プレイレポート
[プレイレポ]新たな戦略,豊富なコンテンツが追加された「信長の野望・新生 with パワーアップキット」。天下取りのために新要素を掌握せよ
タイトル名からも分かるとおり,本作は2022年7月21日に発売された「信長の野望・新生」の“パワーアップキット”にあたる作品だ。信長の野望や三國志シリーズのファンであればご存じのとおり,パワーアップキットは,基本となるゲーム本体に,さまざまな要素が拡張・追加されるもので,内容の充実はもちろん,いわゆる“無印版”で得られたプレイヤーからのフィードバックが反映されるなど,より面白く,遊びやすく調整されている。無印版から引き続いての購入はもちろん,こちらの発売を待っていたというファンもいるだろう。
本作から遊び始めるというプレイヤーもいると思うので,本稿ではパワーアップキットで適用された新要素を押さえつつ,無印版を未プレイの人にもゲームの特徴が分かるように紹介していこう。
配下武将に土地を与える「知行」が内政と戦に影響を与える
前作「信長の野望・大志」から5年の時を経て登場した「信長の野望・新生」は,配下武将が自ら考えて動くのが大きな特徴で,大名と家臣が協力する“君臣一体”をコンセプトとした歴史シミュレーションゲームだ。プレイヤーは,織田信長が生きた戦国時代で大名の1人となり,天下統一を目指すことになる。
ゲームを始めると,実際の歴史をもとに作られた「シナリオ」と,操作する大名を選択する。パワーアップキット版では,天下分け目の合戦「関ヶ原の戦い」や上洛途上の信玄を徳川・織田の連合が迎え撃つ「三方ヶ原の戦い」,さらに秀吉が世を去ったあと多くの将が独立していく仮想シナリオ「天下無事ならず」といった新シナリオが用意されており,無印版では描かれなかった時代も体験可能だ。
実際のゲーム内容については,自国の領内を発展させる「内政」を行いつつ,敵領を「戦」で奪い取り,列国を平らげて天下統一を目指すのが大きな目標となる。分かりやすい目標ではあるものの,本作では,奪い取った土地を家臣に与える「知行」が内政と戦に大きな影響を与える。
マップは,無数の「郡」と,それらをまとめる「城」で構成されていて,内政は城単位で管理し,戦になれば城に集まっている部隊を出撃させることになる。郡と城にはそれぞれ武将を置く必要があるが,領主なら足軽大将以上,城主は侍大将以上というように,一定の「身分」が必要だ。身分を高くするには「勲功」が必要で,戦や内政で活躍することで得られる。もしお気に入りの武将がいるなら,積極的に戦に参戦させたり,内政の仕事を与えたりして働かせればいい。
各武将は,「忠誠」のほか,「統率」「武勇」「知略」「政務」といった能力が設定されていて,さらに戦や内政に役立つ強力なスキルとも言える「特性」を備えた者もいるので,どんな人材をどこに配置するかは大名であるプレイヤーの手腕次第となる。なお,パワーアップキットでは新しい特性も増えているので,無印版のプレイヤーはあらためて確認しておこう。
知行システムで大きなポイントになっているのが「城能力」で,これは城主とその領主が持つ能力が合算され,内政や戦に反映される。同じ城に所属する武将が力を合わせるイメージで,例えば能力は低いが身分だけが高いような人材でも,周りを固める武将が有能であれば,強力な城能力を有するといった感じだ。こうした組織作りが,本作の魅力の一端を担っていることを理解しておこう。
知行で武将を置いた城と領地は,プレイヤーが方針を指示することで,それに沿って自動で動いてくれる。複数の城を束ねる「軍団」として統括管理することも可能で,自分の描いた版図をマップ上で俯瞰して見ているだけでもなかなか面白い。
ただし,臣下が自動で動いてくれているとはいえ,プレイヤーの操作が楽かと言えばそうでもなく,周辺敵国のチェックや物資の管理,外交に人材確保などやるべきことは多い。
そして,パワーアップキット版では,勢力発展の指針となる「勢力目標」が用意された。これは,拠点数や家臣数といったゲーム内の小さな目標を達成すると,「恩賞」というシステムで家臣に授与できる“感状”(詳細は後述)を獲得できるほか,勢力全体に恩恵がある特別な報酬も得られる。ゲームの流れに応じて自然に獲得できるので,折をみてチェックするといい。
この「恩賞」もパワーアップキットで追加された新しいシステムとなり,戦や内政で功績を上げた家臣に感状を与えることで,「二つ名」が付くようになるというものだ。二つ名を付けると,能力が上がると同時に敵部隊へのダメージが増えるなど,特殊な効果が付く。さらに功績を積み上げて二つ名をランクアップさせられるので,武将を強くしていくうえで重要なシステムになるだろう。
配下武将にお任せする通常の戦と大名自ら指揮する合戦
戦国ものの花形とも言える“戦”だが,攻めるべき敵城を決めると,家臣が作戦を提案して出陣する流れとなる。味方部隊は自動で動き,郡を制圧しながら城へ向けて行軍する。城制圧後,余力があるようなら周囲の城攻めも継続して可能で,プレイヤーがその作戦を採用すれば次の目標へと移動が開始される。
大名の部隊が参戦する「合戦」の場合は,専用マップで部隊に指示を出して戦況を進める,戦術級の戦いが展開される。敵部隊をすべて壊滅させるだけでなく,要所を制圧して敵の「士気」をなくしたり,敵の退却地点をすべてつぶすなど,複数の勝利条件があるので,地形と敵の配置に合わせた作戦で勝利を目指そう。
パワーアップキット版では,特定の城に攻め込むと「攻城戦」が発生するようになった。守備側は城の設備を使って迎撃してくるので,攻撃側は戦場の流れを読んで臨機応変に対応しなければならない。全国で200以上ある城には,それぞれ攻城戦マップが追加されており,平城と山城でマップの構造が大きく異なるのも面白い。
また,川中島の戦いや関ヶ原の戦いのような大きな合戦は,歴史に沿った内容の「イベント合戦」が起こる。こちらもパワーアップキット版の注目システムと言えるだろう。端的に表現すると題材となった歴史的な戦いを追体験できるもので,あらかじめ設定された兵力を使って攻略していく流れだ。イベント合戦の結果によっては,いわゆるif展開のシナリオになることもある。
領地を広げていく際は,新しく追加された「名所」の場所も把握しておきたい。主に有名な寺社仏閣となっているこの名所を含む城を手に入れると,勢力全体に特別な恩恵が与えられる。周辺の領地を発展させることで,この恩恵はさらなる効果を発揮するので,ぜひとも獲得を目指したい。当然,敵国が所持すればそれだけ脅威になるので,土地の奪い合いでは優先すべき場所と言えるだろう。
内政と戦だけ見てもパワーアップキットでかなりの進化が見られると思うが,「直談」と「評定衆」という新しいシステムもなかなかユニークだ。
出奔する武将の引き止めや,敵勢力からの引き抜きを行う「直談」は,相手と直接対話して交渉するシステムだ。具体的には,相手の心境や性格に合わせて金銭や領地の確約といった交渉材料を提示して,交渉を成立させることになる。知行システムの特性上,人材は多いに越したことはないが,足元を見て吹っ掛けてくるようなケースも少なくないので頭を悩ませることに。なお,ほかの大名との条約締結などでも直談が使われることがある。
「評定衆」では,勢力全体に影響を与える「家宰」と政策に影響を与え得る「奉行」それぞれに武将を割り当て,自分だけの家臣団を作ることができる。
基本的には各武将に設定された家宰特性,奉行特性の内容によって採用すべき人材を決めることになるが,家宰のほうは利点だけでなく欠点もあることに注意しよう。例えば,羽柴秀吉の家宰特性「帰農主義」は,兵糧収入増加30%が利点だが,欠点として最大兵力が25%も減少してしまう。尖った性能となっていることから,国の方針と合致した武将を割り当てるのがベストになるだろう。
このほかにも,パワーアップキットではおなじみの「編集機能」も完備されており,新勢力作成や大名の変更,さらにゲーム内編集も充実されていて,本作はまさに決定版といった出来栄えだ。
史実に沿った展開で劇中のイベントやシナリオを楽しみ,史実とは違うif展開にワクワクする。登録武将だけの新勢力で群雄割拠の舞台に飛び込むのもいいだろう。プレイヤーのアイデア次第で何度でもプレイできる世界がここにあるのだ。
シリーズ40年の集大成を謳う「新生」になって操作や各種コマンドがシンプルにまとめられたこともあり,これまで信長の野望シリーズをプレイしてこなかった人でも十分に楽しめるはず。この機会に,戦国時代の壮大な舞台に足を踏み入れ,自身の戦略によって歴史を変える楽しみを見出してみよう。
「信長の野望・新生 with パワーアップキット」公式サイト
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