企画記事
五月病になりそう? ならばゲームだ。嫌なことを忘れたいときにピッタリなストレス解消ゲーム5本を紹介
筆者は5月だけではなく年中やる気がない状態に突如陥る場合があるので,そんなときでも遊べるゲームをいくつか持っている。もちろん熱中しすぎると問題であろうが,何もする気が起きないときでも,適度にゲームで脳や指先を刺激し続けることで,嫌なことを考えずに済むし,なによりリラックスして落ち着けるのだ。無気力なとき,嫌なことが多く現実逃避したいときなど,ビデオゲームはストレスを解消したり,一時心を休めさせてくれたり,有用に使える場合がある。
ということで今回の記事では,過ごしづらいこれからの日々になんとか立ち向かうための,「やる気のない状態」であっても遊び続けられるゲームを,筆者なりに紹介していく。
Vampire Survivors
(PC / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / Xbox One / iOS / Android)「Vampire Survivors」は,今回のテーマを考えたときに真っ先に思いついた,筆者イチオシのゲームだ。発売当初からゲーム実況配信などで非常に流行ったので,遊んだことがある人も多いだろう。価格は定価で499円とかなり安価なうえ,未だにアップデートされ続けているため,コンテンツ量も充分ある。Steamに加えNintendo Switchやスマホでも遊べ,プレイ環境を選ばないところも嬉しい。
本作は,周囲からやってくる攻撃をかわし,自動的に発動する自分の攻撃をうまく当てることで敵を倒していく,というのが主なゲームプレイとなっている。敵を倒すとマップにジェム(宝石)が落ち,それを拾うことで新たな武器を得たり,武器を強化したりと,有利に立ち回れるようになっていく。そうやって敵の攻撃を回避し続け,一定時間(基本的には30分間)生存し続けるとステージクリアとなる。
本作は,ジャンルとしては「ローグライクアクション」に分類されるであろう。1プレイごとに状況がリセットされ,プレイヤーキャラクターの装備は強化されてない最初の状態に戻る。また,1プレイ中に取得できる武器はランダムで,プレイするごとに違った体験になるのだ。
「吸血鬼」というとなにやら物騒なモチーフだし,ジャンルはアクションだしで,本作が「リラックス」や「落ち着き」とは無縁な作品だと思う人もいるだろう。実際,多くのプレイヤーがプレイ開始してから数回ぐらいは「ちょっと難しいゲーム」だと感じるかもしれない。
しかし,本作の真骨頂は数時間プレイしたあたりから発揮される。プレイヤーキャラクターがほどよく成長し,ゲームに慣れてくると,プレイが徐々に楽になり,成長要素などを純粋に楽しめるようになってくるのだ。新しい武器を装備したり,成長させたりすると画面のエフェクトがどんどん派手になっていくあたりも射幸心が刺激されて楽しいし,豊富なアンロック要素によって飽きることなく,プレイのモチベーションが保たれる点も優秀だ。操作も慣れさえすればシンプルなので,寝転びながらでもまったく問題なく遊ぶことができる。
本作では,プレイヤーキャラクターの強化がある程度済んだ状態になると,なんだったらちょっと退屈なぐらい難度が下がり,プレイがやや単調に,作業的になってきたりもする。しかし,それは決して悪いことではない。ほどよいゲームの刺激がリラックスへとつながり,自分にとって落ち着く体験として昇華されたということでもあるのだ。
筆者は寝る前に布団で本作を遊ぶのが日課になっていた時期がある。「Vampire Survivors」と睡眠が筆者の中でひも付き,本作を遊ぶと反射的に眠くなるということもあった。あくまで筆者にとってはだが,本作はある種瞑想のような作用がある作品だ。前述のように多くのハードで遊べるし,なにせ低価格なので,騙されたと思って試してみてほしい。また,本作が気に入った場合は「Twilight Survivors」や「Brotato」などのできの良いフォロワー作品が数多くあるので,それらに手を伸ばしてみるのもよいだろう。
Balatro
(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)「Balatro」(ややこしいが上で紹介した「Brotato」とはまったく別の作品だ)は今年の2月に発売されるやいなや,好事家の間で話題沸騰となったポーカーを題材にしたローグライク・カードゲームだ。ポーカーを題材にしているとはいえ,ポーカー要素があるのは役の種類ぐらいなので,ポーカーをまったく知らないプレイヤーでも安心して遊べるはずだ。
本作も筆者としてはかなりのおすすめで,単にやる気がないときでもリラックスしてぼんやり遊べるだけでなく,カードゲームやローグライクジャンルの入門作としてもかなりよい選択であると思う。現在国内ではSwitch版を入手できないため,遊ぶ場合はPCかPS5など一部のコンソールに限られるところがややネックではある。スマートフォン版も開発されているとのことではあるし,寝転がってプレイしたい人は,それを待つのも手だ。
本作は「ブラインド」と呼ばれるステージのようなもののなかで目標スコアを達成することで進行していく。スコアを達成するには,ポーカーの手役を作り「プレイ」する必要がある。通常のポーカーと違い,手札は(基本的に)8枚あり,交換も3回までできるため,大きな手役を狙いやすい。
スモールブラインド,ビッグブラインド,ボスブラインドという3つの目標を達成すると「アンティ」とよばれる段階が上がり,それを8回繰り返すとクリアとなる。目標スコアはアンティが上がるごとにどんどん上がるので,なんとかして手役を強化していかなければならない。
普通にプレイしていたら目標スコアのインフレに到底追いつかないので,特別な効果を持つ「ジョーカー」や「惑星カード」,「アルカナ(タロット)」を購入して,自分のデッキやハンドを強化していく。専門用語が多く,難しそうに聞こえるだろうが,実際に遊んでみると驚くほどすんなりルールを飲み込めるだろう。
本作はターン制で進行し,時間制限がない。なので,先述の「Vampire Survivors」よりもさらに落ち着いてプレイできる。極論,プレイの途中で寝落ちしてしまっても問題ないわけだ。
また,ジョーカーの効果によって点数がインフレしていく感覚にはなかなか口では説明しづらい快楽があり,その中毒性に夢中になっているプレイヤーが数多くいる。バランスはやや大味気味で運要素もかなり大きいが,そのため他のカードゲームのような精密なプレイを要求されない点もよい。本作でローグライクのカードゲームというものに慣れたら,同ジャンルの代表的な作品である「Slay the Spire」や,ストーリーや展開がスリリングでおもしろい「Inscryption」を遊んでみるのもいいかもしれない。
Stardew Valley
(PC / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One / iOS / Android)これから紹介する「Stardew Valley」は,いままで紹介してきたようないわゆる「ローグライク」系の作品とはやや毛色が異なる。短いステージを何回も繰り返して遊ぶというよりは,1回のプレイをじっくり長時間楽しむものだ。
本作は牧場を経営するシミュレーションゲームで,「牧場物語」シリーズと類似したゲームプレイを持つ。牧場を整備し,土に鍬を入れ,種を蒔き,しばらくしたら収穫するという基本的な農作業のほか,家畜の世話をしたり,釣りをしたり,近隣の住民と親交を深めたりなど,さまざまなコンテンツを楽しめる。
1日にできることには限りがあるなど,慣れるまではやや急かされる場面も多いかもしれないが,大まかに言うと作業的なコツコツしたゲームプレイが主となっており,気力がないときにも遊べると思う。
「Stardew Valley」の魅力はなんといってもその雰囲気の良さだ。ドット絵で丁寧に描かれたグラフィックスは見ているだけで癒やされるし,音楽も落ち着いたものがほとんど。度重なるアップデートによりコンテンツ量がかなり膨大になっているため長く遊べるし,場合によってはマルチプレイもできる。Switch版やスマートフォン版などもあるため,プレイ環境を選ばないところも魅力だ。
ただし,本作をちゃんと攻略しようと思うと,鉱山ダンジョン攻略を伴うので,戦闘など若干緊張感のある行為をしなければならない点は要注意だ。シナリオや雰囲気についても,(あくまで筆者の主観だが)やや不穏な場面があったりもするので,合うかどうかはプレイ動画などを事前に見て参考にするのもいいかもしれない。
本作と似たようなゲームが遊びたければ,「きみのまち サンドロック」やSwitch版の発売も予定されている「Coral island」などがおすすめだ。原点である「牧場物語」シリーズや「ルーンファクトリー」シリーズに触れたことがないなら,それらをプレイするのもよい。牧場経営系のジャンルはかなり作品に恵まれており,かつ,一作ごとのプレイ時間が長いので,一度ハマったらジャンルのファンとして長い時間楽しめるはずだ。
テトリスエフェクト・コネクテッド
(PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One)続いて紹介するのは,無気力なときに遊ぶにはおそらく王道のパズルゲーム「テトリスエフェクト・コネクテッド」だ。本作は,落ち物パズルゲームの代名詞ともいえる「テトリス」を,さまざまな視覚的エフェクトや設定で遊べる作品である。
テトリスはアクション性が高く,いままで紹介してきたゲームの中ではもっとも「指先が忙しい」作品であろうが,ハマると没入感があり,指をたくさん動かすことにはストレス解消的な作用もあるように思う。
特に「テトリスエフェクト・コネクテッド」は音楽と映像のシンクロが非常に気持ちよく,ただのテトリスとは比べ物にならないほど爽快だ。ヘッドフォンをつけて遊んだときの没入感は筆舌に尽くしがたい。スマートフォン版はないものの,PCやコンソールなど,ある程度ハードを選ばない点もよい。
本作の魅力はなんといってもその遊び方の多様さ。難度低めのマラソンモードを延々回してチルするもよし,コンボモードやマスターモードで己の限界に挑戦するもよし,オンラインマルチプレイを楽しむもよしと,非常に間口が広い。指先がさみしいときは適度な刺激を与えてくれるし,本気でテトリスと向き合いたいときはそれに応えてくれる。
また設定項目が多種多様なのも魅力で,エフェクトモードでミノ(ブロック)が見づらい場合は,見やすい色にした状態で固定できるなど,自分好みの設定を見つけられる。特にデフォルトではカメラがかなり遠いので,そのあたりの設定を見直すことを強くおすすめしたい。
テトリスではないがパズル的なゲームが遊びたい場合は,「ソリティ馬 Ride On!」や話題になった「スイカゲーム」もおすすめだ。特に「スイカゲーム」は時間に急かされることがないため,あまりナーバスにならず遊べるはず。
Factorio
(PC / Nintendo Switch)最後に紹介するのは「Factorio」だ。こちらは大別するなら「ものづくり」系のゲームで,未開の惑星で工場を作り,徐々に作れるものをグレードアップさせていく作品だ。
特にベルトコンベアや機械を使って部品の製造工程を「自動化」していくのがキモとなっており,そのためにどうすれば効率の良い工場を作れるのかをずっと考えていくことになる。最初はやや難しいゲームだが,頭を使っていくうちにズブズブとハマってしまうプレイヤーも多い。本作のSteamレビュー一覧をみるとプレイ時間1000時間超えのプレイヤーがザラにいるので,ハマれば非常にコストパフォーマンスよく長く遊べる点が魅力だ。
通常の設定でプレイすると一定時間経過ごとに外敵である「バイター」の襲来があり,慣れないうちは対処が難しいかもしれない。リラックスして遊びたい場合はピースフルモードにするか,敵を弱く設定してもよいかもしれない。
本作もニューゲーム時に選べる設定が多様なのが魅力で,かなり簡単にして工場づくりに没頭してもいいし,適度な外敵の到来を楽しんでもよい。何度もプレイして好みの設定を見つけるのも,面白い遊び方だろう。大きくなった工場が自分の理想通りに動いているのを観測するだけで楽しく,達成感も得られる。またマルチプレイで友人らと遊ぶことも可能だ。
本作と似たようなゲームが遊びたい場合は,「Satisfactory」や「Factory Town」が類似したゲームプレイなので,お勧めだ。また,「Minecraft」や「Terraria」,「パルワールド」など,オープンワールドサバイバルクラフトと呼ばれる作品とも,「ものづくり系」という意味で類似点がある。
最後に
ということで,「五月病に立ち向かうため」という観点から5本のゲームを選んできた。だが,もちろん人によってどのような作品が合うのか,どれぐらいのストレスなら許容されるのか,どれくらい指を動かしたいか,などはそれぞれ違うはずだ。
今回は筆者なりに「繰り返し遊べる」「長時間遊べる」「プレイ自体が難しくない」「自分なりにストレスを設定で調整できる」「達成感が得られる」などの観点を用意して考慮しながら,できるかぎり幅広くゲームを紹介したつもりである。自分の好みがまだ分からないという場合は,筆者イチオシの「Vampire Survivors」もしくは「Balatro」あたりを遊んでみるのがいいだろう。特に「Vampire Survivors」は価格も安いので,試しやすいのではないか,と思う。
学生にも社会人にとっても,ゴールデンウィーク以降,梅雨から夏に立ち向かうのは難題であろうと思う(筆者にとっても,ここからの数か月は1年でもっとも苦手な季節だ)。そういうときうまくストレスをコントロールしたいのであれば,ゲームはきっと心強い味方になってくれるだろう。
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- ライター:ワニウエイブ
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