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独自大型クーラー採用のPalit製「GeForce RTX 4070 SUPER Dual」を試す。リファレンス仕様で消費電力あたり性能に優れる
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印刷2024/01/16 23:01

レビュー

独自大型クーラー採用のPalit製RTX 4070 SUPERは,リファレンス仕様で消費電力あたり性能に優れる

Palit GeForce RTX 4070 SUPER Dual

Text by 宮崎真一


 上位モデルに匹敵する性能を備えながらも,下位モデル並の価格を実現したNVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 4070 SUPER」(以下,RTX 4070 SUPER)。価格がこなれればかなり魅力的なGPUになり得るが,そのオリジナルモデルがどのような製品となるかは気になるところ。
 今回,1月17日に発売となるPalit Microsystems(以下,Palit)製グラフィックスカード「GeForce RTX 4070 SUPER Dual」(以下,Palit 4070 SUPER)を試用できたので,早速テストしていこう。

GeForce RTX 4070 SUPER Dual
メーカー:Palit Microsystems
メーカー想定売価:未公開
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動作クロック設定はリファレンス仕様。カード長は約268mmと若干大きめ


 RTX 4070 SUPERがどのようなGPUなのかは,「GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition」(以下,RTX 4070 SUPER FE)のレビュー記事を参照してもらうとして,まずはPalit 4070 SUPERは,どのようなカードなのかを見ていこう。

GPU-ZでPalit 4070 SUPERの動作クロック(赤枠内)を確認したところ
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 Palitは,RTX 4070 SUPER搭載グラフィックスカードとして,最上位の「GeForce RTX 4070 SUPER JetStream OC」「GeForce RTX 4070 SUPER Dual OC」,そして今回テストするベーシックなモデルのPalit 4070 SUPERという3製品をラインナップしている。製品名に「OC」の表記がないことからも分かるとおり,Palit 4070 SUPERのベースクロックは1980MHzで,ブーストクロックは2475MHzと,リファレンスと違いはない。ちなみにメモリクロックは21GHz相当で,こちらもリファレンスどおりだ。

 なお,後述するテスト環境において,「GPU-Z」(Version 2.56.0)でテスト中のコアクロックを追ってみたところ,2775MHzまで上昇しているのを確認した。同様のテストで,RTX 4070 SUPER FEは2805MHzまで上がっていたので,それに比べると,Palit 4070 SUPERは若干控えめな動作クロックと言えそうだ。
 なお,Palit製の設定ソフトウェア「ThunderMaster」(Version 4.14)を使用すると,ブーストクロックを−1000〜+1000MHzの範囲で1MHz刻みに,メモリクロックも−1000〜+3000MHzの範囲で2MHz刻み相当で増減できる。

各種オーバークロック機能を利用できる設定ソフトのThunderMaster
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 カード長は,実測で約268mm(※突起部除く)。RTX 4070 SUPER FEが同242mmであったのと比べると,30mmほど長い。また,マザーボードに装着したときは,垂直方向にブラケットから約22mmほどはみ出すので,全体的にRTX 4070 SUPER FEより巨大だ。

カード長は実測で270mm弱。背も高いので,RTX 4070 SUPER FEよりも大きな印象だ
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 ちなみに,基板自体は172mmほどしかないようで,最近のGeForce搭載製品でよく見かける,カード後方で前面から裏面へと空気が抜ける構造は健在だ。メーカーによっては,カード長を詰めた製品も登場するのではないだろうか。

カード裏面の様子。後方では前面からエアーが抜ける構造になっている。ちなみに,バックプレートは金属ではない
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 重量は,実測で約741gだった。カードサイズが大きいにもかかわらず,RTX 4070 SUPER FE(約1023g)と比べて300gほど軽くなっている。

重量は実測で約741gと,かなり軽めだ
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 Palit 4070 SUPERのGPUクーラーは,2スロット占有タイプで,95mm径相当のファンを2基搭載する。外観は,下位モデルの「GeForce RTX 4070 Dual」とウリ二つ。おそらくは,同じGPUクーラーを採用しているのではないだろうか。
 なお,GPUコアに負荷がかかっていない,いわゆるアイドル時には,「0-dBテクニック」という機能により,ファンの回転が停止する。

GPUクーラーは2スロット占有タイプで,厚さが抑えられている
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95mm径相当のファンを2基備えたGPUクーラー。どちらのファンも9枚羽根構成だ
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ThunderMasterでは,2基のファンを個別に設定できる。なお,画面左側がブラケット側,右側が後方側のファンの設定だ
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 ちなみに,設定ソフトのThunderMasterを使用すると,2基のファンをそれぞれ個別に制御可能だ。ファンの回転数を,%表記で一定にしたり,温度と回転数の関係を示したファンカーブから,各温度における回転数を任意に設定することもできる。

 カードを横から覗いてみると,6mm径のヒートパイプを4本用いているようで,それがカードの前後に伸びている。ユニークなのは,電源部のヒートシンクは放熱フィンと一体化しており,それが独立している点だ。つまり,電源部,GPUの直上,後方部で放熱フィンが3ブロック構成になっているわけだ。それだけ排熱にはかなり配慮したということなのだろう。
 ちなみに,メモリチップにもGPU上のヒートシンクが密接しており,こちらの冷却にも抜かりはない。

カードを横から見たところ。放熱フィンが,カード前方,中央,そして後方と3ブロック構成なのが分かる
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LEDの制御はThunderMasterで行える
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 カード側面の「Palit」ロゴのすぐそばには,線上のLEDが搭載されており,ThunderMasterからLEDイルミネーションを変更できる。ただ,発光パターンは「GPUの温度によって色を変更する」「一色固定」「虹色に変化する」の3種類しかないので,かなり控えめだ。

補助電源コネクタは,GPUクーラーよりも一段低い位置に実装されており,PCケースとの干渉にも配慮されている
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 補助電源コネクタは,12VHPWRに対応した16ピンをカード中央部に備えている。製品ボックスには,2本のPCI Express補助電源コネクタ8ピンを16ピン 1本に束ねる変換コネクタが付属しているので,12VHPWRに非対応の電源ユニットであっても問題はない。
 なおPalitによると,Palit 4070 SUPERの推奨電源ユニットは,定格出力750W以上のもので,NVIDIAがリファレンスでは650W以上としていたのと比べると,若干電源ユニットに厳しめだ。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3に,HDMI 2.1 Type-A×1と,RTX 4070 SUPERと同じ構成だ。

インタフェースはDisplayPortが3つにHDMIが1つと一般的な構成。ブラケットの排気孔は,RTX 4070 SUPER FEが大きく開口していたのに対して,Palit 4070 SUPERではハニカム構造で,ブラケットの強度も考慮しているようだ
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Founders Editionの性能差は? RTX 4070 TiやRTX 4070とも比較


 それではテスト環境について話を移そう。今回,比較対象にはRTX 4070 SUPER FEと,上位モデルの「GeForce RTX 4070 Ti」(以下,RTX 4070 Ti)と,下位モデルの「GeForce RTX 4070」(以下,RTX 4070)を用意した。Palit 4070 SUPERとリファレンスモデルの差を見つつ,上位および下位モデルとの関係性を確認しようというわけである。

 グラフィックスドライバは「GeForce 546.52 Driver」で,これはNVIDIAがRTX 4070 SUPERのレビュワー向けに配布したものだ。それ以外のテスト環境はのとおり。

表1 テスト環境
CPU Core i9-14900K(P-core 定格クロック3.2GHz,P-core 最大クロック5.6GHz,24C32T,Intel Smart Cache容量36MB)
マザーボード ASRock Z790 Steel Legend Wi-Fi(Intel Z790,BIOS 12.03)
メインメモリ Corsair VENGEANCE RGB DDR5 PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2(DDR5-5600の40-40-40-76設定で利用)
グラフィックスカード Palit Microsystems GeForce RTX 4070 SUPER Dual
(GeForce RTX 4070 SUPER,グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量12GB)
Palit Microsystems GeForce RTX 4070 Ti GamingPro OC
(GeForce RTX 4070 Ti,グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 4070 Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量12GB)
ストレージ CFD CDDS-M2M1TEG1VNE
(NVMe,1TB)
電源ユニット CoolerMaster V1200 Platinum(定格1200W)
OS Windows 11 Pro 22H2(Build 22621.3007)
チップセットドライバ Intel チップセットINFユーティリティ 10.1.19444.8378
グラフィックスドライバ GeForce:GeForce 546.52 Driver

 テスト内容は4Gamerのベンチマークレギュレーション28に準拠。ただし,レイトレーシング性能を見るために,「3DMark」(Version 2.28.8217)において「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実施した。
 さらに,「Fortnite」では,レギュレーションにある「TILTED TOWERS BENCHMARK」が,アップデートにより使用できなくなっため,バトルロイヤルのマップでプレザント・ピアッツァから一定のルートを歩き,その間のフレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)で測定するという,レギュレーション26の方法を踏襲している。

 テスト解像度は,いつものとおり3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つをチョイス。なお,テスト環境やテスト内容は,RTX 4070 SUPERのレビュー記事とまったく同じなため,RTX 4070 SUPERとRTX 4070 Ti,それにRTX 4070の結果は同記事のものを流用している。


Founders Editionよりは若干低いものの,性能差は1〜2fps程度


 それでは3DMarkの結果から順に見ていこう。グラフ1は「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。

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 Palit 4070 SUPERのスコアは,いずれのテストでもRTX 4070 SUPER FEから2〜3%程度低くなっている。これは先述したとおり,ブーストクロックは同じだが,RTX 4070 SUPER FEのほうがより高いクロックまで伸びるため,その差がスコアに表れたものだと捉えてよさそうだ。

 続くグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものとなる。

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 ここではCPU性能の影響がなくなるが,総合スコアよりもPalit 4070 SUPERとRTX 4070 SUPER FEの差は最大で約2%ほどと,縮まる結果となった。Fire Strike“無印”にいたっては,ほとんど変わらないスコアだ。最大動作クロックの差は,ここではあまりスコアに効いてこないということなのだろう。

 GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものがグラフ3だ。

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 これまでの傾向とは異なり,Palit 4070 SUPERとRTX 4070 SUPER FEの差が大きく変わる結果となった。Fire Strike“無印”を見ると,Palit 4070 SUPERはRTX 4070 SUPER FEに約9%も遅れを取る一方で,Fire Strike Extremeでほぼ横並びとなり,Fire Strike Ultraでは再び約2%ほど離されている。これは,CPU性能の影響が強いことに加えて,このテストでは描画負荷がかなり高く,その状況下ではPalit 4070 SUPERのあまり動作クロックが伸びない点がネックとなる可能性もあると言えそうだ。

 では,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果に移ろう。グラフ4は,総合スコアをまとめたものだ。

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 Palit 4070 SUPERのスコアは,RTX 4070 SUPER FEを約2%ほど下回っており,Fire Strikeの総合スコアと似た傾向を示している。やはり,最大動作クロックの差は,ここでもはっきりと表れたようだ。

 続くグラフ5は,Time SpyのGPUテスト結果となる。

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 Palit 4070 SUPERとRTX 4070 SUPER FEの差は2〜3%程度といったところで,総合スコアを踏襲する形となった。やはり,若干ではあるが,Palit 4070 SUPERのほうが動作クロックの伸びが小さいため,性能もその分劣るようだ。

 もうひとつのDirectX 12のテストとなる「Speed Way」の結果を,グラフ6に示す。

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 Palit 4070 SUPERのスコアは,RTX 4070 SUPER FEを約2%ほど下回っており,RTX 4070 Tiとの差もその分広がっている。

 ではリアルタイムレイトレーシング性能はどうなのか,Port Royalの結果がグラフ7だ。

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 Palit 4070 SUPERは,RTX 4070 SUPER FEの約2%ほど後塵を拝している。動作クロックの伸びがリアルタイムレイトレーシング性能にも関与していることが,この結果からうかがえる。

 もうひとつのレイトレーシング性能を測るDirectX Raytracing feature testの結果がグラフ8だ。

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 ここでは,Palit 4070 SUPERがRTX 4070 SUPER FEに並ぶスコアを記録している。動作クロックの伸び以外の仕様は同一のため,ゲームでの実装次第では,レイトレーシング性能はRTX 4070 SUPER FEと変わらない実力を発揮するということなのだろう。

 では,実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ9〜11は,「Call of Duty: Modern Warfare III」(以下,CoD:MW3)の結果となる。

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 Palit 4070 SUPERの平均フレームレートは,RTX 4070 SUPER FEから約1%ほど低くなっているものの,実フレームレートでは最大でも2fpsしか差がなく,ほとんど差異はないと言っていい。1パーセンタイルフレームレートを見ても勝ったり負けたりで,その差も1fpsしかないので,Palit 4070 SUPERはリファレンス仕様どおりの性能を発揮していると言える。

 続いて,「バイオハザード RE:4」の結果がグラフ12〜14となる。

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 CoD:MW3とは異なり,Palit 4070 SUPERの平均フレームレートは,RTX 4070 SUPER FEを3〜4%程度下回った。実フレームレートで差は約5fpsあり,動作クロックの伸びの影響が大きく表れている。1パーセンタイルフレームレートでも,3840×2160ドットでPalit 4070 SUPERはRTX 4070 SUPER FEより約5%ほど低く,下位モデルであるRTX 4070との差も縮まっている。

 CoD:MW3と似た傾向の結果となったのが,グラフ15〜17のFortniteだ。

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 Palit 4070 SUPERの平均フレームレートは,2560×1440ドット以下の解像度ではわずかに上回り,3840×2160ドットでは逆に届いていない。しかし,RTX 4070 SUPER FEとの差は実フレームレートで1fps程度しかなく,ほぼ差はないと言っていい。それは最小フレームレートでも同様で,Fortniteにおいて,Palit 4070 SUPERはRTX 4070 SUPER FEと同等の性能と言って差し支えない。

 「Starfield」の結果をグラフ18〜20に示す。

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 Palit 4070 SUPERの平均フレームレートは,RTX 4070 SUPER FEの約98%で,やはり若干だが性能は下回っている。ただ,その差は最大でも2fpsに満たないレベルで,その差を実感することはないだろう。また,1パーセンタイルフレームレートでも,差は最大でも1.2fpsとあまりなく,性能面でそれほど大きな違いはないと言えよう。

 グラフ21は「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 スクウェア・エニックスが示す指標では,スコア1万5000以上が最高評価となっている。Palit 4070 SUPERは,RTX 4070 SUPER FEと同じく3840×2160ドットでそれを満たしている点は立派だ。全体的にRTX 4070 SUPER FEよりもスコアがやや低いのはこれまでと似た傾向だが,その差は1%以下に収まっており,Palit 4070 SUPERの性能は,RTX 4070 SUPER FEと同レベルと捉えることができる。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ22〜24だ。

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 平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものとなっており,やはりPalit 4070 SUPERはRTX 4070 SUPER FEを若干下回っているものの,3840×2160ドットで100fpsを超えている点は評価できよう。なお,最小フレームレートはCPU性能の影響が大きく,4製品で,差はほとんどついていない。

 グラフ25〜27には,「F1 22」の結果をまとめてた。

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 Palit 4070 SUPERの平均フレームレートは,RTX 4070 SUPER FEに及ばず,しかも高解像度になるにつれて差が広がっている点は少々気がかりだ。とはいえ,実フレームレートでの差は2fps以内に収まっており,Palit 4070 SUPERが性能的に劣ると感じることはないはずだ。

 Palit 4070 SUPERがRTX 4070 SUPER FEと同等の性能となったのが,グラフ28〜30の「Cities: Skylines II」の結果だ。

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 Palit 4070 SUPERの平均フレームレートは,RTX 4070 SUPER FEに勝ったり負けたりとほぼ互角の性能。1パーセンタイルフレームレートも同様で,Cities: Skylines IIにおいては,RTX 4070 SUPER FEに性能面で遅れを取らない点は評価できる。


消費電力はRTX 4070 SUPER FEより低め。GPUクーラーの冷却性能も十分


 さて,Palitによると,Palit 4070 SUPERの消費電力は220Wのことで,NVIDIAが示すRTX 4070 SUPERのTGPと同じだ。だた,先述したように,PalitはPalit 4070 SUPERの動作環境として,定格出力が750W以上の電源ユニットを推奨しており,RTX 4070 SUPERのリファレンスより厳しめだ。では,実際の消費電力はどの程度なのだろうか。

 いつものように,NVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,今回も3DMarkのTime Spyにおいて,Graphics test 2実行中の結果を示している。
 消費電力の計測結果は,グラフ31のとおり。

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 この結果を見ると,RTX 4070 Tiが240W程度と大きく,逆にRTX 4070が200Wほどと小さいものの,Palit 4070 SUPERとRTX 4070 SUPER FEでは,大差ないように見える。だが,240W以上となる場面をカウントしてみると,RTX 4070 SUPER FEは15回あるのに対して,Palit 4070 SUPERは1回しかなく,後者のほうが消費電力が低めのようだ。

 そこで,グラフ31の測定結果から,分かりやすくなるように中央値と最大値を求めたものがグラフ32となる。

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 すると,Palit 4070 SUPERの中央値は220Wほどで,223W程度のRTX 4070 SUPER FEと比べて,数Wだが低くなっている。とくに最大値を見ると,Palit 4070 SUPERはRTX 4070 SUPER FEより15W以上も低くなっており,Palit 4070 SUPERのほうが省電力性能では優れていると言える。

 さらに,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いたシステム全体の最大消費電力のみを計測してみた。テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
 その結果がグラフ33だ。

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 このテストでは,ピーク時の値を結果として採用するため,どうしても差が広がる傾向が出てしまう。それを踏まえたうえで結果を見ていくと,各アプリケーション実行時において,Palit 4070 SUPERはRTX 4070 SUPER FEより3〜28W程度も低くなっており,消費電力を抑えているのが確認できる。最も消費電力の高いバイオハザード RE:4時でも,Palit 4070 SUPERはRTX 4070より約61Wも高くなっているものの,それ以外では30W以内に収まっているあたりも見逃せないポイントだ。

 さらに,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態に置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。結果はグラフ34となる。

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 Palit 4070 SUPERは,高負荷時で約79℃と,80℃を超えていない点は評価できるものの,RTX 4070 SUPER FEほどは冷えていない。このあたりは,冷却よりもファンの回転数を抑えて,静音性を重視したためではないだろうか。
 それゆえに,Palit 4070 SUPERの動作音について述べると,筆者の主観ではかなり静かな印象受けた。RTX 4070 SUPER FEと比べてどうかと言われると大差ない印象だが,少なくともケースに入れてしまえば聞こえないレベルで,静音性に関しては申し分ないできと言っていい。


RTX 4070 SUPER FEより静音性を重視

アップグレードパスとして魅力的な存在


 以上のテスト結果からPalit 4070 SUPERを総括すると,RTX 4070 SUPER FEとほぼ同じだが,タイトルによっては2〜3%程度低い性能と言える。その原因としては,GPUクーラーが静音性を重視した設定になっているため冷却性能がRTX 4070 SUPER FEほど高くなく,動作クロックの伸びが今ひとつだからだろう。そのため,ThunderMasterなどのオーバークロックツールで,ファンの回転数を変更すれば,すべてにおいてRTX 4070 SUPER FEと同等やそれ以上の性能にすることも可能だ。そのほか,消費電力の低さに魅力を感じる人もいるだろう。

 Palit 4070 SUPERの価格は,本稿執筆時点では明らかになっていないのだが,GeForce RTX 4070 Dualの発売時におけるメーカー想定売価が9万9800円だったので,それに準じたものとなるのではないだろうか。オーバークロックモデルではないので,リファレンスを超えるほど高い性能は期待できないものの,消費電力も抑えられており,十分使いやすいカードに仕上がっている。
 電源ユニットに対するハードルも比較的高くないので,旧世代からのアップグレード用として,Palit 4070 SUPERは魅力的な存在と言えるだろう。

PalitのPalit 4070 SUPER製品情報ページ


  • 関連タイトル:

    GeForce RTX 40

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