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「29周年記念コンサート LIVE A LIVE A LIVE 2023 八王子編」レポート。すべての力を結集し,コンサートは大団円へ
会場には貴重な資料も展示された |
会場で予約受付が行われた「ぬいぐるみキューブ」 |
「ライブアライブ」公式サイト
●「29周年記念コンサート LIVE A LIVE A LIVE 2023 八王子編」夜の部 出演者一覧(敬称略)
・演奏
上倉紀行(keyboard)
森 空青(Guitar)
坂田善也(Guitar)
岡島俊治(Drums)
池尻晴乃介(Bass)
伊藤友馬(Violin/二胡)
山本理紗(Violin)
菊地幹代(Viola)
結城貴弘(Violoncello)
はたけやま裕(Percussion)
森下 唯(Piano)
・ゲスト
時田貴司(「LIVE A LIVE」プロデューサー)
下村陽子(作曲家)
影山ヒロノブ(シンガーソングライター)
HIDE×HIDE(次世代和楽器ユニット)
YOKO(口笛奏者)
●「29周年記念コンサート LIVE A LIVE A LIVE 2023 八王子編」夜の部 セットリスト
・第一部
M01「LIVE・A・LIVE」
M02「西部編メドレー −放浪−」
「WANDERER」「Under the Fake」「THE WILDS」「Sancho・de・Los・Panchoz」
M03「原始編メドレー −接触−」
「NATIVE LIFE」「いいお天気でしょ!」「生贄の宴」「Kiss of Jealousy」
M04「現代編メドレー −最強−」
「最強 −VICTORY ROAD−」「猛者達…」「Versus!」「KNOCK YOU DOWN!」
M05「SF編メドレー −機心−」
「Unseen Syndrome」「CAPTAIN SQUARE」「星屑のキャプテン」
M06「近未来編メドレー −流動−」
「Wait for Truth」「PSYCHOで夜露死苦!!」
M07「GO! GO! ブリキ大王!!」
・第二部
M08「功夫編メドレー −継承−」
「鳥児在天空飛翔 魚児在河里游泳」「老拳師下深山」「在中国的戦闘」
M09「幕末編メドレー −密命−」
「密命」「忍音」「殺陣!」
M10「中世編メドレー −魔王−」
「魔王への叙曲」「届かぬ翼」「凛然なる戦い」「魔王山を往く」
M11「魔王オディオ〜MEGALOMANIA〜ARMAGEDDON」
M12「最終編メドレー〜GIGALOMANIA」
「絶望の都」「Silent Labyrinth」「ILLUSION…」「PURE ODIO」「GIGALOMANIA」「Live over Again」
M13「Live for Live」
・アンコール「スペシャルメドレー」
「Battlissimo」「GO! GO! ブリキ大王!!」
全ての力を結集し,コンサートは大団円へ
「ライブアライブ」は1994年に発売されたRPG。小林よしのり氏,藤原芳秀氏,青山剛昌氏,石渡 治氏,皆川亮二氏,島本和彦氏,田村由美氏といった豪華作家陣がデザインした主人公達が,それぞれの時代で活躍するオムニバス形式の作品だ。さまざまなテーマを描いたシナリオ,趣向を凝らしたシステムが話題を呼んだ。そして下村陽子氏による情感豊かな音楽は,サントラはもちろん,氏の自選アルバムや,バトル曲をアレンジしたさまざまなアルバムにも収録され,ファンの耳を楽しませてきた。
発売20周年+待望のWii Uバーチャルコンソール版が配信されて希望の光が差した2014年,2018年の「鶯谷編」,25周年を記念した2019年の「新宿編」と定期的にコンサートが行われており,ファンからも愛され続けている本作。今回の「八王子編」は,2022年に「HD-2D」手法によるリメイク版が発売されてから初のコンサート。リメイク版にも参加したミュージシャンも参加し,新曲「GIGALOMANIA」も演奏されるなど,「ライブアライバー(ファン)」にはたまらない内容となった。
オープニングナンバーは,もちろんゲームのオープニングである「LIVE・A・LIVE」。長年のファンにとっては4年ぶり,リメイク版からプレイした人にとっては初のコンサートということで,場内は大きな盛り上がりを見せる。
「LIVE・A・LIVE」の演奏後はプロデューサーである時田貴史氏と音楽を手がけた下村氏,「新宿編」で口笛パートを担当したYOKO氏が登場。時田氏の「リメイク版から遊んでくださった方は?」との問いかけには会場から多くの手が上がり,“リメイク版効果”の大きさが分かる。
この日はコール&レスポンスも解禁されており,下村氏が「通りすがりの……」と呼びかければ,観客が「たい焼き屋サンよ!」とゲーム内のコアなセリフで答える一幕も。もともと「ライブアライブ」のファンであり,リメイク版では口笛パートで参加したYOKO氏は「これ以上完璧なリメイクもなくて,思い残すことはない」と作品の出来映えに太鼓判。「最終編」の主人公にはサンダウンを選んだとプレイ時のエピソードを明かした。
そんなYOKO氏を加えての「西部編メドレー −放浪−」。「リメイクありがとうという気持ちで演奏したい」と語るYOKO氏の口笛は哀愁を帯びて場内に響き渡り,観客の心を一気に掴む。
「原始編メドレー −接触−」では舞台上が緑の照明で染まり,まるで密林のよう。「生贄の宴」ではビートに合わせてバンドメンバーと観客が両手を振り上げ,まさに原始の宴だ。
格闘技がテーマの「現代編メドレー −最強−」は激しい曲が続き,場内も大きく盛りあげる。
「SF編メドレー −機心−」で印象深かったのが,ゲーム内ゲーム「キャプテンスクウェア」のBGMである「CAPTAIN SQUARE」。ロゴが出てくるおなじみのSEからチップチューンの音色が流れ,そこにギターが加わるというライブならではの演奏になっているのが面白い。
「近未来編メドレー −流動−」は「Wait for Truth」「PSYCHOで夜露死苦!!」の2曲編成。場内もこの後に第二部が続くとは考えられないほどにヒートアップする。そして,怒濤のような演奏から一転して静まりかえった場内に「ざけんなよ……そんなカッコにならなくてもな……一つにはなれんだよ! なあ……そうだろ,松ッ!!」と,アキラの魂の叫びが響き渡り,「GO! GO! ブリキ大王!!」がスタート。もちろん,リメイク版同様に影山氏のボーカル入りで,3番までの熱唱だ。
リメイク版から入った読者のために書いておくと,この曲にはある逸話がある。当初は1番の歌詞しかなかったが,雑誌において2番以降の歌詞を読者から募集する企画が行われた。ここで2番に採用されたのは島本和彦氏が作詞したもの。「近未来編」のキャラクターデザインを手がけた漫画家その人が,一般読者枠で応募していたのだ。そして3番は公募された歌詞を組み合わせたもの。オリジナル版発売当時に皆で作り上げた「GO! GO! ブリキ大王!!」を,リメイクを経て影山氏が熱唱するのだから,「ライブアライブ」がいかに愛されている作品であるかが分かるだろう。
第2部の開幕は「功夫編メドレー −継承−」。ここでは伊藤友馬氏がヴァイオリンから二胡に持ちかえ,その音色が場内を中国的なムードに包む。続いて時田氏と下村氏が再登場し,観客と「旋牙!」「連山拳!」のコール&レスポンス。下村氏は「ぜひ二胡の生演奏で入れたかった」と功夫編の音楽に込めた思いを語った。
続く「幕末編メドレー −密命−」は,20周年コンサートやリメイク版に参加した次世代和楽器ユニットのHIDE×HIDEが合流。中でも尾上秀樹氏は「昼公演を経て,自分でも旋牙連山拳を出せるんじゃないかというくらいに気合いが入っています」と頼もしいひと言で場内を沸かせる。演奏ではHIDE×HIDEの尺八と三味線が加わり,一転して和のムードに。尺八とギターが掛け合いをするように曲を奏でるシーンもあり,ゲーム音楽らしい面白さがある。
「中世編メドレー −魔王−」は場内が真っ赤から真っ青に染まり,切なげなピアノの音色が響き渡る。
続く「魔王オディオ〜MEGALOMANIA〜ARMAGEDDON」では,皆が力を振り絞って戦うかのような「MEGALOMANIA」が演奏されるも,ハルマゲドンエンディングの「ARMAGEDDON」で照明が暗転してしまう。
コンサートも終わりかと思われたが,時田氏と下村氏が再登場。時田氏が「ここでおしまいという訳ではなく,これからが本当のクライマックスなのでプレイを進めていきましょう。当時はヒットしなかったゲームではあるけれど,20周年記念で200名のライブから始め,皆さんの大きな声でまさかのHD-2Dリメイク,29周年を迎えることができて本当に幸せです。ありがとうございます」と挨拶すると,会場は割れんばかりの拍手に包まれた。そして下村氏が「30周年にも何かできるといいと思います。皆さんの応援をよろしくお願いします」と,今後の抱負を語った。
そして時田氏が「ここからが本当の大団円」と宣言。下村氏も演奏に加わった「最終編メドレー〜GIGALOMANIA」ではリメイクで追加された最終ボス曲「GIGALOMANIA」も演奏され,続く「Live for Live」でコンサートも大団円を迎えた。
それでも会場の拍手は鳴り止まず,アンコールの「スペシャルメドレー」はかつて攻略本の付属CDに収録されたレア曲「Battlissimo」,そして「GO! GO! ブリキ大王!!」。さまざまな楽器に尺八,三味線,口笛,そしてボーカルとすべての力が結集され,大きな盛り上がりのうちにコンサートも幕を閉じた。
ゲーム音楽のコンサートでは本編映像が使われることも多いが,今回の公演ではそうした演出はなく,純粋に音楽を楽しめるという内容だった。しかし,元々想像力を刺激するドット絵が使われており,シナリオ中にも名セリフが多い情感豊かな作品だけに,楽曲を聴いているだけでゲームのシーンがよみがえってくるかのような感覚があった。来年はついに30周年,節目の年にどんな展開があるのか期待したい。
「ライブアライブ」公式サイト
※Photo By MASANORI FUJIKAWA
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