プレイレポート
[プレイレポ]「鉄拳8」はソロプレイでも圧倒的なボリュームで格闘ゲーマーを満足させる。多様なモードや「AIゴースト」を活用した遊びを紹介
[インタビュー]シリーズ最高峰を目指して作りこまれた「鉄拳8」。原田勝弘氏らメインスタッフに,魅力と狙いについて深掘りして聞いた
バンダイナムコエンターテインメントが2024年1月26日に発売を予定しているシリーズ最新作「鉄拳8」。家庭用のパッケージタイトルとして,シリーズ最高峰を目指して作り込まれたという本作について,原田勝弘氏,池田幸平氏,安田イースポーツ氏の3名に,その魅力と狙いを聞いた。
「鉄拳8」公式サイト
風間 仁と三島一八の因縁の物語が描かれる「The Dark Awakens」
前作「鉄拳7」のアーケード版から数えると約9年ぶり(家庭用は2017年発売)のナンバリングタイトルとなる鉄拳8。鉄拳シリーズのファンや格闘ゲーマーにとっては,現世代機で美しく描かれる全32体のキャラクターやアグレッシブをコンセプトに調整されたバトルシステム,ハードの垣根を超えたオンライン対戦などが購入の決め手となる魅力的な要素だろう。
鉄拳シリーズと聞くと,アーケードで稼働している「対人戦に特化した格闘ゲーム」という印象を持つ人も多いと思うが,本作は対人戦だけでなく,1人でも楽しめるゲームモードが多く盛り込まれている。
まず本作のストーリーモード「The Dark Awakens」では,「鉄拳」シリーズの主役格で親子の関係である風間 仁と三島一八の因縁の物語が描かれる。このモードでは,ハイクオリティなムービーと,プレイヤーが操作するパートがシームレスに移行し,没入感の高いバトルが楽しめるようになっている。
The Dark Awakensは,格闘ゲームのストーリーモードとしてはかなりのボリュームで,話は二転三転していくうえ,プレイヤーが操作するバトルパートにも,通常の対戦とは違った演出やギミックが組み込まれている。事前情報なしでストーリーを進めていくと新鮮な驚きを得られるはずなので,SNSなどでネタバレを食らう前にぜひプレイしてみてほしい。
鉄拳のいろはを学べる「アーケードクエスト」
さらに本作には,プレイヤー自身が主人公として活躍するもうひとつのストーリーモード「アーケードクエスト」が用意されている。鉄拳8がゲームセンターで稼働している世界で,プレイヤーは鉄拳デビューを果たした新人となって,作中に登場するプレイヤーたちと対戦し,少しずつ腕前を磨いていく。ホームゲーセンがスタート地点となるが,段位を上げたり,特定の条件を満たしたりすることで,ほかのゲームセンターへの遠征が可能になり,ストーリーが進行していく。
CPUプレイヤーを相手にした疑似対戦や,鉄拳の競技シーンで活躍する気分を味わえるアーケードクエストだが,同時に鉄拳シリーズの基礎的な知識やテクニックが身につくチュートリアル的なモードとしての側面も持つ。
プレイヤーは,ホームゲーセン仲間の鉄拳博士ことMaxから鉄拳シリーズの基本操作,ヒートやレイジといった固有システムなどを教えてもらえる。さらにストーリーが進むと,「空中コンボは浮かせた相手をトルネード状態にするとヒット数(ダメージ)が伸びやすい」「隙の大きな技をガードした後には確定反撃を入れよう」といった,対戦時に役立つセオリーなども教えてくれるようになる。
アーケードクエストで戦うことになるアバターたちは,ゲームセンター単位である程度プレイスタイルが似通っているのも面白い。この仕様を意識すると,「この店は立ちガードで固まっている相手が多いので下段攻撃や投げで崩そう」「隙の大きい技を多用してくるからガードしてから確定反撃を入れよう」といったプランを立てて,的を絞った練習ができる作りになっている。
とくに本作からの新要素「ヒートシステム」については,アーケードクエストの序盤では,「とにかく強力なのでガンガン出していこう!」といったフワッとした説明から入るのだが,終盤になると「ヒートスマッシュの効果的な使い方」や「ヒートダッシュをコンボに組み込む方法」といった特別念入りなレクチャーが入る。本作の情報を仕入れていない人にとっては,学びの場としても機能するだろう。
加えてアーケードクエストをある程度進めておくことで,本作の目玉要素である「スーパーゴーストバトル」(後述)も楽しめるので,「格ゲーを買ったらまずは対戦でしょ!」という武闘派の人も軽くでもいいのでアーケードクエストを触ることをオススメしたい。
自身と他者のAIゴーストの活用で広がる遊びの幅
アーケードクエストに登場するFinal Roundに入店できるようになると解禁される「スーパーゴーストバトル」も本作の見どころのひとつ。ここではプレイヤーのアーケードクエストでの対CPU戦,オンライン対戦での試合の動きを学習したAIゴーストと対戦できる。
「AIゴーストに学習させる」と聞くと,何か特別な手間がかかりそうなイメージを持ってしまうかもしれないが,本作のAIゴーストはプレイヤーの試合を自動で観測し,記憶していく。そのためAIゴーストは,プレイヤーがオンライン対戦やアーケードクエストで試合をするだけで自動で学習し,動きがアップデートされていく。
AIゴーストの学習速度は非常にスピーディで,Final Roundで最初に要求される学習用の試合を数戦するだけで,自分が多用しがちな技を中心に戦うAIゴーストが誕生する。
ただ,数戦のみの学習の場合,動きのバリエーションは少なく,ワンパターンな動きをするだけのAIゴーストになっていた。しかし,さらに試合を重ねた後にあらためてスーパーゴーストバトルに臨んでみたところ,動きのバリエーションが目に見えて増えており,その成長速度に驚かされることに。距離に応じた技の使い分けや中下段の二択など,「人間っぽい動きをする」といって過言でないAIゴーストが誕生していた
対戦の合間などにAIゴーストと対戦し,自分の動きの変化,上達を身を持って体験するという使い方だけでも十分楽しめるスーパーゴーストバトルだが,オンラインロビーのTEKKEN FIGHT LOUNGEを活用することで,遊びの幅がさらに広がっていく。
TEKKEN FIGHT LOUNGEにいるプレイヤーのAIゴーストのデータは,自分を含めて基本的にフリーで利用できる。出会ったその場でAIゴーストと対戦することはもちろん,データをダウンロードしておけば,後日あらためてオフライン状態のFinal Roundで戦うこともできる。
ダウンロードした相手の腕前(プレイ時間)にもよるが,AIゴーストの動きを数試合で完全に見抜くのはかなり困難であり,しばらくの間は疑似的な対戦相手として,十二分に役立ってくれる。気兼ねなく何度でも戦えるので,強豪プレイヤーのAIゴーストに勝つまで対戦する,そんな遊びをするのも面白そうだ。
さらにAIゴーストとの対戦を通じて鉄拳8の対人戦の勝率を上げたい人には,リーダーボードの活用を強く推したい。ここでは段位ポイントやランクマッチの勝利数上位者といった超上級者や,特定キャラクターの上位プレイヤーのAIゴーストをダウンロードできる。
これを活用することで,特定キャラクターとの対戦や競技シーンで活躍しているプレイヤーの動きを身をもって知ることもできる。AIによる技術革新で新たなステージに進みそうな鉄拳の対戦シーンの一端を体感できるという意味でも,スーパーゴーストバトルは注目の新要素となりそうだ。
実戦から状況を切り出して学べるMY REPLAY&TIPS
AIゴーストやTEKKEN FIGHT LOUNGE以外に注目したい練習機能が「MY REPLAY&TIPS」だ。対人戦,CPU戦のリプレイの再生中に改善できるポイント(TIPS)を表示する機能で,確定反撃が決まるポイント,空中コンボを失敗した瞬間などに入るとリプレイが一時停止し,その時決められたはずの確定反撃,空中コンボのレシピなどがTIPSとして表示される。
さらにTIPSとして取り上げられた場面で×ボタンを押すと,そのまま提示された技やコンボを決めるための練習へ移行できるという,もっと強くなりたい人にうってつけの機能となっている。
またリプレイ中は,TIPSが表示されていない場面も,好きなタイミングで一時停止でき,そこからキャラクターをそのまま自由に操作できる。つまりこのモードでは,試合で失敗した場面,相手に出されて苦しんだ技への対処,「もしあそこで別の選択肢を取っていたら……」という考えがよぎった場面を,実際に体験した対戦からそのまま抽出できるのだ。
この「練習したい局面をわざわざトレーニングモードで再現する必要がない」という点が,カジュアルに鉄拳の対戦を楽しんでいた筆者にとっては,とてもありがたい仕様に感じられた。
スーパーゴーストバトルやMY REPLAY&TIPSといった,遊んでいるうちに「鉄拳の腕前」が上達する仕掛けと,格闘ゲームのキモともいえる対人戦に頼らずとも満足度の高い体験ができるストーリーモードが用意されている鉄拳8。現時点でいくらでも遊びこめる要素が備わっている本作だが,今後は定期的に行われるであろうアップデートで,数年にわたってパワーアップしていくことも確約されている。
前作の鉄拳7は,2015年の稼働から実に9年近く鉄拳シーンを支え,新しいプレイヤーを取り込んできた。鉄拳8も同じように長期にわたり愛される作品になる可能性は高いだろう。すでに本作を待ちわびている鉄拳シリーズファン,そして多くの格闘ゲーマーはもちろん,シリーズ未プレイの人もこの機会に鉄拳の世界に飛び込んでほしい。
「鉄拳8」公式サイト
キーワード
TEKKEN™8 & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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