの方たちに受け入れられなかったんです。
4Gamer:
ナンバリングの人気が高いがゆえのことですね。
岡島氏:
その時,ユークスさんには本当に申し訳ない気持ちで一杯だったんです。彼らの開発能力が高さは私自身がよく知っていましたし,なんとかもう一度地球防衛軍のお仕事でご一緒したい,このままでは終われないと思っていました。
そうした過去の反省を踏まえ,再びユークスさんにお願いしたのがデジボク地球防衛軍でした。
上野氏:
IRON RAINについて厳しいご意見があったのは我々も認識していましたので,デジボク地球防衛軍の開発は,ユーザーからいただいた意見をリスト化して,そこを直していくところからのスタートでした。
IRON RAINでの「ここが良くない」という指摘はすべて伸びしろとも考えられます。我々としては,血の涙を流しながら皆さんからのフィードバックをチェックし,「次こそは!」という覚悟の元で作っていきました。
4Gamer:
ボクセルグラフィックスでコミカルなデジボク地球防衛軍が発表された時は非常に驚いた記憶があります。ボクセルのアートスタイルは誰からの発案だったのでしょうか。
岡島氏:
私の発案です。地球防衛軍シリーズもファンの年齢層が上がってきており,新規を取り込むことが大事であると考えていたのですが,ナンバリングシリーズをマイルドにするというのも難しいところがあります。
そうした中,低年齢層に受け入れられているボクセルスタイルのゲームに着目しました。IRON RAINは,海外展開を狙ってフォトリアルな方向になりましたが,ナンバリングと徹底的にビジュアルを差別化したボクセルスタイルのものも面白いのではないかと。
4Gamer:
ボクセルのグラフィックスは新規層に向けたアプローチだったんですね。
岡島氏:
はい。そうしたうえで,コンセプトを歴代地球防衛軍に出てきたすべての兵科や敵が出てきたお祭りゲームにしようと考えました。これなら新規層にアプローチしたうえで,コアなユーザーの方にもファンアイテムとして満足いただけるものになると考えました。
4Gamer:
ユークスの皆さんはボクセルスタイルのグラフィックスを採用するというのを聞いてどう思いましたか。
上野氏:
いやあ,驚きました。弊社は「WWE」や「UFC」(※)といったリアルな人体の3Dゲームを作ってはいましたが,ボクセルスタイルのゲームは作ったことがありませんでした。
描き込むのではなく,どこを引いて簡略化するかという話になるので,デフォルメされた人体というのは,ある意味リアルなものを作るより難しいんです。まずは使用するツールを選ぶところから手探りの状態でした。
※アメリカのプロレス団体「WWE」(World Wrestling Entertainment)と,総合格闘技団体「UFC」(Ultimate Fighting Championship)のオフィシャルゲーム
4Gamer:
グラフィックスだけでなく,テキストのノリもナンバリングとは違いますよね。地球防衛軍のメタネタがいろいろなところに散りばめられているほか,ブラザー同士の会話も軽快なものが多くある印象です。
播磨氏:
「地球防衛軍のネタやメタな発言をガンガン入れよう」というお話は岡島さんの方から提案いただいたものですね。
企画の初期段階でもらったコンセプトアートには「あの建物はなんで壊れないんだ」「あれは文化財だから,大人の事情で壊れないんだ!」なんて吹き出しがあったくらいで,オフビートなギャグものでいこうということは最初から決まっていました。
4Gamer:
ブラザーたちの個性も相当に立っていますよね。「ウイングダイバー(EDF4)」なんて京都弁で面白いことをしゃべるうえに,空を飛ぶ兵科なのに本人は高所恐怖症という。
上野氏:
ブラザーの設定や武器の説明文,シナリオについては,私と播磨が書いているんですが,播磨は濃い味が大好きな男なので,あの辺のキャラづけは大体彼の仕業ですね。私は彼が出してきたカルピスの原液のような設定を水で薄めていくような作業をしていました(笑)。
播磨氏:
ナンバリングは素晴らしいテキストやセリフ回しが魅力的なので,デジボク地球防衛軍でも力を入れた部分になります。私自身映画マニアなこともあって,今まで観たいろいろな映画の登場人物の断片が心の奥底に転がっていました。それを何とか引っ張り出し,期限ギリギリまで考え抜きました。
4Gamer:
テキストはナンバリングに負けず劣らず見ていて楽しいものが多かったです。デジボク地球防衛軍発売後,ユーザーからの反応はいかがでしたか。
岡島氏:
発表当時は懐疑的な目で見られる方が多かったですね。私はIRON RAINを決して悪いゲームだとは思っていないんですが,コンセプトをユーザーの皆様に伝えきれなかった反省はありました。だからこそデジボク地球防衛軍の評判については気にしていましたし,このタイトルで挽回をしたいと考えていたので。すごく美化すると,まさに不退転の覚悟でした(笑)。
発売後は非常に好評で,懐疑的な発言をされていたユーザーも,実際にゲームを遊んでみて「面白い」という反応をいただけました。ようやくIRON RAINからの悲願がかなったので,本当に嬉しかったですね。
ファンの開発陣がつくり上げた“地球防衛軍の公式お祭り同人ゲーム”
4Gamer:
デジボク地球防衛軍にはEDF隊員以外にも,世界各国から個性的なキャラクターが「ブラザー」「シスター」として登場しますが,あのアイデアはどこから生まれたのでしょうか。
上野氏:
実は,当初は世界各地のエッセンスを取り入れたキャラクターを出す予定ではなく,「武器自体をキャラクターにしよう」というコンセプトからスタートしているんです。
これは,低年齢層のプレイヤーの方にもさまざまな武器の違いを分かりやすく伝えるためのアイデアでした。今でこそ低年齢層にもシューターが流行しているので,その心配はないのですが。
播磨氏:
“武器の擬人化”というアイデアを考えるうえで,ヒントになったのがナンバリングの「フェンサー」です。フェンサーの近接武器はサイドスラスター,火砲はジャンプブースターというように,装備する武器とアクションが一体になっているんです。
それを真似て,武器,アクション,キャラクターを1つのパッケージにすれば,武器の擬人化が表現できるのではないかと思ったんです。
4Gamer:
結果的に,製品版では武器の擬人化ではなく,各キャラクターは世界各国の文化をブラザー,シスターという形で登場しています。こちらを取り入れようと思ったのは,なぜでしょうか。
播磨氏:
ナンバリングとの差別化を図るうえでは,ボクセルのグラフィックスという要素だけではなく,もう1つ何か大きなスパイスが必要だと感じたからです。地球を守るという大テーマに立ち返って新要素を考えた末,世界の国々をイメージしたブラザーという案に至りました。4人の仲間を切り替えつつプレイする「ブラザーチェンジ」のシステムとも相性が良かったと思います。
4Gamer:
ブラザーを作る際はキャラクターの設定から作っていくのでしょうか,それとも性能から決めていくのでしょうか。
播磨氏:
性能やパラメータを先に決めます。まずはキャラクターを象徴するオーナー武器を決めて,そこから移動補助技のムーブアビリティや必殺技のスペシャルを考えていきます。
その段階で武器,スピード,特殊能力にそれぞれ1〜10の数値を割り振ってパラメータを固めます。それからパラメータに合致するキャラクターを肉付けしていくという感じです。
4Gamer:
パラメータという数字から,あれだけ賑やかなブラザーたちが作られるというのも驚きですね。どのように国のイメージに当てはめていくのでしょうか。
播磨氏:
パラメータの傾向から,国を決めて,その後にビジュアルを決めていく感じですね。例えば移動スピードのパラメータが高いなら陸上競技が強いジャマイカのブラザーにしよう……という流れですね。
パラメータがあてはめやすい数値でない場合もあるので,そういう時は国+別の属性をのせてパラメータのイメージに近いブラザーを作っていました。例えば,「マーライオンブラザー」は,マーライオンに加えて特撮ヒーロー的な属性を乗せています。
上野氏:
だんだん困ってくると,その国の伝統的な物を置いて爆発させたりしてましたね。オランダの「チューリップシスター」は,チューリップを爆発させて攻撃しますし,ドイツの「フランクフルトシスター」もソーセージ型の時限爆弾を爆発させて攻撃します。
4Gamer:
早期購入特典となっている「エアレイ先輩」の「寿司空爆」もそうですよね。デジボク地球防衛軍の特徴的なシステムであるブラザーチェンジについても聞かせてください。こちらはどの段階から構想にあったのでしょうか。
上野氏:
ブラザーチェンジは,企画の最初期からありました。ナンバリングをプレイしているときに「今だけウイングダイバーになりたい!」というシチュエーションがあると思うんですが,お祭りゲームの地球防衛軍なら,そういう要素を組み込んでもいいじゃないかと思って入れた形になります。
4Gamer:
ただ,ここまで都合良くキャラクターを切り替えられると,1人のプレイヤーですべてが完結してしまうので,マルチプレイの意味が薄れてしまうという懸念もあったと思うのですが。
上野氏:
デジボク地球防衛軍は若年層にとってシリーズの入門編という役割がありますので,初心者のユーザーがいろいろと試して自由に遊んでもらえるといいのかなとは思っていました。ただ,ブラザーチェンジにしても無制限ではなく,最低限の制限は掛けています。
例えば飛行を持つキャラクターのエネルギーが空中で回復しないのは,ナンバリングシリーズとは違った挙動です。これは,飛行系のキャラクターでチームを組み,切り替えていけば無限に飛び続けるということを防ぐためにこのような形を取らせてもらっています。
小林氏:
最終的には,“4人チームの誰かが着地した状態でないと飛行エネルギーが回復しない”という挙動になりましたね。実はこのプログラム,作るのが結構難しくて苦労した記憶があります。
上野氏:
小林には,地球防衛軍シリーズのキャラクターを異なるシステムで再現するために,いろいろなところで苦労してもらった記憶があります(笑)。
4Gamer:
プログラムで特に大変だった部分はありますか。
小林氏:
敵が建物の表面を這い回る際の姿勢制御は大変でしたね。建物の面に合わせると動きがガクガクになりますから「これを滑らかに歩くってどうやるんだろう……」と悩み続けていました。
あとは「ドラゴン・センチピード」(ムカデのような巨大生物)の制御はかなり大変でしたね。ドラゴン・センチピードのモチーフになっているのは百足(ムカデ)ですが,まさか本当に百匹の怪物が連なっているとは思いませんでした(笑)。
4Gamer:
デジボク地球防衛軍は,ナンバリングシリーズに出てくる敵やビークルの挙動も非常に良く再現されていると思ったのですが,こちらは資料など元に作ったのでしょうか。
小林氏:
いえ,特に資料はなかったので,上野や播磨のプレイ動画をアニメーターがフレーム単位で解析していきました。
4Gamer:
え,それは目コピということですか。
上野氏:
はい。ですからデジボク地球防衛軍の開発は,まずナンバリングシリーズのクリアデータを作るところから始まっています。
細かいところだと「ダロガ」の爆発するレーザーは弾が青色で,爆発の瞬間だけ黄色い光になりますが,こちらはデジボク地球防衛軍でもしっかり再現しています。ナンバリングシリーズをフレーム単位で解析して,ボクセルの世界に落とし込んでいます。
4Gamer:
再現へのすさまじい執念を感じますね……。
上野氏:
もともと開発チームにナンバリング地球防衛軍のファンが多く,デジボク地球防衛軍はいわばファンが作った“地球防衛軍の公式お祭り同人ゲーム”みたいな感じなんですよね。かくいう私もサンドロットさんのゲームは,地球防衛軍のご先祖様的なタイトルからずっと楽しくプレイさせていただいています。
播磨氏:
私も地球防衛軍シリーズは大好きで,IRON RAINの開発ときに別プロジェクトから合流した形になります。
上野氏:
播磨は恐ろしい男なんですよ……。IRON RAINを作り始めたころに,どこからか地球防衛軍を作っているらしいことを聞きつけて,いきなり私に「上野さんが今やってるプロジェクトって,ライサンダー(※)は出るんですか」と尋ねてきたんですよ。
※シリーズ名物のスナイパーライフル。デジボク地球防衛軍でも登場し,持ち主の「陸戦兵(EDF2)」はライサンダーのスラング名「礼賛(らいさん)」を冠したと思しきスペシャル「礼賛の刻!」でこれを強化する
4Gamer:
鎌をかけてきたんですね(笑)。
上野氏:
そうなんですよ(笑)。いきなりそんなことを聞かれたもので,心の準備ができていない私は「ライサンダー“は”出ないよ」とつい口を滑らせてしまったんです。そこで,知られてしまったからには,“こっち側”に来てもらうしかないと思って彼を引き抜いたんですよね。
播磨氏:
どうしても気になって聞いてしまったんですよね。こうしてデジボク地球防衛軍2まで携われたので,開発者としては嬉しい限りです。
さまざまな要素をパワーアップさせたデジボク地球防衛軍2。DLCでは同じ時系列で起こった別のドラマを描く
4Gamer:
さて,デジボク地球防衛軍が好評を博し,デジボク地球防衛軍2の開発がスタートしたわけですが,前作から改良しようとしたポイントについて教えてください。
上野氏:
デジボク地球防衛軍では「ボリュームが足りない」というお声をいただいていたので,まずはミッションとブラザーの数を100以上にしようというところからのスタートでした。
開発のコンセプトとしては“協力”を挙げています。
ストーリー面では,主人公ともう1人のキャラクターが協力するバディものにする。そして,システム面ではオンラインプレイ環境をナンバリングシリーズに近づけ,出撃済みのルームを見えるようにしたり,プレイ中のチャットでビーコンを置いたりできるなどの改良を加えることにしました。
4Gamer:
ストーリー面については特に進化していた印象です。連続ドラマを一気見するような感覚があり,中盤以降は続きが気になってゲームの止め時がなかったです。
播磨氏:
デジボク地球防衛軍2では,岡島さんから幅広い層に向けたシナリオをしっかりやりたいというお話があり,環境問題をテーマにしたシナリオにしようということが決まりました。デジボク地球防衛軍は“地球がバラバラになる”外的要因と戦う話でしたが,続編では,“人間が引き起こした環境問題に地球が怒っている”というように差別化しました。
デジボク地球防衛軍では“地球がバラバラになる”というコンセプトを提案させていただいたんですが,これは1ピースずつ地球を直していくという進捗の分かりやすさに加えて,当時はブレグジットを始めとして世界中で“分断”を感じるようなニュースが多かったことにも影響を受けています。
4Gamer:
メインシナリオを書くうえで大切にしていたことはありますか。
上野氏:
昔からナンバリングの「地球防衛軍」のシナリオはすばらしいものだったので,“プレイヤー自身が英雄になる”というテイストは取り入れなければならないと思っていました。
デジボク地球防衛軍2で私は主人公・ミナトススムの成長を描きましたが,これは「地球防衛軍5」で新人が認められて英雄になるという流れをモチーフにしたものになります。
あと,これは私の理想みたいなものなんですが,「人類が協力すれば,どんな宇宙人が来たって負けないはずだ」「地球のみんなが協力し合えばもっといい世界が訪れる」という思いをこめて書かせてもらいました。
4Gamer:
なるほど。
播磨氏:
シナリオはまとめるのに結構揉めましたよね。
上野氏:
私と播磨でかなりケンカしましたね。4案作ったものを2案にまで絞り込み,最終的には2つの案の良い所をつなぎ合わせることになりました。
岡島氏:
突然上野さんからシナリオが2本送られてきて「岡島ァ,どっちか選べや」なんてこともありましたね(笑)。
上野氏:
ミナトススム役の小野賢章さん,ネオン役の大本なな子さんをはじめ,多くの声優さんたちの素晴らしい演技のおかげもあって,ユーザーからの反応も良かったようなので,苦労した甲斐がありました。
4Gamer:
そういえば,今回は「地球防衛軍6」モチーフのブラザーや敵もいますが,開発は「地球防衛軍6」がリリースされた後に始まったのでしょうか。
岡島氏:
開発期間は両タイトルとも少し被っているような状態ですね。地球防衛軍6が発表された2020年6月時点では,まだ1作目のデジボク地球防衛軍の開発中で「2」の開発は始まっていなかったと思います。その後デジボク地球防衛軍2の開発がスタートした時点でもユークスの皆さんは,どんな敵が出てくるかを公表されたものしか知らない状態でした。これは地球防衛軍6が発売されるまで続いたと思います。
4Gamer:
ユーザーとほぼ同じタイミングで情報を知っていったということでしょうか。
上野氏:
はい。ただ,地球防衛軍6のキャラクターや敵は,デジボク地球防衛軍2に不可欠で,どうしても入れたいと思っていたので,必死にプレイするところから始まりました。
小林氏:
擲弾兵やスキュラなど個性的な挙動の敵が多かったですが,なんとか諦めずに実装できて良かったと思っています。
4Gamer:
地球防衛軍6のキャラクターが実装されていることに加えて,今回は各キャラクターに,ムーブアビリティとサポートアビリティが追加されたことも目玉の1つだと思います。こちらはどのように調整していったのでしょうか。
播磨氏:
アビリティを増やすかどうかはかなり悩みました。本作は,ブラザーチェンジを駆使して要所要所でキャラクターを切り替えることが遊びにつながっているので,何でもできすぎると,それはそれで問題なんです。
ただ,やれることが多い方がユーザーとしては楽しいのは間違いないので,調整やデバッグは大変だけどやろうということになりました。
上野氏:
ポジティブに見るのであれば,アビリティが増えたことでバランス調整がしやすくなったとも考えられます。同じアビリティを複数のキャラクターが持っていても,強弱で個性づけをしたり,もう1つのアビリティで色を出せたりするわけですから。
播磨氏:
例として挙げるなら,ウイングダイバーたちが分かりやすいですね。ウイングダイバーの4人はムーブアビリティは同じ飛行なんですが,デジボク地球防衛軍2では,サポートアビリティを差別化することで個性づけをしやすくなりました。
岡島氏:
自分の使っているキャラクターの能力が低いと感じると「ほかのキャラクターはこんなに強いのに,ずるい」というお声も出てきます。
これはユーザーがデジボク地球防衛軍というコンテンツを自分たちのものだと認識して下さっているからこそ起きることです。なので,我々としてはそういったお声にできる限り応えていきたいなと。
4Gamer:
とはいえ,アビリティが増えた分,組み合わせによっては予期せぬ挙動が起きることもあったかと思うのですが。
上野氏:
そこは我々が地道に潰していきました。すべてのブラザーのアビリティの組み合わせは試したので,恐らく妙なことは起こらない……だろうという状態です。もしかしたら予期せぬ挙動が残っているかもしれませんが,そこは申し訳ありません。
小林氏:
個人的には,ユーザーがキャラクターや武器など,いろいろな組み合わせを試して「こんなことができた!」と報告して下さるのはすごく嬉しいです。
やれることが多いがゆえに,とんでもないことができちゃうかもしれませんが,そこも含めてイケイケなゲームとして楽しんでいただければいいんじゃないかとは思います。
4Gamer:
最後に今後展開予定のダウンロードコンテンツについて聞かせてください。DLCミッションではどのような物語が描かれるのでしょうか。
岡島氏:
DLCの追加ミッションでは,デジボク地球防衛軍2本編の物語と同じ時系列で起こった別のドラマが描かれていきます。本編が2時間半くらいの映画だとすると,追加ミッションはショートムービー的な感じでしょうか。本編を補足するような内容になっていますので,ご期待下さい。
上野氏:
DLCミッションについては播磨にディレクターを任せていたので,私が薄めることのない純度100%の濃さを楽しんでいただけると思います。凝縮されたストーリーと,技術的なチャレンジを盛り込んでいます。
播磨氏:
DLCミッションでは皆さん待望の新ビークルが登場します。デジボク地球防衛軍の世界では,最強と言っていいビークルになりますので,楽しみにしていて下さい。
4Gamer:
期待しています。ありがとうございました。
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