インタビュー
[インタビュー]和風世界とアクション×戦略が特徴の「祇:Path of the Goddess」は,どのようにして作られたのか。開発のキーマンに聞いた
6月8日から10日まで現地で行われた関係者向けイベント「Summer Game Fest 2024 Play Days」にて,7月19日に発売される本作について,プロデューサーの平林良章氏とディレクターの川田脩壱氏にインタビューを行った。
[プレイレポ]アクション×ストラテジーなカプコンのチャレンジ,実際どんな感じ? 「祇:Path of the Goddess」のデモ版を遊んできた
7月19日に発売が予定されている「祇:Path of the Goddess」が,「Summer Game Fest 2024 Play Days」に試遊出展されていた。“アクション×ストラテジー”な,カプコンの新たなチャレンジ作品って,実際はどんな感じ? 和風の世界も目を引く本作のプレイレポートをお届けしよう。
「祇:Path of the Goddess」公式サイト
アクションとストラテジー
両方の楽しさを併せ持つ新しいゲームを作る
4Gamer:
昨日(インタビュー収録は6月8日)の発表を見て,発売がおよそ1か月後ということに驚きました。初報が1年前の「Summer Game Fest 2023」だったことを考えると,「おおっ,もうくるのか」と。
川田脩壱氏(以下,川田氏):
そもそも祇は,昨年の発表の時点でだいぶ制作が進んでいたんです。「深世海 Into the Depths」の開発が落ち着いてすぐに着手していたので,昨年の発表時点で制作期間は3年くらい経っていたんです。
4Gamer:
初報の時点でそこまで開発が進んでいたんですね。それから1年ですが,現在はどのような状況でしょう。
川田氏:
主にアクションと戦略の調整を続けています。
4Gamer:
プレイヤーは主人公の宗を操作しつつ,協力してくれる村人に指示を出しながら戦うというのがゲームの軸になっていますね。
発表でも“アクションと戦略の融合”という言葉が使われていますが,この二つの要素のバランス調整がなかなか大変そうです。
川田氏:
もちろん大変ではありますが,ここをしっかり作り上げることが大事ですから(笑)。
例えば,主人公が強すぎると村人を使う必要がなくなります。一方,弱すぎると主人公を操作して戦う意味合いが薄れてしまいます。そういう状況だとアクションと戦略,両方のゲーム性が生かされないんですね。
平林良章氏(以下,平林氏):
本作はアクションゲームとして,もしくはストラテジーとして作っていたのではなく,両方の楽しさを併せ持つ新しいゲームを作るというチャレンジなんです。それだけに,ゲームの要素を作り上げることはもちろんですが,トライアンドエラーでの調整が重要なんです。
4Gamer:
戦略要素のあるアクションかな? とか,アクション寄りのストラテジーかな? とか,どっち寄りのゲームなんだろうかと考えてしまいがちですが,そもそもそのどちらでもなく,新しいゲームを作るというチャレンジなんですね。
平林氏:
ええ。本作ではジャンル名を「神楽戦略活劇」としているんですが,「神楽戦略活劇ってなんやねん!」ってなると思うんですよ(笑)。
しかしこれはあえてというか,先入観を持たれることを避けたかったというのが理由の一つにあるんです。
4Gamer:
「なんやねん!」と思いつつ気になった人が,プレイして初めてどういうゲームなのかを感じ取るれるようなイメージですね。
そもそもの話にはなってしまうのですが,なぜアクションと戦略を融合した新たなゲームを制作しようと考えたのでしょうか。
川田氏:
私自身がもともとストラテジーが好きだったことがありますね。
以前から「自分だったらこう作るな」「ここをこうできるな」みたいに考えることがあったんですが,そういった発想にカプコンがこれまで培ってきたアクションを入れてみたら,意外と今までにあったようでなかったゲームにできそう……と感じたのが始まりです。
4Gamer:
それを和の世界観で,というのはいつ決まったのでしょう。
川田氏:
これもけっこう初期のころですね。
異界から何者かが侵略してきて,何かを守りながら戦うというイメージをしたとき,日本の文化や神社仏閣がとても合うと思いました。
鳥居が異界とつながるものとなり,穢れ(けがれ)を鎮めるため巫女が舞い,護人である主人公も刀で舞うように戦って巫女を守り抜く。ゲームのシステムと世界観の整合性が取れると考えたんです。
4Gamer:
祭祀のようなイメージですね。ビジュアルを見たときから本作に出てくる“面”に目を引かれたのですが,舞が重要なものになっているように,やはりあれも田楽や能などがモチーフなのかなと思いました。
川田氏:
おっしゃるとおり,面は日本の文化をモチーフにしたものの一つで,本作では力の象徴のような表現になっています。いろいろなデザインのものが出てくるので,これも注目していただきたいです。
4Gamer:
お話をうかがっていると,このために調べたというのではなく,元々お好きだったのかなと感じました。なにか古典や物語から着想を得たものはありますか。
川田氏:
確かに元々,民間伝承は好きで,一つ挙げるとしたら「稲生物怪録」(いのうもののけろく/いのうぶっかいろく)の影響は大きいです。
4Gamer:
伊能平太郎という少年のもとに,毎夜のように妖怪がおどかしにやってくるお話ですね。
川田氏:
はい。夜に妖怪が襲ってくるというのがそのままという感じで(笑)。
4Gamer:
それこそ百鬼夜行もですが,夜にわらわらと妖怪がわいてくる感じは,確かにこのゲームの雰囲気と似ています。
川田氏:
主人公達に襲いかかってくる畏哭(いこく)には妖怪の名前も使われているのですが,本作独特のキャラクターデザインになっているのでそれにも注目してほしいですね。「あの妖怪がこんな姿になるのかよ!」みたいにツッコミを入れつつ,楽しんでいただけるとうれしいです(笑)。
4Gamer:
私も妖怪が好きなんですが,畏哭は予想できない姿のものが多くて,ほかにどんな妖怪がどんな姿で登場するか楽しみにしています。
それともう一つ,発売日と同じく価格にも驚きました。これも先入観で,「この価格帯ならボリューム的には軽めなのかな」と思ってしまうのですが,実際のところいかがでしょうか。
平林氏:
新しいことに挑戦したゲームなだけに,まず手に取ってもらうことが大事だと思っているんです。そのために,価格や複数プラットフォームでの展開,Xbox Game Passへの対応を決めました。
ゲームの部分でいえば,新しい仕組みのゲームであるぶん,プレイを進めながら覚えていけるように考えて作っていますし,ボリューム的にもしっかり遊べるものになっています。
川田氏:
各ステージにはリワードがあって,一度クリアしてもあらためてチャレンジしたいと思えるような仕組みになっています。一緒に戦う村人の職業や育成具合によっても戦い方が変わるので,さまざまな組み合わせで繰り返しお楽しみいただけます。
4Gamer:
いわゆるパーティ編成やビルド次第でまた違う戦い方でゲームを楽しめるというわけですね。
最後に読者と本作を待つゲームファンにメッセージをお願いします。
川田氏:
アクションとストラテジーを融合するという新しいチャレンジに取り組んだゲームです。
このゲームをプレイした皆さんがどのような反応をするのか,どのようなプレイスタイルが生まれるのか。ストラテジー好きの私自身はもちろん,開発チームみんなで楽しみにしています。
皆さんのもとに届けられるまでもう少しですが,楽しみにお待ちください。
平林氏:
今まであるゲームジャンルの延長線上ではなく,新しいゲームの楽しみ方を打ち出すべく制作しました。プレイヤーの皆さんには,アクションとして,ストラテジーとしてという見方をするのではなく,まっさらな気持ちでプレイしていただきたいです。
「難しさよりも,工夫をしてみたくなるような作りに」という考えで制作を進めてきた,プレイヤーの皆さんそれぞれでいろいろと試すことができるゲームになっています。実際にプレイして,新しい感覚のゲームとして受け取っていただけるとうれしいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
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