パッケージ
アサシン クリード シャドウズ公式サイトへ
  • Ubisoft Entertainment
  • Ubisoft Quebec
  • 発売日:2025/03/20
  • 価格:スタンダードエディション:9790円(税込)
    デジタルデラックスエディション:1万2540円(税込)
レビューを書く
準備中
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
[プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2025/03/19 02:00

プレイレポート

[プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 Ubisoftより2025年3月20日に発売予定の「アサシン クリード シャドウズ」PC / Mac / PS5 / Xbox Series X|S)は,1579年の日本を舞台とした「アサシンクリード」シリーズの最新作だ。

 発売にいたるまでにいろいろなことがあった本作だが,事前にプレイさせてもらった感想としてはシンプルに「めっちゃ楽しかった」ということを先に述べさせていただきたい。
 とはいえ,「……ん?」と感じる部分がいくつかあったのは確か。本稿ではゲームプレイの楽しさに触れつつも,そういった違和感に関しても正直に述べていきたいと思う。


画像集 No.001のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

柔と剛……というか隠と暴。アサシンとサムライ,キャラクターごとに性質の異なるバトルアクションが魅力的


 本作の主人公となるのは,伊賀の忍である“奈緒江”と信長の家臣である“弥助”……なのだが,(最初のチュートリアル的なパートを除き)開始10時間ぐらいまではずっと奈緒江がメインだ。伊賀の里が信長によって攻め滅ぼされ,命からがら生き延びた奈緒江が信長に復讐を誓うところから物語がスタートする。

物語の起点が奈緒江ということもあってか,主人公はふたりだがシナリオ上でメインとなるのは奈緒江という印象
画像集 No.002のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

そのへんにいる猫を撫でたりもする。子猫かわいい
画像集 No.003のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

刀を背中に差すのは,いわゆる“忍者刀”のイメージだろう。現代では,実際に当時使っていたか定かではないと言われているが,筆者としては「まあかっこいいのでヨシ」の精神
画像集 No.004のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 奈緒江は正統派なステルスアクション主体のキャラクター。足音を立てず標的に忍び寄り,静かに命を奪う。そんな立ち回りを得意とする。

 ゆえにとても機動力は非常に高い。なによりおもしろかったのが,彼女の持つ“鉤縄”。これをあらゆるところに引っ掛けては,するすると高所へ登っていく。城の天守閣だろうが,五重塔だろうがおかまいなし。高所は心理的な死角なのか敵から視認されることも減るため,手当たり次第に鉤縄を引っ掛けては上から奇襲を仕掛けるのが爽快だった。

この瓦の上をスーっと移動していく“ザ・忍者”感。とても楽しい
画像集 No.005のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

敵の位置を捕捉可能な“イーグルヴィジョン”を使いながら,潜入のルートを考えるのもおもしろかった。この技は基本的に使い放題であり,とくに制限はない
画像集 No.006のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

敵の不意をつけば“暗殺”が可能。ある程度の雑魚敵であれば,瞬時に命を奪うことができる
画像集 No.007のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

奈緒江自身の成長により,複数人を同時に暗殺したり,より大型の敵を暗殺したりすることもできるようになる
画像集 No.008のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 一方で,正面からの戦闘はすこし苦手。攻撃に鎧武者を怯ませるほどの威力がないため,ゴリ押しはできず回避,受け流しなどの防御をうまく使いながらスキをつく戦術となる。敵の攻撃をギリギリで避けるか,ジャストタイミングで受け流すと,敵が“脆弱”状態となりダメージが通りやすくなる。蝶のように舞い,蜂のように刺す――奈緒江は,そんな華麗に戦うことができるキャラクターだ。

受け流しを駆使した殺陣。おもしろいが奈緒江の場合は一撃でもダメージをもらうと,即座に瀕死状態になるので緊張感がすごい
画像集 No.009のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

画像集 No.010のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も 画像集 No.011のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も
刀のほかに鎖鎌と短刀も扱える。とくに鎖鎌は分銅を使っての範囲攻撃が強力で,多数の敵に囲まれた際は何度もお世話になった
画像集 No.012のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 ……ただ,筆者はそこまでアクションが上手ではないため,戦闘状態になったらまずは脱兎のごとく逃げ,こちらを見失った敵が,わらわらと追いかけてくるところを奇襲しまくる,という外道戦法で戦っていた。高潔さの欠片もない戦法だが,正直やっているぶんにはめちゃくちゃに楽しい。やっぱ忍者は汚くてなんぼでしょう。

見つかったのでとっとと逃げる。そして頃合いをみて茂みに隠れて……
画像集 No.013のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も 画像集 No.014のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

お,来た来た。カメラの関係上,分かりにくいが,ちゃんと茂みの中にいるので見つかっていない
画像集 No.015のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

というわけで首元に暗殺刀をぶすりと突き立て,いっちょ上がり! こういうプレイを決めると,口角がにんまりと吊り上がるのを感じる
画像集 No.016のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 そんな暗殺,奇襲,回避を主体とした戦いの奈緒江とは違い,逆に正面からのゴリ押しが強いのがもうひとりの主人公である弥助である。彼はとある事件を契機に奈緒江と手を組み,事件の背後にいる“百鬼衆”という面の集団を追う旅が始まる。

画像集 No.017のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も 画像集 No.018のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も
シナリオ上のボス格である百鬼衆。面がシンプルにかっこよくて好き
画像集 No.019のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

画像集 No.020のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 弥助の戦闘スタイルはストロング&パワフル。「フィジカルが違うぜ」と言わんばかりの豪快さで,侍やら浪人どもをバッタバッタと薙ぎ倒していく。敵が防御姿勢を取ったとき,奈緒江ではスキの大きい溜め攻撃を当てる必要があるのだが……弥助にそんなことはお構いなし。スキの少ない通常攻撃を連打するだけで相手はよろめき,その腹をさらす。

 体力も多く,多少のダメージはものともしない。範囲攻撃に優れる“薙刀”を扱えば,敵に囲まれた状態でも文字通り“一騎当千”の力を発揮する。

鎧の胴ごと貫く剛力
画像集 No.021のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

受け流しや回避は弥助も可能。怪力に頼らない技巧的な立ち回りも
画像集 No.022のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 遠距離武器もお手のもの。長弓を軽々と引き絞って矢を放ち,威力の高い南蛮渡来の火縄銃も当然のように使いこなす。

 奈緒江を“柔”とするならば,こちらは“剛”。鎧武者すらも赤子のように扱う彼の豪快なアクションはとても爽快で,使っていて非常に楽しいキャラクターだった。

鎧武者を蹴鞠のごとく蹴り飛ばす。ものすごい迫力で気分も爽快
画像集 No.023のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

ビューティフルな射撃。弾は消耗品なので少々扱いにくいが,頼りになるサイドウェポンだ
画像集 No.024のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 ただ,「アサシン クリード シャドウズ」は,システム上あまり雑魚敵を倒すメリットがないというのは,弥助を使ううえで気になった。本作は経験値とレベルの概念があり,基本的にはさまざまなクエストやネームド(名前あり)の敵を倒すことで大量の経験値や熟練度(スキルポイント)が得られるようになっている。

 反面,雑魚敵からはほとんど経験値を得られない。クエストで得られる経験値が1000点単位なのに対して,雑魚敵を倒すことで得られる経験値は10や20ぐらいのもの。経験値の観点からも,基本的に雑魚敵とは戦わず,スマートに標的のみを倒したり,目的のものを素早く盗み出したりしてクエストを進めるもの,という作りになっているわけだ。

一流の暗殺者たるもの,無駄な殺しは避けるべし。そんな理念を感じるシステムで,筆者としてはとても好き。だが弥助の立ち回りを考えると……
画像集 No.025のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 もちろん奈緒江なら問題ないのだが,弥助はその大きい体から潜入にはとことん向いておらず,見つかったら基本は全部倒して進んでいくしかない。しかし得られる経験値は微々たるものなので,「この戦い,無駄かもな……」と感じてしまうことがしばしばあった。敵陣と判定される場所では,操作キャラクターの変更ができないのも痛い。

 探索においても鉤縄を持つ奈緒江のほうが優秀なため,後半に近づくにつれ,筆者は奈緒江を使うことが多くなっていた。弥助の豪快なアクションは魅力的なのだが,それがどうにもシステムにはあっていない。そのあたりの「ちぐはぐさ」は少々気になっただろうか。

鉤縄を持たないので,建築物にはほぼ登れない。そのため探索がしたいときに,弥助を選ぶ理由があんまりない
画像集 No.026のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

特定の場面では,奈緒江と弥助のどちらかをプレイヤーが選ぶことも。この場合,弥助を選べば敵陣で暴れる陽動担当のクエスト,奈緒江を選べば本丸まで忍び込み任務を果たすクエストと,それぞれの役割にあった戦場が割り当てられる
画像集 No.027のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も


ただ歩くだけじゃなく“登れる”。そんな寺社仏閣に城などを巡る旅も楽しい


 探索についてだが,本作はオープンワールドであり,舞台である近畿地方のほぼ全域を歩き回ることができる。そこかしこにファストトラベル用のスポットとして“物見処”が用意されており,その名の通り周囲を見渡せる場所になっているわけだ。

 つまるところ,この物見処はファストトラベル地点であり,雄大な自然を見下ろせる絶景のフォトスポットでもある。

画像集 No.028のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

画像集 No.029のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 この一粒で二度おいしい要素のおかげで,探索はめちゃくちゃに楽しかった。新しい場所に訪れては,「おっ! あの城は天守閣が物見処かあ!」と,本来の目的とはまったく関係ない城へと足を運び,そこらにいる雑兵を無視,ときには暗殺しつつ天守閣へと登っていく。
 そしててっぺんの物見処にたどり着いたときの達成感と,そこから見る景色の素晴らしさと言えば……なんとも筆舌に尽くしがたいものがあった。さらに,その場所はファストトラベル用のスポットとして今後も使えるというのだから最高である。

画像集 No.030のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

画像集 No.031のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

五重塔とか,天守閣とか,「登っちゃっていんですか!?」みたいな場所に登れるのもうれしい。ゲームならではの体験だ
画像集 No.032のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 街並みの再現度など,詳しい部分に関しては,筆者の教養が足りないこと,そこまで歴史考証の正確さに意識を置いていないこともあるとは思うが,あまり違和感はなかった。正直「おや?」と思わせる部分も確かにあったし,日本というか“NIPPON”という雰囲気はどことなくあったものの,ゲームとして楽しむぶんには気にならないレベルだと感じる。
 もちろん全部をじっくり見て検証したわけでもなく,あくまでプレイ中の背景として見たうえでの感想であることを留意していただきたい。

米俵に密着している篝火とかはちょっと変だなと思ったが,筆者としてはその程度
画像集 No.033のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

ちなみに街中で具足フル装備なのはそのまま。とはいえオープンワールドのゲームかつ,街中で急に襲われることもあるので仕方ない部分ではある
画像集 No.034のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

でも鎧を着たまま,手水は変だと思います弥助さん。こんな感じでツッコミどころはちょこちょこある
画像集 No.035のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

鎧を脱ぐこともできるが,ふんどし姿になる
画像集 No.036のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

防具の見た目自体はカスタマイズ可能なので,街中で甲冑を着るのが気になるなら,セルフで着替えるのがいい
画像集 No.037のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 また,個人的には野山の景観が印象的だった。本作には季節の要素があり,春夏秋冬で景色が変わっていくのだが,そのなかでも秋,冬あたりの山を歩くのが楽しかった。小さいころ,田舎で祖父と一緒に見た景色を思い出すというか,ちょっとした郷愁を感じられる。

足元に無数の枯れ枝がある感じがすごくそれっぽい
画像集 No.038のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

犬も愛でられる。かわいい……
画像集 No.039のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

平等院の雰囲気がなんかよかった。もちろん登れる
画像集 No.040のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 道を歩いているときに,ちょこちょこ地図には載っていない小さな社を見つけたりすることもあった。社は拝むことで,ステータスアップの一時的な強化が付与されるオブジェクト。こういう探索に対しての小さな報酬が,また探索を続けたくなる動機になる。このあたりの作りは素晴らしいと感じた。

画像集 No.041のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 物語の骨子としては,“悪しき体制に立ち向かう義賊”的な話になっているため,探索のついでに困っている領民を救うこともしばしば。侍に詰められている民草を助けると,クエストの起こる場所を教えてくれたり,探索に必要なリソースをくれたりする。

 そのリソースとは“密偵”と呼ばれるもの。メインクエストで重要な人物に会いに行くには,現地をくまなく探索するほかに,“密偵に探らせる”という要素がある。マップ上から一定範囲内を探索してもらい,どこにクエストの対象がいるのかを探してくれる非常に便利なシステムだ。

画像集 No.042のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も


目標は“大和の中心にいる”らしいので,そこへ密偵を送って……
画像集 No.043のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

調査すれば居場所が分かる。あとは出てきた青いマーカーの位置までいけばいい
画像集 No.044のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 なので,民を助けるのにもしっかりとメリットがある。こういった,「探索が楽しい!」「景色がキレイ!」という感情的な部分だけではなく,しっかりとメリットを提示してくれるのが「アサシン クリード シャドウズ」をプレイしていて一番気に入った点だろうか。

精神統一できる場所で“九字切り”を行うという奈緒江のサイドクエストもある。心が研ぎ澄まされていく感覚をアクションに落とし込んでいるのがとてもよかった
画像集 No.045のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も


“実在した人物の弥助”である意味はあったのだろうか


 全体的に本作は好感触だったのだが,個人的にどうしても気になった部分はある。

 その最たるものが,主人公のひとりである弥助。個人的な意見を述べさせてもらうならば「“アサシン クリード シャドウズの弥助”はとてもいいキャラクターだが,“史実上の弥助”と同一人物にする意味は分からなかった」という感想である。

 より具体的に言うならば「盛りすぎじゃない? それならオリジナルのキャラクターでいいんじゃない?」という感じだろうか。

画像集 No.046のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 本作に登場する弥助は,義に厚く,礼節を欠かず,忠臣であり,剣技も強い。そして,そんな自分に決して己惚れることのない“パーフェクト・サムライ”とでも呼ぶべきな武士として描かれている。

 だからこそ,自分がなんとなく知っている弥助像とあまりにも結び付かない。弥助のすごい部分が出てくるたびに,「盛りすぎでは?」という考えが頭にチラつく。「コイツはすげー侍なんです!」と言われても,あまりピンとは来ないというか。

剣術の指南役は,あの上泉信綱。しかも,めちゃくちゃ目をかけられている
画像集 No.047のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

なんなら銃の扱いすら完璧である。弥助,お前にできないものはなんだ
画像集 No.048のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 もちろん歴史を扱うものであっても,娯楽である以上はある程度の拡大解釈は然るべきだと考えている。たとえば本作のボス的存在である“百鬼衆”にも,とある戦国武将が名を連ねたりしているが,もちろんそんな歴史的事実はない(はず)。ただ,個々人のボーダーラインにもよると思うが,筆者は百鬼衆ぐらいの設定であれば「おっ,そう来るかあ!」と楽しめていた。

 ただ弥助に関しては,少なくとも筆者の“解釈を楽しむ”という範疇からは逸脱していた。本作に登場する歴史上の人物の中でも,一際“盛りすぎ”な印象だ。

弥助はお市とのラブロマンスも用意されている。しかし「お市と……?」みたいな考えがまた浮かぶ
画像集 No.049のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も 画像集 No.050のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

もちろん信長も弥助大好き。海外からの視点が欲しい,という考えで弥助を重用している
画像集 No.051のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 シナリオ上のネタバレになるので深くは言及しないが,織田信長陣営の人物,そして南蛮からきた異邦人という要素自体は,物語上大きな役割を持つものである。それゆえに弥助に目を付けたのは分かるが,筆者としては「ここまで拡大解釈をするなら,同じような立場のオリジナルキャラクターにしておけばよかったのでは……?」と,思ってしまった。

画像集 No.052のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 付け足すようで恐縮だが,“アサシン クリード シャドウズの弥助”自体は非常にいいキャラクターだと思う。異国の地にありながらもそこに馴染み,理想的な武士たらんとする姿は非常に好感が持てる。なによりデカくて強くてカッコいい侍はいいものである。

そもそもの体格が違うからこそ,膂力で敵をぶっ飛ばすような豪快な戦闘スタイルに説得力が感じられるのもいい。フィジカルっすよフィジカル
画像集 No.053のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 奈緒江とのやり取りもおもしろい。劇中ではお互いに聞きたいことを相手に質問し,答えたくなければ酒を飲むという,いわゆる“トゥルース・オア・デア(真実か挑戦か)”のような会話シーンがある。そこで交わされる奈緒江と弥助の軽口を交えたやり取りは,気の置けない仲間どうしの清々しさを感じるようなものだった。

このあと,両者ともに二日酔いになる。互いの友情を感じられて,すごく好きなシーンだ
画像集 No.054のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も
画像集 No.055のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も
画像集 No.056のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 ほかには待ち合わせの目印として奈緒江が使うクナイを刺してみるなど,ちょっとお茶目な部分もある。強く優しく,おもしろい武士。筆者にとって弥助は「アサシン クリード シャドウズ」内でもすごく好きなキャラクターのひとりであると,それだけはしっかりと言い切れる。気になったのは,“史実のキャラクターとして出した意味と,その是非”である。

おもしろいキャラクターなんですよ,アサシン クリード シャドウズの弥助は
画像集 No.057のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も


ちょっとちぐはぐさを感じる部分はあるものの,全体としてはとても満足いくゲーム体験,ボリュームも最高


 ちょっとネガティブな話題で終わってしまいそうだが,筆者としては「アサシン クリード シャドウズ」をプレイできてよかったと考えている。ゲームとしてちゃんとおもしろい。システム的に気になったのは弥助の戦闘スタイルと経験値まわりの「ちぐはぐさ」ぐらいで,それ以外はちゃんと高水準にまとまっているように感じられた。文中にも書いたが,剛と柔,隠と暴のどちらも味わえるアクションは非常に好みだ。

二人組だからこその魅力はあった。だからこそ,システム面のちぐはぐさはどうにかなっていてほしかったが
画像集 No.058のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 シナリオ,というか人と人との会話も魅力的で,個人的には織田信長がちゃんとかっこよかったのがうれしかった。多くの創作物で描かれてきた人物ではあるものの,アサシン クリード シャドウズでも彼の一筋縄ではいかない魅力がしっかりと表現されていたように思う。

信長はずっといい味を出していた
画像集 No.059のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

仲間になるサブキャラクターの“やや”も好き。漢気あふれる姐さんって感じ
画像集 No.060のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

この絵に描かれているのは百鬼衆。デザインが本当にいい
画像集 No.061のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 「いまそんな雰囲気か?」みたいなところでラブロマンスっぽい要素をぶっこんできたり,ボス戦で流れるBGMが民謡×ロックのようなものになっていたり,あまり日本人の感性っぽくない時代劇感も少々見られたが,筆者としては新鮮だった。ここに関しては合う人と合わない人があるとは思うが,個人的にはこのタイトルならではの楽しめる部分かと思う。

まあその,「この流れで誰が選ぶんじゃい」というエグい下ネタもあったりするけど……それも味かなあと
画像集 No.062のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

 なによりシステム的にも,ビジュアル的にも,探索が非常に楽しいのがよかった。世界を歩き回って天守閣に登るだけでも,このゲームを体験する価値はあると感じる。

 そんな「アサシン クリード シャドウズ」は2025年3月20日に発売予定。安土城の天守閣に登り「琵琶湖でっけー!」と叫んでみてはいかがだろうか。

でっけえ
画像集 No.063のサムネイル画像 / [プレイレポ]「アサシン クリード シャドウズ」で天守閣からの絶景を見る。柔と剛のステルスアクションもおもしろいが,ちぐはぐな部分も

「アサシン クリード シャドウズ」公式サイト

  • 関連タイトル:

    アサシン クリード シャドウズ

  • 関連タイトル:

    アサシン クリード シャドウズ

  • 関連タイトル:

    アサシン クリード シャドウズ

  • 関連タイトル:

    アサシン クリード シャドウズ

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:03月19日~03月20日