プレイレポート
[プレイレポ]戦略SLG「銀河英雄伝説 Die Neue Saga」のCBTを体験。仲間達と艦隊を組み,銀河の戦場で“あの”英雄たちと渡り合おう
「銀河英雄伝説 Die Neue Saga」公式サイト
リリースに先駆け,2024年3月14日から24日までクローズドβテストが実施され,作品の目玉である大規模なプレイヤー同士の戦い(GvG)となる「会戦」も体験できた。広大な宇宙空間で,英雄達がしのぎを削る艦隊戦を指揮できる本作の様子を,早速お届けしよう。
なお筆者は,最初の陣営選択で自由惑星同盟を選んだため,スクリーンショットなどはそれに準じたものになっている。
艦隊を指揮し,演習や賊軍の平定を繰り返そう
所有する拠点では施設や資源を充実させる必要も
本作でプレイヤーはまず,専制政治の銀河帝国か,民主主義を標榜する自由惑星同盟のどちらに所属するかを決めることになる。立場は提督であるが特定のキャラクターではなく,自由に開発できる拠点が与えられ,資源などを管理しつつ複数の部隊(最大5人の指揮官を設定した船団)を直接指揮できる。宇宙艦自体も自分で生産して自分で管理するので,軍人というよりはある種の管理運営者や,戦国時代を舞台にしたゲームなら各地の大名のような立場に近い印象だ。
とはいえ原作でも銀河帝国側は,軍事力も(貴族の)私設艦隊的な描かれ方をしていたので,むしろこちらのほうがマッチしているのかもしれない。
ゲームの目的は対立勢力,つまり銀河帝国なら自由惑星同盟,逆に惑星同盟側なら帝国を打ち倒すこと。原作でもイゼルローン要塞を巡る幾度の戦いなど,数多くの会戦が描かれてきたが,これがゲーム内でも再現されているのだ。
本作のプレイ画面は大きく「内政」マップと「星域」マップに分かれている。
前者の内政マップは文字どおりプレイヤーの内政力を高めるもので,与えられた拠点の施設を発展させることで,より強力な艦隊を作り出せるようになる。「食料」「燃料」「鉱物」という三つの資源をそれぞれ一定時間ごとに生み出す製造プラント,それを保管する物資貯蔵庫,艦隊を構成する宇宙艦を製造する兵器廠,さらに同盟側では士気の回復を高める効果があるハイネセン像などさまざまな施設が用意されており,まさに心臓部と呼べるものになっている。
各施設は手持ちの資源を投入することでアップグレードが可能で,資源や宇宙艦の生産速度が向上したり,資源の保有上限がアップしたりするが,とくに重要なのが「司令部」と「技術開発所」だ。
前者の司令部は各施設のレベル上限のキャップとなるもので,まずはこちらを強化しないとほかの施設はアップグレードできない。一方の技術開発研究所は,さまざまな要素のアンロックを担っており,既存の宇宙艦を強化したり,新たな船種を利用可能にしたり,同時に指揮可能な部隊数を増やすことができたりと,こちらも重要度が非常に高い。
基本的にこの二つを主軸にしつつ,各施設をアップグレードしていくことになるだろう。ただ技術開発も資源を必要とするので,技術,施設,宇宙艦の建造のどれにリソースを配分するかは,なかなかの悩みどころだ。
もう一つのメイン画面となる星域マップは,基地の外である宇宙空間だ。周囲には自分と同じ陣営のプレイヤー拠点が多数浮かんでおり,おのおのが独自に活動している。また,動いている部隊(宇宙艦の集団)もよく見かけるが,これも味方の誰かが目的を持って動かしているもの。フィールド自体は広大で,地形的には何もないところがほとんどだが,これによって意外と活気が感じられるのがうれしい。
さて,この星域マップで行うことは,基本的には戦闘だ。といっても味方陣営が管理しているエリアなので,敵陣営のプレイヤーがうろついているワケではない。固定していて動かないNPCの演習部隊がいくつも存在していて,これに戦闘を仕掛けて勝利することで,指揮官用のレベルアップアイテムなどが入手できる。
本作の部隊は「ガチャで入手した指揮官(キャラクター)に宇宙艦を配備する」という形で構成されるが,配備できる艦船の数は主に指揮官のレベルに比例して増加するため,基本的には「高いレベルのキャラに多数の艦船を指揮させるほど,部隊が強くなる」という仕組みになっている。
そのため,前述の内政も重要だが,同時に指揮官のレベルを上げない限り,部隊はいつまでも弱いままということになる。可能な限り周囲の演習部隊を倒し続けて,アイテムを集めるのが強化の基本となるだろう。
また自分の拠点は,原作における改造後のガイエスブルク要塞のように,一定時間ごとに自由にワープ移動が可能(ただし巡航による直接移動はできない)。演習部隊が固まったところに移動させると,より効率良く戦える。演習部隊は,放っておけば勝手に至る所に沸いてくるが,アイテムなどを消費することで自由に呼び出すことも可能だ。
星域マップにはもう一つ戦える対象があるが,それはプレイヤーの拠点と同じように宇宙空間に浮かんでいる賊軍拠点。これは帝国にも同盟にも属さない独自の勢力であり,積極的に向こうから攻撃してくることはないが,討伐対象になっている。
演習部隊との違いは,原作の宇宙要塞のように「防衛部隊+防御拠点」という構成になっていること。まずは通常部隊で敵の艦隊を倒し,続けて強襲揚陸艦で繰り返し攻撃することで制圧が完了する。全体的にはかなり“堅く”,演習部隊と同じようにレベル表記もあるが,同じ感覚で戦いを始めるとまずこちらが負けてしまう。
ただ,制圧が成功すれば,演習では入手できない各種の強化用アイテムが手に入るうえ,賊軍要塞という同じ仕様ながら極端に強い一種のレイドボスのような存在もいる。拠点も要塞も味方部隊と協力して攻略できるので,折を見て積極的に挑戦してみるといいだろう。
ただし演習にせよ賊軍との戦いにせよ,消耗した味方の艦船は普通に手元から減っていくので,戦う相手は選びたい。ただ負けるだけならまだしも,全滅するとかなり懐が痛い。
全体の流れとしては,資源の蓄積を待ちつつ拠点の施設と技術力を強化していき,その間に星域マップで演習部隊に挑戦。勝利後の入手アイテムで指揮官を強化し,さらに報酬が大きい上位の演習部隊や賊軍拠点を倒しつつ,より拠点の施設を強化していく……という形になりそうだ。
なお,演習部隊や賊軍拠点は,倒したときに個人の報酬が得られる。コツコツ動いた証が集計されて結果として成果に結びつくのは,なかなか楽しい。
ギルドの「艦隊」に参加し,白熱の会戦に挑戦しよう
敵味方が入り乱れ,要塞砲が炸裂する戦場は雰囲気抜群
本作のキモと言える要素が,多数の宇宙艦が特定のエリアに集まり,戦いを繰り広げる「会戦」だ。だがそれを説明する前に,簡単に本作の戦闘システムを紹介しておこう。
前述のとおり,本作はガチャで引いた指揮官(キャラクター)を部隊に設定し,それに艦艇を割り当てることで戦闘用のチームを編成する。指揮官は最大5人まで設定可能で,それぞれ複数の属性を持っており,さらに特徴が異なる複数種の艦艇や強化用のアイテム,パッシブやアクティブのスキルなど関係する要素が非常に多いため,全体としては部隊編成の仕組みを完全に理解するのは少し難しくなっている。
ごく簡単にまとめると,勇将,智将,猛将の三つの相性に分かれた三すくみ要素,空戦と砲撃に分かれた攻撃方法,アタッカーやヒーラーなどの四つに分かれた役割,そして前衛,中衛,後衛に分けられた陣形要素などがある。指揮官の特徴はかなり多く,覚えるだけでもけっこう苦労する印象だ。
ただし実際の戦闘結果においては,ユニットのレベルとレアリティがモノを言う場面が多いと感じたので,とりあえずは「高レアリティのユニットを優先して強化し,部隊としてまとめる」ぐらいでもいいかもしれない。とくにクローズドβテストでは,入手できるユニットも育成の時間も限られていたので,この傾向が強かった印象を受けた。
ユニットそのものは,原作で登場したキャラクターがそのまま登場しており,彼らを直接指揮できるのは銀英伝ファンにとっては非常にうれしい。主役であるヤンとラインハルトはもちろん,クローズドβテストでもキルヒアイスやアッテンボローなどの盟友,そして脇を固めるメルカッツやオーベルシュタインなど,複数の指揮官を組み合わせて部隊を編成できた。
指揮官自体は自分が属する陣営には関係なく入手できるので,(ゲットさえできれば)ヤンとラインハルトが同居し,アンネローゼが後方から支援するという原作では絶対にあり得なかった部隊を作成し,活躍させることも可能だ。まだまだ見当たらない主要キャラも多かったが,正式サービスに向けてさらに充実していくことだろう。
さて,部隊の編成が終われば,戦闘に挑むこととなる。戦闘の仕組み自体は通常の星域マップでも会戦でも同じで,HEX(六角形)状に分かれたマップで部隊に移動命令を出し,移動先に敵(敵部隊や拠点)がいればバトル開始。全自動で戦いが進み,部隊同士の戦力や相性から結果が導き出される。
勝利すれば敵は消滅し,負けるか勝負が付かなければ,こちらの部隊が全滅して消滅したり,そうでなくても一マス手前に後退したりする。移動も戦闘もすべてリアルタイムで進むが,仕組み自体は非常にシンプルだ。
星域マップでの戦闘はそれぞれが独立しており,いつ開始していつやめるかも自由なので,自分のタイミングで戦おう。
一方の会戦は,本作におけるギルドである「艦隊」に加入することで参加可能な,開催スケジュールが決められた大規模バトルだ。戦闘自体は通常のものとほぼ同じだが,敵は対立陣営の複数のプレイヤーで,かつ時間制限内(今回のテストでは30分)に多数の部隊が投入されるため,敵味方が入り乱れたスピーディーな戦いが繰り広げられる。
勝負自体は拠点の確保,敵対NPCの撃破などでポイントを稼ぎ,最終的に得点が高いほうが勝利となるルール。会戦には,数日おきに開催される1艦隊同士の比較的小規模な「遭遇戦」と,より準備期間が長くさらに大規模な戦いになる「決戦」の2種類が用意されていて,クローズドβテストでも両方に参加することできた。
戦いの主戦場となるのはマップにより異なるが,主に中央あたりに用意された惑星や大規模な要塞で,大概は両軍が主力をぶつけ合うことになる。激しい消耗戦になるが,そこにさらなる不確定要素として影響を与えるのが要塞砲だ。銀英伝ファンならイゼルローン要塞のトゥールハンマー,と言えば説明は不要だろう。
発射範囲と角度は制限されており,使用にもアイテムが必要だが,その威力は「射程範囲のあらゆる艦船や部隊を消滅させる」という反則級のもの。うまく決まれば大きな戦果が見込めるが,原作と同じく普通に味方部隊も巻き込むので,多用するのは難しい。筆者は直接使用する機会はなかったが,劣勢を覆すために大量の味方がまだいるのに発射する……という,クライスト大将顔負けの原作準拠な使い方も見かけたのが印象的だった。
また,要塞砲という大がかりなもの以外に,特定のマスに敵にダメージを与えられる機雷を設置するなど,より使い勝手が良いギミックも用意されていた。クローズドβテストかつアクセスが集中したせいか,残念ながら会戦自体はエラーメッセージが多発したり,強制的にログアウトされたりと不安定な場面も散見されたが,アップデートを重ねるほど安定していったので,正式サービスに向けて完成度が高まっていくはずだ。
筆者自身は銀英伝というと石黒 昇監督版のアニメがなじみ深い世代なのだが,もちろん元となった原作小説そのものは同じなので,十分楽しむことができた。キャラゲーとして見ても入手したキャラを自由に副官に設定できたり,キズナというアイテムを消費することでセリフをアンロックしたり,一部のキャラは特定の回想シーンが見られたりと,ファンの心をくすぐる部分も備えている。
ゲーム的な部分では,割り当てる艦船の種類が平均的な能力を持つ標準戦艦,占領機能を持つがとにかく低性能な強襲揚陸艦,性能は若干低いが高速で移動できる駆逐艦,砲撃能力に特化した砲艦など複数用意されていて,うまく運用すればいろいろと工夫できそうなところが気に入った。クローズドβテストの期間ではアンロックしきれなかったが,「強襲揚陸艦を囮にして,後方から高速な駆逐艦で急襲する」なんて原作的な部隊運用もできそうで,期待がふくらむ。
前述のようにユニットの特性など複雑な部分もあるのだが,ゲーム内ヘルプも用意されているし,ほぼ常に右下に表示されている「迷ったらタップ!」というボタンを押すと,かなりていねいなリワード付きのチュートリアルを進めることができるのは好印象だった。
今回のテストでは高負荷時の不具合や,キャラレベルの与える影響がかなり大きくバランスが大味だったりと気になる部分もあったが,「銀河英雄伝説を原作にしたゲーム」としてはなかなかにツボを押さえている印象だ。銀英伝ファンは正式サービスを楽しみに待とう。
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(C)田中芳樹/銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会 (C)Aiming Inc.
(C)田中芳樹/銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会 (C)Aiming Inc.
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