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[GDC 2023]インディーズ開発者の表彰イベントで大賞を受賞した「Betrayal at Club Low」は,サイコロで勝負していく奇妙なRPG
2022年9月に発売された本作は,失踪した同僚のエージェントを探して,ナイトクラブ「Club Low」へと潜入していくRPGだ。プレイヤーはピザの配達人に扮して乗り込んでいくことになるが,そもそもなぜナイトクラブへの潜入にピザ配達なのか,さらにはどう見ても不審な青い肌を隠さないまま潜入していくのかなどに説明がない,シュールな作風になっている。
ゲームプレイもユニークで,プレイヤーはナイトクラブの玄関や裏口にいるガードマン,キッチンのシェフ,さらにはフロアにいる客たちと,サイコロを振って勝負する。プレイヤーは「Cooking」「Deception」「Music」「Observation」「Physique」「Wisdom」,そして「Wit」という7つのカテゴリのスキルを持っており,このうち2〜3種類を選んで,それに対応したサイコロを振る。そうなると当然,相手がガードマンなら「Physique」を,シェフなら「Cooking」以外のものを選びたいところだが,ほかのスキルなら有利に戦えるかというとそれはまた別の話。良い出目が出るとも限らないので,勝敗のランダム性が高い仕組みだ。各スキルは,サイコロ勝負で得た資金を使って,アップグレードもできる。
また,脱出のためにはなるべく仲間を増やしておいたほうが良く,ダンスフロアで印象的なダンスムーブを披露したり,ターンテーブルのスクラッチで会場を沸かせたり,シェフが唸るほどの料理を完成させたりすると,帰り道が楽になっていく。
同僚の居場所を見つけて,外に出るまでのミッションは3時間ほどで終了するようだが,脱出のための攻略方法を工夫し,異なるアップグレードを何度も試せるリプレイ性が,本作の魅力の1つと言える。
Cosmo D氏は,ニューヨークに在住するミュージシャンだが,2014年に「Saturn V」でゲームデビューして以降,「Off-Peak」(2015年)や「The Norwood Suite」(2017年)などの作品を,音楽活動の傍らでリリースしてきた。そのため,ゲームで扱われるサウンドには定評があり,それは「Betrayal at Club Low」でもしっかりと継承されているのが分かるはずだ。
現時点では英語のみのサポートとなっており,プレイのハードルは高いが,ゲーム開発者達の投票で選ばれるIGFなだけに,この奇妙の作品の何が開発者たちを唸らせたのかを知りたい人はSteamとitch.ioをチェックしてみよう。
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