プレイレポート
[プレイレポ]左手で見習い魔女,右手で悪魔をコントロール? 「ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔」は,絵本のようなビジュアルと独特の操作性が魅力
本作は,プラチナゲームズのアクションゲーム「ベヨネッタ」シリーズの主人公でおなじみ,無敵の強さを誇る魔女ベヨネッタの“はじまりの物語”を描くアクションアドベンチャーだ。
スタイリッシュでセクシーなビジュアルとアクションが特徴の「ベヨネッタ」シリーズのイメージとはまったく異なる,童話の絵本のようなビジュアルや物語の見せ方でベヨネッタの“過去”を体験できる。
発売前にプレイする機会を得たので,プレイレポートでゲームの魅力をお伝えしたい。
「ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔」公式サイト
左手で見習い魔女,右手で悪魔を操作して謎多き森を探索。独特の操作性とアクションが魅力
これは,ベヨネッタがまだセレッサと呼ばれていたころの物語。光の一族「ルーメンの賢者」と,闇の一族「アンブラの魔女」の間に生まれた“禁断の子”であるセレッサは,アンブラの魔女の里で忌み嫌われながらも,心ある者たちに守り育てられていた。
人の目を盗んでは,幽閉されている母のところに通うセレッサは,ある日,母から手作りのぬいぐるみを贈られる。チェシャという名前の猫のぬいぐるみは,ひとりぼっちのセレッサの数少ない友達となった。
数年後,セレッサは町外れに住む魔女モルガナの元で修行に励んでいた。いつの日か強い魔女となり,母親を囚われの身から救うために。
そのころセレッサは,母との別れを夢に見ていた。それは毎晩のように続いていたが,あるとき,夢の最後に見知らぬ少年が現れ,彼女にこう伝えたのだった。
僕が力をあげる……
お母さんを助ける力を。
アヴァロンの森に来て……。
白いオオカミがキミを導いてくれる……
アヴァロンの森は,恐ろしい妖精たちが棲むとても危険な森で,師のモルガナからも決して立ち入ってはならないと言いつけられている場所だ。しかし,夢の中の少年の言葉が忘れられず,森に行けば母を救い出せるかもしれないと感じたセレッサは,言いつけを破り,森へと足を踏み入れる。
森の中は,暗く,不気味で怪しげな雰囲気だ。茂みの奥から誰かに見られているような視線を感じ,風の音に混じって誰かがささやく声がする。恐ろしい妖精たちは,どうやらセレッサの存在に気が付いていたようだ。
襲い掛かってくる妖精たちから身を守るため,習いたての悪魔召喚術を使うセレッサだが,彼女はまだ魔女見習い。悪魔は出現せず,さらに追い詰められていく。
そんな,絶体絶命のセレッサを救ったのはチェシャだった。本来,アンブラの魔女によって呼び出された悪魔は,魔女の髪にやどるもの。しかしセレッサが呼び出した悪魔は,あろうことかぬいぐるみのチェシャに宿ってしまったのだ。
突如として獣のように動き出し,妖精たちをあっという間に引き裂くチェシャ。母を助けたいセレッサと,魔界に帰りたいチェシャ(に宿った悪魔)は,それぞれの目的を果たすため,ともに行動することに。こうして,1人の魔女見習いと1匹(?)の悪魔による,不思議な冒険が始まる。
以上が本作のイントロダクションとなるが,ここまでをプレイした人はまず,水彩画のような淡い色合いの,美しいビジュアルに目を奪われることになるだろう。童話の読み聞かせやファンタジー映画のような語りと,作品の雰囲気にマッチした音楽,絵本のページをめくるように展開するイベントシーンなども,幻想的で美しく,そしてダークな物語をより一層引き立ててくれる。
“魔法使いの弟子”の修行と言えば,井戸での水汲み? セレッサの物語は,絵本の世界に入ったかのような,色鮮やかな世界で展開する |
セレッサの幼なじみで「ベヨネッタ」シリーズファンならおなじみのキャラクターも登場。回想シーンなどには,セピア調の演出が入ることも |
本格的に冒険が始まり,セレッサとチェシャを動かせるようになると,その操作方法に驚かされるだろう。
セレッサとチェシャをそれぞれ動かし,協力しあって戦ったり,ギミックを解除したりして森を進んでいくのだが,その操作方法が面白い。Joy-Con(L)でセレッサを,Joy-Con(R)でチェシャを動かすのだ。
基本操作はそれぞれ左スティックとZLボタン,右スティックとZRボタンのシンプルな操作だが,各々のできること,得意なことが異なる。
セレッサはZLボタンで発動する魔導術が特徴だ。ZLボタンを押し続けながらタイミングよくスティックを倒す「ウイッチパルス」で,妖精たちの仕掛けを解き,魔力で橋や道を作り上げる。鋭い爪と牙を持つチェシャは,その怪力で障害物を壊して進み,敵を退ける。
非力なセレッサでは道を封じる障害物は壊せないし,大きな身体のチェシャはハシゴを登れない。お互い未熟な1人と1匹は,ときに別々の場所で手分けして行動し,ときに力を合わせて森の先へと進んでいくのだ。
バトルでは,セレッサは魔法で相手の動きを封じ,チェシャはそのパワーで敵を攻撃するのが基本の戦い方となる。セレッサは魔法を連続して使用できないため,再び魔法を使えるようになるまでチェシャが彼女を守る必要がある。2人の位置取りを工夫して,チェシャが盾になるように動くのがコツだ。
盾役として頼りになるチェシャだが,ダメージを受け過ぎるとぬいぐるみに戻ってしまう。もしやられてしまったら,すぐに拾い上げて体力を回復してあげよう。チェシャのダメージにも気を配りながら戦い,危ないと思ったら即ハグモードにして回収。セレッサ1人で逃げ回って,チェシャが元気になったらまた連係プレイで攻撃を仕掛ける。
セレッサたちを邪魔する妖精たちは種類も多く,戦い方もさまざま。さらに各章のラストにはボスが待っており,それらは単なる力押しだけでは倒せない手強さがある。相手の特徴を知り,戦い方を変えることが勝利への道となるのだ。
渡れない川があればセレッサの魔導術で足場を作り,障害物で通れない道があればそれをチェシャの剛力で破壊する。強敵との戦いでは,セレッサの魔導術で敵を拘束し,動けなくなったところにチェシャによる強力な一撃を与える。こうしてプレイヤーは,左右の手で異なる特徴を持つキャラクターをそれぞれ動かし,謎解きを進めていくわけだが,“1人で協力プレイ”をしながらさまざまな場面を攻略していくのはなんとも不思議な感覚があり,本作の大きな魅力となっている。
「敵の強さ」「セレッサたちが受けるダメージ量」「ウイッチパルスやボタン長押し操作の自動成功」といったきめ細かい難度調整で,ストーリーメインで楽しみたい人から,やり応えあるアクションを求めているプレイヤーまで,それぞれのスタイルに合わせた設定でゲームを遊べるところも好印象だ。
ダメージ量や敵の強さなどを細かく設定できる。童話を読み進めるように楽しみたい人は軽めに設定しよう |
序盤のゲーム操作の説明が丁寧で,かつ+ボタンで開けるサブ画面の「冒険の知恵」ですぐそれらを確認できる |
シンプル操作で楽しめる本作だが,さまざまな動作から「ベヨネッタ」のエッセンスが織り込まれているのが感じられ,プレイに慣れると“魅せる”アクションもできる。それらのアクションゲームとしてのこだわりは,さすが多くの名作アクションを生んだプラチナゲームズといったところ。雰囲気やストーリーはもちろん,やり応えあるアクションを求めている人も満足できる作品だ。
「ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔」公式サイト
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ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔
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