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【2022年9月版】今,遊んでおくべきマーダーミステリー8選。この1年で生まれた名作を,マダミスマニアがピックアップして紹介
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印刷2022/09/29 12:00

プレイレポート

【2022年9月版】今,遊んでおくべきマーダーミステリー8選。この1年で生まれた名作を,マダミスマニアがピックアップして紹介

 アナログゲームのいちジャンルとして,すっかり市民権を得た感のあるマーダーミステリーだが,4Gamer読者の皆さんは遊ぶシナリオを選ぶとき,何を基準にしているだろうか。物語のジャンルやメインビジュアル,あるいはレビューや友人の口コミなどが有力なところだと思うが,タイトルの総数が増えた昨今,「これだ!」という一作に出会うのはなかなか難しくなってきている。

画像提供:ジョルディーノ
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 一方で,2021年8月に掲載した記事ではとくに名作とされるタイトルを,新旧合わせて12作紹介したが,活況の中にあるマーダーミステリー界ではこの1年でも多く新作が発表されている。中には多くの人がマーダーミステリーのオールタイムベスト(と言ってもまだ4年ほどだが)に推す作品も出ているくらいで,クオリティの面でも豊作の1年といって過言ではないほどだ。
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 日本でマーダーミステリーが本格的に遊ばれるようになって3年ほどが経過した。巷で遊ぶことのできるタイトルはマイナーなものを含めると1000点前後に達しそうな勢いだ。どれを選べばいいか悩みがちだが,このタイミングだからこそ遊んでおきたい12タイトルをピックアップしてみたい。

[2021/08/21 10:00]
 そこで本稿では,この1年あまりで筆者がプレイしたタイトルの中からとくにオススメのものを,「店舗公演型(出張型む)」「パッケージ型」「オンライン販売」「現地公演型」の4ジャンルから紹介してみたい。ネタバレ厳禁のマーダーミステリーゆえシナリオの中身にまでは触れられないが,いずれも名作揃いなのは間違いない。次に遊ぶシナリオの一案として,参考にしてもらいたい。

※本稿に記載されている情報は2022年9月現在のものです。販売/公演の形式や価格などは変更となる場合があります。

■目次



蟻集


  • プレイ形式:店舗公演/出張公演
  • プレイ人数:7人
  • 公称プレイ時間:約270分
  • 料金:4500円(税込)程度/1人 ※店舗によって変動あり
  • 取り扱い店舗:JOLDEENO(予約サイト),マーダーミステリー専門店 NAGAKUTSU(公式サイト) など
  • シナリオ:幸田 幸

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 2022年上半期のメジャータイトルと言えば,本作と後述する「シュレーディンガーの密室」を外すことはできないだろう。
 SNS上でも傑作との呼び声が高い本作の物語は,山奥にある宿泊施設で起きた火事で,誰もが羨む若き不動産王の焼死体が発見されたことからスタートする。ミステリーとしてはスタンダードな導入だが,本作の独自性はここからだ。物語を終えたときには,なぜ本作がこれほど絶大な支持を得ているのかが理解できるはずだ。とくにプレイ後の感想戦の盛り上がりは圧倒的なので,お楽しみに。

 なお作者の幸田 幸(こうださち)氏はプロフィールが一切不明で,作品だけを淡々と発表している人物だ。本作にはそんな氏からの,“ミステリーもの”におけるさまざまな“お約束”へのアンサーが込められている。昨今のギミックの奇抜さや物語の“エモさ”で勝負するタイプの人気作とは一線を画したシナリオでもあるので,流行りのシナリオはもういいかな,と思っている人にもぜひ遊んでみてほしい。



「シュレーディンガーの密室」


  • プレイ形式:店舗公演/出張公演
  • プレイ人数:7人
  • 公称プレイ時間:約270分
  • 料金:【オリジナル版】5500円(税込)/1人,【シアター版】6000円(税込)/1人
  • 取り扱い店舗:【オリジナル版】白岩ぱんだ氏のTwitter,【シアター版】JOLDEENO(公式サイト
  • シナリオ:白岩ぱんだ

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 先の「蟻集」と評価を二分する傑作が,この「シュレーディンガーの密室」だ。
 “物語回想マーダーミステリー”を謳う本作は,回想シーンごとに発生する読み合わせが特徴で,登場人物の視点に重点が置かれた,非常にロールプレイ志向の強い作品となっている。また,何気ない会話の中に情報が潜んでいるなど,推理の面でも歯ごたえはなかなかのもの。そうしたタイプのマーダーミステリーを探している人には,ぜひ体験してもらいたい一作となっている。

 なお本作には二つのバージョンが存在する。一つは制作者である白岩ぱんだ氏が個人で運営しているオリジナル版で,こちらは舞台役者でもある2名のGMがNPCとして卓に参加する点が特徴だ。筆者も体験させてもらったが,プロの役者の演技力はさすがの一言で,物語への没入感はピカイチだった。実はプレイ中にちょっとしたハプニングもあったのだが……GM陣がアドリブでリカバーしてしまい,まるでそういう台本なのかと思ってしまったほどだった。
 もう一つは「JOLDEENO 吉祥寺店」で公演されているシアター版で,こちらは6つのスクリーンを使用した映像演出がウリとなっている。テーマパークのシアターアトラクションのような楽しさがあるので,新しい体験をしてみたい人にはこちらをオススメしたい。

note「シュレーディンガーの密室」情報ページ




「奇想、アムネジア」


  • プレイ形式:パッケージ販売
  • プレイ人数:7人(GM不要)
  • 公称プレイ時間:150分
  • 価格:3600円+税
  • 制作・販売:グループSNE/cosaic(公式サイト
  • シナリオ:アーキテクト

画像提供:グループSNE
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 伝説の奇術師が山奥に建てた別荘の落成記念パーティーで,謎の爆発が発生した。そして室内からは,焼け焦げた奇術師の遺体が発見される。居合わせた客は全員がマジシャンだ。果たして誰がこの殺人をやってのけたのだろうか?

 本作は企業や店舗が合同で主催した「第1回新作マーダーミステリー大賞」でパッケージ部門の大賞を受賞した「羅生門☆プリンシプル」を改題し,一般発売したタイトルだ。
 シナリオのアーキテクト氏はマジックに傾倒していた時期があるそうで,本作にはその経験が活かされているという。ちなみに旧題「羅生門☆プリンシプル」の元であるラショーモンプリンシプルは,マックス・メイビンという著名なマジシャンが名付けたマジックの原理の名前だそうだ。
 マーダーミステリーとしては読み込むべき情報量が多いのがやや難点であり,その点は選考時にも大賞に推すべきか悩む声があったという。だがシナリオの完成度と全貌が明らかになったときのカタルシスは抜群で,それが本作を唯一無二なものにしている。

 なお専門店の「Rabbithole」では,プロマジシャンのpsyka氏監修の元,特別な演出が加えられた店舗公演も行われている。パッケージ販売型のタイトルではあるが,プロのGMによるマスタリングで楽しみたい人は,こちらに参加してみるのもいいだろう。

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「スラムドッグス/探偵は踊る」


  • プレイ形式:パッケージ販売
  • プレイ人数:4人(GM不要)
  • 公称プレイ時間:各60分
  • 価格:3850円(税込)
  • 制作・販売:JOLDEENO(公式サイト

 マーダーミステリー愛好者の裾野を広げるべく,専門店の「JOLDEENO」が新たに立ち上げたレーベル「ミステリージャム」の処女作が,この「スラムドッグス/探偵は踊る」だ。宝石強盗団の一員として交渉と駆け引きを繰り広げる「スラムドッグス」と,探偵学園の受験者として謎解きと推理に挑む「探偵は踊る」の2作が収録されており,まったく異なる雰囲気のシナリオが楽しめる,お得なパッケージとなっている。

 GMレスのマーダーミステリーは今でこそ一般的になってきたが,中にはそれゆえにエラーが発生しそうなタイトルも少なからずある。しかし本作の場合は,専門店であるJOLDEENOのノウハウがしっかり反映されており,シンプルなシステムで十分なボリュームのゲームが楽しめる。
 具体的にはゲーム開始後は山札を開示していくだけで良く,かといってカードでテーブルがあふれ返ることもない。さらに本作のマニュアルには,それぞれのシナリオに適したBGMへのリンクも用意されていて,スマホ一つあれば簡単に雰囲気を盛り上げられるのも好印象だ。総じてプレイヤーの目線に立った製品なので,マーダーミステリー初心者にもオススメできる一作(二作?)と言える。

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「ピアノソナタ解放」


  • プレイ形式:パッケージ販売(オンライン用)
  • プレイ人数:5人+GM1人(必須)
  • 公称プレイ時間:210分
  • 価格:税込1200円(税込・全データ版)
  • 制作・販売:demidunit
  • 販売ページ:BOOTH

 とある離島の宿で一人の作曲家が殺された。容疑者は宿泊客の5名,船が来るのは2日後。典型的なクローズドサークルものながらも,SNSで評判を呼び一躍人気シナリオとなったのが,この「ピアノソナタ解放」だ。
 美しい構成と設定は,どこからともなく聞こえるピアノの調べのよう。商用作品であれば二の足を踏むような危ういバランスでありながら,それゆえのガラス細工のような美しさが,このシナリオの魅力となっている。

 GM必須のシナリオであり,プレイヤーへの説明事項も多いヘビー級ではあるが,GM向け資料は手厚い作りで充実している。上から読んでいけば進行できる初心者向けGMガイドのほか,アレンジしたい人向けの経験者向けGMガイド,ゲーム中のフローチャート,真相解明の手引きと,その分量は120ページを超える。

 なお本作はシナリオのみならず,イラストや配付資料のデザインまで,そのすべてをdemidunit氏自身が手がけたそうで,そのこだわりぶりはかなりのものだ。商用公演についても,demidunit氏自身がマスタリングぶりを確認し,問題ないと判断したGMにのみ有償での公演許可を出しているとのこと。募集があれば,ぜひ参加してみてはいかがだろうか。

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BOOTH「ピアノソナタ解放」販売ページ




「ブルークロスの純愛」


  • プレイ形式:パッケージ販売(オンライン用)
  • プレイ人数:4人+GM1人(必須)
  • 公称プレイ時間:180〜240分
  • 価格:2000円(税込)
  • 制作・販売:Frog Studio
  • 販売ページ:BOOTH

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 宇宙より飛来した奇跡の鉱石を盗むため,研究施設に潜入した怪盗団。しかし作戦中,無効化したはずの警報装置が作動し,施設に閉じ込められてしまった。まさかメンバーの中に裏切り者が? そんな疑心暗鬼の状況から始まるのが,「怪盗×サイバーパンク×マーダーミステリー」を謳う本作,「ブルークロスの純愛」だ。プレイヤーは怪盗団の一人となり,リーダーからの無線指示に従いながら,真相の解明を目指すこととなる。

 テーブルトークRPGの流れを汲むマーダーミステリーには「狂気山脈 陰謀の分水嶺」などがあるが,本作もそうした作品の一つだ。キャラクターの名前や性別を自由に設定できる点や,GMが担当するリーダーとの間で交わされる会話劇,各キャラが持つスキルのギミックなどは,まさにそれが顕著なところと言える。
 なお本作にはオンラインセッションツール「ココフォリア」用のアセットが付属しているが,これがなかなか作り込まれていて雰囲気もいい。キービジュアルのようなスタイリッシュな物語体験を,ぜひ楽しんでほしい。


BOOTH「ブルークロスの純愛」販売ページ




「平成筑豊鉄道マーダーミステリー 〜炭坑の残り灯〜」


  • プレイ形式:現地公演
  • プレイ人数:20人
  • 価格:2万2000円(税込・宿泊費込)
  • 企画・制作:人狼ハウス株式会社/マダミスハウス/Studio OZON
  • 主催:平成筑豊鉄道株式会社(公式サイト

 本作は,福岡県田川市を走る平成筑豊鉄道の「へいちく浪漫号」に実際に乗り込み,車内や停車駅にちりばめられたヒントを頼りに推理を楽しむ,現実世界のロケーションに紐づいたマーダーミステリーだ。地元への集客や雇用創出のための「地方創生」がテーマとのことで,現地の歴史や文化,人物が物語内に盛り込まれている。
 プレイヤーは,定年を迎える,とある運転士のラストランイベントに応募した参加者の一人だ。目当ては埋蔵金の噂や温泉,縁結び,ミステリーツアーなど皆バラバラで,職業も冒険家や温泉レポーター,ウェディングプランナーにホラー作家などなど,バラエティに富んでいる。そうした十人十色の20名を乗せ,列車は田川伊田駅〜犀川駅間を走り出すのだった。

画像提供:マダミスHOUSE
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 企画/制作は全国5都市で人狼ゲームやマーダーミステリーの専用スペースを展開している「マダミスHOUSE」。2022年6月に全4回の公演が行われ,現在のところ再募集は行われていないが,代表のクマ氏によれば2022年冬頃に次回公演を予定しているという。また別の宿泊型マーダーミステリーも制作中とのことなので,続報に期待したい。

過去の公演の様子
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「平成筑豊鉄道マーダーミステリー 〜炭坑の残り灯〜」公式サイト




「ドローム怪盗団と呪いの絵画」


  • プレイ形式:現地公演
  • プレイ人数:6人
  • 価格:5500円(税込)
  • 制作・監修:AGATA/JOLDEENO
  • 主催:東京密室(情報ページ

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 世間で義賊としてもてはやされている怪盗集団「ドローム怪盗団」。彼らがアジトの酒場に集まったのは,新しい獲物を決める作戦会議のためだった。そんな中に鳴り響くサイレンの音。いったい何が起こったのだろうか?

 本作は,秋葉原でルーム型の脱出ゲームを提供している「東京密室」で遊べるマーダーミステリーだ。脱出ゲーム用の施設を転用することで,一般的な店舗公演型とはまた違う,一風変わった謎解き体験が楽しめる。制作はドラマ「斑目瑞男」シリーズや「遠き明日への子守唄」で知られるAGATA氏が手がけており,氏ならではのAGATAワールドは今作でも健在。最後まで目が離せない展開になることは必至なので,ファンは楽しみにしてほしい。
 なお東京密室では,「WORLD END」や「ひぐらしのなく頃に 恨返し編」などで知られるとんとん氏による作品「ABCプリズン -LEAVE MY SECRET-」も提供中なので,こちらも合わせてお試しあれ。

東京密室のプレイルーム
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「ドローム怪盗団と呪いの絵画」情報ページ




 そんなわけで,筆者の独断による8作品を紹介してみたが,いかがだっただろうか。
 もちろん筆者とてすべての作品をプレイしたわけではないので,これ以外にも名作はまだまだあるに違いない。もしあなたの推すタイトルがここにないなら,ぜひ自分自身のリストを作って,Twitterなどで公開してみてはいかがだろうか。筆者も参考にしたいので,ぜひ挑戦してもらいたい。
 ともあれこの記事が,あなたのマーダーミステリーライフの一助になったなら,筆者としても嬉しい限りだ。人生が変わるような一作を,この中から探してみてはいかがだろうか。

本文では紹介しきれなかったいくつかの注目タイトルを,ここでは簡単に紹介していこう。「ANIMA -言の葉の回廊-」は,角川武蔵野ミュージアム内の「本棚劇場」を舞台にした現地公演型のマーダーミステリーだ(関連記事)。第2弾「ANIMA ?禁断の記憶の扉-」も公演がスタートし,どちらも公式サイトで定期的に募集が行われている
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マーダーミステリー専門店兼カフェバーとして開業した「Cafe&Bar KMC」でのみプレイできる「歌舞伎クレイジーナイト」は,年齢制限のあるちょっと大人なマーダーミステリー。テキーラを傾けながら楽しむのが本作の流儀とのこと
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モダンジャズがテーマのマーダーミステリー「JAZZY The Legendary Quintet Sessions」は,BGMによる演出も魅力の一つ。Queen's WaltzやNAGAKUTSUなどの店舗でプレイできる
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“協力型”を謳うマーダーミステリー「囁く妖精事件」は,Rabbitholeほかでプレイできる店舗公演型のシナリオ。“プレイヤーの中に犯人がいる”という前提を崩したタイトルで,嘘をつくのが苦手な人でも楽しめる
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少人数を突き詰めて作られた「アンノウン」は,“3時間後の世界”から届いた宇宙船の船長の死体めぐるSFもの。プレイヤー2人(+GM)だけの閉鎖空間での濃密な推理が楽しめる
  • 関連タイトル:

    奇想、アムネジア

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