［プレイレポ］マイクラ最新作「Minecraft Legends」は，あの世界に“ストラテジー”要素が見事に融合している。チーム対戦のPvPモードも期待大

　Xbox Game Studiosから2023年4月19日の発売が予定されている「Minecraft Legends」（マインクラフト レジェンズ。PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One）のメディア向け先行体験会が開催された。人気タイトル「Minecraft」の世界設定やゲームシステムを踏襲し，アクションストラテジーへと昇華した最新作はソロプレイや協力プレイが楽しめるキャンペーンモードと，最大8人対応のPvPモードを収録している。

「Minecraft Legends」公式サイト

　今回はキャンペーンモードのチュートリアルから序盤の流れ，そして参加者同士のPvPモードを体験することができた。「Minecraft」ファンはもちろん，ストラテジーやRTSを愛するゲーマーも注目している本作のプレイレポートをお届けしたい。また，Mojang Studiosのエグゼクティブ・プロデューサー，Dennis Ries氏への合同インタビューも掲載している。


　ボクセルスタイルのサンドボックスゲームとして広く知られる「Minecraft」だが，「Minecraft Dungeons」をはじめとする派生タイトルも多数リリースされている。最新作「Minecraft Legends」には，スマートフォン向けアプリ「Minecraft Earth」の開発に参加したBlackbird Interactiveが携わっている。

プレゼンテーションを行う，Mojang StudiosのDennis Ries氏

　ボクセルで構成された「オーバーワールド」に，ピグリンの大群が突如襲来。世界の平和が脅かされたことを憂う3人の賢者（フォアサイト，アクション，ナレッジ）は，別の世界からヒーロー（プレイヤー）を召喚する。
　プレイヤーは賢者に授けられた「リュート」を奏でて妖精「アレイ」を呼び出し，オーバーワールドの資源を採掘して施設を造っていく。そして，拠点を強固にするだけでなく，ゴーレムやゾンビ，クリーパーといった馴染み深いモブ（キャラクター）を率いて，ピグリンの脅威へと立ち向かっていくのだ。

（左から）フォアサイト，ナレッジ，アクション。オープニングは日本語ローカライズされており，吹き替え音声を収録

　キャンペーンモードには，ストーリーに沿ったチュートリアルが用意されている。これにより，実際にゲームをプレイをしながら基本の流れを知ることができる。本作には「Minecraft」のモブや用語が登場するが，プレイしたことがない人でもチュートリアルのおかげでスムーズに理解できるだろう。

チュートリアルは実際に操作をしながら，ミッションを進めていく。非常に分かりやすい

キャンペーンの序盤にもチュートリアルの要素があり，ゲームの流れが把握できる

　「Minecraft Legends」は“アクションストラテジー”と謳われているように，プレイヤーは馬などの動物（マウント）に乗って移動したり，自ら剣を振ってピグリンの軍勢と戦ったりできる。とはいえ，単騎で多勢を相手にするのは分が悪い。そのため，リュートでアレイ達に指示を出して施設を建造し，兵となるゴーレムらを召喚（スポーン）して，ピグリンの襲撃から村を守りながら，新たな地へと赴くことになる。

「Minecraft」シリーズらしいワールドマップ。シチュエーションは複数あり，採掘可能な資材なども異なる

プレイヤーは剣を振って戦い，住民の開放などを行える。ただし，敵の施設などを壊すことはできない

　プレイヤーがリュートによって音楽を奏でる（行動を選択する）と，アレイが範囲内で作業を始める。方向キーで選べるホットバーには「資源の収集」「施設の建造」「モブを呼び出す“スポナー”の設置」「技術力を上げる“強化ハブ”の設置」がある。ここから派生する細かい行動もあるが，プレイヤーが行うべきものは大まかにこの4つであり，「Minecraft」のゲームシステムにうまくマッチしている。
　また，各地でリュートの音楽を手に入れると，新しい施設やモブが追加される仕組みもあるようだ。

　前述のとおり，プレイヤーは自らも戦えるが，敵の施設を破壊することはできない。それらはゴーレムをはじめとするモブの役割となっている。なお，モブを呼び出すには資材と共に，ピグリンを倒すと手に入る「ラピス」も必要だ。
　モブは自動で行動してくれるが，行動すべき場所に導く必要がある。プレイヤーは自身の周囲に招集したうえで，フラッグを立てた場所に移動するように指示を与える。このあたりの流れは，RTSのプレイヤーにはおなじみだろう。

スポナーを設置すると，兵となるゴーレムなどを呼び出せる。その際に資材とラピスを消費する

自身の周囲にサークルを展開して，モブを範囲内に入れるとプレイヤーを追従する。そして，フラッグを立てるとその場所に移動していく

　キャンペーンモードの序盤は，スポナーを設置してゴーレムを召喚し，村を襲撃しているピグリンを撃退。その後，大工小屋を建築して，破壊された噴水を修理したら次の村に向かうといった流れだった。この世界は広大で，さまざまなシチュエーションが存在しているようだ。各地で採掘できる資材なども異なるという。
　チュートリアルからキャンペーンモードまでの流れは，ゲームの基本を知るのにもってこいの展開だった。PvPモードには戦略の違いこそあれ，プレイヤーがやれることは同じなので，まずはキャンペーンモードを進めていくといいだろう。

守るべき場所を壁や門で囲い，敵の襲撃に備えるタワーディフェンス的な場面も

　一方，PvPモードは最大8人のプレイヤーが2チームに分かれ，同じステージで対戦を繰り広げる。自動生成されるマップには，各チームの拠点となる基地が配置される。プレイヤーの目的は，もちろん相手の基地を破壊することだ。ただ，マップにはピグリンが生息する場所もいくつか存在し，これは両陣営の脅威となる。ピグリンの襲撃によって，基地がダメージを受けることもあるからだ。

PvPモードではチームを組んだプレイヤーと協力して，自陣の拠点を守りながら，相手の拠点を攻撃することになる。1チームは最大4人だが，今回は3人対3人の対戦を体験した

　基本的なシステムはキャンペーンと同じではあるが，互いの拠点を巡る攻防という明確な目的があるため，戦い方はより洗練されたものになるはずだ。資材の採掘を行いながら，拠点を守るための壁や門，矢の塔，大工小屋などを建設する。兵となるモブは強いものほど，貴重な資材が必要になるので，採掘するためには強化ハブの設置も欠かせない。

最初に与えられる資材は少なく，序盤は主に採掘を進めることになる。ただし，採掘や建造を行うアレイの数はプレイヤーごとに決まっているので，効率を考える必要がある

PvPモードのマップ。敵味方の基地とピグリンの拠点が存在している

　PvPモードの重要なポイントは，手に入れた資材をチームメンバーで共有することだ。誰かが資材をむやみやたらに消費するようなことがあれば，肝心なときに資材が足りない……なんてこともある。いつ敵が攻めてくるか分からない状況では，採掘にかけられる時間も限られてしまうが，共有する資材をどう使うのかを互いに考えて行動するべきだろう。

ピグリンを倒すとモブを呼び出す際に必要なラピスが，ピグリンの建造物を壊すと強化ハブを作るための海晶ブロックが手に入る

序盤から敵チームが攻め込んできた。基地を防衛するための壁を作ることも重要だ

強化ハブを設置すると，鉄やレッドストーンといった強力な資材を採掘できるようになる

壁に隙間があるとそこから侵入されるので，しっかり作り込まなければならない。また建造もアレイが行うため，作業中は別の作業が進められない

　今回はキャンペーンモードを遊ぶ時間が限られていたこともあり，PvPモードも最初のうちは何をやっていいのかが分からなかったが，徐々に定石が理解できたように感じる。チーム内である程度の役割を決め，互いが意思の疎通をすることも重要になるだろう。敵チームだけでなく，ピグリンが拠点を攻めてくることもあり，その対応に追われることもある。

敵の攻撃を受けると，プレイヤーの体力を表すハートが減っていく。時間経過やアイテムによって回復できるが，これが尽きると死亡。拠点でのリスポーンには十数秒かかる

ゲーム中は時間経過で昼夜が変わり，夜はピグリンが強くなる

最初から乗っている馬のほか，マップで遭遇した動物に乗り換えることも可能だ。スクリーンショットは壁を飛び越えられるカブトムシ。トラや鳥もいるようだ

　ゲームに慣れたプレイヤー同士の対戦では，拮抗した長期戦になる可能性があるのでは？　この疑問を開発陣に尋ねたところ，長期にわたって戦闘が展開されるとピグリンが強くなり，両陣営に対して大きな脅威になるため，バランスを取っているとのこと。また，木材や岩以外の資材は採掘量が限られており，枯渇すれば戦況を大きく左右するそうだ。

味方が健闘してくれたのか，何とか勝つことができた

　「Minecraft」の派生タイトルとして，その知識を多少なりとも生かせたことが好印象だった。逆に「Minecraft」をプレイしたことがなくても，チュートリアルから始めれば支障はないし，アクションストラテジーの完成度は十分だろう。
　PvPモードはプレイヤー同士で意思の疎通ができる環境で遊びたいところだが，即席チームを結成する野良プレイだとどうなるのか。これもなかなか興味深く，ローンチを果たした際には，ぜひ試してみたい。


　体験会では，本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるDennis Ries氏への合同インタビューも行われた。ぜひ目を通してほしい。

Dennis Ries氏。343 Industriesで8年間にわたって「Halo」シリーズを手がけた後，2016年からMojang StudiosでMinecraftシリーズの開発に携わる。事業分野とゲーム開発の経験を生かし，「Minecraft Legends」のエグゼクティブ・プロデューサーに就任。Blackbird Interactiveとのパートナーシップ構築にも尽力した

――「Minecraft Legends」のリリースを直前に控えて来日されましたが，現在の心境を教えてください。

Dennis Ries氏（以下，Ries氏）：
　エグゼクティブ・プロデューサーとしては，これくらいの時期になるといつも「何か間違えていないかな？」と心配になります（笑）。ただ，今作は順調に制作を進めてきましたし，皆さんに楽しんでいただけると自信も持っています。私もローンチを楽しみにしています。
　大きなパーティを準備しながらも，いざみんなが来てくれる段階になったら，緊張してしまう……。ちょっとだけナーバスになっているかもしれません。

――「Minecraft」の新たなフランチャイズ作品に“ストラテジー”を選びましたが，開発時に意識したことを教えてください。

Ries氏：
　つねにプレイヤーがアクションを起こし，動いている状態を意識しました。ストラテジーゲームでは，例えば命令を発行してモブに指示を出すことができます。
　そこにアクションゲームの要素を追加し，プレイヤーが何らかの形でいつも動いている，参加している状態を可能にしたいと思いました。

――「Minecraft」は世界中に多くのファンを抱えています。「Minecraft Legends」では，どのような層をターゲットにしていますか。

Ries氏：
　すべてのゲーマーがアプローチしやすいように作っています。「Minecraft」には低年齢のユーザーも多いのですが，お子さんはもちろん，コアなストラテジーファン，RTSファンの皆さんも楽しんでいただけることを意識しました。


――キャンペーンモードのボリュームを教えてください。エンディングを迎えるまでに，どれくらいのプレイ時間を想定されていますか。

Ries氏：
　プレイヤーによって楽しみ方は異なり，あちこちを探検して，いろいろなものを発見したい方もいるでしょうし，どんどん突き進んでいく方もいるでしょう。我々が調べたところでは，平均して約18時間から25時間のボリュームになっています。

――キャンペーンモードとPvPモードの関係性を教えてください。

Ries氏：
　キャンペーンモードで獲得した資源やアイテムを，PvPモードに持ち込むことはできません。また，ランキングシステムもありません。
　プレイヤーはまずキャンペーンモードをプレイして，そこで得た知識や経験をもって，PvPモードを戦ってみてください。


――PvPモードでは先手を取って攻撃したり，まずはじっくりと防御を固めたりするといった選択肢があるようですが，勝利を得るためのコツを教えてください。

Ries氏：
　私がストラテジーゲームをプレイするときは，序盤からどんどん攻め込んでいく戦い方が好きですね。「Minecraft Legends」ではレッドストーンをなるべく早く，たくさん集めて，それによってアップグレードを進めていきます。そして，相手が防御を固める前に侵攻して，拠点をぶっ壊していくんです（笑）。

　しかし，私の戦い方はもう同僚にはバレていて，レッドストーンを全部集める前に，どんどん攻撃を仕掛けられるようになってきました。私のほうも「それならば」と，戦い方を変えなくてはいけないという状況です。
　特定の戦い方がいつも勝てるわけではなく，相手の出方を見て戦略を変えたり，考えたりして楽しめるということです。

――「Minecraft Legends」の最もアピールしたいポイントをお願いします。

Ries氏：
　友人同士や家族と一緒にクロスプラットフォームで遊んでほしいと思っています。さまざまなプラットフォームに対応しているので，ぜひ協力や対戦を楽しんでもらいたいですね。

「Minecraft Legends」公式サイト