プレイレポート
[プレイレポ]クリーチャーの部隊で魔王を討伐。「伝説の生き物2」は,ランダム生成の世界で最強部隊を作り出す育成&ローグライト
発売前に製品版をプレイする機会を得たので,プレイレポートをお届けする。
「伝説の生き物2」Steamストアページ
タイムリミットが迫る中,ランダム生成の世界で最強部隊を編成しよう
ローグライト好きなら,2020年に配信された「Legend Creatures(传奇生物)」の名前を聞いたことがあるかもしれない。HideCharaが開発したオートバトル&ローグライト&オートチェス的な作品で,さらにクリーチャーを進化させるという刺さる人には刺さる内容だった。
その続編に当たるのが,「伝説の生き物2」だ。こちらもオートバトル&ローグライトで,自動生成されるマップを舞台に,時間制限がある中,効率よく部隊を編成・強化していくゲームとなっている。
プレイヤーの最終的な目的は,魔王を討伐すること。そのために,まずは部隊を率い,自動生成されたヘクスマップを探索していく。
未踏破地域は闇に包まれており,何があるかは実際に訪れてみるまで分からない。補給できる「街」が見えてきてホッとすることがあれば,突如高レベルの敵部隊が現れて肝を冷やしたり,最終目標の魔王が近くに配置されたりするようなことも起こる。
ほかにも,体力を回復してくれる「祭壇」や,選択で結果が変わるイベントの「奇遇」,強敵に勝つと賞品をもらえる「闘技場」,財宝と敵部隊で一杯の「迷宮」など,色々な要素がランダム配置されるため,毎回何が起こるか分からないのが面白い。
目の前に現れた祭壇は,果たしてどんな効果を持つのか |
「闘技場」の景品。1戦ごとに豪華になるが,負けるとこれまでに得たものも全て没収される。進むべきか,退くべきか |
ゲーム開始時の自部隊は弱く,いきなり魔王に挑んでも返り討ちに遭う。まずは自分と同じ「戦力レベル」を持つ敵を探し,これと戦うことで部隊を育てていく。
戦闘はオートで進行する。プレイヤーができるのは,予め陣形を決めておくことと,回復や攻撃系のアイテムを使った補助的な行動のみ。部隊のメンバーは戦闘マップ上を自動で移動し,状況に応じてスキルを使って戦う。基本がオートであるうえ,1回の戦闘で使えるアイテムにも限りがあるため,相手の編成を見てメンバーを配置することが重要になる。
盾役を前にして攻撃を受けさせつつ,ファイター系や弓系といった攻撃役でダメージを出し,サポート役に援護させるのが本作のセオリー。相手も同様の編成をしてくるため,敵の背後へワープできるアサシン系で奇襲したり,周囲を巻き込む範囲攻撃スキルを使うなどで守りを崩していくのも有効だろう。
逆に敵にアサシン系がいる場合は,奇襲で総崩れしかねない。盾役や攻撃役を後方に回して対応するなど,陣形も柔軟に変える必要がある。オートバトルとはいえ,放っておくだけでは勝てないのだ。
画面中央左にいるのが魔王で,戦力レベルが最大の5になっても勝つのは難しい。部隊のメンバーを厳選し,10人分の枠に選りすぐった者を揃えるしかない |
部隊に加えられるクリーチャーは様々で,人間系,モンスター系,エリートが集うエクソシスト連盟系に大別できる。いずれもゴールドで雇うことができるが,戦闘に参加できる数は「人口」の人数のみ。そして人口を上げる手段は少なく,マップ上で「霊魂聖杯」を見つけるか,メンバーのレベルを上げて戦力レベルをアップさせるくらいしかない。
例えば,難度レベル「0」だと戦力レベルの最大値は5で,最大の人口(出撃枠)は10となる。討伐目標である魔王の戦力レベルも5なのだが,同レベルのこちらとは比較にならないほど強い。つまり,魔王に勝つには人口の上限がある中で,1人1人の質を追求する必要があるわけだ。
しかし「弓兵」「戦士」といった人間系は街ですぐに雇えるものの,能力はベーシック。強力なモンスター系やエクソシスト連盟系を雇うためには,探索を進めてアンロックしなければならない。
分裂する「スライム」や,凍結を無効化する「霜の巨人」など尖った能力を持つモンスターは,雇うために迷宮の奥に赴く必要がある。行く手を強い敵部隊が阻むので,難度が高い。
エクソシスト連盟のメンバーは,サポート役でありながら前線でも戦える「パラディン」,高い火力を持つ「狂戦士」など概して強力だ。こちらは,「エクソシスト連盟」の施設を探し出さなければならないうえに,雇うための値段も高い。
「エクソシスト連盟」には,街で雇えるよりも強力なクリーチャーが揃う |
ちなみに能力の高いクリーチャーも,一度雇ってしまえば,次回のプレイからは街にも出現するようになる。ただ,その顔ぶれはランダムで,街や迷宮,エクソシスト連盟の配置は毎回異なるので,最初から最強部隊,というわけにはいかない感じだ。
クリーチャーの中には,ランダムで発生する「仲間を生贄に捧げてアンデッドにする」「敵部隊のモンスターを斬るor許して仲間に加えるかを選ぶ」といったイベントで入手できるものも。
このような手段で得られるクリーチャーは,大抵面白い性能を持つ。例えばアンデッドの「髑髏衛士」は,クリーチャーを生贄にしないと手に入らない。死んでも1回だけ復活するスキルを持っており,盾役としては持ってこいなのだが,誰を犠牲にするかは悩むことになる。
「魔王の僕」を討伐できれば,許すか処刑するかを選べる |
街での雇用,探索を進めてのアンロック,イベント経由など入手手段が多彩なため,クリーチャー集めは毎回ワクワクする。当初は人間ばかりだった部隊に,モンスターやエクソシスト連盟といった強面たちが混じってくると,多士済々という感じで成長を感じられるのだ。
迷宮で雇える「イエティ」。モンスター系は専用スキルを持ち,イエティの「グール」は誰かが倒れる度にHPを自動回復してくれる |
仲間を生贄に捧げると,アンデッド「髑髏衛士」として復活した。1回死んでも自動で復活し,「盾」(バリアのようなもの)のバフも得る |
髑髏衛士とパラディン,元は魔王の僕だったシャーマンがずらりと並ぶ編成画面。このほか,スライムやイエティ,こちらも魔王の僕であったゴーレムも控えており,まさに多士済々 |
彼らの成長にもランダム要素が取り入れられている。戦闘やイベントで手に入る「ソウル」を使えば,好きな仲間をレベルアップできるが,どんなスキルを覚えるかは,クリーチャーごとに定められた候補テーブルからランダムで選ばれる。
候補テーブルを眺めてどう育てるかの方針は立てられるが,欲しいスキルを覚えてくれるとは限らない。また,強力な「エリートエネミー」やマップ各地に点在する「宝箱」からは,クリーチャー用の装備が手に入るが,これにどんなオプションが付与されているかもランダムなのだ。
時には,スキルと装備が思ってもいなかったシナジーを発揮することもある。前述のようにユニットの中にはドラマチックな入手法を経るものもあり,そんなユニットがシナジーで強力に育つと感情移入もひとしお。この辺りは,ローグライトならではの面白味といえるだろう。
スキルのアイコン |
マップで「鍛冶屋」を見つけられれば,不要なアイテムを合成してよりレアリティの高い品を手に入れられる |
本作を印象的なゲームとしているのが,タイムリミットの存在だろう。移動や戦闘をするごとに時間が過ぎていき,1日が経つごとに「瘴気レベル」がアップして敵の能力が強化されていく。
瘴気レベルが20に達するとゲームオーバーになる。これを防ぐためには効率よく探索を進めたいが,地形や敵部隊の配置はランダムだ。これにより,「同格の敵が周囲に集まったおかげで順調に部隊が成長した」「めぼしい敵を狩り尽くし,戦力アップのためにマップを探索して強いクリーチャーを雇いたいが,瘴気レベルがジワジワと上がっていくのが悩ましい」といったローグライトらしいドラマも発生する。
味方クリーチャーのレベルを上げれば,これに呼応して部隊の戦力レベルも上昇する。そして自分より低い戦力レベルの敵は,戦闘モードにすら入らずに確定で勝利できる。良いこと尽くめのようだが,これでは普通に戦うよりも少ないソウルしか手に入らないマイナスの面もある。
敢えて戦力レベルを上げずに同格の敵を探してマップを歩き回る,時間を節約するために勝てる格上を効率よく狩っていく,入手ソウルに補正がかかる夜に強力な敵と戦うなどの戦略も必要になるだろう。
自分より下の「戦力レベル」の敵は,戦闘モードすら入らずに一蹴できる |
瘴気レベルは,ボスの撃破時や祭壇の起動時といった特別なタイミングで下げることができ,制限時間を延長できる。しかし,これは強力なパッシブ能力を得られる「シンボル」との2択になってしまう。瘴気レベルを下げてさらなる探索にかけるか,現在の戦力で魔王に挑むかという難しい判断を迫られるわけだ。
強敵を倒せば強力なパッシブ「シンボル」が手に入る |
とはいえ,クリーチャーが死んだり,部隊が全滅したりした場合は復活してプレイを続けられるので,トライアンドエラーも容易である。ゲームオーバーになったとしても,仲間にしたクリーチャーは次回以降街に出現することがあるし,プレイ中に手に入れた「晶石」を払って好みのクリーチャーや施設をアンロックすることもできる。繰り返しプレイすることでより強力な部隊を編成できるようになるのだ。
本作は,ローグライトなランダム要素とマネジメント的な要素が絡み合い,独特のプレイフィールを生み出している。また過去のインタビューで開発者のHideChara氏が語るとおり,グラフィックス自体はオンライン販売されているアセット集のものなのだが,クリーチャーの1体1体に感情移入できるのはゲームシステムの妙であろう。
今後アップデートが行われていくなら,どのように変化していくかも気になる本作。お値段も700円(税込)と手頃だし,ローグライト好きなら試してみるのも面白いだろう。
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