イベント
「Winning Post 10」の新要素“ウマーソナリティ”&”史実調教”とは。先行体験会&プロデューサー座談会をレポート
新要素「ウマーソナリティ」と「史実調教」を確認
イベント前半の先行体験会では,PS5版「Winning Post 10」を序盤から80分間プレイできた。その中で,新要素の「ウマーソナリティ」(ウマソナ)および「史実調教」を実際に確認できたので,その概要を紹介しよう。
ウマーソナリティは,馬達が持つ性格や癖といった内面的な個性を指す要素だ。「負けず嫌い」「努力上手」などプラスに働くものもあれば,「手抜き癖」「詰めが甘い」のようにマイナスに働くものもある。また「ムラっ気」のように,状況に応じてプラスに働いたりマイナスに働いたりするものものもある。
ウマーソナリティの効果はさまざまで,たとえば「目立ちたがり」は一番人気の支持を得る,大逃げなどの極端な作戦を取るなど,注目を集める状況になるとプラスに働く。一方「詰めが甘い」は,最後の直線で気を抜いてしまう個性で,レースにおいてはゴールの手前で勝負根性が低下するなどマイナスに働いてしまう。
これらウマーソナリティの効果の発生タイミングも,レース時だけでなく,史実調教の実行時や,舎での育成時などさまざまだ。
ウマーソナリティは,条件を満たすと変化することがある。条件の1つが,馬と人(プレイヤーを始めとする関係者)との「信頼度」で,レースでの好走やウマーソナリティに適した行動を取ることにより高まっていく。基本的に信頼度はレースで5着以内に入ると高まり,かつ格の高いレースほど効果的だ。またウマーソナリティに適した勝ち方だと,信頼度がさらに高まる仕組みとなっている。
信頼度が高まって一定以上になると「信頼レベル」が上がり,かつ特定の条件を満たすことで,マイナスのウマーソナリティを克服したり,プラスのウマーソナリティを進化させたりできる。条件はウマーソナリティごとに異なっており,ゲーム中の「克服,進化へのヒント」の項目でヒントを確認できる。
以上のように本作では,プレイヤーは馬のウマーソナリティと向き合って,どの個性を伸ばすか,どの個性を改善するかを考えつつ,それぞれに適したレース選択や行動を取っていくこととなる。
そのほか,所有馬達のウマーソナリティに関するエピソード「ウマソナイベント」が発生することもある。中には選択肢に応じて結果が変化するものもあるそうだ。
もう1つの新要素である史実調教は,日本競馬に大きな影響を与えた調教技術を使って,馬に特別なトレーニングを指示するコマンドだ。基本能力のアップ,一定期間だけのブースト,調子や気合乗りの増加などさまざまなプラス効果を持つ半面,疲労増加などのマイナス効果を併せ持つことも多い。
史実調教の結果には,「成功」と「大成功」があり,大成功すると成果が大きくなるだけでなく,馬との信頼度も高まる。
新たな史実調教は,「調教師の友好度が40以上になる」などの条件を満たすと調教師に提案してもらえる。提案してくれた調教師は「提案者」となり,預けた馬にその調教をすると大成功しやすくなる効果がある。ほかにも大成功の確率を増減させる条件があるようだ。
開発スタッフが参加者の質問に直接回答した座談会
イベント後半の座談会では,プロデューサーの山口英久氏を筆頭とする本作の開発スタッフが,参加者の質問に一問一答形式で回答した。
「レース以外で競走馬の描写を増やすつもりはあるか」という質問には,「すごくあります。次回作以降で実現できたらと思っています」との回答が。アンケートを取ったところ,「馬の描写を増やしてほしい」といった旨の回答が予想以上に多かったそうだ。
「『Winning Post』シリーズのシナリオが,作を重ねるごとに時代を遡っているが,どこまで遡るつもりなのか」という質問には,まず「Winning Post 10」に1973年のシナリオを入れた経緯が説明された。それによると,もともと社内ではハイセイコーの生まれた1970年からにしようという案があったが,JRAにも当時の資料がなく諦めたという。そのため「どこまで遡るのか,明言はできない」と回答しつつ,「一部から『最終的にはシンザンに行くのか』みたいなことを言われるが,その頃の資料は白黒なので,もはや色すら分からない。でもチャレンジしたいという気持ちはあります」と話していた。
「ウマーソナリティで馬1頭1頭に焦点を当てたように,今後は登場人物各自に焦点を当てるような要素が追加されるのか」という質問には,「『Winning Post』シリーズはリアリティを追求しつつ,それをどうやってゲーム的に表現するか,どうやってゲームならではの面白さを出すかを考えています。登場人物に関しても,競馬的な背景を持ちつつ,ゲーム的な楽しいつながり方ができるような表現を目指しています」と回答していた。
「New Gameで新たにプレイし始めるときなどに,チュートリアルをオフにしたり,オート進行にしたりできるようにならないか」という質問には,「すでに皆さんの意見からショートカットを入れたりしているが,オフ機能などにもチャレンジしてみたい。可能かどうか,さっそく検討してみます」と答えていた。
この質問に関連して,「プレイヤーの意見を積極的に採り入れる開発体制は,今後も継続していくのか」という問いかけには,山口氏が「開発スタッフにプレイヤーの反応を毎日チェックするよう言っている」と回答。「自分達がいいと思っていても,大半のプレイヤーがそう思っていない可能性がある。シリーズを長く作っていると,開発側は『こういうものでしょ』となってしまい,プレイヤーの皆さんとは見ているところがズレてしまう」と説明を加え,自身がプロデューサーを務めている限り体制を変えるつもりはないので,「遠慮なく意見をいただければと思います」と語った。
「今回プレイできた範囲では秘書が2人からしか選べなかったが,過去作に出てきた秘書は選べないのか」という質問には,「次回作以降で増やしていく」との回答が。「Winning Post」シリーズ30周年記念で行われた,歴代秘書人気アンケートの結果を反映したり,新しい衣装を追加したりする予定があるそうだ。
「現在に近い時代のシナリオがもう1本あると,バランスがよくなるのではないか」という質問には,「前向きに考えたい」と回答し,とくに昨今は新たに競馬に興味を持ったゲームファンが増えているので,彼らに向けたシナリオを入れたほうがいいと考えているという。
「史実期間中に,自分が育てた架空の馬を活躍させられるような機能を実現できないか」という質問には,「システム的には可能」という回答だった。ただ,「史実期間中はこうであってほしい」という意見もあり,慎重に検討する必要があるという。山口氏によると,バランス調整がすごく難しいとのことで,「だからやらないではなく,どうやったらいいのかをしっかり考えます」と話していた。
「レース発走前のファンファーレを,リアルの競馬と同じものにできないか」という質問には,「事情があり難しい」とのこと。まったく無理と言い切るわけではないが,入るとは言いづらい状況だそうだ。
「以前話のあった,ライバル馬主の導入はどうなっているのか」という質問には,「やろうと思えばできるが,ゲームとしてどう面白くできるか検討している段階」だという。
「たとえば『Winning Post 9』には2020年度版,2021年度版,2022年度版があるといったように,あとからデータを更新したバージョンが出るので,『Winning Post 10』に手を出しづらい。購入者には,各年度版を割引購入できるなどのインセンティブを設けたほうがいいのではないか」という提案には,山口氏が「今回はもう発売が近いので難しいが,仮に『Winning Post 10』の年度版が出ることになったら,前向きに考えたい」とし,毎回年度版を購入しているファンに感謝の意を示した。
「オンライン対戦で,待機時間をカットできないか」という質問には,「プログラムの見直しなど,テンポアップを検討していく」との回答がなされた。
また「オンライン・馬券王決定戦は,リアルの競馬のように複数レースの結果を集計してどれだけ勝った負けたを競う仕様にしたほうが面白くなるのではないか」という提案には,まず毎回プラス収支にしないと終了してしまう仕様について,「すぐ結果が出ることを考えて設計」していると説明。そのうえで,「内容を膨らませるために,もう少しリアルの競馬を楽しんでいるような雰囲気を出せたら,また違う楽しさが生まれるので,ぜひ検討したいです」としていた。
「『Winning Post』シリーズの海外展開は考えていないのか」という質問には,「あまり考えていない。そもそもニーズがない」と山口氏。実際,海外展開したこともあり,多少は売れるのだが,さすがに日本競馬のゲームだけあって,ビジネスとしては成立しづらいそうだ。ただ,チャンスがあれば,積極的に海外へ展開したいとも話していた。
「もっと極端な内容のDLCを出せないか」という質問には,「DLCには賛否あるので,どこまでやっていいのか葛藤がある。大前提として,なくても遊べる内容にしている」と回答しつつ,「これがあったら強くなるではなく,ちょっとふざけた内容のものであれば検討します」と話していた。
「リアルの競馬では競走馬の育成に外厩が活用されているが,それをゲームに落としこむことは考えているか」という質問には,「話は結構出るが,どう落とし込んでいいかが難しい」という。そもそも「Winning Post」シリーズの牧場が外厩のような存在であり,また調教師に預けるケースもあるので,どうすればいい形に組み込めるのか今後も検討していくという。
「プレイヤーが,もっと能動的に馬の育成に介入できるようにならないか」という要望には,「1頭しか育成できないゲームならどんどん介入の余地を増やすが,『Winning Post』シリーズでは50〜60頭育成することになる。その全部の馬に手をかけようとすると,とんでもない時間がかかるので,そのバランス調整が難しく,大きな課題になっている」と回答していた。
「障害レースは扱わないのか」という質問には,「オジュウチョウサンが引退して障害レースに注目が集まっているのは確かだが,『Winning Post』シリーズのファンにどれだけ響くか確信が持てず,様子を見ている状況」とのことだ。アンケートの結果などで,「障害レースを入れてほしい」という意見が多ければ,前向きに考えるという。
「プレイヤーの男女比は」という質問には,「95%以上が男性」との回答が。そのため,必然的に秘書は女性ばかりになってしまうという。女性プレイヤーから「男性秘書がほしい」というリクエストも届いており,社内でも毎回「男性も入れたほうがいいのでは」という意見は出るのだが,どうしても優先順位的に後回しになってしまうようだ。また女性プレイヤーに対して,もっと何かできないかと常に考えているとも話していた。
座談会の最後に山口氏は,「皆さんからいただいた意見は,今後のアップデートや次回作に反映します。今日だけでなく,いつでも意見をお願いします。今後とも,『Winning Post』シリーズを愛していただければと思います」とまとめていた。
「Winning Post 10」公式サイト
- 関連タイトル:
Winning Post 10
- 関連タイトル:
Winning Post 10
- 関連タイトル:
Winning Post 10
- 関連タイトル:
Winning Post 10
- この記事のURL:
キーワード
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.