プレイレポート
[TGS2023]3回レポってもまだ足りない。「電気街の喫茶店」はニッポンバシで早口な限界オタクメイドと出会うゲームだった
本作は,“メイド喫茶スローライフアドベンチャー”を謳う作品で,メイドさんとのデートやカフェ経営を楽しめる。
4Gamerではこれまで,昨年のBitSummitやTGS 2022で本作のプレイレポートを掲載してきた。それでもなお,別の担当者がこうして誘蛾灯のように吸い込まれてしまうのだから,不思議な魔力がこもっているのだろう(単に,自分もプレイしたかっただけ)。
仕事を辞めてメイドカフェの店長になろう。TGS 2022で北京の音響スタジオに出展されていた上海製の「電気街の喫茶店」を紹介
東京ゲームショウ2022に出展されていた「電気街の喫茶店」に関して,沿革的な部分や構成要素などの解説をお届けしよう。本作はメイドカフェ経営&恋愛アドベンチャーゲームで,特定の手順でのみ発生するイベントや,さまざまなイベントが発生する街中の施設など,綿密な設計が魅力的だ。
カフェ経営&恋愛ADV「電気街の喫茶店」プレイレポート。大阪・日本橋の電気街でメイド喫茶を経営しよう
BitSummit X-Roadsの会場を物色中に,可愛らしいドット絵が目に飛び込んできた。それが,上海に拠点を置く冒険者酒館がPC向けに開発中の「電気街の喫茶店」。本作は,大阪・日本橋の電気街とメイド喫茶をテーマにした,カフェ経営&恋愛アドベンチャーゲームだ。
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「電気街の喫茶店」の舞台は大阪・日本橋だ。ニホンバシ,ではなくニッポンバシだ。二度と間違えるなよ(と言われたことがあるよ。コワいね〜)。
ちなみに4Gamerのオフィスの最寄り駅は,東京・ニホンバシだ(ややこしいね〜)。でも来社時は茅場町駅から来るほうが100%楽だ。
ある日,黒めな企業をイヤになって退職し,無職になった主人公の青年は,とある喫茶店に踏み入れた。そこは「ふわふわ喫茶店」という名の寂れたメイド喫茶で,店にたった1人だけいたメイド少女「シロ」に,いきなり店長代理になってくれとせがまれる。あとはお決まりのルートだ。
最初は強く当たって,あとは流れでの様式美をいかんなく発揮する,ヒロイン4人を擁する巻き込まれ系やれやれ主人公の幕開けだ。
なお,物語の姿勢は“ふわふわ日常系ストーリー”とのこと。
ゲームサイクルから説明しておくと,本作は“かわいいメイドさんたちとのデート”が主軸であるが,同時にカフェ経営のマネジメント要素もこなしていく。ものとしては,恋愛ゲームと言って差し支えない。
ただ,いろいろな小ネタが仕込まれている2Dステージの回遊が,テキストアドベンチャーの類いとはまた違う刺激を与えてくれる。
マップロケーションには一部伏せ字のバーガーショップなどもあるが,駿河屋,ソフマップ,ドラゴンスター,スーパーポテト,カラオケレインボーなどの企業に許諾を得て,実在の店名を使用しているという。
グラフィックスがステキなのは言うまでもないが,各店舗内では買い物のほかに,店員との会話も楽しめる。なかには“ガチャめぐり”などのコレクション要素もあるようで,ゲーム的な楽しみもある。
ただ,本作の魅力は“確実に完全にオタクが作った”のが容易に分かるところだろう。事実,作中にはさまざまな有名作品の(濁したり改題したりの)エッセンスが,あらゆるところに散りばめられている。
最序盤に出会う,作中映画館の上映作品「ご注文はいもうとですか」はそのジャブといったところで,プレイヤー側の歩いてきた道は人それぞれとしても,開発者らの花道の遍歴が分かるのがほほ笑ましい。
こうした共感で親近感を湧かせるのは,フレンドリーでありながら商品としては理性的な設計。なかなかどうして勝手に評価したい。
我々が幸せにすべき,かつ我々を幸せにしてくれる4人のヒロインは,最初に出会うメイドさんにして,限界オタクの早口っ子「シロ」。使い魔になれと言ってくるゴスロリかつ中二病な「ファフナ」。
あと,体験版では最後にちょっとだけ登場する,食いしん坊のゲームオタクギャル「ミユ」,今回はメインビジュアルだけでしか確認できなかった,神社で働く関西弁の巫女「ほのか」がいる。属性だけで言えばミユの圧勝は(個人嗜好で)固い。
メインビジュアルに描かれる4人。左から順にほのか,シロ,ミユ,ファフナ |
この4人のヒロインは,声優さんによるボイスが付き,それぞれ魅力的な声を聞かせてくれるらしい。ちなみにPLAYISM調べ,かつ現状の体験版相当における人気分布では,「アニメショップでお財布事情を考えずに散財してしまうポンコツな(最初に出会う)シロ」が優勢らしい。
というのも,体験版では2人の女の子(シロと中二病ファフナ)にしか出会えない仕様なのが勝因だろう。なお,この2人のフフッとくる関係性が,体験版の終了と同時に,その先を期待させてくる。
メイド喫茶の運営面では,主に「メイドさんのお仕事の割り振り」が醍醐味になるらしい。人当たりのいい子は接客担当に,料理が得意な子はキッチンに,と適材適所を模索するわけだ。またカフェパートでは,さまざまな素材を組み合わせて(ご主人様が)コーヒーを作ったりもする。
ときには怪しい色合いの劇薬が生まれたりもするが,それもまた,やれやれ,ったく。本当に申し訳ございませんでした。
上海に拠点を置くAdventurer's Tavern(冒険者酒場)が手掛ける本作は,11歳まで日本で暮らしていた開発者が,東京・秋葉原とは違うオタクの街・大阪の日本橋と出会い,カルチャー的に染まって世に生を与えられたものである。また陣頭指揮を執る当人のみならず,グラフィッカーなども本作に宿されている気配に乗じて,自分の好みをぶち込んだんだとか。ゆえに本作は,作った人たちみんなの好きを詰め込んだ作品と言える。
最後に,一般公開日初日の(来場者の)嵐に飲まれてしまい,到着予定時刻が遅れてしまったことで,ついぞ出会うことができなかった冒険者酒館の本作制作発起人から届いたコメントを紹介する。
我々の電気街への愛を込めた一作ですので、ぜひご期待ください。Steamページ、ウィッシュリストにご登録いただければうれしいです。よろしくお願いいたします!
チェキにはなじみがないし,ぶっちゃけメイド喫茶に行ったこともない体たらくだが,夢と希望を与えてくるこの飲食店への理想は十分に受け取れる。そういう風に思わせてくれるゲームなのだと思ったTGSの3日目は,朝から空模様がサイアクぅだったが,夕方になると照れ隠しのデレを見せるように,会期中は初めてだった気がする青空が広がっていた。
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