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印刷2023/07/30 20:21

インタビュー

[CJ2023]「Evotinction」はスニークゲーム好きにこそ遊んだもらいたい。日本文化が大好きなゲームデザイナー李 昊洲氏のインタビューをお届け

 2023年7月28日から31日にかけて,中国・上海にて開催されている同国最大のゲームイベント「ChinaJoy 2023」。4Gamerでは,未来感戦術潜入シミュレーション「Evotinction」PC / PS5 / PS4)のハンズオンレポートをお届けしたが,本作を開発しているSpikewave Gamesのゲームデザイナー李 昊洲(Li Haozhou)氏に話を聞く機会を得た。
 ちょっとピンときにくいジャンルである本作が一体どういうゲームなのか? 気になるポイントを聞いてきたので,ぜひ読み進めてほしい。

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 Spikewave Gamesが開発し,Astrolabe Gamesがパブリッシングを行う「Evotinction」のハンズオンが「ChinaJoy 2023」で行われた。開発元が「未来感戦術潜入シミュレーション」(Futuristic Tactical Infiltrate Simulator)と呼ぶ本作はどういうゲームなのか,プレイの感触をさっそくお届けしよう。

[2023/07/29 15:40]

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「EVOTINCTION」公式サイト



4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。

李 昊洲氏:(以下,李氏)
 よろしくお願いします(日本語)。

李 昊洲氏
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4Gamer:
 日本語で返していただけるとは驚きました。ひょっとして日本語を話せますか?

李氏:
 ちょっとだけです。ただ少しだけなのでインタビューでは通訳を通しましょう(笑)。日本語は,小さいころから日本のアニメが好きで,アニメを見ているうちに自然に覚えました。「ワンピース」「NARUTO」「コードギアス」などを見てました。今でも日本のアニメは大好きですね。

4Gamer:
 ChinaJoyでも日本のアニメIPは人気ですよね。最近のアニメだと何を見てますか。

李氏:
 「呪術廻戦」などを見てますね。あとは「BLEACH」の新しいシーズンのものも見ていました。

4Gamer:
 そうなると日本のゲームも遊んでいたんですか。

李氏:
 もちろんです。フロムソフトウェアやカプコンのゲームがとくに大好きです。

4Gamer:
 なるほど。なんとなく好きなゲームのイメージがつかめました。では,あらためてよろしくお願いします。
 「Evotinction」のジャンルは,“未来感戦術潜入シミュレーション”(Futuristic Tactical Infiltrate Simulator)とのことで,あまり聞き慣れないジャンルですが,どういったゲームなのでしょうか。

李氏:
 潜入をメインにしたゲームです。そこにハッキングの要素を加えて,敵を回避しつつ,謎を解いていきます。敵はAIが操るロボットですが,ハッキングをする対象はロボットだけではなく,施設のコンピュータなども含まれます。近未来の世界で,銃などの武器を使えない状態で,ハッキングなどのテクノロジーを使って,潜入をするというゲームですね。

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4Gamer:
 ハッキングにはどんなものがあるんでしょう。

李氏:
 例えば敵の視界を塞いだり,ウイルスを感染させたりといったような敵に対する妨害,ロックされた扉の内側のコンピュータをハッキングしてロックを解除したり,監視カメラを乗っ取って,敵の動きを偵察したりなどもできますね。

4Gamer:
 AIの暴走や脅威がテーマになっていると思うのですが,そうしたテーマでゲームを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか。

李氏:
 映画「インターステラー」からインスピレーションを得ました。自然の災害といった脅威と直面したとき,人類がいかにそれを乗り越えるのか,といった部分です。EvotinctionはAIの暴走という科学的な災害になっていますが,それをどうやって乗り越えるのかを描きたかったのです。
 その当時,「AlphaGo」が話題になっていて,AIがもっと進化したときに,人類にどういった恩恵をもたらして,そしてどういった脅威をもたらすのかを考えました。

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4Gamer:
 AlphaGoが登場したあたりからAIが急激な進化をし,今は「GPT-4」などのLLMが登場して,李氏が考えていた未来が近づいているのかなと思います。現在のAIの発展をどのように捉えていますか。

李氏:
 これから先のことは分からないですが,AI自体は道具として使いやすくなり,いろいろなことが便利になりました。AIの脅威などはゲームの中でだけ考えていたいですね(笑)。

4Gamer:
 ゲームにはどんなAIが出てくるんでしょうか。

李氏:
 一番多いのはボール型のAIロボットですね。ほかにもゲームを進めていくと蛇のような形のAIロボットも出てきます。ほとんどは敵として出てきますが,1体だけ「OZ」という名前のプレイヤーをアシスタントするAIロボットが登場します。

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4Gamer:
 AIコアがウイルスに侵されて,その指揮下にあるAIロボットが暴走したというストーリーですが,OZは独立したAIを持っていたということでしょうか。

李氏:
 プレイヤーは博士なんですが,ほかのAIロボットが暴走する中で,OZは博士のアシスタントで,OZだけが暴走から免れたんです。

4Gamer:
 2019年に「Evotinction」は発表されましたが,コロナ禍を含むこれまでの開発期間で苦労などはありましたか。

李氏:
 2019年の発表当時は独立して作っていたんですが,その後,アドバイスやサポートを得て,ほとんど作り直すことになりました。開発規模も大きくなって,グラフィックスやシステムも洗練されていったんですが,その時にはいろいろと苦労もありましたね。でも,みんなの期待に応えたい一心で,困難を乗り越えてきました。

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4Gamer:
 開発メンバーは何人くらい在籍していますか。

李氏:
 最初のころは4人でしたが,今は10人以上になっています。

4Gamer:
 プレイヤーにはゲームのどういった部分を見てほしいでしょうか。

李氏:
 潜入の方法とハッキングスキルの組み合わせで,同じ場面でも違ったアプローチで攻略できるようになっています。自由な発想で楽しんでほしいですね。あとはストーリー部分にも注目してほしいです。

4Gamer:
 多くの人に遊んでもらいたいと考えているとは思いますが,とくに本作と相性のいいプレイヤーはどんな人だと考えていますか。

李氏:
 「メタルギアソリッド」や「ディスオナード」「スプリンターセル」といった潜入ゲームが好きな方にぜひ遊んでいただきたいですね。ハンズオンでは「難しい」という反応がとても多かったんですが,難しく作ってあるんです(笑)。ゲームを進めていくとどんどん面白くなってくるので,ゲームデザインの意図などを感じてもらえるとうれしいです。

4Gamer:
 最後に日本のゲーマーにメッセージをお願いします。

李氏:
 開発チームも日本のゲームや文化が大好きで影響を受けているので,今度は日本のゲーマーに我々のゲームを楽しんでもらいたいです。日本のプレイヤーの意見もしっかりと受け止めて,より良いゲームを作っていくので注目していてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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