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デッキ構築型ローグライク「クロノアーク」の次のDLCはカジノ。次回作「Deception Engine」はより遊びやすく発展させ,基地管理要素も実装
本作は,3年間の開発後,2019年末にアーリーアクセスが始まり,2024年5月3日についに正式リリース,数日で販売本数30万本がアナウンスされているタイトルだ。デッキ構築型ローグライクというジャンルの中でも,シナリオやキャラクターの描写に力が入っていたり,ビジュアルは日本人でも受け入れやすいテイストだったり,パーティでの戦闘が面白かったりと,非常に特徴的で,完成度も高い。
とくに,ハードモードで遊んだときの歯ごたえと達成感はかなりのもので,じっくり挑みたくなる「1ターンごとに緊張が走る,ターン制バトルの高難度RPG」だったりもする。通常の難度でもそれなりに難しいが,物語を楽しむための救済モードもちゃんとある。本当に秀逸なバランスのうえに成り立っているゲームだ。
詳しい紹介は,「こちら」の記事を見てもらえればと思う。
本作を手掛けたのは,韓国のインディーデベロッパであるAl Fineだ。筆者はこのゲームが好きで,韓国のゲームイベントに行くたびに,Al Fineが出展していないかとインディーコーナーをうろうろしたものだが,一度も見かけたことがない。それが今回,来日してBitSummitに出展ということで,インタビューをさせてもらった。
4Gamer:
まずは正式リリースおめでとうございます。30万本セールスを発表されていましたね。
イ・ヒョンジュ氏:
悪くない結果だと思っています。もっと遊んでもらえたらうれしいですけど。
4Gamer:
本当に良いゲームだと思うので,周りにはけっこう布教しています(笑)。
今回BitSummitに出展されていますが,クロノアークの日本プレイヤーは多いんですか?
イ・ヒョンジュ氏:
はい。一番多いのが中国で,次に日本とアメリカです。
4Gamer:
韓国のゲームなのに……。
イ・ヒョンジュ氏:
韓国のインディーゲームとしては有名なほうかと思いますが,韓国はそもそも,Steamの利用者自体がそこまで多くないんですよね。
4Gamer:
それでも,イさんはインディーゲームを作るぞって開発チームを立ち上げたわけじゃないですか。もともとどういうチームなんですか?
正式リリース時の投稿で,コンビニでバイトをしながら,暖房も効かないボロ部屋で,面白いゲームを夢見てクロノアークの開発を始めたと書いてありましたが……。
イ・ヒョンジュ氏:
そうですね。初期開発が終わって,アーリーアクセスに漕ぎつけたときは,私とアートの2人だけのチームでした。アーリーアクセスで稼いだお金で,ネットで新しいメンバーを探して迎え入れ,今のチームになっています。私も含め。20代後半から30代前半のメンバーがほとんどです。
4Gamer:
クロノアークのアイデアは,どこからきているのでしょう。
イ・ヒョンジュ氏:
「Darkest Dungeon」の影響が大きいです。ローグライクRPGを遊びながら,こんなゲームを作ってみたいと思って。
4Gamer:
デッキ構築型なのは,「Slay the Spire」からですか?
イ・ヒョンジュ氏:
いえ,実は「ハースストーン」なんです。Slay the Spireはクロノアークの開発中に出てきて,ゲームの内容やルールは知っていたんですが,影響を受けないようにわざとプレイしないようにしていました。開発後半になって,ようやく遊べるようになりましたね(笑)。
4Gamer:
なんと。Slay the Spireって,デッキ構築ローグライクの火付け役だと思いますが,よくそこを通らずに,デッキ構築ローグライクのジャンルにたどり着いて,しかも秀逸なバランスで作り切りましたね。
私がクロノアークで一番好きなところは,ハードで遊んだ時の絶妙なバランスなんです。本当に苦戦してどうにか勝てる難度なのが,すごいセンスだなって。どういう基準で調整されていたんですか?
イ・ヒョンジュ氏:
基本的には直接プレイして,自力で調整します。あとはチームメンバーに遊んでもらったり,アーリーアクセスではプレイヤーの皆さんの意見も取り入れたり。ただ,自分でプレイするときも,わざとミスをするなど,最適解でなくても勝てる余地は残すようにはしていました。
4Gamer:
イさん的には,ミスする余地があるんですか。私は新しいボスが追加されるたびに,どうやって勝つのか頭を抱えたんですが(笑)。ラスボスとか本当に強い……。
イ・ヒョンジュ氏:
それは,プレイヤーからも相当言われました(笑)。
4Gamer:
次のDLCは,Xでバニーガールのイラストが公開されていましたが,どういうものになるんですか?
イ・ヒョンジュ氏:
カジノをテーマにしたDLCです。バニーガールのミス・チェーンやモモリ,ディーラーのシルバースタインが登場します。ルシーのスキンや,新しいボスももちろん追加されます。とくにボスは,ギャンブルを取り入れた面白い行動パターンになっていて,けっこう自信作です。
4Gamer:
楽しみですね。DLCはどこまで続ける予定なのでしょう?
イ・ヒョンジュ氏:
カジノで最後になると思います。次の作品も作っていますしね。
4Gamer:
クロノアークはNintendo Switch版も開発しているという話があったと思うのですが,そちらはいかがでしょう?
イ・ヒョンジュ氏:
開発は続けていますが,解決しないといけない問題もあるので,いつになるかは……出したいとは思っています。
4Gamer:
分かりました。次回作「Deception Engine」についても,お話しできる範囲で聞かせてください。
イ・ヒョンジュ氏:
ディストピアな世界を舞台にした,デッキ構築型ローグライクRPGになります。コンセプトは強奪で,「PAYDAY」や「オーシャンズ11」といった作品から影響を受けています。
4Gamer:
クロノアークはパーティ戦闘が特徴でしたが,Deception Engineはどうなるんですか?
イ・ヒョンジュ氏:
基本的なシステムは似ています。ただ,もうちょっと分かりやすく,遊びやすい形に発展させたものになります。クロノアークのような,全滅したら最初からやり直しといった仕組みにはしていません。
それと,Darkest Dungeonや「XCOM」のような,基地管理要素があるのも,クロノアークとの大きな違いです。
4Gamer:
アーリーアクセスはいつ頃出したい,みたいな予定は決まっていますか?
イ・ヒョンジュ氏:
本格的な開発が始まるのがこれからですから……2年後ぐらいには出したいですね。
4Gamer:
次回作も楽しみにしています。ありがとうございました。
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