プレイレポート
[プレイレポート]「Call of Duty: Modern Warfare II」にはモダナイズされた面白さがある。約10年ぶりに再会した“CoD”は新しくも懐かしい
全世界に根強いファンを持ち,ガンアクションの徹底的な作り込みや,俳優の山田孝之さん,貴島明日香さんらが出演するCMも話題になっている本作のプレイレポートをお届けしたい。
本題に入る前に,筆者の昔話にお付き合いいただきたい。筆者が初めてプレイしたFPSは2007年(日本国内では2008年)に発売された「Call of Duty 4: Modern Warfare」だった。その後も「Call of Duty: Modern Warfare 2」「Call of Duty: Black Ops」「Call of Duty: Modern Warfare 3」「Call of Duty: Black Ops II」をプレイをしている。
それまでロボットアクションに熱中していた筆者には,“初めてのFPS”として非常に思い出深いタイトルである。当時はコンシューマ機(PS3)でプレイしていた。
費やす時間は着実に伸びていき,最終的には自分の部屋に籠城し,食事をとることもなく,昼夜も問わず延々とプレイし続けた。その結果,怒りのキルストリークに達した母によって,電源ケーブルやらLANケーブルが引っこ抜かれ,ゲーム機を取り上げられたくらいには熱中していた。
そんな思い出深いCoDシリーズだが,最後に触れたのは「Call of Duty: Black Ops II」が最後であり,シリーズ作品をプレイするのは約10年ぶりだ。そのため「前作と比べてこう変わった!」という内容は書けないが,その分,久しぶりに遊んだCoDシリーズの楽しさを伝えていきたいと思う。
キャンペーンは相変わらずの面白さ
CoDと言えばプレイヤー同士の対戦はもちろん,個人的には世界観を存分に味わえるキャンペーンも外せない。
この手のゲームでリアリズムを追求すれば「撃たれれば死亡,運が良くても後方送り」なわけだし,ここまで映画的(ハリウッド的)な展開もあり得ないだろう。敵の車列を襲って,車から車に“飛び移って”奪い,延々と敵を追い続けたり,ツーマンセルで敵の基地に潜入して全滅させたりといった描写がある。当然,現実の特殊部隊がこんな過激なことをすることはないだろう。
だが,本作はフィクションと現実を絶妙に織り交ぜ,まるでその物語が本当に存在していたかのように,その体験をプレイヤーに味わわせてくれる。上空からの近接航空支援,水中からの浸透工作,街中での監視任務,ギリースーツを着ての狙撃。ナイトビジョンを使用しながら道なき道を進み,家屋に突入すれば予想外の場所から敵が飛び出してくるため,一瞬の判断の迷いが生死に直結する戦闘場面。包囲された状態で戦い続け,減っていく弾薬と反比例するように勢いを増す敵の攻撃。もうダメだと思った瞬間に現れる友軍――。
そこにあるのは“ヒロイズム”だ。「そんなアホな」「ああ,そうなりますか」とツッコみたくなることもあるが,それがCoDを感じさせる良いスパイスになる。シリーズのプレイヤーにはデジャヴを感じさせる,憎い展開や演出もある。
もちろん不満が一切なかったわけではないし,「そりゃないだろ」と“ツッコミ”を通り越して“呆れた”ところもある。個人の嗜好の問題だが,丸腰状態で即席ナイフを作ったり,行動が縛られるステルス要素だったりは「CoDに登場する特殊部隊」っぽくはないし,手に汗握る銃撃戦を期待していた筆者には萎えてしまう要素だったのも事実である。だが,それでも現代戦という扱いが難しいテーマを,最先端の映像技術によって描いた“リアルさを感じさせるフィクション”で,ここまで昇華させたのは素直に素晴らしい。もし「PvPモードしかプレイしてない」という人がいれば,ぜひキャンペーンもプレイしてほしい。
PvPはやたらモードが増えてないか!?
筆者にとって,“CoDのPvP”は「チームデスマッチ」や「フリーフォーオール」「キルコンファームド」「ドミネーション」といった比較的少人数での銃撃戦モードの印象が強い。銃を担いだ人間がとんでもない速度で走り回り,ひたすらグレネードを投げ合い,スナイパーライフルのクイックショットで次々と敵をキルしていく。ナイフやらトマホークやらの扱いがやたら上手いプレイヤーがいて,身内の中で崇められていたり,延々と角待ちショットガンをされたり……。印象というよりは思い出そのものだが,そんなカオス極まる戦場は本作でも存分に楽しめた。これがプレイ中に感じた“懐かしさ”の大きな要因だろう。
最初は訳も分からずひたすらキルをされるばかりだが,次第に「この角には敵がショットガンを構えて待っている」「ここにはクレイモアが仕掛けてあるだろう」「この射線はスナイパーでロックされているかもしれない」というような,経験に基づく“シックスセンス”が戻ってくるのである。本作から初めてCoDに触れるというプレイヤーにはこの“成長”を存分に味わってほしいし,しばらくプレイしていない筆者のようなプレイヤーも大いに楽しめるものだ。
現状では全体的にADS速度が遅めなことや,障害物で銃を保持して反動を大幅に軽減できる「固定」システムがあることから,“待ち”の戦闘スタイルであったり,いわゆる“芋砂”が強かったりするのは気になる部分だが,完全にゲーム性を覆しているかというと,そこまでではない。
そして「グラウンドウォー」「インベージョン」という大規模戦闘モードの存在は驚きだった。筆者が思っていた「グラウンドウォー」は基本的に歩兵戦で,最大9人のチーム同士がドンパチをする(マップのサイズは変わらないので,よりカオスになるお祭り的なモード)という認識だったからだ。それが本作では,戦車やバギーが追加となり,マップサイズも大きくなり,1チーム32人,最大64人対戦になるという進化を遂げていた(2019年に発売された前作のCoD:MWから実装されている)。明らかに「バトルフィールド」シリーズを意識した作りになっているものの,何が起こるかわからない混沌さで,“ウォー”という言葉通りの戦闘が楽しめた。
「インベージョン」はプレイヤーだけでなく,AIのキャラクター(BOT)もフィールドにスポーンするモードで,同じく大規模な戦闘が起こる。前述の「グラウンドウォー」と比べると兵器の存在感はやや薄く,歩兵vs歩兵の戦闘を中心とした,ガンアクションが楽しめる。BOTの登場がゲーム性に大きな影響を与えており,「相手が強すぎてやられっ放し」というプレイヤーでも気楽にプレイできる。
ただ,双方のモードに共通する点として,スナイパーライフル(と一部のマークスマンライフル)が猛威を振るう問題がある。大人数でのプレイを前提に設計されているマップは非常に広大だが,遠距離でも胴体(胸)一撃キルのスナイパーライフルがあるので,建物の屋上を陣取り,長大な射線を確保するプレイヤーはキルを量産する。アサルトライフルやサブマシンガンのレンジでは到底立ち向かえる存在ではなく,辿り着こうにも幾多の射線を掻い潜らねばならないので,非常にストレスがたまるのだ。そしてキルを量産するということはUAVはもちろんのこと,強力なキルストリークを次々と繰り出せるわけで厄介この上ない。
それに対抗するためにはスナイパーを選ばざるを得ず,しまいには辺り一面がスナイパースコープの反射光でチカチカしていたりする。この点は何かしらの方法で改善してほしい。もちろんスナイパーライフルも使用していて楽しいが,様々な武器を使えるのがシリーズの魅力でもあるのだから。
筆者は武器やアタッチメントを開放すべく,もっぱら「インベージョン」をプレイしている。気分転換に時折「フリーフォーオール」や「チームデスマッチ」をプレイしているため,まだプレイできていないモードも多いのだが,頃合いを見て楽しんでいきたい。
延々と遊べるガンスミスと緻密なガンアクション
マルチプレイで持ち込む武器は「ガンスミス」と呼ばれる要素でカスタマイズできる。これがかなり凝っていて,非常に面白い。本作に登場する銃器は基本的に架空の名称となっているのだが,モデルとなった銃器はミリタリーフリークには「アレね」と分かるものだ。それらの銃器にサプレッサーをつけたり,サイトをつけたりするだけでなく,バレル(ハンドガード)を変えたり,銃によってはレシーバーまで変えたりできる。これが本当に楽しく,性能重視でカスタムしてみたり,外見重視でカスタムしてみたりするうちに時間を消費してしまう。
カスタマイズ可能な部分が多く,初心者に分かりづらい要素になっている気がするが,昨今は様々な形態で参考にできる情報が発信されているし,そこまで問題ではないだろう。プレイ中のガンアクションも秀逸で,開発陣のこだわりが見受けられる。
だが,アタッチメントのアンロック方法には疑問が残る。「このアタッチメントを使う場合は○○(特定の銃器)のレベルを上げろ」というシステムなので,好きな武器を延々と使うことができない。しかも「○○を使うためには,まず△△のレベルを上げろ」という場合が多いため,開放までにとてつもない時間がかかることも。好きな銃を使えず,開放するまでに飽きられてしまうことも十分に考えられる。実際,筆者も好みの「M4」を作り上げるべく,とくに好きでもない,とあるバトルライフル(しかもお世辞にも強くない)を使い続けているが,流石に心が折れそうだ。
そして,そんな銃器のカスタムも,全体で5箇所までという制限があるのが惜しい。全箇所装着できるようになると,アンロックのスピード差による有利不利を生むなど,諸々の懸念があるのは分かる。だが,折角ここまで凝った作りをしているのであれば,全装着可能なパークなどがあっても良かったのではないだろうか。個人的な要望としては,これだけリアリティに寄せているのならば,クローズドボルトの銃器は「30+1」のように薬室の1発を反映してほしかったところ。
そのほか,描画がおかしくなったり,ゲーム内の設定が保存されなかったりするなどのバグ,決まったポイントでほぼ確実に起こるフリーズといった問題にも何度となく遭遇している。これらは早急なアップデートが行われており,どんどん改善されているものの,少なくともローンチとほぼ同時にプレイしている人には好印象ではないだろう。
ただ,バグやフリーズがそこまで気にならないくらい,「進化を味わう時間の楽しさ」が上回ったというのも,また事実だ。筆者にとって約10年という年月は,CoD以外のFPSや,そもそもFPSではない作品など,さまざまなゲームタイトルをプレイする時間となった。熱中したタイトルも数多い。それでも「初めてプレイしたFPS」であるCoDは特別な存在であり,約10年ぶりに再会したのは「着実に進化したCoD」だった。決して“CoDらしさ”を失わず,さまざまな試行錯誤の末に辿り着いたであろう,モダナイズを果たした姿がそこにはあった。どこかカジュアルで,遊びやすく,なのに奥深い。
ベテランはもちろん,初めてCoDに触れるルーキーや,カムバックを果たす復帰勢にまで,幅広いプレイヤー層を迎え入れる「CoD:MW2」は素晴らしい作品だと思う。毎晩のように,お互いに顔も知らぬフレンドと夜通し遊び続けたあの頃,あの熱狂をもう一度味わえるなんて,筆者はトコトン“ツいて”いる。彼らともう一度,戦場で相まみえることができるのだから。
「ありがとう戦友。もう一回,あの頃みたいにCoDやろうぜ」
「Call of Duty: Modern Warfare II」公式サイト
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- ライター:夏上シキ
(C)2022 Activision Publishing, Inc. ACTIVISION、CALL OF DUTYおよびMODERN WARFAREはActivision Publishing, Inc.の商標です。その他の商標や製品名はその所有者に帰属します。
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