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印刷2022/09/02 18:49

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bitFlyerとHashPaletteによるIEO実施に向けた記者会見。「ELF Masters」のゲーム内容やトークンによる自律分散型経済圏構築への見通しを語る

 2022年9月1日,暗号資産取引に関する事業を展開するbitFlyerと,9月16日にサービス開始予定のPlay to Earn型ブロックチェーンゲーム「ELF Masters」iOS / Android)を運営するHashPaletteとのIEO実施に向けた記者発表会がオンラインで行われた。

発表会には,両社から3名の関係者が説明を行った。左から順に関 正明氏(bitFlyer 代表取締役),吉田世博氏(HashPalette 代表取締役),大和省悟氏(bitFlyer 新規事業開発部)
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 IEO(Initial Exchange Offering)は,暗号資産(トークンとも呼ぶ)を用いて企業が資金調達を行う方法のひとつだ。個々の企業が独自のトークンを発行するICO(Initial Coin Offering)とは異なり,IEOでは取引所が介在し,発行者の事業内容や調達資金の用途などを審査したうえでトークンの販売を行う。つまり,ICOに比べると,企業・投資家ともに比較的安全に取引が行える方式とされる。

 記者会見では,bitFlyerがHashPaletteとのIEO実施に至った経緯,「ELF Masters」のゲーム内容,そしてどのような形でトークンエコノミーが形成されるかなどが発表された。

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 会見はbitFlyerの代表取締役の関 正明氏の挨拶からスタート。関氏は「暗号資産やブロックチェーンを日本に広めた時代を読む力,金融機関としての高いセキュリティ意識,そして真のお客様目線をもつbitFlyerだからこそ,IEOを軸にした自律分散型経済圏を育て上げることができる」と語る。
 また,「AXiE INFINITY」「STEPN」などのブロックチェーンゲームを例に挙げて,GameFi,すなわちプレイすることでゲーム外での価値も持つ仮想通貨や,NFT(偽造不可能な鑑定書と所有証明書が付いたデジタルデータ)を獲得できるゲームには大きな可能性があると伝えた。

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 続いて,bitFlyer新規事業開発部の大和省悟氏がIEO事業について説明を行った。bitFlyerがIEOに取り組む意義は「日本発のトークンによる自律分散型経済圏を構築することにより,暗号資産・ブロックチェーンの業界で起こるビジネス・イノベーションを日本から起こすこと」と述べた。
 つまり,従来は主に海外で行われてきたトークン同士の取引やトークンを使った決済活動を,日本国内の企業やプロジェクトでも問題なく資金調達や決済に利用できる流動性の高いものに変える。そして,国や通貨の枠を越えて広がる「自律分散経済圏」を構築し,日本経済の活性化や日本発のイノベーションを起こすことを目指すのだという。

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 またGameFiについては,従来の運営型ゲームと比較しつつ説明がなされた。従来の運営型の月額制,あるいは基本無料ゲームは,ゲーム会社がキャラクター,アイテム,ゲーム履歴などを管理しており,ゲーム会社の判断によってサービスを終了することもできる。つまりユーザーがお金や労力を使っても,基本的にはサービス終了ですべてが消えてしまうモデルと言える。

 一方,GameFiではキャラクター,アイテム,ゲーム履歴はブロックチェーンで保管されるNFTとなり,サービス終了で消されることはない。またひとつのゲームがなくなったとしても,別のゲームで活用できる可能性もある。

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 現在のゲーム同様,プレイヤーはゲームに参加するためにキャラクターやアイテムを手に入れる必要はあるが,それらはNFTとして用意され,運営から買うほか,マーケットプレイスで買う,ギルドから借りるといった選択肢もある。そしてゲーム内で手に入れたNFTはマーケットプレイスで売ることもでき,その収支がプラスになれば収益化も可能だ。もちろんギルドからNFTを借りている場合は,ゲーム内で得た報酬をギルドに分配する必要がある。さらにNFTや暗号資産を持つ「資本家」は,それらをギルドに出資することで,NFTが生み出した利益の配当を受けることもできる。
 ブロックチェーン技術によって,現実世界の経済活動とほぼ変わらないことがゲームの中でも行えるというわけだ。

 HashPaletteは,こうした仕組みを従来型のゲームに組み込み,すでに熱量の高いユーザーコミュニティ(ツイッターのフォロワー数9.2万人)を立ち上げており,NFTに特化した暗号通貨・パレットトークンも発行している。bitFlyerは,そんなHashPaletteに大きな期待を寄せ,今回の基本合意契約の締結に至ったとのことだった。

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 最後に,HashPalette代表取締役・吉田世博氏がブロックチェーンゲーム「ELF Masters」とトークンエコノミーについて語った。
 HashPaletteは,NFTに特化したブロックチェーンとして国内でのIEOを最初に達成したパレットトークンを発行する会社でもある。パレットトークンはイーサリアムチェーン上で発行されている仮想通貨だが,ほかのチェーンネットワークにも転送可能で利便性が高い。

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 そのHashPaletteが持つゲームスタジオHash Gamesが運営する「ELF Masters」は,3人のマスターとマスターを強化するエルフを組み合わせてデッキを作り,敵と戦ったり,宝箱を探したりするカードバトルゲーム。このマスターとエルフが取引される主なNFTとなるという。
 また,イーサリアム・ブロックチェーン上での取引手数料(いわゆるGAS代)なども低く抑えることで,ブロックチェーンゲームのプレイ経験がない人にもハードルが低くなるよう配慮している。

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 今回HashPaletteがIEOを目指すトークンはエルフトークン(ELF)で,これは運営の意思決定に投票したり,基本アイテムの購入などに使ったりでき,プレイの報酬としても得られるものとなる(いわゆるガバナンストークン)。ゲーム内にはCSTという別のトークンも存在するが,こちらは日常使いに便利な通貨という位置づけになるようだ。
 ELFとCSTはbitFlyerで購入と売却とが可能で,ゲーム内で余った分を現実世界のお金に変えることもできるし,ゲーム内で足りない分をbitFlyerで買い増してもいい。このあたりはすでに世界的に成功しているブロックチェーンゲーム「AXiE INFINITY」「STEPN」とほぼ同じ仕組みだ。

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 なお,今年の4月に行われたNFTのセールでは,総額3000万円分のマスターやエルフのパックが54秒で完売し,抽選販売方式となった2ndセールでは,なんと27億円分相当の応募が集まったとのこと。正式リリースを前に,日本発のPlay to Earn型ブロックチェーンゲームへの期待は大きく膨らんでいるようだった。

1パックあたりの価格もなかなか
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 本稿を読んでいて「自分には縁遠い話だ」と感じた人もいるかもしれない。ただ,介在する技術的な部分を除いてしまえば,ゲーム内で手に入れた余剰アイテムを誰かに譲ったり,ゲームコミュニティに貢献したりすることで,対価をもらう──それくらいシンプルな話でもある。
 ブロックチェーンゲームのIEO時や正式リリース時に,そのゲームの可能性を見極めて投資(それは資本でもプレイ時間でもかまわない)できれば,大きなリターンを得られることもあるかもしれない。
 インフレや通貨安など,現金を持っていれば安泰とは言えない時代がすでに来ているが,それもゲーマーとしての見識や腕を経済活動でも生かせる時代が来たとポジティブに捉えれば,夢のある時代だとも言えるかもしれない。

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