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印刷2023/02/28 15:15

プレイレポート

[プレイレポ]「Grim Guardians: Demon Purge」はキャラの切り換えが新鮮なメトロイドヴァニア。コミカルながらに遊び応えは十分

 インティ・クリエイツより2023年2月23日にダウンロード版の配信が開始された2Dアクションゲーム「Grim Guardians: Demon Purge」PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One / Nintendo Switch)。3月23日にはPS5/Nintendo Switch向けのパッケージ版も発売される予定だ。

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 本作は,豊富なサブウエポンを駆使して2Dマップを探索していく,いわゆるメトロイドヴァニア型の作品で,魔界と融合してしまった学校を舞台にふたりの姉妹が悪魔たちを蹴散らしながら生徒を救出し,学校を元に戻すために奮闘する様子が描かれる。

 本稿では,実際のプレイで確認できたゲーム内容とその手触りをまとめてお届けしよう。なお,今回のプレイにはPC版,操作にはPS5のDualSense ワイヤレスコントローラーを使用している。


悪魔の城と化した学園に悪魔ハンター姉妹が挑む


 本作の主人公は,代々悪魔ハンターを生業とする神園家の姉妹である,姉のしのぶと妹の真夜だ。ふたりは学校に通う普通(?)の姉妹だったが,ある日,学校は突如として悪魔の城に姿を変えてしまう。学校を元に戻すため,そして巻き込まれたほかの生徒を救出するため,神園姉妹は戦いに赴く,というのが本作のストーリーとなる。

 神園姉妹などのキャラクターは本作と同じくインティ・クリエイツが手掛けた「ぎゃる☆がん」シリーズにも登場しているが,ストーリーは独立している。同シリーズを遊んだことがなくてもまったく問題はない。

左がしのぶ,右が真夜。しのぶはしっかり者だが少し抜けたところがあり,真夜は不思議ちゃんっぽいところがありつつも抜け目ない性格をしている
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オープニングで登場する悪魔のくろな。普段から神園姉妹にとっちめられているらしく,ふたりを目の敵にしている
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 メトロイドヴァニアというジャンルにはシリアス寄りの作品が多い印象だが,本作は全体的にコミカルなやり取りが多く,ボス戦前の会話イベントなどでも笑わせられることが多い。

 イベントシーンによっては上記のような一枚絵が挿入されることもあり,キャラクター性やストーリー面も楽しめる。とあるボス戦では敵の声がかわいすぎて口元が緩んでしまうなど,アクションゲームとしての触り心地だけでなく,いろんな意味で面白い作品だ。

通常の会話ではバストアップイラストが表示される
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各ステージで生徒を救出する要素もあるのだが,一部の生徒はセリフがやけに濃い
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キャラ交代&蘇生システムが特徴的


 メトロイドヴァニア作品の例に漏れず,本作もステージを探索して奥にいるボスを撃破,つぎのステージへ進んでボスを倒し……というのが基本的な流れだ。ボスを倒すと手に入るサブウエポンを使えば探索範囲が広がり,序盤のステージを再度訪問することで新たなルートやレアアイテムが手に入る,といった要素もカバーしている。

 画面端の壁を壊すと各種アイテムが出てくることがある点も含め,このジャンルに求める内容は,ほぼ網羅されていると言っていいだろう。パッと見の印象どおりのプレイが楽しめるため,「そうそう,こういうのでいいんだよ」といった感が強い。

残像付きでぬるぬる動くドット絵も魅力的
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ボス撃破後はワープポイントが開放される。一度訪れたエリアにしかワープできないので,前のステージを再度探索する場合もまずは先のステージに足を踏み入れておくといい
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 本作最大の特徴は,操作キャラを切り換えられる点だ。姉のしのぶは退魔サブマシンガンをメイン武器とし,威力は低いながらも遠距離攻撃が得意で最大HPも高い。一方,妹の真夜は折り紙で作った刀などを使用し,射程は短いが威力の高い攻撃が可能だ。しのぶに比べるとHPが低く,ハイリスクハイリターンな性能となっている。

 ボスを撃破して入手するサブウエポンもそれぞれ性能が異なるほか,真夜はしゃがみ移動で狭い通路を抜けられるなど操作性にも若干の違いが見られる。HPが個別管理なので交代によってピンチをしのぐこともでき,キャラクター自体を使い分けて攻略していく感覚は一般的なメトロイドヴァニアとはまた違った面白さがある。

しのぶは退魔サブマシンガンを筆頭に,退魔グレネード,退魔TNT爆雷などストロングスタイルなネーミングの近代兵器を使って戦う
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折り紙でさまざまな武器や道具を作り出す真夜。サブウエポンは折り鶴で足場を作り出したり,傘で落下速度を軽減したりと補助的な効果が多い
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サブウエポン使用に必要なWP(ウエポンポイント)はステージ内のオブジェクトや敵から出現する紫色のアイテムで回復
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 操作キャラの切り換えだけでもユニークだが,蘇生システムもまた本作のプレイを独自性のあるものにしている。

 前提として,本作は残機制になっており,これが0になるとゲームオーバーだ。しのぶと真夜のどちらかのHPがなくなると倒れてしまうが,この時点ですぐに残機が減るということはなく,倒れたキャラは死亡地点に取り残され,生き残ったキャラでリトライポイントからの再開となる。その後,倒れたキャラのところまでたどり着ければ,ボタン連打で蘇生可能だ。蘇生できないうちに残りのキャラも倒れてしまうと,そこで初めて残機が減少してしまうという仕組みになっている。
 それもあって,多少難しいポイントであっても,簡単に残機減少とはなりにくい印象だ。

ボタン連打で心臓マッサージ! ダメージを受けると蘇生がキャンセルされてしまうので,安全を確保するかタイミングを見計らう必要がある
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緑色のオブジェクトの破壊や敵の撃破で出現するプライド増加アイテムを拾うと画面右上のゲージが増加し,満タンになると残機数がアップする
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プライドの獲得や時間経過で増加する画面左上のパージゲージが最大になると,必殺の弾丸を発動できる。発動に時間がかかり動く敵に当てるのは難しいが,発動までは無敵な上に,威力も高い
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 蘇生システムは難度を緩和する要因になると同時に,一時的に使用キャラを限定する要素になっているのもポイントだ。しのぶの遠距離攻撃で安全に攻略していた道中も,真夜で救出に向かう場合はリスクを負って切り込まなければならない。筆者がまさにそうだったのだが,チキンプレイをしがちなプレイヤーも,自然にスリルあるプレイを味わえるようになっている。

 ボス戦で負けた場合も道中と同じように蘇生しなければならない。ボス部屋直前からのリトライなのでくり返し挑戦して敵の行動パターンを把握しやすいうえに,ボスに与えたダメージはある程度リトライ時にも引き継がれる。

 前述のとおり,蘇生に成功すれば残機は減らないので,蘇生しながらダメージを重ねていけば,アクションが得意でなくともいつかは撃破できる仕組みになっている。

ボスの行動はある程度パターンが決まっているので,何度も挑戦するうちに攻撃の避けかたや攻めるタイミングも判断しやすくなってくる
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HPゲージを削り切った後に,ボスが何かしらの攻撃を仕掛けてくるのもユニークなポイントだ。撃破完了まで気が抜けない
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 ダメージ軽減の効果を持つレアアイテムを入手するまでは被ダメージがそれなりに高く,とくにHPの低い真夜は3,4回被弾すると死亡してしまう。とは言え状況に応じてキャラを切り換えれば安全に進める場面も多く,しっかり手応えはありつつも,理不尽に感じるような場面はほとんどなかった(空中被弾からのノックバックで穴に落ちて即死,といったパターンに泣かされることはあったが)。

 本作には3種のスタイル(難度)が用意されており,アクション初心者から高難度大歓迎な上級者まで広く楽しめるのもポイントだ。残機無限&被弾によるノックバックがなくなるカジュアル,ノックバックありでほどよく難しいベテラン,そしてひとり死亡した時点で残機が減る高難度仕様のレジェンドハンターと,スタイルによってプレイ感も大きく変化する。個人的に最大の死因が落下死だったので,カジュアルにしてノックバックがなくなるだけでもかなり楽になる印象だ。

 スタイルは好きなタイミングで変更できるので,探索に集中したい場合はカジュアル,といった切り換えもできるのはうれしいところ。なお,レジェンドハンターについてはクリア後に開放されるので,やり込み要素に近い立ち位置だ。

スタイルを変えてもストーリーなどには影響がないので,自分に合ったスタイルで遊ぶのがいいだろう
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痒いところはあるが遊び応え十分の良作


 2Dアクションとしての手応えやメトロイドヴァニアらしい探索の楽しさ,交代&蘇生システムが生み出す独特のプレイ感,そしてコミカルに展開するストーリーと,本作は全体的に高い水準で楽しめる一本だ。

 そのなかで非常に惜しいと思えるのが,メトロイドヴァニアではおなじみのマップ表示機能がない部分だろう。ステージ選択時に全体図が表示されるので,厳密に言えば機能そのものがないわけではない。しかし探索中にマップを開くことはできず,また全体図として示されるマップもざっくりしたものとなっており,未到達エリアを把握するにはやや不便だ。

最初から全体が示されるものの,どこに道を塞ぐ要素があるかなどは明示されない
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 見かたを変えれば手探りで進む楽しさがあるということなのだが,プレイ終盤やクリア後にやり込み要素として探索を行おうとした際に,各ステージをしらみつぶしに探すのは少々面倒だ。ストーリーやアクションが面白く,ゲームそのものは楽しめるだけに,ここは残念に感じた。

キーアイテムや生徒,ボスの存在する方向を確認できるコンパス機能は便利。これに加えて,マップで地形を把握できるとうれしかったのだが
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 また,一部ではあるものの,エリア切り換えポイントとなる下り坂のそばにある穴に落ちた際,下のエリアに移動するかと思ったら落下死するなど,エリア間のつながりで若干違和感を覚える部分もあった。

 マイナス点を連続で挙げてしまったが,2Dアクションとしての面白さや遊び応えが申し分ないのは先にも述べたとおりだ。今回のプレイではベテランスタイルで最初から最後まで進めたが,最初のエンディングを見るまでのプレイ時間は9時間弱。手軽に遊べる点も魅力だろう。

 本作はマルチエンディングとなっており,別のエンディングを見るためのやり込みや各種レアアイテムのコンプリート,クリア後に開放されるボスラッシュモードへの挑戦など,エンディングを見た後にも楽しめる要素は多い。
 加えて本作は2人プレイにも対応しており,しのぶと真夜で同時に遊ぶことも可能だ。1画面で2キャラが同時に動くのはスーパーファミコンなどのクラシックな作品を思わせる感もあり,ソロプレイとは違ったプレイとともに,懐かしさも味わえるだろう。マップ機能などの面で痒いところに手が届かない印象はあるものの,2Dアクションやメトロイドヴァニアが好きであれば要チェックの一本だ。

同時プレイはワーキャー騒ぎながら遊べそうで,通常のプレイとはまた違った面白さがありそうだ
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