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印刷2022/11/18 18:03

プレイレポート

[G-STAR 2022]海の生物を捕まえて寿司レストランを経営! 海洋ADV「DAVE THE DIVER」のプレイレポート&インタビュー

 韓国・釜山で開催中のG-STAR 2022に,ネクソン ミントロケットのPC(Steamで2022年10月27日からアーリーアクセス)/ コンソール向けゲーム「DAVE THE DIVER(デイヴ・ザ・ダイバー)」PC/ Switch /iOS / Android)が出展されていた。

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 本作のゲームジャンルはハイブリッド海洋アドベンチャーで,なんでも“海洋探査×寿司レストラン経営”が体験できるという。

 ちなみにネクソン ミントロケット(MINT ROCKET)とは,Nexon Koreaが設立した新たなゲームサブブランドの一つであり,そのミッションは「気まぐれで風変わりなゲーム性の探究」にあるとのこと。

 実際,海×寿司という組み合わせだけでもクるものがあったため,今回は実機プレイと合同インタビューをとおして内容を探っていく。



海に潜って寿司を生め!


 会場に出展されたNintendo Switch版では,チュートリアル相当のコンテンツを30分ほど試遊することができた。

 Switch向けに最適化されたUI,振動機能の追加もウリらしいが,申し訳ないことにPC版は未プレイなので比較はしないでおく。
 ただ,Switchがブルブルするのは気持ちよかった。

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 ゲームの舞台は,広大な大海原。そこには生態や地形が日々変化する巨大な陥没坑“ブルーホール”が存在し,主人公のダイバー「デイヴ」,元武器商人「コブラ」,寿司の板前「番長」は,大金を稼いでウハウハするために寿司レストランを開業しようと決意する。

 雰囲気はおっさん3人のギャグ調だが,そのうち古代魚人族と地球の謎に迫る,神秘的なストーリーが繰り広げられるのだとか?

 なお,グラフィックスはキャラクター類が2Dドット絵,背景が3Dといった設計で,レトロな雰囲気を感じさせつつも品質は今どきといった印象。アプローチとしては,スクウェア・エニックスの「OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー)」的なものを想起させられた。

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 実際のゲーム体験は“ローグライク+経営シム”といった印象だ。

 ゲームサイクルは,昼間はブルーホールを探査し,壮大な海の風景を楽しみつつ,人類が生み出した野蛮なナイフや水中銃など,遠近さまざまな武器を使い,ドット絵で描かれた100種類以上もの「海洋生物」たちと戦って,倒すことで捕獲するというもの。
 捕獲した生物たちには,食材として第二の生を歩んでもらおう。

 そして夜間は,捕獲した食材で寿司レストランを経営し,資金をかき集めていく。より美味しかったり珍しかったりする食材を使えば,お店はさらに繁盛し,その成果で海洋探査の新たな装備を調えたりして,海のさらに深いところまで探索できるようになっていく。

 ローグライクな体験と成長要素のリプレイ性は,パッと遊んだだけでもうまくかみ合っていることが伝わってきた。

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 ブルーホールはプレイするたびに地形が変化し,深度に応じて出現する海洋生物の種類も変化していく。海中にはお宝アイテムも存在するため,それらの収集も攻略の助けになるようだった。

 ただし,なめて潜って予想外の強い生物にやられると,手持ちの食材やお宝はすべて失ってしまう。日本のゲーマーに合わせるなら「トルネコやシレンやチョコボの感覚で挑もう」といったところ。

 出会った海洋生物は図鑑にコレクションされていくが,彼らは現実の生態系に(なるべく)即した形状や習性を備えるとのことなので,魚好きにもおすすめできる1作かもしれない。

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 なお,現地会場ではNexon Korea 副社長のキム・デフォン氏と,本作ディレクターのファン・ジェホ氏への合同インタビューも行われ,ゲームの詳細や制作のコンセプトなどが語られていった。

 以下,本稿ではそちらの様子を伝えていく。

左からキム・デフォン氏ファン・ジェホ氏
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合同インタビューの模様


――ネクソン ミントロケットはどのようなチームなのでしょうか。

キム・デフォン氏(以下,キム氏):
 ネクソン ミントロケットは小規模なチームです。その理由は,クリエイターの鋭いアイデアや独創性をより発揮するためで,こうした考えを組織の末端にまで浸透させるには,間接的に連絡をとおす必要がない,20人から30人程度の人数がちょうどいいと考えています。
 そのぶん,やらなきゃならない仕事がたくさんあるので,困難も感じています。チームメンバーはさまざまな経験をしているため,能力的な問題はないものの,人材管理のリスクなど,マネージメント面ではもっとサポートできるのではないかと思い,現在はネクソンの中央組織からサポートしてもらえるかを検討しています。
 私は,なにかを成功させるには戦略が必要で,それがないなら実行力,それもないなら地道にやっていく姿勢が大事だと考えています。今回の我々の小さな成功に戦略はありませんでしたが,実行して,地道に取り組んできたことが実を結びました。

――このチームはどのような意図で設立されたのでしょう。

キム氏:
 私はまず,ファンのように優秀な人材を発掘することからはじめました。また組織管理として,開発チームへのフィードバックで「生半可な人たちに,生半可な意見を求めないこと」にしました。
 例えば,大きな会社の経営陣はゲームのことを深く知りえません。そのためレビューを求めても,簡単なゲームに「簡単だ」と言われるだけで,その一言で社内での印象がガラッと変わることすらあります。
 そうならないために,いいゲームを守るために,いい人を集め,権限と時間を与えて,守ってあげる。いろんなゲームの企画が頓挫してきたのをこの目で見てきたので,そうならないよう日の目を見させてあげたいと,会社としてサポートしたいと考えたのが,このチームです。

――人材発掘において考えていることはありますか。

キム氏:
 ゲーム業界でいつもチャレンジを楽しんできた人,意欲のある専門学校の卒業生などに,これからネクソンあるいはミントロケットに興味を持ってもらい,彼らを招けるよう検討していきたいです。
 一方でネクソン自体,AAAタイトルを目指すために生まれたのではなく,特別なものを作るために手を取り合った人たちが集まったという背景がありますので,社内には今も隠れた人材がたくさんいます。それらを発掘し,役割分担を明確にして,独創性を発揮してもらいたいです。

――Steamでのアーリーアクセスは海外も含めて肯定的な高評価が多数ですが,人気の高さは実感していますか。

ファン・ジェホ氏(以下,ファン氏):
 リリース後の評価は知っていましたが,人気の高さは実感していませんでした。単純に,不具合を直すのに忙しかったんです。
 ただ友人にゲームをことを聞かれて,予想以上に知られているのかもとは感じています。それとネクソンブースでプレイヤーの方々に,振動機能がとくにいいと言ってもらえてうれしかったです。

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――Steam版と比較して,Switch版の主な追加機能はなんでしょう。

キム氏:
 前述したとおり,まだ大きなチームではないので,Switchの独自部分についてはまだ追求し切れていませんが,正式リリースに向けてSwitchならではの機能を付加させたいと考えています。

――Switch版は文字がちいさくて読めないなど,UIの最適化に難を感じましたが,その点は実感されていますか。

ファン氏:
 正直,ミントロケットはSwitchに関するノウハウが薄かったため,今現状も紆余曲折している最中です。Switch版は一つの学習体験で回せるUXデザインとなっていないため,最終バージョンではより良くできるよう,今後も努力していきます。
 また,本作はもっとさまざまなプラットフォームで提供したいと考えているので,その準備も進めています。Switch版もSteam版も演出の一部シーンなどに違いがありますが,基本的にはどちらも同じで,それぞれの機種の良さを押し出せるようにと調整を続けています。
 ちなみにSteam版は現在アーリーアクセス中ですが,ゲーム全体のボリュームは正式版と比べて57%程度といったところです。

キム氏:
 Switch版は苦戦していますが,ほかのプラットフォームの知見はたまっているため,現状は小さなチームの技術的問題と思ってください。

――現場では開発のストップ&ゴーをどう調整しているのでしょう。

ファン氏:
 やりたいことはもっともっとあって,海から想起されるものをさらに具現化したかったのですが,今回はカットしました。
 そこは制作コストの課題でもありますが,魚の種類を増やすなどし,リソースを集中投資すべきところをしっかりと話し合っています。

キム氏:
 大切にしているのは,さまざまな方々を対象にしたテストです。開発チームが「これでいい」と言える,テスターが客観的に「これがいい」と思える環境を用意することで,ゲームはさらに磨かれていきます。
 本作は何度も改修を重ねてきて,最終的に「この点数ならいけるのではないか」と思えるほどの高得点を獲得してから出しました。

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――処女作はすばらしいスタートを切ったと思いますが,今後のミントロケットにはどのような期待を持てばいいのでしょう。

キム氏:
 目標のガイドラインはありませんし,「こういうゲームジャンルです」「こういう面白さです」なとと断言することも難しいです。ただ,ジャンルに縛られず,人を驚かせられる新しいゲームを目指します。
 もしパッケージゲームを作るとしたら,カラーのある作品を作りたいですね。そのうえで大きな資金を投じたゲームとは違う,自分たちなりのゲームを作りたいです。しかし,我々は自分たちが作りたいだけのゲームの前に,今の市場で喜ばれ,勝てるゲームを作りたいと考えていて,そこにチームのノウハウをぶつけていくつもりです。

――今後もインディゲーム路線で進むのでしょうか。

キム氏:
 現状,我々はインディーゲーム路線に見えるかもしれませんが,必ずしもそうではありません。見方としても,私はインディゲームを作っている方々は本当にすばらしいと思っていますし,芸術という大きな枠組みのなかで果敢なチャレンジをしていると感じますが,多くのインディクリエイターは「時間の圧迫」を感じているはずです。新しいものを作り上げるには,それ相応の時間がかかるものだからです。
 ですが,ミントロケットはクリエイターに時間を与えます。人が多いと逆に邪魔になることも正して,ディレクターがゲームの楽しみだけを考えられるようにしてあげる。そういう制作環境をネクソンとして与えてあげたいのです。ポケットのなかに鋭いものがあれば,そのうち突き破って出てきてしまいますが,鋭い部分を保護しながら,飛び出さないよう,けれど尖りを感じてもらうためにカバーする。それが私の役割です。

――マルチプレイゲームへの着手は考えていますか。

ファン氏:
 現時点ではなにも言えませんが,世界的な需要は理解していますし,今後余力があれば用意したいとは考えています。

――制作費の回収など,資金面の展望はありますか。

ファン氏:
 かけた費用以上に稼ぎたい願望はあります。「DAVE THE DIVER」を作ったことで,応援してくれる人も出てきてくださったので,応援してくれた方々に恩返しできるよう,プレイヤーの皆さんと一緒にゲームを作り上げていきたいという思いがあります。

キム氏:
 ゲームのセールスにはキャラクターやナラティブが必要です。そのへん「DAVE THE DIVER」にはそれがそろっており,韓国では週間セールスもしばらく1位を保つなど,もしかしたら開発資金をすでに回収できているかもしれません。ただIP化するにはどうするべきか,そこは悩んでいます。本作はネクソンとしても貴重なIPになると思っているので,今後のIP化に関しては積極的に考えていきたいです。

――最後にお二人のメッセージをお願いします。

ファン氏:
 先ほどキムが言ったように,このゲームはさまざまな人を対象にテストを行い,ありのままのフィードバックを受け止め,まるでスパーリングをやり続けるかのようにずっとテストし続けてきたことで,いつの日か評価も上がってきて,ついに日の目を見ることができました。
 厳しいテストを経てから世の中に配信すると,肯定的に受け止めてくれる人がグッと増えるということを実感できた一例ですので,これからのゲーム作りにおける一つの軸にしたいと考えています。
 そして遊んでくださった方々に,心からの感謝を申し上げます。

キム氏:
 ネクソンがたくさんのIPを抱え,運用している事実は,皆さんもご存じのことと思います。ですが,私はゲームの開発会社として,さらにもっと多くの発明に挑戦してみたいです。そのためにと数年前に作ったミントロケットは,やりたいことを実現してくれるようになりました。現場の人たちもそうですが,チームを支えてくれたネクソンのすべての方々に感謝しています。今後も絶え間ない努力と挑戦を続け,ミントロケットが韓国を代表にするゲーム会社のいちチームになれるよう,ネクソンのゲームを楽しみだと思ってもらえるよう,さらにまい進していきます。
 情熱あふれる開発陣とともに,引き続きよろしくお願いします。

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