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いま最もエゴいステージがキックオフ! 「舞台『ブルーロック』」のゲネプロをレポート
今回の舞台では主人公の潔 世一がブルーロックに入寮し,ブルーロックのなかでも最下位のメンバーが集まった“チームZ”の仲間と一緒に,総当たりのグループリーグマッチに挑む一次セレクションまでが描かれています。本稿では東京公演前に行われた10日のゲネプロ公演の模様をお伝えしましょう。
「舞台『ブルーロック』」公式サイト
舞台は,全国高校サッカー選手権の県大会決勝でシュートではなく,味方へのパスを選び,敗退してしまった潔の後悔からスタート。そんな彼がブルーロックからの招待状を受け取り,現地へ向かうと,同じように招待状を持った少年たちが集まっていました。
FWだけが集まっているこの状況を訝しんでいると,ブルーロックプロジェクトの中心人物である絵心甚八が登場。自分自身のエゴを貫いて,このブルーロックのサバイバルに勝ち抜けば世界一のストライカーになれる,と断言する絵心の言葉に最初こそ反発していた少年たちですが,狂信的な熱量で日本サッカーの未来を語る絵心にだんだんと浮かされていく彼らは,潔が駆け出したことにより,全員がブルーロックへの入寮を決意します。
ここでゾクゾクするのが横井翔二郎さんが演じる絵心の怪人感! 潔たちに向けて語っているのに,その目はまったく彼らを見ておらず,ただただ日本サッカーの遠い未来だけを熱っぽい目で見ている絵心は,行動も言動も異質なのに,グッと心にくる説得力を感じます。怪しさ満点なのに,どうしても抗いがたい。その熱に当てられた潔たちの心情が手に取るように伝わってきました。
潔がいるチームZには,ドリブルセンスが抜群の蜂楽 廻,正々堂々とした真正面勝負を好む國神錬介,過去のトラウマを抱えた千切豹馬,チームを引っ張っていく久遠 渉,プライベートでもゲームでも荒々しい雷市陣吾,独特な話しかたが光る我牙丸 吟,GKを引き受けてくれる男らしい伊右衛門送人,コミカルに場を盛り上げる五十嵐栗夢など,個性的なチームメイトが集結。この11人のメンバーで他チームとの試合が始まります。
最初のチームXとの試合では,全員がFWということで「俺が俺が」と全員がボールに群がりお団子サッカーになってしまう選手たち。しかし,敵チームの俺様キングこと馬狼照英のシュートでひとつにまとまっていく相手チームを見て,潔は圧倒的な個性を持つストライカーがチームを作っていくと気づきます。
自分以上のサッカーセンスや身体能力を持つ選手たちと戦いながら,ストライカーとしてのエゴや武器を作ろうと模索する潔。そんななかで,蜂楽や國神,千切との友情も深めていき,いつしかチームZは潔を中心としたチームに!
舞台後半からは,この11人全員で一次セレクションをクリアすると意気込みますが,チームWとの試合で,これまでチームの話し合いなどをまとめてくれていた久遠が急変! 人の好さそうな笑顔が消えて,自分勝手なエゴを外に出し始めます。チームの全員が生き残れるように動くのではなく,自分だけが次に勝ち上がると決めた久遠は敵チームに情報を流し,「これからは12人対10人で戦う」と宣言するのでした。
困難のなか,なんとか引き分けでゲームを終えられたチームZ。最後の試合では難敵である凪 誠士郎,御影玲王,剣城斬鉄がいるチームVと戦います。チームを裏切る久遠を抱え,不利な状況で凪の天才プレイに翻弄される潔たち。しかし,絶体絶命的なピンチに追い込まれたからこそ,彼らは自分のなかにあるエゴを開花させ,最強ストライカーの片鱗を見せ始めるのでした。
本能(エゴ)むき出しの雄たけびが熱い!
エゴイズムに溢れるストライカーを描く「ブルーロック」では,それぞれの選手が自分の持つエゴと向き合うことに。舞台版ではそのエゴと向き合い,そのエゴが放たれた瞬間に零れ落ちる絶叫がいたるところで聞こえてきます。
そのなかでとくに筆者の心に刺さったふたつのシーンを紹介しましょう。ひとつは2戦目のチームYとのゲームで,自分と似たプレイスタイルの二子一揮に勝利した潔のワンシーンです。
原作でも潔が勝利という麻薬にハマった印象的な場面なのですが,舞台でもほかのシーンでは協調性もあり,比較的温厚な対応をしている彼が泣いている二子を見て,ドバドバと放出しているアドレナリンに酔いしれる姿はなかなかの鬼畜ぶり! 「気持ちいい!」と叫ばずにはいられなかった潔の激しさを感じました。でも,このキャラクターの豹変ぶりが「ブルーロック」のおもしろいところでもあります!
ふたつ目は過去に右膝を故障し,再び壊れるんじゃないかという恐怖から自分の武器であるスピードを生かせなくなった千切が自分にかけたロックをこじ開け,ストライカーに復帰するシーンです。
「自分の夢を諦めるためにここへ来た」と話す千切は,それまで攻撃に参加することはなく,後ろ向きに参加していただけでした。ですが,絶望的な状況でもしぶとく諦めず,さらには戦おうとしないヤツに興味がないと言わんばかりに千切を無視する潔に触発され,千切はトラウマを克服! それまで“お嬢”と呼ばれるほど澄ましていた千切が「壊れるなら壊れろ!」と叫びまくり,走りまくりの全力さを見せるこのシーンは,手を振って応援したくなるほど熱い瞬間でした。
全員が「世界一のストライカーになる」という共通の夢を抱いている「ブルーロック」。相手を飲み込み,ひとつだけの席を奪い合いながらも,その全力さが自分だけでなく相手の輝きを磨くことにもなる不思議なステージは,激しいエネルギーのぶつかり合いの場でした。
雷市陣吾(演:佐藤たかみち) |
我牙丸 吟(演:村松洸希) |
伊右衛門送人(演:澤田拓郎) |
東京公演の千秋楽である5月14日17:30公演は,ライブ配信も決定し,現在チケット発売中です。熱い叫びを聞きたいかたは,ぜひチェックを!
ライブ配信情報はこちら
「舞台『ブルーロック』」公式サイト
- 関連タイトル:
ブルーロック BLAZE BATTLE
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(C)金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会 (C)BAEL
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