インタビュー
[インタビュー]シリーズ最高峰を目指して作りこまれた「鉄拳8」。原田勝弘氏らメインスタッフに,魅力と狙いについて深掘りして聞いた
今回4Gamerは,「鉄拳8」の開発チームが注力したというシングルプレイモードを体験できるメディア向け試遊会に参加してきた。本稿では,試遊後に実施した「鉄拳」プロジェクト マーケティングプロデューサーの安田イースポーツ氏,「鉄拳8」ゲームディレクターの池田幸平氏への合同インタビューの模様と,前述の2人に鉄拳プロジェクトチーフディレクターの原田勝弘氏を加えた個別インタビューの模様をまとめてお届けする。
「鉄拳8」公式サイト
シングルプレイモードを作りこんで鉄拳の世界に“沼らせたい”
――本日はよろしくお願いします。インタビュー前に鉄拳8のシングルプレイモードを遊ばせてもらいましたが,1人用のゲームモードがかなり充実している印象を受けました。ここは意識的に力を入れている部分なのでしょうか。
池田幸平氏(以下,池田氏):
そうですね。「鉄拳」を家庭用ゲーム機で遊ぶお客さんは,ひとりで遊べるモードをすごく長くやり込んでくれる方が多いんです。今回はそういった方に鉄拳のキャラクターのストーリーだけではなく,プレイヤー自身が主役になるストーリーモードやアーケードクエストモードも遊んでいただき,それらをきっかけに「鉄拳」ならではの駆け引き,読み合いを楽しんでもらえるよう力を入れて開発を進めました。
安田イースポーツ氏(以下,安田氏):
前作の「鉄拳7」は今でも100万ではきかないくらいアクティブユーザーがいるんです。一度遊んでいただき,鉄拳の面白さを分かってもらえればずっと遊んでいただける。今風の言い方をすると,沼にハマってしまうんです。
鉄拳を遊んでみるきっかけって,いろいろあると思うんです。ストーリーが気になったり,美しいグラフィックスに惹かれたり。そういった方に鉄拳の対戦の面白い部分を知ってもらいたいという気持ちで,アーケードクエストのような対戦の入口になる1人用のゲームモードを作りました。
過去の鉄拳シリーズはアーケード先行だったんですが,本作は家庭用ゲーム機から発売されるタイトルになります。スタートラインが全員同じですので,「鉄拳始めるなら今です!」と積極的にアピールしていきたいですね。ゲームの楽しさにはずっと自信があるので,本作で多くの人をさらに鉄拳沼に引きずり込みたいです(笑)。
池田氏:
格闘ゲームって,世間的な印象では難しいというイメージがついていますよね。まずキャラを動かしたり,技を出したりしているだけで楽しかったところからスタートしている方はそういったイメージを持っていないと思うのですが,今は時代も変わってきています。
ですので,まずは「難しいというイメージを払拭できないとダメだ」というところから始まりました。シングルプレイから入っても,鉄拳の魅力を十分体験できる作りにして,その延長線で対戦の駆け引きの面白さを感じてもらう。自身やほかのプレイヤーの動きを学習したゴーストと戦えるのもその一環で,ゴーストとの対戦を通じて,自身の動きの改善点などを見つけてほしいですね。
そこからさらにうまくなりたい人はプラクティスやリプレイを活用してもらって……といった形で,格闘ゲームの楽しさを十分に感じてもらえるサイクルが生み出せたと思っています。開発初期のころは,このサイクルを作るためには,どのモードが必要で,それぞれのモードにどういった役割を持たせるかと,そういった話をずっとしていたことを覚えています。
――ゲームモードについて個別に聞かせてください。ストーリーモードの仁をスペシャルスタイルで操作すると,相手との間合いによって出る技が変わっているように見えました。通常の対戦の仕様とは異なっているのでしょうか。
池田氏:
こちらはストーリーモード専用の仕様で,アクションゲームとして楽しく遊べる方向性で調整しています。発売後に要望が多くあり,スペシャルスタイルを拡張することになったら,ストーリーモード以外でも対応させる可能性はありますが。拡張しすぎると出したい技が出なくなることもあるので,そのあたりのバランス調整が難しいかもしれません。
――今回遊ばせてもらった範囲だとプレイヤーが操作するのは風間仁,デビル仁の2キャラでしたが,ストーリーモードを進めていくことで,ほかのキャラクターを操作する機会もありますか。
安田氏:
ストーリーを進めていただくと,いろいろなキャラクターを使えるようになりますが,メインストーリーの中心は仁ですね。鉄拳7では寝ている時間が長かったのですが,今回はすごく活躍しますよ。
池田氏:
実は鉄拳シリーズって,ストーリーモードの中でアイアンフィストトーナメントをしっかり描いたことがなかったのですが,今回はまず一八が大会の開催を宣言して,そこからお話が動いていく流れとなっています。アイアンフィストトーナメントではいろいろなキャラクターが話に絡んでくるので,そのタイミングでプレイヤーがキャラクターを操作することになります。
――ストーリーモードはどれくらいのプレイ時間,ボリュームを想定していますか。
池田氏:
キャラクターエピソードもあるので,はっきりとした時間をお答えするのは難しいのですが,鉄拳7よりは当然ボリュームがあります。鉄拳7と比べると,メインストーリーだけでも,1.5倍以上あります。
――ストーリーモードでは歴代シリーズと比べてもシネマティックなムービーシーンに力が入っていると感じました。キャラクターエピソードにもムービーが用意されているのでしょうか。
池田氏:
過去作でも大きなウリとしてあった,エンディングムービーのようなご褒美はキャラクターエピソードにも用意しています。今回はプリレンダムービーと合わせて,鉄拳シリーズの世界観やキャラクターどうしの関係性を知ってもらい,より好きになってもらいたい,という想いが強くあります。ムービーも用意していますが,リアルタイムのかけあいや演出で見せていく方向性に重きを置いています。
安田氏:
キャラクターエピソードはメインのストーリーモードのifシナリオにもなっていて,ストーリーモードであのキャラが勝っていたらこうなっていたのかも? といった話もあります。ストーリーモードと,複数のキャラクターエピソードを見てもらうことでニヤリとできる演出があるかと思います。
池田氏:
キャラクターの性格や関係性をしっかり描きたいというテーマが鉄拳8にはあるので,特定の組み合わせで対戦前のかけあいが変わったり,レイジアーツのセリフが違ったりします。演出面に力を入れているので,そういったところもぜひ注目してみてください。
――本作から鉄拳を遊ぶ人に向けた,たとえば用語集のようなものは用意されていますか。初めて遊ぶ人は,オープニングで出てくる映像の意味が分からないと思うのですが。
池田氏:
用語集はありませんが,今作から鉄拳を遊ぶ方向けにギャラリーモードでは初代鉄拳から鉄拳7までのダイジェスト映像を用意しています。
安田氏:
もうすぐ30周年ですし,用語集を作ってもいいかもしれませんね。これまでの鉄拳のストーリーって,原田の頭の中では整理されているんですけど,ちゃんとテキスト化はされていないんです。鉄拳8の開発を進めるにあたってまとめたので,それをプレイヤー向けに公開してもいいのかなと思いました。ただ少し時間がかかるかもしれません。鉄拳8は16か国語に翻訳しており,そこに対応しないといけないので。
プレイヤーが主役のストーリーモード,アーケードクエスト
――先ほど「プレイヤーが主人公のストーリーモード」という話が出たアーケードクエストですが,こちらにも明確なエンディングは用意されているのでしょうか。
池田氏:
もちろんあります。鉄拳8全体のデザインとして,アーケードクエストでエンディングを迎えたあとに,TEKKEN FIGHT LOUNGEに誘導していきたいという狙いがあって,オンラインでリアルなプレイヤーやゴーストと遊んでもらうための土壌という想定で作っています。
原田勝弘氏(以下,原田氏):
そもそもチュートリアルって,専用のチュートリアルモードとして出すと,ほとんど遊ばれないというデータが出ているんです。ですので,「チュートリアルと分からないもの。遊んでいるうちに自然と鉄拳の面白さが分かって遊べるものを作ろう」と指示を出したんですが,スタッフが凝り始めてしまって,キャラクターのストーリーモードとは別に,もう1つストーリーモードができてしまった。コストは掛かりましたが,すごく楽しめるものができたと思っています。
――ストーリーの流れを考えると,ゲーム内で段位の鉄拳王を目指したり,鉄拳ワールドツアー(TWT)に出場したりすることになると思うのですが,難度的にはどの程度を想定していますか。
池田氏:
鉄拳を初めて遊ぶ人でもクリアできるくらいの難度を想定しています。目指すはTWTでの優勝と聞くととんでもないことに思えますが,あくまでもシングルプレイモードの1つなので,遊んでいるうちに上達していく楽しさを重視して作っています。
――鉄拳8には人間らしい動きを再現できるゴーストがあるので,アーケードクエストの後半はけっこう難しくなるのかと思ったのですが,そうではないと。
池田氏:
倒さないと話が進まないような場面に強いゴーストは置かないようにしています。ただ,大会には出ないけど,すごく強い人がゲームセンターにいることってあるじゃないですか。それを再現するためにマップの片隅にものすごく強いゴーストがいることもあります。
――今回遊ばせてもらった範囲ですと,日本のビデオゲーム中心のゲームセンターのようなエリアと,アメリカのバーっぽい雰囲気のエリアが確認できました。ほかにはどういったエリアがありますか。
池田氏:
1980〜90年代にあった各国のゲームセンターをモチーフにしてステージは作っています。筐体が並ぶゲームセンターだけでなく,アミューズメント施設の一角に格闘ゲームコーナーが設置されている,といったコンセプトのところもありますし,鉄拳のサウンドが流れているクラブのような空間の中で対戦する,オリジナル要素のあるステージも作っています。
ステージの見た目だけではなく,音やアバターとの会話,カスタマイズされている対戦相手のキャラクターなど,トータルで「ゲームセンターってこういうところだよね」と思っていただける表現を目指しました。
原田氏:
欧米って少なくとも15年前,もっと早いと20年前にはゲームセンターが全滅している地域が大半なんですよ。そこの地域の人たちへの思い出を掘り起こそう,みたいな狙いはありました。ほかには日本のゲームセンターに漠然とした憧れを持っている方とか。そういった方に向けることを考えて,アーケードクエストやTEKKEN FIGHT LOUNGEの世界観はできあがっていきました。
ソロプレイでも鉄拳力の上達を助けるゴースト,リプレイ機能
――アーケードクエスト,TEKKEN FIGHT LOUNGEでは,プレイヤーの動きを学習したゴースト(AI)とも戦えますが,AIはどういった思考ルーチンで学習するのでしょうか。
池田氏:
企業秘密で話せないことも多いんですが,すごくシンプルに言ってしまうと,「この状況の時,あなたはこのアクションを取っていました」といった風に行動を再現するものになっています。
安田氏:
自分の意図と行動って,必ずしも一致しないじゃないですか。AIはプレイヤーの意図を読むことはできず,起きたことを学習します。ですので技を出すタイミングは起きた現象として学習しています。ゴーストと対戦していて,自分の癖のようなものが見えてくると思うので,改善につなげていただければと思います。
池田氏:
例えば,風神拳を打つにしても,ここぞの場面で当てにいく風神拳と,手癖で打った風神拳ってまったく別のものじゃないですか。そこの違いをAIが判別することはできません。その違いを分かるようにする研究に時間を割くのではなく,数試合の学習でプレイヤーの動きを再現するスピードに重きを置いて,ゲームとして楽しい体験を提供することに力を入れていますね。
――ゴーストは自分が初心者の頃の動きも再現すると思うのですが,上達していくことでそういった動きを忘れることはあるのでしょうか。
池田氏:
ゴーストがプレイヤーの行動を忘れていくことはもちろんあります。これはあまり重要じゃないというものは忘れていきますし,コンボにしても,同じ状況で違うコンボを入れ続けていけば,昔使っていたコンボは選択されることが少なくなっていきます。
安田氏:
ちょっと難しいのは防御行動を覚えさせることですかね。プレイヤーが防御的な行動を取らないと,そもそも学習する機会がないので。ずっと攻め続けてCPUをボコボコにし続けていると何も覚えてくれないんです。防御を覚えさせたいと思ったら,ちょっと受けに回って,ガードや投げ抜けをゴーストに見せる必要があります。
――リプレイの再生中に確定反撃や空中コンボといったTIPSが表示され,そのままプラクティスもできるマイリプレイがとても便利で驚きました。どういった経緯で開発されたのでしょうか。
池田氏:
昔はDVDやインターネットの映像を見て,実際にプラクティスで対策をするということをみんなやっていたと思うんですが,その体験が発想の源です。ただ,リプレイを見て,そこからプラクティスにいって再現して対策を考えるって面倒ですよね。ですので,リプレイからすぐに練習できるように調整しました。
魅力的な新顔と「鉄拳らしさ」を感じさせる面々が揃ったプレイアブルキャラクター
――直近の発表では,新キャラクターの麗奈,ヴィクターが話題になりました。ふたりが誕生した経緯やコンセプトなどを教えてください。
原田氏:
ヴィクターはわりと単純な理由で,もともとフランス人のキャラクターがいなかったからです。本当はもっと前に出したかったんですけど,たまたま出せなかった。それで今回フランス人のキャラクターを作るとなったときに,ぼくが適当に「ヴァンサン・カッセルみたいな」といった感じで例を出したんです。
そこが始まりとなって,チームのモデラーやバトル班がうまく汲み取っていき,ヴィクターが生まれました。結果,見た目はヴァンサン・カッセルとはだいぶ違うキャラクターになったんですけど,声優としてヴァンサン・カッセルさん本人にも参加してもらえました。
池田氏:
麗奈はストーリーの観点から出したかったキャラクターです。日本人の女性でパッと見はかわいらしくてスタイリッシュな女性だけど,進めていくといろいろ分かってくる。外見に関しては二面性がテーマで,紫と黒のカラーで全体がまとめられていて,アシンメトリーな要素や髪の毛のグラデーションがアクセントになっています。
デザインはファッションに気を使っている女性キャラクターということで,「ベヨネッタ」のキャラクターデザインをされている島崎麻里さんに依頼しました。島崎さんにキーワードを提示した時にいくつか案をいただいて,その中に今の麗奈につながるアシンメトリーなデザインがあって,手ごたえを感じました。
原田氏:
ミステリアスな存在が必要,というところからスタートしたんですが,絶妙なラインを狙うのが難しかったです。ぼくは正直,発表するまでどんな反応が返ってくるか不安なところがありました。冴えないとか個性がないとか言われるのかもって……。ただ今のところ反応はいいですよね。
――麗奈の格闘スタイルが躰道ですが,これはどういった理由で選ばれたのでしょうか。キャラクターを作る際に格闘技界の流行,トレンドなどは意識していますか。
池田氏:
いえ,とくにトレンドを追っているわけではありません。スピード感がありつつ体のしなやかさが表現できるので,麗奈には躰道がいいのかなと思いまして。躰道の中野哲爾先生にモーションキャプチャをお願いしました。
安田氏:
逆に言えば,モーションキャプチャできない格闘技は作れないんですよね。1000年前に存在したとされている伝説の格闘技……みたいなものはやろうとしても作れないんです。
池田氏:
ヴィクターも実在の格闘技をベースにしつつ,鉄拳プロジェクト独自のキャラクターを作っていくというテーマをもとに作り上げていきました。トレンドよりもそのキャラクターのコンセプトに合う武術はなんなのか,そのキャラクターだったらこういう動きをさせたいからこの流派にしましょうとか,そういった面から決まっていきます。
――ナンバリングが進む際はどうしてもキャラクター数を絞る必要が出てくると思いますが,今回の初期プレイアブル32人はどのように選定されましたか。
原田氏:
ドライに聞こえるかもしれませんが,ぼくは2つしか重視していなくて,1つは「使用率と人気」。これは分かりやすい理由です。そしてもう1つは「鉄拳らしさ」。ただシナリオなども関係してくるので,現場からの意見を汲み取ってキャラクターが決まっていくということが多かったですね。
池田氏:
使用率や人気もですけど,ゲーム全体で見て,格闘スタイルのバリエーションを豊富にする必要があります。確かに今回はストーリーを重要視しているので,ストーリーの鍵になりそうなキャラをまず挙げていき,そこからふるいに掛けていきました。
原田氏:
ぼくの挙げた2つの条件というのは,古い世代の考え方なんでしょうね。今の現場や若い人にとっては,ストーリーが重要なんですよ。ぼくと同世代か自分より少し下の世代の方なら分かってもらえると思うんですけど,ゲームセンターに通ってた人間はストーリーなんて「知らん!」って方が多かったじゃないですか。実際にプレイヤーに話を聞いてもストーリーやキャラクターのことを全然知らない人ばっかりで(笑)。
だからぼくはそこをあまり重視してなかったんですけど,自分の知らない間に周りの価値観は変わっていて,キャラクターを選定するファクターも変わっていた。ですので,今回はすごく複雑なプロセスを経て,発売日のプレイアブル32人が決まりました。
――「鉄拳らしい」と聞くと,クマ,パンダといった動物や,アリサ,ジャックのようなロボット系が入ってくるんですかね。
原田氏:
そうですね。クマとパンダは人気や使用率でいえばそこまでですが,存在感はありますよね。「鉄拳のキャラクターといえば?」と質問を投げかけて,「クマ,パンダ」と答える人ってけっこういて,これって重要なことだと思うんですよ。だからどうしても入れたいキャラクターではありますね。
ロボットも近い理由かもしれないですね。アリサに関しては首を取って攻撃するモーションが昔はいろいろなところで物議を醸しましたが,アリサがロボットということが認知され始めてきてからは,わりとすんなり受け入れられました。
――鉄拳と言えば,豊富なカスタマイズアイテムも特徴の1つです。今回は,今回はキャラクターに加えてアバター用のアイテムも用意しないといけないのは大変ではなかったですか。
安田氏:
それはもう。大変でしたよ。
原田氏:
とはいえ3D対戦格闘ゲームで,カスタマイズ要素っていうのは削るとものすごい不満が出てくる要素なので,かなりの数を用意しました。
――過去作のキャラクターカスタマイズでも,元の姿とは別人レベルの外見にはできましたが,今回は表現の幅が広がっているように感じました。
池田氏:
鉄拳7でもある程度はできていたんですけど,今回はカスタマイズできる場所やカラーリングなどに幅を持たせています。カスタマイズアイテムの位置はもちろん,髪の色のグラデーション,靴の色なども変えられるようにしました。自由度は鉄拳7よりさらに上がっていますよ。
新システム,ヒートまわりに秘められた可能性
――7月にはクローズドネットワークテスト(CNT),10月にはクローズドβテスト(CBT)が行われました。プレイヤーからの反響はいかがでしたか。
原田氏:
雑感になりますが,内容に関しては多くの方から面白いという声が届いていて好評です。苦情や要望があったとしても,鉄拳8の土台は面白いという前提のものが多いです。
――新要素のヒートシステムなんかは強力な行動すぎて,いわゆる安定した立ち回りを楽しみたい人からは不評だったりしませんか。
原田氏:
ヒートシステムに関しても,傾向としてはほとんどの方が面白いと受け止めてくれています。ただ鉄拳プレイヤーの最上位層からは「強すぎるかも」という反応も出ているのは確かです。
池田氏:
彼らは強すぎる行動を押し付けられる局面を腕前で回避してきたので,そういった状況を強制的に作られることに抵抗があるのかもしれません。鉄拳7で実装されたレイジシステムに近い反応かもしれません。
原田氏:
レイジシステムの時はもっと酷くて,プレイヤーからは「逆転なんてシステムでやるんじゃなくてプレイヤーの力でやるものだ」なんてもっともな意見も出ていましたが,そうなるとあらゆる要素をフラットにしなくてはいけないじゃないですか。
味付けは絶対に必要で,どこかにスパイシーな要素を用意することでゲームは変わっていくと思うんです。今回のヒートシステムも味付けの一環で,プレイヤーが気持ちよくなれる要素になると思っています。
――本日はありがとうございました。最後に鉄拳8の発売を心待ちにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
安田氏:
来年,鉄拳シリーズは30周年を迎えます。鉄拳8の発売を皮切りに,鉄拳ユーザーに向けたいろいろな企画を考えています。eスポーツ,競技シーンはもちろん,鉄拳のキャラクターや音楽,ストーリーが好きといった,これまでアプローチできていなかったコミュニティを後押しできるような企画を形にしていきたいですね。
池田氏:
鉄拳8はシリーズ最大規模かつ最高の内容でお送りするべく,過去に例がないほど多くの人の力が注がれたプロジェクトになりました。スタッフが毎日必死に開発に向かった結果,いいものができたと思うのでご期待ください。
原田氏:
まず対戦部分に関しては,我々のチームは昔からのノウハウを生かしてしっかり作っていますし,自信を持ってお届けできる内容になっています。
ただ,今回はそれ以上にパッケージゲームとしてのクオリティ,完成度を高めるためにいろいろと盛り込んでいます。多くの時間とお金と知恵を使って作りましたので,1人用だけでも楽しめるゲームとして注目していただきたいですね。買って損はさせないコンテンツ量とクオリティになっているので,ぜひ手に取ってみてください。
「鉄拳8」公式サイト
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TEKKEN™8 & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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