東京ゲームショウ2023のXD Entertainmentブースに,2023年内に配信を予定している
「鈴蘭の剣:この平和な世界のために」(
PC /
iOS /
Android)が出展されていた。本作は,光の表現が美しいピクセルアートが特徴のタクティカルRPGだ。本作のデザインについて,アートディレクターの
王 之穹(オウ シキュウ)氏に話を聞けた。本稿では,
王氏のピクセルアートに対するこだわりや想いをお伝えしていく。
本作のアートディレクターである王 之穹(オウ シキュウ)氏
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4Gamer:
よろしくお願いします。初めに本作を制作するに至った経緯を聞かせてください。
王 之穹氏(以下,王氏):
30年前に我々の開発チームは日本のゲーム会社で仕事をしていました。当時の開発チームは,ピクセルアートのグラフィックスに関心があり,タクティクスゲームやRPGにもとても興味がありました。
それから月日が経ち,2018年に発売された
「OCTOPATH TRAVELER」に再びインパクトと影響を受けました。そこでピクセルアートを用いたゲームを作りたいと思い,「鈴蘭の剣」を制作することが決まったんです。
4Gamer:
ピクセルアートに対する熱い想いをもって制作されたのですね。
王氏:
間違いないです。原点は
「タクティクスオウガ」になります。
4Gamer:
中世ヨーロッパ風な世界観が印象的な本作ですが,アートデザイン面におけるコンセプトを聞かせてください。
王氏:
もともと,タクティクスオウガの影響でシリアスで重厚なストーリーを作りたいと思っていました。中世ヨーロッパ風のデザインを選んだのは,ストーリーの幻想的な雰囲気を保てるような,テーマや服装が見つけやすかったからです。
鈴蘭の剣の原作には,もともと火器がない代わりに,晶石という神秘的な力を秘めた鉱物が登場します。それに基づいて,火薬樽や魔法などの武器をデザインしました。
4Gamer:
キャラクターデザインのポイントは何でしょうか。
王氏:
キャラクターたちは,ゲームのストーリーに合わせて作り出しました。というのも,キャラクターを先にすべて作ろうとすると膨大な時間が掛かってしまうので,ストーリーの展開に応じて,少しずつ調整を加えていったんです。一人ひとりのスキルや性格が緊密に関わってることも,そういった理由からになります。キャラクターをゲーム本編でどのように際立たせるか,というこだわりもあります。
かわいいベラや,おおらかなラヴィアなど,みなさんにキャラクターの性格を気に入ってもらえたらうれしいです。
4Gamer:
メインキャラクターのほかに,たくさんの脇役のキャラクターが出てきますが,非常に個性的だと感じました。
王氏:
これだけの数のキャラクターが生まれたのは,世界観やストーリーを充実させるためです。鈴蘭の剣の世界は舞台が大きいので,面白いキャラクターやかわいいキャラクターが,ニーズがある限りどんどん生まれます。本作は選択肢が変わるたびに違う結末が見られるので,ストーリーに出てくる並行世界の分だけキャラクターがいるというわけです。
4Gamer:
ピクセルアートにおける,キャラクターデザインのポイントはありますか。
王氏:
ピクセルアートには,表現できる面積が少ないからこその特色があります。たとえば,いくつかの色を見るだけで,パッと見でどのキャラクターか判別できるという点です。3Dはキャラクターの詳細が全部分かりますが,ピクセルアートは性格や特色がぎゅっと凝縮されている感じです。
ピクセルアートでキャラクターを作るのには制限があります。たとえば,目はたった3つのピクセルで作らなければなりません。これだけのピクセルでキャラクターの違いを表現するのは,かなり難しいのですが,そういったチャレンジもまた,ピクセルアートだからこその魅力であると言えそうです。
4Gamer:
ガチャ要素やストーリーはタロットをモチーフにしているようですが,どういった理由で選んだのでしょうか。
王氏:
神秘的な雰囲気が,ゲーム自体のイメージとぴったり合っていたからです。また,タロットカードにはカード自体に一つひとつ意味があります。タロットカードとキャラクターは,意味や性質が重なるようにしているので,カードを引いた時にどんなキャラクターかを想像して楽しめるのです。運命を占える感じも,作品に合っているし,面白いなと。ゲーム開発の段階で次第に,「タロットを選択してよかった」と思えてきました。
「混沌の海」は時空が交差する場所であり,ここから出発して「運命の螺旋」を含むさまざまな時空を探索することができます。そして,この世界には「災厄」と呼ばれる脅威が存在し,プレイヤーは「災厄」に対抗し,「タロット」を集めてより強い力を得ることで,自分の運命を変える願いを満たすことになります。誰があなたをここに導いたのか,その目的は何なのか、謎の猫が「楽園」でプレイヤーを待っている理由は何なのか,そして「災厄」と「タロット」の裏にはどんな秘密が隠されているのか,それはプレイヤーがじっくりと解き明かすこととなるでしょう。
4Gamer:
これまで東京ゲームショウの会場にいらっしゃったことはありますか? また,東京ゲームショウに対しての印象はどうでしょうか。
王氏:
今回が初めてです。もともと2002年頃に行きたいと思っていたのですが,当時は都合が悪く行けませんでした。今回は,「鈴蘭の剣」のおかげでここに来られてうれしいです。ゲームショウは聖地巡礼のようなもので,神聖な場所なんですよ。業界人が集まっていてにぎやかな雰囲気ですし,ずっと行きたかった場所にやっと来られました。
4Gamer:
来年もぜひ来てください。
王氏:
おそらくまた「鈴蘭の剣」で来ることになりそうですね(笑)。
4Gamer:
最後に日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
王氏:
私自身,本作を遊んでかなりハマっています。とても面白くいいゲームなので,タクティクスゲームやピクセルアートに興味がある方は,ぜひ遊んでみてください。みなさん,私と一緒に「鈴蘭の剣」をプレイしましょう!
東京ゲームショウ2023では,本作の試遊台も設置されていた。4Gamerでは,
事前にゲームをプレイしたレポートも掲載しているので,ゲーム本編が気になる人はそちらも確認してほしい。
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