プレイレポート
PS5版「ソウルハッカーズ2」先行プレイレポート。シリーズの遺伝子を受け継いだ“新生ソウルハッカーズ”は,どんな作品に仕上がっているのか
1997年11月に「デビルサマナー」シリーズの2作目として発売された,セガサターン用ソフト「デビルサマナー ソウルハッカーズ」※2から25年。その遺伝子を受け継ぎながら,新たな世界観や設定で制作されたという“新生ソウルハッカーズ”は,果たしてどのような作品に仕上がっているのか。発売に先行してプレイすることができたので,そのレポートをお届けしよう。
今回試遊したのはPlayStation 5版で,バージョンは製品版に近いもの。本日(6月4日)と5日に実施される「世界最速プレミアム体験会」と同じように,ゲーム冒頭から3時間半ほど,製品版と同様の流れでゲームをプレイできた。グラフィックス設定は映像のクオリティを優先したモードを選択しており,本稿ではそれを撮影したものを掲載している。
※1 Steam版は8月26日発売予定
※2 1999年4月にPlayStation向け移植版が,2012年8月にはニンテンドー3DS向けリメイク版が発売されている
「ソウルハッカーズ2」公式サイト
オリジナリティの高い世界観と物語,大きく変わったデザインが特徴の“新生ソウルハッカーズ”
ゲームの舞台は,悪魔の力を使うデビルサマナーたちが暗躍する,21世紀半ばの近未来。この世界には高度に発達したテクノロジーから生まれ,人知れず世界を見守っているAion(アイオン)と呼ばれる存在があった。
あるとき,世界に滅びの予兆があることを感じ取ったAionは,そのトリガーとなる“2人の人間の死”を阻止するべく,リンゴとフィグと名付けられた2人のエージェントを現実世界へと派遣する。
死の運命にある人間の1人,アロウのもとへと向かったリンゴだったが,アロウはすでに何者かによって殺害されたあとだった。魂への干渉――ソウルハックを実行し,アロウを蘇生したリンゴは,ソウルハックによって奇妙なつながりが生まれたアロウと行動を共にし,自らの使命を遂行していくことになる。
ベースに「デビルサマナー」シリーズや初代「ソウルハッカーズ」があるものの,全体的にオリジナリティの高い設定となっており,それだけにゲーム開始直後から情報量はかなりのものだ。チュートリアルを兼ねたフィールド移動やバトルといった,プレイヤー自身がキャラクターを動かす場面はあるが,世界観の説明や“いま何が起きているのか”を伝えるイベントや会話シーンが多い印象だ。もう少し自分で操作したいところだったが,しっかり作り込まれた世界観の片鱗もうかがい知れる。
ダンジョンを徘徊する敵はシンボルで表示されており,それに接触するとバトルが発生する。リンゴの刀で斬りつけてダウンさせた状態で接触すると,確率で敵に全体攻撃を与える「ボーナスアタック」が発生する。ダウンさせて距離を取り,バトルを回避するのもアリだ。
斬りつけずに接触したり,不意打ちを食らったりすると相手に先制を許す不利な状況でバトルが始まる場合もあるので,周囲の敵の動きには注意が必要となる。
多くの敵が徘徊するダンジョンを攻略するうえで欠かせないのが「仲魔」だ。リンゴとその仲間のデビルサマナーたちは,味方にした悪魔をCOMPに宿すことでパラメータが変化し,その仲魔の持つスキルを使用できるようになる。
パーティメンバーだけではなく,仲魔も経験を積むことでレベルがアップし,新たなスキルを習得していく。仲魔にはそれぞれ耐性や弱点があり,どの仲魔を宿すかでバトルの有利/不利が変化する。このあたりは,アトラスのRPGとしてはおなじみのものだろう。
一方,悪魔たちを仲魔にする「悪魔会話」は,これまでの「真・女神転生」シリーズやその派生作品とは異なる仕組みになっている。バトル中のコマンド選択ではなく,ダンジョンで発生する「悪魔探索」で悪魔との交渉を行うのだ。
悪魔探索とはその名のとおり,仲魔たちがダンジョンを探索を行ってくれるというもの。探索に出た仲魔たちはダンジョンの至る所でプレイヤーを待っており,話しかけると探索で見つけたアイテムをくれたり,HPやMPを回復してくれたりする。時折,そのダンジョンで新たな仲魔になってくれそうな悪魔を紹介されることがあり,そこから悪魔会話が発生するのだ。
気まぐれな悪魔と会話し,交渉が成功すれば晴れて仲魔に……というところは変わらないが,何度も選択肢が出ることがなくスムーズに交渉が進むため,仲魔になる成功率は高かった。設定的な部分から解釈するならば,対象の悪魔を見つけた仲魔が,リンゴと合流する前にある程度話を付けてくれている……といったところだろうか。シリーズ初心者でも心配なく,仲魔をたくさん“勧誘”できるようになるはずだ。
バトルの主なコマンドは「SKILL」「GUARD」「ITEM」「ASSIST」「ESCAPE」の5つで,「SKILL」は×ボタン,「GUARD」は○ボタンといったようにボタンが振り分けられている(試遊したPS5版の場合)。
「SKILL」を選ぶと,MPを消費しない通常攻撃「アタック」及び,そのキャラクターが宿している仲魔のスキルを使用できる。「GUARD」「ITEM」「ESCAPE」はその名のとおりガード,アイテムの使用,逃げるの選択だ。
敵の耐性を知り,弱点を突いて有利にバトルを進めるという,アトラスのRPGではおなじみの要素もちろん存在する。それが,仲魔が一斉攻撃を仕掛ける「サバト」だ。
敵の弱点を突くことで,攻撃を行ったキャラクターの仲魔が召喚され,そのシルエットが味方の周りに表示されていく。これを「スタック」と呼び,味方のターン終了時,リンゴの号令によってサバトが“開宴”。スタックされた仲魔が敵に襲い掛かり,追加ダメージを与える。数が多いほど強力になるので,多数を相手にするときや強敵との戦いの際に重宝しそうだ。
物語を進めていくと,ミレディとサイゾーというデビルサマナーが仲間になった。ここはアロウの時と同じように,リンゴがソウルハックを使うことでストーリーが進行する。
そんな彼らとリンゴとの間には,「ソウルレベル」という数値が設定されている。この数値は会話時の選択肢や「パーソナルイベント」というコミュニケーションによってアップし,リンゴとの相互理解が進んだキャラクターは,「サマナースキル」という特殊能力を習得できるようになるのだ。
そして,“メガテン”には欠かせない「悪魔合体」。悪魔合体は,「六宝レルム」という場所にあるサーカスのような施設「シルク・ドゥ・業魔殿」で行う。悪魔合体の種類は,2体の悪魔を掛け合わせる「2身合体」,特定の条件をクリアすると開放される仲魔を作り出すことができる「特殊合体」といったおなじみのものだ。
さまざまな条件を指定して作りたい悪魔を絞って選択する「検索合体」,手持ちの悪魔の組み合わせからオススメの合体結果を提示してくれる「オススメ合体」といった便利な機能もある。とくに検索合体は,作りたい種族や強化したい属性,どの属性のスキルを持たせたいかなどを細かく設定できるので,“ほしい仲魔”が明確にいるときに重宝しそうだ。
今回の試遊では,ゲーム冒頭からおよそ3時間半,実際のゲームの流れでフィールドの移動やダンジョン探索,バトル,そして悪魔合体をひととおり体験できた。ここで紹介したもののほかにも,COMPの強化やさまざまな種類のサブクエストなどがあり,前述した世界観や物語だけではなく,ゲームの各要素の説明も序盤からぎっしりと詰め込まれている印象だ。
なお,詳細が発表される前のため本稿では紹介できないが,「ソウル・マトリクス」という遊びごたえのある要素も存在する。今後の情報公開を楽しみにしてほしい。
物語やゲームシステム以外で印象的だったのが,やはりスタイリッシュできらびやかな演出やデザイン。とくに目を引いたのは,主人公としてまぶしいくらいの輝きを放つリンゴだ。
イベントやバトル開始時,サバトの号令など,さまざまな場面で彼女のカットが挿入され,序盤から“これでもか”といわんばかりにリンゴの魅力が前面に押し出されていた。ネオンのように輝く服,キラキラと光る目の描写などもかなりこだわりを感じられ,“プレイヤーがリンゴを好きになれる要素”がふんだんに盛り込まれている印象だ。
気になるところもいくつかあった。まずはダンジョンでの視点について。キャラクターの背後すぐにカメラがあるため,リンゴを近くに感じられるのはありがたいものの,ダンジョン全体を捉えにくく,後ろから襲ってくる敵への対処が難しかった。このあたりはぜひ,カメラの視野角を調整する機能を追加してほしい。また,これは冒頭の説明でも触れた通り,ゲーム開始からかなりの情報量の説明シーンが続き,自分で操作できる場面が少ないので,ここも好みが分かれるところだと思う。
ビジュアルのイメージからも伝わると思うが,世界観やキャラクター性,作品の持つ雰囲気は,これまでの「デビルサマナー」シリーズや初代「ソウルハッカーズ」とは大きく異なる。実際にプレイしてみると,シンプルな続編ではない,現代的な解釈を交えたオリジナルの物語が展開する“新生ソウルハッカーズ”であることをあらためて感じた。
そのため,シリーズ作品に思い入れが強いファンほど戸惑うかもしれないが,“人とテクノロジーの物語を描く”というテーマは共通したものだ。また,アロウの銃型のCOMPのデザインや葛葉姓のキャラクターの存在,暗躍するデビルサマナーの組織名とその役割など,過去作品を知っているからこそニヤリとできる要素もあることは伝えておきたい。
リリースまで2か月以上あり,まだ判明していない情報も少なくない。ソウルハッカーズの新たな展開が気になるという人は,今後発表される情報を追いかけてみるといいだろう。
「ソウルハッカーズ2」公式サイト
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