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「Brilliantcrypto」,ゲームを通じて価値を創出。仮想世界で採掘した「デジタル宝石」を売買し,“持続可能なPlay to Earn”の実現を目指す
上場企業としては初のIEO(Initial Exchange Offering。仮想通貨を発行する団体がトークンを上場させ,投資家から資金を集める)を行ったことでも話題となっている本作について,Brilliantcryptoの代表取締役社長である馬場功淳氏がビジョンを語ったメディア説明会の様子をお届けしていこう。
仮想世界で採掘した宝石を売買し,“持続可能なPlay to Earnの実現”を目指す
「Brilliantcrypto」は,コロプラの完全子会社Brilliantcryptoが開発するPC用ブロックチェーンゲームだ。本日(2024年6月17日)にリリースされた。プレイヤーは採掘者となり,様々なツールを駆使して鉱山でデジタル宝石を掘る。デジタル宝石はNFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)であり,同じものは一つとして存在しない。
デジタル宝石やこれを掘るためのつるはしなどが暗号資産「BRILトークン」(以下,BRIL)で取引される。5月には世界初とされる上場企業によるIEOが行われ,開始13分で目標金額の15億1200万円を達成したという。
4Gamerではプレイレポートを掲載しているので,こちらも参考にされたい。
[プレイレポ]鉱山を掘って宝石を集めるブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」でひたすら掘ってきた
コロプラの完全子会社Brilliantcryptoが2024年内に配信予定のブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」のクローズドβテストが,2023年12月26日から2024年1月17日にかけて行われた。鉱山を掘り,価値ある宝石(NFT)を見つけるという本作は,いったいどういったゲームなのかを紹介したい。
「Brilliantcrypto」はPlay to Earn=ゲームをプレイすることで収益を得られるというモデルのゲームだ。Play to Earnのブロックチェーンゲームは近年増えてきているが,BRILを扱うコインチェックは公式サイト(外部サイト)において「先行者が利益を得やすい仕組みになっており持続性に課題があると懸念されている」と指摘する。
そうした中で「Brilliantcrypto」は“持続可能なPlay to Earn”を目指していくという。この日はコロプラ 代表取締役会長/Brilliantcrypto 代表取締役社長の馬場功淳氏が登壇し,「Brilliantcrypto」のコンセプトやビジョンについて語っている。
馬場氏は,「Brilliantcrypto」においてはプレイヤーがデジタル宝石を採掘することで新たな価値創造を目指すと語る。このコンセプトは「Proof of Gaming(ゲームによる価値証明)」と呼ばれ,暗号資産「ビットコイン」をコンピュータで「採掘」して価値を創造した「Proof of Work」から名づけられている。
ものが価値を持つには保証されることが必要。例えば,お金は国が保証することで価値が認められている。ビットコインの保証は計算であり,これがProof of Workと呼ばれる。ここでWorkの部分をGamingとし,デジタル宝石を掘る手間がその価値を保証する仕組みとすれば,楽しくゲームをしつつ価値を保証できるのではないか,という発想から作られたのが「Brilliantcrypto」であるという。
馬場氏は「Brilliantcrypto」における「Free(自由),Fair(平等),Fascinate(美しい)」という概念を強調する。現実世界における宝石は,労働者が宝石を採掘しても自分ではなく鉱山主のものになるなど,一部の階級の人しか手にできなかった。しかし「Brilliantcrypto」では採掘された宝石やトークンは採掘者が手に入れることができる。これが「Free,Fair,Fascinate」の概念だ。
「Brilliantcrypto」の“鉱山”は人間が作り出すものである。エンジニアが宝石満載の鉱山を作り出すなどの不正が懸念されるが,「Brilliantcrypto」ではそうした行為は不可能であるという。
鉱山を提供するBrilliantcrypto側であっても,デジタル宝石がどこに埋まっているか分からないし,何らかの不正を行ったとしても“偽物”であると分かる特殊なアルゴリズムが用意されていると馬場氏は語る。
Brilliantcryptoがデジタル宝石を作って利益を上げるのは不可能であり,馬場氏自身が宝石を手に入れようとしても,採掘するしかない。
とはいえ,事業として「Brilliantcrypto」を運営していくにあたり,利益は必要になる……ということでデジタル宝石への投資ファンドが設立された。NFTの投資ファンドは世界初の取り組みであり,「Brilliantcrypto」のデジタル宝石の価値形成が行われていくという。ゆくゆくはデジタル宝石のハイブランドを作ることも視野に入っているそうだ。
手間があるからこそ,デジタル宝石に価値が生まれる。「Brilliantcrypto」への思いが語られたトークセッション
この日は「暗号資産市場の現在と未来 遊んで稼ぎ続けられる?!“持続可能なPlay to Earn”」と題したトークセッションが行われ,馬場氏とコインチェックの副社長執行役員※である井坂友之氏が「Brilliantcrypto」や暗号資産市場について語り合った。
※取材時は副社長執行役員だったが,6月12日付で取締役社長執行役員に就任している。
ここ数年,国がNFTやWeb3に対しての取り組みを行っており,状況は大きく変化している。これまで「Brilliantcrypto」のようなサービスは税制の関係から海外に会社を作って行うのが常であったが,国の取り組みによって日本国内でもリスク無くサービスできるようになったという。
とはいえ,ここまでの道のりは平坦なものではなかった。上場企業がIEOを行うには様々な壁を突破しなければならず,井坂氏は,そのためには「トップに強い意志とゲームへの理解が必要」とコメントし,馬場氏が掲げるビジョンと熱意に押されて「Brilliantcrypto」の監査を引き受けたのだという。
馬場氏がPlay to Earnのモデルに対するニーズを感じたのは「STEPN」が日本で盛り上がった際のこと。このブームでは,ゲームやNFTに詳しくない人であっても,口座を作ったり海外と取引したりという難しい作業をこなしており,研究すべきだと感じたのだそうだ。
ブームが過ぎた後の「STEPN」について,馬場氏は「失墜した」と指摘する。歩くことは自分の価値ではあるものの,他者の価値にはなっていないためで,これは同時期のPlay to Earnも同様であるという。
自身が手がけるPlay to Earnはこうなってはならないという考えのもと,個人的に「宝石を掘りたい」という希望があったことから,デジタル宝石を採掘して持続可能なPlay to Earnを目指す「Brilliantcrypto」が生まれたのだそうだ。
持続可能なPlay to Earn環境を作る上では,デジタル宝石に価値が認められることが重要だ。
馬場氏が「Brilliantcrypto」について語る際も,この点を聞かれることが多いという。コロプラの代表取締役会長でもある馬場氏は,ゲーム内アイテムを5000億円販売してきた経験から「価値があると思ってもらえるのでは」と語る。
たまにしか出ないレアなアイテムにプレイヤーは愛着と価値を覚える。これは馬場氏自身がプレイヤーとしても体験した感覚であり,学生時代に遊んでいたMMORPGで大変な思いをして出したレアアイテムには大きな価値を感じたそうだ。
こうした経験から,馬場氏はゲームにはデジタルアイテムに価値を認めさせる力があると思っているという。
そんな馬場氏が手がける「Brilliantcrypto」では,1人のプレイヤーが一つの鉱山を掘るには12〜13時間かかり,5個ほどのデジタル宝石を得られるようになっている。
馬場氏曰く「結構大変」な手間であるが,だからこそデジタル宝石に価値を感じられると考えていると語る。ゲームに参加するプレイヤーが増えるほどにデジタル宝石の価値も上がり,その価値はゲーム外の世界にも波及していく。これはビットコインでも起こった現象であると氏は指摘した。
「Brilliantcrypto」において,プレイヤーはゲームとしてデジタル宝石を掘るわけだが,ゲームとしての面白さをどの程度のものにするかは試行錯誤があったという。当初はゲーム開発者としての感性で面白さを追求したものの,それでは宝石の採掘作業に合わないということで,「ひたすら没頭できる,梱包材をプチプチ潰すイメージ」に落ち着いている。
ここでいう“面白さ”とはプレイ中の変化や展開としての起承転結といった要素であると思われるが,ゲームなのに面白くし過ぎないことを意識する辺り,Play to Earnであることも含めて本作の特殊性が現れていると感じられた。
最後に馬場氏は「始めた時は半信半疑ではあったものの,IEOが開始13分で目標金額の15億1200万円を達成したことも含め,追い風が吹いていると感じられる。良い形でリリースできそうだし,予感を感じている」と「Brilliantcrypto」への手応えを語り,トークセッションを締めくくった。
トークセッションの後は質疑応答も行われているので,ゲームをプレイする人にとって興味深い質問をピックアップしてお伝えしていこう。
――デジタル宝石の希少性はどのようにして保証するのでしょうか。
馬場氏:
初期の「リージョン(島のようなもの。50万の鉱山がある)」から出るデジタル宝石は有限だが,掘り尽くした後は新たなリージョンを追加できるし,デジタル宝石が充分流通したと判断できればリージョンの提供を止めることもできる。
これを掘るためのつるはしも1万2000個と有限である。デジタル宝石には「どこで産出されたものか」が記録されており,クオリティ,カラット,カラー,サイズもばらける。そのため,同種のデジタル宝石でも同じものにはならず,NFTではあるものの無限に作り出せるものではない。
――「Brilliantcrypto」の事業性,収益モデルはどのようなものになるのでしょうか。
馬場氏:
つるはしやその修理代,NFT取引における手数料(クリエイターフィー)などを考えている。デジタル宝石の取引が活発になるほど収益も増えていく仕組み。BRILの販売額も収入となるが,あまり過熱するとゲーム世界を壊すこととなるため,そうならない売り方をしていく。
――「Brilliantcrypto」をプレイして得られる“時給”はどのようなものになるのでしょうか。
馬場氏:
プレイ中はBRILに変換できる「輝石」を1時間で5〜6個得られるようになっている。1BRIL=21円で上場しているが,BRILの価値が上がると得られる“時給”も増えていく。
――ユーザー層はどのような想定になっていますか。
馬場氏:
「Brilliantcrypto」はProof of Gamingというゲームでデジタル宝石の価値を証明する仕組み。ゲームが大変だからこそデジタル宝石に価値が出るため,人を選ぶと思っている。
梱包材のプチプチを続けられる人には向いているし,日本ではこうしたゲームが好きな人は多い。ゲームが好きな人であれば,お小遣い稼ぎとして1人で掘れる設計にしているし,対象年齢層は幅広く設定している。
PCゲーマーなら他のゲームの気晴らしに使うのではないか。つるはしは人に貸すこともできるため,代わりに掘ってもらってデジタル宝石を自分のものにすることもできる。可処分所得の多い人は,“鉱山主”のようにつるはしを貸してマルチプレイするようなこともあるのではないか。
黙々と掘り進んだ先に,デジタル宝石が待っている。「Brilliantcrypto」インプレッション
会場では「Brilliantcrypto」を実際に体験することもできた。プレイヤーは採掘者となって鉱山に向かい,つるはしで掘り進めていく。鉱山には軟らかい土とある程度硬い土があり,前者ならばつるはし数回で掘れるが,後者はひたすら叩かなければならない。
4Gamerの読者であれば,サバイバル系ゲームの土素材採取を想像していただければ分かりやすいだろうか。馬場氏は本作の面白さを梱包材のプチプチ潰しに例えたが,これは的を射た表現。掘ることそのものが目的化し,黙々と作業に没頭する面白さがある。
とはいえ,山は広大だし,ただ闇雲に掘っているだけではつるはしの耐久力が減っていくだけだ。ここで出番になるのが各種のツール。デジタル宝石の近くに行くと音が鳴る「宝石探知機」,高い所に登る「はしご」,硬い土でも一発で砕ける「ダイナマイト」といった品々を駆使し,デジタル宝石を探していく。鉱山にはデジタル宝石の他に,経験値が上がる「EXPストーン」やBRILに換算できる輝石などが埋まっている。
EXPストーンはNFTではないのだが,見つけた時にはテンションが上がったし,採掘作業が報われたような気持ちになった。なお,EXPストーンを集めてレベルが上がると,新たなツールを支給されたり,土を掘るのに必要なつるはしの回数が減ったりもする。黙々と作業をすると少しずつ効率が上がっていくわけで,この辺りも好きな人にはたまらないだろう。
残念ながらデジタル宝石は見つけられなかったものの,予め用意された品を観賞することはできた。現実さながらのケースに収められ,ピンセットで観賞するデジタル宝石は美しい。自分で採掘したものであれば,思い入れもひとしおだろう。
ゲーム内にはマーケットも用意されており,デジタル宝石を販売することが可能。個人的には,苦労して掘ったデジタル宝石を手放すかどうか,散々に迷うだろうと思えた。これが馬場氏のいうProof of Gaming,ゲームの大変さでデジタル宝石の価値を証明することなのだと実感できた。
※記事中のゲーム内の画像は,開発中のため変更になる可能性があります
「Brilliantcrypto」公式サイト
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(C)Brilliantcrypto, Inc.