プレイレポート
[プレイレポ]「ファイアーエムブレム エンゲージ」は,バトルはもちろん仲間との交流や遊びの要素も充実の内容に。マルスたち“異界の英雄”とともに戦うシリーズ最新作
過去シリーズ作品の主人公や主要人物が“異界の英雄”として登場することが気になるというシリーズファンも少なくないだろう。そんな注目のシミュレーションRPG最新作の,先行プレイレポートをお届けしよう。
「ファイアーエムブレム エンゲージ」公式サイト
手強いシミュレーションバトルは,マルスたち“異界の英雄”とともに戦う新要素が特徴
物語の舞台となるのは,4つの王国と1つの聖地からなるエレオス大陸だ。かつてこの地では,人と邪竜との間で大きな戦争があった。神竜とともに戦う人間たちは,異界の英雄である紋章士(エムブレム)の力を借りて邪竜に対抗。長き戦いの末にこれを封印することに成功する。
FEエンゲージの物語が始まるのは,邪竜との戦いからおよそ1000年後の世界。長い年月によって封印の力が弱まったことで邪竜復活の兆しが現れ,邪竜を信奉する人々が不穏な動きを見せている。
時を同じくして,聖地リトスで“神竜の子”が目を覚ます。人の姿をしたその神竜の子は,邪竜を再び封印するため,かつてともに戦った紋章士たちが宿る12個の指輪を集める旅に出るのだった。
神竜と邪竜の戦いと,それに絡み合っていく人類の国家間での争いなど,FEエンゲージのバックグラウンドにはFEシリーズの“王道”と言えるものがある。
ここからはゲームシステムに触れたい。ターン制のシミュレーションバトルは,基本の部分はこれまでのシリーズ作品でもおなじみのものだ。敵のターンでの動きを考慮しながら緻密に戦術を組み立てていくという,“FEらしさ”もしっかり味わえる。
マス目で区切られたマップ上で味方のユニットを動かし,敵ユニットを攻撃して倒していく。敵味方ともにユニットの兵種によって得意な武器や魔法,弱点などが異なっており,それらを確認したうえで攻撃する相手を選ぶことでバトルを有利に進められる。
基本の部分は変わらないが,FEエンゲージ独自のシステムは増えている。まずは,こちらもおなじみ「三すくみ」だが,これには新しい要素が加わった。
剣は斧に強く,斧は槍に強い。そして槍は剣に強いという相性については変わらないが,相手に有利な武器で攻撃をヒットさせると「ブレイク」状態となり,反撃を受けずに一方的に攻撃できるようになっている。
相手のブレイク状態は,別のキャラクターで攻撃した際や,フェイズが移行したときに解除されてしまうが,強敵相手のバトルでは,ブレイクさせたか,させなかったかの一手は重要なものとなるはず。
もちろん,敵の攻撃によって味方がブレイクされることもある。ブレイク状態に陥るとかなりのピンチとなるので,そういった意味でもこれまで以上に三すくみの相性を意識して戦いたいところだ。
FEエンゲージの世界観にも深く関わっているのが,「シンクロ」と「エンゲージ」という二つのシステムだろう。「紋章士の指輪」を装備したキャラクター(ユニット)は,“異界の英雄”である紋章士と「シンクロ」した状態となり,さまざまな加護を受けられる。
異界の英雄として登場するのは,過去のFEシリーズの主人公や主要人物たち。肉体こそないがそれぞれ強大な力を秘めており,ストーリー上はもちろん,バトルでもその力は欠かせないものとなる。
紋章士とシンクロした状態で敵と戦うことで溜まったゲージを使って「エンゲージ」を発動すると,ユニットがさらなる強化状態に。3ターンの間,エンゲージ専用の武器やスキルが開放され,さらに強力な必殺技「エンゲージ技」を,バトル中に1度だけ使用できるようになる。
紋章士によって得意とするものが異なり,それによってシンクロ時に強化される能力や使用できる特技も変化する。
ユニットの強みをさらに引き出す紋章士とシンクロするか,それとも欠点を補ってくれる紋章士の力を借りるかはプレイヤーの思惑次第。バトル時には共闘する姿が映し出されるので,お気に入りのキャラクター同士をシンクロさせて,それを楽しむというのもアリだろう。
ほかにも,兵種によって異なる特徴はもちろん,キャラクター固有のスキルの存在も。FEならではの“手強いシミュレーション”は,それらキャラクターや兵種の個性に三すくみの新要素や紋章士のシンクロシステムが加わったことで,これまでとは異なる戦術性と“手強さ”を感じられるものとなっているのだ。
マップの地形や敵の配置,さまざまなルールやシステムを把握して作戦を考えて実行する。それがFEの醍醐味とも言える。初心者やSLGに不慣れな人は難しそうに聞こえるかもしれないが,初めての人でも楽しめるよう導いてくれる仕組みがしっかり用意されているところも,FEエンゲージの魅力だ。
その1つが「竜の時水晶」。これは,バトルの際に使用することでターンを戻せるもので,間違えて仲間を動かしてしまったときや敵にやられてしまったときなどに使うと,ミスをする前の状態から戦いを立て直せる。1つのマップにつき10回まで,任意のターンを指定して戻すことが可能だ。
それでも突破できない難関にぶつかり,メインストーリーを進められなくなったら,ワールドマップから「遭遇戦」に挑み,ユニットのレベルを上げよう。レベルが高くても油断は禁物だが,出撃メンバーをその難関の推奨レベル以上にすれば,力の差で敵を蹴散らすことも戦略に組み込めるわけだ。
オンラインでゲームをプレイすることで,ほかのプレイヤーのゲームの進め方を参考にできるところも,初心者には嬉しいポイントだろう。
インターネットに接続すると,マップによってどのユニットがよく使われたかが分かる「出撃ランキング」,マップ上のどのマスでユニットがやられたかが表示される「戦死者の魂」などの情報を確認できる。この情報を参考にして「これから挑むマップはどのユニットの相性がいいのか」「マップ上のどこがとくに注意すべき場所なのか」をチェックすれば,攻略法に悩んでいたマップも突破できるはずだ。
難度を高めに,戦闘中にやられたユニットは戻らない設定にし,自分自身で「竜の時水晶」の使用制限をかければ,これまで同様にシビアな戦いが堪能できる。歴戦の勇士であるFEシリーズファンやコアなプレイヤーであれば高難度設定で,初心者やストーリーをメインに楽しみたい人は軽めの設定にして,各々に合った形で冒険と戦いを楽しむといいだろう。
仲間との交流やミニゲームなど,シミュレーションバトル以外の“遊び”も充実
近年のFEシリーズ同様,FEエンゲージにも拠点でのさまざまな“遊び”が用意されている。
主人公たち一行の拠点となるのがソラネル。主人公が目覚めた,空に浮かぶ離宮だ。神竜の力によってどこからでも出入りができるため,長く過酷な旅を続けるうえで重要な場所となる。カフェテラスや店などの施設があるので,食事による能力の一時強化や,店で新しい武器を見つけるなど,次の戦いに向けた準備もしていこう。
拠点での何よりの楽しみと言えば,それは仲間との交流だろう。ソラネルでは,仲間や紋章士たちが思い思いの時間を過ごしている。話しかけると,メインストーリーや戦場では知ることができない一面が垣間見えることもあり,物語をさらに奥深く,そして興味深いものにしてくれる。
拠点でともに食事や訓練をした仲間は,その仲間同士の支援値が上がり,一定値を超えると「支援会話」が発生して「支援レベル」がアップする。会話後の戦闘から,それまで以上に強い支援を受けられるようになる。
また,紋章士と仲間(ユニット)の間にも「絆レベル」という,つながりの強さを表すレベルがある。ともに戦うことで絆経験値が上がり,支援値と同じように一定の値を超えると「絆会話」が発生し,それによって新たなスキルの開放,紋章士からユニットへのスキルの継承といった恩恵が受けられる。
これらの会話イベントはワールドマップの画面で手軽に見られるのだが,できれば拠点に戻って見ることをオススメしたい。装備の強化やスキル継承などは拠点で行うため,拠点に戻って戦力を整えがてら見るのがいいという理由もあるが,仲間たちとくつろぎながら過ごす雰囲気を味わえるからだ。個性的な仲間や紋章士たちとの会話を楽しみつつ,ユニットや紋章士の強化/育成を進めよう。
ほかにも,タイミングよくボタンを押したり連打したりして遊ぶミニゲーム「筋肉体操」,仲間と一緒に食事をするとお互いの支援値がアップする「料理」など,仲間と交流しながらユニット強化を行う要素がたくさんある。
戦闘で汚れてしまった「紋章士の指輪」を綺麗にして,紋章士の反応を楽しみつつ絆経験値を上げる「指輪磨き」,就寝中の主人公を起こしに来た仲間のささやきを聞く(ヘッドホンやイヤホンの使用を推奨!)など,キャラクターの魅力を堪能できる嬉しい機能やシステムもたっぷり用意されている。
拠点での遊びの要素はまだまだある。なんとソラネルには動物を飼える牧場のようなスペースまであり,地上で保護した動物を放牧することで,料理の材料や装備を強化する素材が入手できるのだ。
さらにソラネルを守護する神獣に名前を付けてお世話もできる。神竜の守り人であるヴァンドレによれば「何かご利益もある」そうだが,それとは関係なく,かわいらしい姿の神獣を愛でずにはいられないという人もたくさん出てきそうだ。
キャラクターの魅力をたっぷり堪能できるのは,人間や紋章士だけではないのである。
同時に放牧できる数は5匹(羽)まで。かわいいネコ(ニャッコ)もいる | |
放牧する動物を変えると,入手できるアイテムも変化する |
メインとなるシミュレーションバトルはもちろん,拠点などでの遊びの要素も盛りだくさんなFEエンゲージ。これからゲームを楽しむ人にはネタバレ要素ともなりかねないので,あまり詳しくは語れないが,各要素の掘り下げはもちろん,まだまだ紹介しきれない楽しさがまだたっぷりとあることはお伝えしておきたい。
また,“できることはたくさんあるが,それはやらなくてはいけないことではない”というのも合わせてお伝えしたい。ここで紹介したすべての要素をうまく活用しなければ,クリアできないというゲームではないのだ。興味を持ったものや自分自身の戦い方に生かせそうだと思ったもので十分にゲームは進められる。
12人の紋章士も,作中ではあくまで異界の英雄であり,元のキャラクターが登場する作品を知らないからといって困るようなことはない。シリーズファンは彼らとの再会や作中での描かれ方(と,細かいところで拾える原作ネタ)を堪能するだろうが,本作で“初めまして”という人は,純粋に英雄たちの活躍を楽しむのがいい。お気に入りのキャラクターができたらシリーズ公式サイト「FIRE EMBLEM WORLD」などで調べていくと,さらに深くFEシリーズの魅力を知ることができるだろう。
仲間や紋章士たちとの交流要素の充実ぶりは,“キャラゲー”としてもなかなかのもの。作品全体のムードはかなり明るく,幅広い層が楽しめる作品としてオススメできそうだ。
「ファイアーエムブレム エンゲージ」公式サイト
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ファイアーエムブレム エンゲージ
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キーワード
(C)Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS
- Fire Emblem Engage(ファイアーエムブレム エンゲージ) -Switch
- ビデオゲーム
- 発売日:2023/01/20
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