プレイレポート
[TGS2023]昭和ノスタルジーが漂う「Last Time I Saw You」のプレイアブルデモがChorus Worldwideブースで出展中
4Gamerでは,2022年のBitSummit X-Roadsでも紹介しているが,本作は1980年代の日本の田舎町を舞台にした,12歳の少年“あゆみ”を取り巻くストーリーが描かれている。
町に台風が近づく中,毎晩の夢に現れる黒いサマードレスの女の子は何者なのか? あゆみの心の中に感じる思いは初恋なのか,といった繊細な感情を,大阪の天王寺区に在住しているとうスペイン人アーティスト,大阪の天王寺区に在住しているスペイン人アーティスト,Juan Fandiño Martín氏(マルティン氏)が,自身の脚本と手描きアートで作り上げている。
テーマは“愛と受容”。スペインのクリエイターが日本の昭和時代を描くアドベンチャー「Last Time I Saw You」プレイレポート
2022年8月6日と7日,インディーズゲームイベントBitSummit X-Roadsが京都市勧業館・みやこめっせにて行われた。会場に出展されていた,スペインのクリエイターが日本の昭和に思いを馳せて作ったという「Last Time I Saw You」のプレイレポートをお届けしよう。
今回のイベントで公開されているデモでは,淡いサクラの花びらに包まれた夢の中で,初めて少女の幻影を見るという序盤のシーンから始まり,母親や父親,そして姉,さらには近所の友達や商店街の人々といった周囲の登場人物が紹介されている。
母親からカレーライスに入れるニンジンのお使いを頼まれたり,少年野球のピッチャーの練習をしたいからとバットを振ったりするミニゲーム的な要素はあるものの,ストーリーを重視した探索が基本的なゲームプレイとなりそうだ。
あゆみの部屋には恐竜のポスターが飾られていたり,コンクリートブロックの塀に赤い郵便受けが掛けられていたり,自販機でたばこを誰でも買えたりと,どこか昭和的なノルタルジーを感じさせる細かい描写が見事だ。
商店街には伊丹十三監督映画の「タンポポ」をオマージュした看板があったり,本屋の店名は太宰治の小説にも出てくる「ヴィヨン書店」だったりと,マルティン氏が相当な日本通であることは間違いない。
Chorus Worldwideでパブリッシングを担当する日本人に「あゆみは女性に多い名前だから」と促されても変更を拒むなど,マルティン氏が1つひとつの描写に何かしらの思い入れを持っているのは間違いなさそうだ。アートスタイル面でもジブリ作品の,とくに初期のものに大きな影響を受けたと話しながら,そのキャラクターアートや色使いは独創的で,思い出の中にあるどこか感傷的な昔の雰囲気がしっかりと描かれているのが分かる。
唐草模様の風呂敷を首にした柴犬や,神社に出現する白狐といった,外国人の好きそうな日本的イメージは多用されているものの,「昭和レトロ」がブームだという昨今においては共感できる日本人ゲーマーも少なくないだろう。
昨年のBitSummit X-Roadsや東京ゲームショウ2022では個人出展されていた「Last Time I Saw You」だが,世界的に展開するインディパブリッシャであるChorus Worldwideと提携したことで,多言語対応が予定されているほか,Nintendo SwitchやPlayStationプラットフォームでのリリースも決まったそうだ。
2024年のリリースに向けて続報が楽しみな本作は,Steamストアページでデモが無料公開されているので,東京ゲームショウ2023に参加できない人でもすぐに触れられる。どこか懐かしく心地良いノスタルジーに浸ってみたいという人は,プレイしてみよう。
「Last Time I Saw You」公式サイト
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