プレイレポート
[プレイレポ]AIを構築し,ダンジョンを自動で攻略。ユニークなゲームシステムが光る「Algolemeth」インプレッション
AIを構築し,ダンジョンを自動で攻略
「Algolemeth(アルゴレメス)」はMedium-Rare Gamesが2024年に発売を予定しているPC用“全自動ダンジョンRPG”だ。プレイヤーは錬金術師となり,「ゴーレム」たちのAIをプログラミングしてダンジョンを自動攻略していく。
ひとたびゴーレムたちをダンジョンに送り込むと,プレイヤーができるのは見守ることだけ。ゴーレムたちは自動でダンジョンを探索し,モンスターと遭遇すると戦闘に突入する。戦闘もフルオートで,ゴーレムたちはそれぞれに設定されたAIに基づいて行動し,モンスターと戦っていく。
ゴーレムたちのAIは,命令パーツ「モジュール」の組み合わせで構成されている。モジュールはアイテムのような扱いになっており,ゲーム開始時は「通常攻撃」「ランダムな敵」といった単純なモジュールしか持っていない。出展バージョンでは「ナイト」「サムライ」「プリースト」「メイジ」の4体のゴーレムが登場するが,最初は全員ランダムに選ばれた敵に通常攻撃するだけで,自分の持ち味も生かせていないし,連携をすることもない。これでは強敵には勝てないだろう。
しかし,モンスターを倒すとモジュールをドロップすることがあり,これをゴーレムに組み込むことで,条件に応じて行動を変え,多彩な技を使う,より高度なAIを構築できる。モジュールには,さまざまな条件で分岐する「IF」,相手を指定する「TARGET」,行動の種類を決める「ACTION」の3系列が存在する。
例えばIF「味方のHP50%以下」+TARGET「最もHPが低い味方」+ACTION「回復魔法」とつなぐと,味方のHPが50%以下の場合,最もHPが低い味方に回復魔法をかける。IFは条件を満たしているか否かで分岐するので,前述の場合「味方のHP50%以下」でない場合は「自分を防御」させるなどで,生存率を高めることもできる。このようにさまざまなモジュールを手に入れ,上手く組み合わせてAIを構築し,より強力なパーティを作り上げていくのが本作の醍醐味だ。
面白いのが,モンスターもゴーレムと同様に,モジュールを組み合わせたAIで動いていることだ。モンスターのAIも目に見えており,面白そうなモジュールがあったらぜひとも欲しくなってくる。モジュールのバリエーションも多彩で,上手く組み合わせることでさまざまな行動が可能になる。
“雷耐性の低い敵がいるなら,最も雷に弱い者に雷魔法を撃ち込む”といったクレバーな立ち回りや,“ランダムに攻撃や防御を行う”“普段は身を守り,偶数ターンになったら氷魔法を唱える”などユニークな個性を演出することもできる。
本作は,モジュールがアイテムとして扱われていることが戦術性を高めていると感じた。AIに組み込むことでゴーレムの能力値が上がる特殊なモジュールもあるし,便利なモジュールがあっても,数に限りがあるのでどのゴーレムに使うかで頭を悩ませることになる。モジュールの組み替え自体は自由だが,ゴーレムたちをダンジョンに送り込むと,帰還するまで変更はできない。おそらくゲームが進行するほど悩んだり試行錯誤したりする時間が長くなるだろう。RPGや自動化系ゲームが好きな人にはたまらないのではないだろうか。
製品版では,戦闘用のAIだけでなく,ダンジョン内での行動を決める「探索AI」も構築できるという。ダンジョンで全滅すると,途中で手に入れたモジュールはすべて失われるそうなので,探索AIをどうするかも重要になりそうだ。
初期「ウィザードリィ」を思わせるシンプルな画面や,帰還するたびにAIのチューニングを施すやり込みの深さなど,インディーゲームらしい“刺さる人には刺さる”ゲームと言えるだろう。もちろん筆者も刺さる側の人間なので,2024年の発売が楽しみだ。
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