「The First Berserker: Khazan」開発者インタビュー。「アラド戦記」の魅力を骨太に落とし込んだゲームデザインの裏側を語る［TGS2024］

　ネクソンから2025年に発売が予定されている「The First Berserker: Khazan」（PC / PS5 / Xbox Series X|S）は，MMORPG「アラド戦記」を原作とするアクションRPGだ。現在開催中の東京ゲームショウ 2024では40台の試遊機が用意されており，30分の時間制限つきでプレイできる。


　筆者はTGS前にプレイする機会があった。だが，ミッションこそなんとかクリアできたものの，ボスチャレンジはかなりハードな仕上がりで，そこそこプレイ時間はあったものの，結局倒せずじまいに終わった。腕に自信のある人はぜひ会場でチャレンジしてみてほしい。
　また，試遊会場では壁画マンガ家のSHINN UCHIDA氏によるライブペインティングパフォーマンスも実施されている。巨大なキャンパスに絵が描きこまれていく様子もぜひ見てほしい。


　さて，今回はNeopleのCEOであり，「アラド戦記」のエグゼクティブ・ディレクターであるユン・ミョンジン氏，「The First Berserker: Khazan」のクリエイティブディレクターであるイ・ジュンホ氏，アートディレクターのイ・キュチョル氏にインタビューする機会を得たので，その内容をお届けしたい。

左からイ・キュチョル氏，ユン・ミョンジン氏，イ・ジュンホ氏

4Gamer：
　トゥーンレンダリングを使った独特のグラフィックスが印象的ですが，特にこだわった部分はなんでしょうか。

イ・キョチュル氏：
　原作である「アラド戦記」の雰囲気を一番よく表現できるグラフィックスという部分は大切にしています。また，カザンの物語や世界観を表現できるよう意識して作っていますね。
　個人的に好きなアニメ作品などにインスピレーションを受けて，どうすれば「The First Berserker: Khazan」というゲームを一番よく表現できるかというところを考えた結果，今のようなグラフィックスになりました。


4Gamer：
　インスピレーションを受けた作品というのは？

イ・キュチョル氏：
　一番好きな作品で影響を受けたのは「ベルセルク」ですね。そのほかにもいろんな雰囲気の作品から影響を受けています。

イ・ジュンホ氏：
　影響を受けていても本作とベルセルクとは関係ないので，ご安心ください（笑）。

4Gamer：
　ボス戦はかなり歯ごたえのある戦いでした。パリィやカウンターが独特な挙動でしたが，どう使っていけばいいでしょうか。

イ・ジュンホ氏：
　本作を作るときに，一番大事にしていたのが，アラド戦記という原作のアクションとしての楽しさを生かしつつ，主にコンシューマゲーマーをプレイする皆さんが好んでいるようなゲームを作ることでした。そこをどう組み合わせるかを悩んで開発しましたね。
　戦闘において第一に考えたのが，繰り返し挑戦し，それをやり遂げた時に得られる達成感でした。そのために，いろいろなことを試せる戦闘にしています。
　例えば，敵の攻撃は歩くだけで回避できるもの，走らないと避けられないもの，ガードやパリィを使ったり，カウンターを使ったりする必要のあるものもあります。行動の効果やコストがそれぞれ違うので，いろいろなアクションを試してみて，自分の攻略法を見つけてほしいですね。
　このゲームを上手くなるために，ひとつだけ言えることは，諦めず，たくさん挑戦することです。


4Gamer：
　試遊バージョンを遊んだとき，最初のボスは序盤だったので，カザンのアクションもそこまで多くなかったのですが，2体目のボスからはカザンのアクションもだいぶ開放されていて，操作に戸惑う部分がありました。実際のゲームプレイでは，アクションやスキルは順に開放されていくのでしょうか。

イ・ジュンホ氏：
　そうですね。プレイしていくと徐々に開放されていきます。
　こちらからも一つ質問があるのですが，雪原のボスはどのくらいでクリアしましたか？

4Gamer：
　30分くらいですね。

イ・ジュンホ氏：
　すごく上手ですね。最初のミッションのボスは1時間くらいで倒せるかなと思っていました。
　そのほかの2体のボスも，雪山で覚えたアクションを駆使すれば勝てるような設計にはなっていますが，カウンターやスキルをうまく活用することで，もっと簡単に倒せるようになります。今回のボス戦はいきなりアクションやスキルがある状態での戦闘でしたが，ゲームをプレイして，順番に学習していくことができるような仕組みにしています。

4Gamer：
　2体目以降のボスは相当強敵だったんですが，今回の試遊で倒されることは想定しているんでしょうか。

イ・ジュンホ氏：
　どこを試遊してもらうかは悩みどころでした。すごくうまい人であれば，ボスを倒せると思いますが，一般的にはクリアするのは難しいかもしれないと思っています。
　30分という制限時間をすべて使って，もう少しでボスが倒せそう，という手ごたえを得て，もっと挑戦してみたいと思っていただけたら，もう一度並んでプレイしてもらえるとうれしいです。あるいは今後予定しているクローズドβテストに参加いただきたいですね。

　ちなみに2体目のボスは1時間半くらいプレイしたら倒せるのかなと思ってます。なので，3回ほど並んでいただけたら，倒せるかもしれないですね。

4Gamer：
　The First Berserker: Khazanはアラド戦記のユニバース作品ということなのですが，今後そういった「アラドユニバース」の展開はしていくのでしょうか。

ユン・ミョンジン氏：
　アラド戦記は日本でも長きにわたってサービスを提供しているゲームで，たくさんの人に愛されているゲームだと思っています。本作だけだとアラド戦記のすべての世界観や物語を全部見せることはできないんです。
　アラド戦記にはもっとたくさんのキャラクターや物語があるので，それをもっと見せられるように，いろいろなゲームを作って，皆さんに楽しんでもらいたいと思っています。


4Gamer：
　最後に，日本のゲーマーにメッセージをお願いします。

ユン・ミュンジン氏：
　The First Berserker: Khazanはアラド戦記の中でも，特に重要な物語を描いているので，そこを楽しんでもらいたいですね。原作が好きな人はもちろん，原作を知らない人にも本作を通してアラド戦記の世界観に興味を持っていただけるようなゲームに仕上げることを目標にしていて，ある程度それは達成できているのではないかと考えています。ですので，日本の皆さんに楽しんでいただけると幸いです。

4Gamer：
　ありがとうございました。

「The First Berserker: Khazan」公式サイト