プレイレポート
ゴールデンウィークは「ボードゲームアリーナ」でボドゲ三昧! 約620種のボドゲが遊び放題の神サービスを,登録からお勧めタイトルまで徹底解説
収録タイトル数もかなりのもので,その数,実に620種類以上。現在も毎週のように新作が登場しており,「カタンの開拓者たち」や「カルカソンヌ」といったメジャーなものから,「テラミスティカ」や「アグリコラ」といったコアな重量級まで,多種多様なタイトルが揃っている。
さらにプレイヤーが翻訳に参加できる仕組みが整備されているので,そのほとんどが日本語でプレイできるところも見逃せない。異なる言語圏のプレイヤー同士でも問題なく対戦できるので,文字どおり世界中のプレイヤーと対戦可能となっている。
ボードゲームファンにとってはまさに理想的なサービスなのだが,海外発のサイトだけあって,ちょっとインタフェースに独特なところがあり,最初は戸惑ってしまうかもしれない。そこで本稿では,好きなゲームで実際に遊んでみるところまでのBGA入門ガイドをお届けしたい。この記事を参考に,今年のゴールデンウィークはボドゲ三昧の休日を過ごしてみてはいかがだろうか。
「ボードゲームアリーナ」公式サイト
プレミアム会員向けタイトルも無料で遊べる。登録から遊び始めるまでの流れを解説
BGAでゲームを遊ぶためには,まずはメールアドレスとパスワードを入力してアカウントを作成する必要がある。FacebookやGoogleアカウントとの連携でも登録が可能だ。
登録を終えたら,「ゲームモード」「ゲームスタイル」「遊ぶ相手」の3項目で,サイト内での自分のプレイスタイルを設定しよう。この設定は後から自由に変更できるので,登録したときの気分で決めてしまって構わない。
もし迷ったなら,ゲームモードを「シンプルゲーム」,ゲームスタイルを「リアルタイム」,遊ぶ相手を「自動」に設定しておけばとりあえず大丈夫だ。各設定の違いは以下の表にまとめておいたので,気になる人はそちらを確認してほしい。
ゲームモード | |
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シンプル | BGAでもっとも一般的な設定。設定の自由度が高く,カジュアルに遊べる。 |
アリーナ | 勝敗の結果で変動する“アリーナポイント”を稼いでいく設定。いわゆるランクマッチのようなもの。 ※参加には対応ゲームをある程度遊ぶ必要がある。 |
大会 | プレイヤー主催の大会に参加するときに用いるモード。大会に参加するには事前の登録が必要となる。 ※参加には対応ゲームをある程度遊ぶ必要がある。 |
ゲームスタイル | |
リアルタイム | 画面に向き合って,自分の手番が来たら数分以内に操作を行うスタイル。1度に1つのゲームしかプレイできない。 |
ターンベース | 手番ごとに数時間から数日の持ち時間があり,自分の手番が来るとメールなどで通知されるスタイル。複数のゲームに同時に参加できる。 |
遊ぶ相手 | |
フレンド | ローカル,またはオンラインで,BGAに登録しているフレンドとだけ遊ぶ設定。ローカルで遊ぶ場合は,タブレットなどを回してプレイすることになる。 |
自動 | プレイしたいゲームを選択すると,自動でオープンしているテーブルを探してくれる設定。自分で細かな設定を行えないが,手早く遊びたいときに役立つ。 |
手動 | 自分でテーブルを作成したり,既に存在するテーブルを指定して参加したりする設定。設定を自分で細かく変えたり,特定の設定のテーブルにのみ参加したりしたい場合に使用する。 |
あとは気になるゲームを見つけて,テーブルに参加すればゲームを開始できる。登録を済ませると,プレイヤーが多く人気のあるゲームがいくつか表示されるので,その中から遊んでみたいゲームを選択しよう。
なお,BGAにはプレミアム会員(有料会員)用のタイトルがあり,通常会員の場合は,そうしたタイトルのテーブルを新たに作成できないようになっている。とはいえ,通常会員でもプレミアム会員が作成したテーブルへの参加は可能なので安心してほしい。「カタンの開拓者たち」など,人気作品は多くテーブルが作成されるので,有名タイトルを遊ぶぶんには無料会員でも問題にならないはずだ。
なおタイトルごとの遊び方が分からない場合は,ゲームアイコンの左上にある帽子マークをクリックしてゲーム詳細ページに飛び,「遊び方」を確認するといい。
最初に表示される“あなたにオススメのゲーム”に含まれる作品には,1人で実際にゲームを進行しながらルールを覚えられるチュートリアルが用意されているので,まずはそれをプレイしよう。習得に役立つ動画やリンクなども掲載されているので,合わせてチェックしておくといい。
ある程度ゲームに慣れてくると「このゲームは2人プレイが一番楽しそうだ」とか「盤面の設定は狭めが一番面白い」とか,そういったこだわりが出てくるかもしれない。そんなときは,「遊ぶ相手」を“手動”に変更し,好きなテーブルを選んで直接参加するか,自分でテーブルを作成するといい。
遊びたいゲームのページで「お気に入りに追加する」をクリックすれば,選んだゲームが画面上部の「今すぐプレイ」タブの中に“お気に入りのゲーム”として表示されるようになる。あとは登録したゲームをクリックすれば,現在募集中のテーブルがまとめて確認できる。
ページ右上の「お気に入りに追加する」をボタンをクリックして,「今すぐプレイ」のタブに移動する |
お気に入りに登録したタイトルは,参加可能なテーブルがまとめて表示できる。テーブルごと設定も合わせて表示されるので,それを参考に参加するテーブルを決めよう |
自分でテーブルを作るには「新たなテーブルを作成」をクリックして各種の設定を行い,「参加を受け付ける」ボタンを押せばテーブルを公開できる。ゲームごとに共通の設定は以下のとおり。
ゲーム共通の設定 | |
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プレイ人数 | 参加可能上限を設定する。上限はゲームによって異なる。 |
ゲームモード | ELOランクが変動する「ノーマルモード」と,変動が発生しない「トレーニングモード」がある。1人で遊べるゲームには「ソロモード」が項目に追加される。 |
ゲームの速度 | 手番ごとの持ち時間を設定する項目。持ち時間が切れると「プレイヤーの手番を飛ばす」操作が可能になる。ゲームを初めて遊ぶプレイヤーは持ち時間が倍に設定される。 |
参加者制限 | |
ELOランク | いわゆるレート。ELOは数値によって初心者,見習い,平均的,グッドプレイヤー,強豪,エキスパート,マスターに分かれ,テーブルに参加可能なランク帯を決められる。 |
評判 | 参加可能な評判の最低値を決められる。評判はゲームを途中退出したり,悪評を受けると低下する。通常は65%〜75%に設定するのがオススメ。 |
グループ | 特定のグループ(ギルドのようなもの)や,フレンドのみが参加できるテーブルを作成したいときに使用する。 |
言語 | 設定した言語を話せるプレイヤーのみが参加できるようになる。コミュニケーションが重要なゲームを遊ぶときに使用する。 |
最初はプレイ人数を少なめにして,ターンごとに使える時間を設定する「ゲームの速度」を“リアルタイム・低速”にしておくのがベターだ。あとは自分の実力に合わせて,参加可能なプレイヤーのELOランクを調整すれば,快適にゲームを楽しめるだろう。
プレミアム会員について
プレミアム会員になると,会員向けタイトルのテーブルが作成できるのみならず,さまざまな特典も用意されている。とくに「ゲーム終了時の統計データ表示」は,プレイを振り返るのに役立つので,同じゲームを何度もプレイする人にオススメしたい。
●会員向け特典
- プレミアム会員向けゲームのテーブル作成
- ゲーム開始前の広告の除去
- ホットシートモード(ローカルプレイ)機能の追加
- ビデオ/音声通話機能の追加
- ゲーム終了時の統計データ表示
- 使用するプレイヤーカラーの選択
- 大会の開催
●価格(2023年4月23日現在)
- 月額 675円(税込)/月
- 年額 3960円(税込)/月(月額換算330円)
ギフトポイント
BGA上でコミュニティに対する貢献を行うと「ギフトポイント」がプレゼントされ,100ギフトポイントで1か月間のプレミアム会員権を入手できる。主な入手方法は以下のとおり。
条件 ポイント フレンドをBGAに招待する +5Pt 招待プレイヤーが5回目のゲームを終了する +20Pt 翻訳に参加する +1Pt※ 新しいゲームで勝利する +5Pt チュートリアルを作成する 最大+600Pt
※確定した翻訳項目1つにつき。
とりあえず最初に遊びたい。用途と目的別のオススメ無料タイトル
「せっかくだから自分でテーブルを作って遊んでみたい!」という人のために,プレイスタイルごとに1本ずつ,筆者オススメの無料タイトルを計4本紹介しよう。各タイトルのプレイ時間や特徴も併記しているので,最初に遊ぶタイトル探しに役立ててほしい。
ボドゲといえばダイスとカード! 「ダイスフォージ」(Dice Forge)
思う存分ダイスを振りまくり,カードテキストの効果を使った“ボドゲっぽい”ゲームを遊びたい人にぴったりなのが「ダイスフォージ」だ。
同作のコンセプトはタイトルのとおり,ダイスを鍛造(フォージ)すること。各プレイヤーは6つの“出目”をカスタマイズできる六面ダイスを2つ持ち,それを使って資源を収集していく。
手番が来たプレイヤーは,新たなダイスの出目を購入して付け替える「鍛造」と,資源を使って場のカードを購入する「英雄の偉業」のいずれかを実行できる。ダイスとカードでは購入時に要求される資源が違うので注意してほしい。
作ったダイスはターンが回ったときに全員がロールし,全員が効果を適用する。例えば4人でプレイしていた場合,自分の手番を含めて4回(ダイス2個なので合わせれば8回)振るチャンスが訪れるわけだ。
どの出目やカードを購入すべきかを考えながら鍛造し,人事を尽くしたらダイスの神様の天命を待つ。乱数によるブレをカードの効果でどこまで抑えられるかが,プレイヤーの腕の見せ所と言えるだろう。
ダイスフォージ | |
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ジャンル | ダイス/エンジンビルド |
プレイ人数 | 2〜4人 |
プレイ時間 | 15分 |
公称難度 | ★★☆☆☆ |
BGA「ダイスフォージ」タイトルページ
ボイチャでも簡単にルールを伝えられる「キューバーズ」(CuBirds)
自分がルールを覚えていても,ボイスチャットでルールを説明するのはなかなかに難しい。そんな人には,簡単なルールで手軽に遊べるカードゲーム「キューバーズ」でインスト(ルール説明)の練習をしながら遊んでみるといい。
キューバーズは,ボクセル調で描かれた鳥カードを手札に集めていくゲームだ。それぞれの鳥カードは,所定の枚数を集めると獲得できる。ルールに従って場札と手札を交換していき,誰よりも早く「7種類の鳥カードを獲得」か「2種類の鳥カードを3枚以上ずつ獲得」の,いずれかの勝利条件の達成を目指していく。
ゲームは,場に3枚ずつの鳥カードで構成された“列”が4つ作られた状態からスタートする。手番が来たプレイヤーは,手札の鳥カードから“1種類”を選択し,選んだ種類のカードをすべて4列のカードの左右どちらかに配置しなければならない。
そうしてカードを置いた列の逆サイドに,置いた鳥カードと同じ種類の鳥カードがあるなら,間にある鳥カードをすべて手札に加えられる。たとえば,「オウム,オオハシ,ヨシキリ」が並んでいる列の右側にオウムを置いたなら,オウムに挟まれたオオハシとヨシキリを手札に加えられるのだ。
先述のとおり,手札からカードを出すときは選んだ種類のカードをすべて出さねばならない。挟むために集めているカードを出してしまうと,相手に横取りされてしまう可能性があるので,出すカードの順番には注意しよう。
キューバーズ | |
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ジャンル | セットコレクション/手札管理 |
プレイ人数 | 2〜5人 |
プレイ時間 | 6分 |
公称難度 | ★☆☆☆☆ |
BGA「キューバーズ」タイトルページ
1対1でぶつかり合うガチ対戦がしたい! 「ウォーチェスト」(War Chest)
将棋やチェス,TCGのように,1対1(または2対2のチーム戦)でガチバトルを繰り広げたい人にオススメなのが,デッキ構築要素が特徴の戦略シミュレーション「ウォーチェスト」だ。
同作は,コインを使った陣取りゲーム。各プレイヤーはボード上に配置したユニットを進軍させ,敵ユニットとの戦闘をこなして撃破しつつ,ボードに点在する拠点の占領を目指す。
互いに拠点を奪い合うユニットにあたるのが,本作の要となる「コイン」だ。コインにはさまざまな絵柄があり,それぞれが異なる能力を持っている。ゲームは互いが4種類(各2枚)のコインが配られた状態から開始となるので,その8枚で何が出来るかをゲームごとに考えなくてはならない。
ゲーム開始時,配られた合計6枚のコインはすべて“バッグ”の中に投入され,ラウンド開始時にそこから3枚をドローする。手番が来たプレイヤーは,そうして手元に来たコインを使い,手持ちのコインをボードに登場させたり,新たなコインをバッグに投入したりといったアクションを実行していく。
ただし,ボードにあるコインを行動させたい場合は,場にあるコインと同じ絵柄のコインを手元から使う必要がある。つまり強いユニットを複数場に出すと,行動できる回数が減ってしまう。戦力の強化を優先するか,足回りの安定化を優先するかを考え,相手の動向を見ながらアクションを決定する。非常にジリジリとした緊張感のあるバトルを楽しめる。
ウォーチェスト | |
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ジャンル | 陣取り/デッキ構築 |
プレイ人数 | 2人 or 4人 |
プレイ時間 | 17分 |
公称難度 | ★★☆☆☆ |
BGA「ウォーチェスト」タイトルページ
せっかくだから重量級ゲームに挑戦! 「ツォルキン」(Tzolk'in)
ツォルキンは,手持ちの労働者コマをアクションスペースに配置して資源を獲得していく“ワーカープレイスメント”と呼ばれるジャンルの作品だ。メインボードには複数のアクションスペースが存在し,各プレイヤーは順番に手持ちの労働者コマを場に置いていくことになる。
マヤの暦をテーマにした同作では,アクションスペースが歯車の上にあるのが特徴だ。そして,それぞれの歯車は中央の巨大歯車と噛み合っており,ラウンドごとすべての歯車が1マスずつ回転する仕組みになっている。
もちろん,配置した労働者コマも歯車と一緒に回っていく。手番が来たプレイヤーは「労働者を置く」かわりに「労働者を回収する」アクションを実行することで,労働者コマが現在ある位置に応じた報酬を得られる仕組みだ。
労働者コマを歯車の上で放置するほど強力な報酬を得られるが,新たな労働者コマをアクションスペースに置くときにも一定の資源が必要なため,効率よく動くにはどこかで回収しなくてはならない。
歯車による意外性だけでなく,技術力を高めて1回の労働者コマ回収で得られる資源を増やしたり,資源を捧げて季節ごとに勝利点を得たりと,さまざまな攻略ルートが用意された重量級ゲームらしい一作となっている。じっくりと画面と向き合って遊べるゲームを探している人は,ぜひ遊んでみてほしい。
ツォルキン | |
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ジャンル | ワーカープレイスメント/資源管理 |
プレイ人数 | 2〜4人 |
プレイ時間 | 36分 |
公称難度 | ★★★★☆ |
BGA「ツォルキン」タイトルページ
無料で遊べる範囲に限っても,BGAには遊びきれないほどたくさんのゲームが存在する。さらに参加者のうち1人でもプレミアム会員がいれば,620種類以上のゲームが遊び放題となる。しかも,ほぼ全部日本語で。
登録からルール習得の流れさえ理解しておけば,いつでも気軽に「ちょっとボドゲやらない?」と友人を誘うこともできるので,ボドゲの布教にもピッタリ。これほど便利なサービスを使わないのはシンプルにもったいない。ゴールデンウィークのお手軽な暇つぶしとして,あるいは世界一を目指す対戦ツールとしても役立つBGAを,ぜひ自分のスタイルで使いこなしてみてほしい。
「ボードゲームアリーナ」公式サイト
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